メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

オーバー・フェンス

2016年09月18日 | 映画
オーバー・フェンス
を観ました。


家庭をかえりみなかった男・白岩は、妻に見限られ、東京から故郷の函館に戻りつつも実家には顔を出さず、職業訓練校に通いながら失業保険で暮らしていた。
訓練校とアパートの往復、2本の缶ビールとコンビニ弁当の惰性の日々。なんの楽しみもなく、ただ働いて死ぬだけ、そう思っていた。
ある日、同じ職業訓練校に通う仲間の代島とキャバクラに連れて行かれ、そこで鳥の動きを真似る風変りな若いホステスと出会う─ 。
名前は聡(さとし)。「名前で苦労したけど親のこと悪く言わないで、頭悪いだけだから」
そんな風に話す、どこか危うさを持つ美しい聡に、白岩は急速に強く惹かれていくが… 。
自由と苦悶のはざまでもがく女の一途な魂にふれることで、男の鬱屈した心象は徐々に変化していくが、それでもままらない時間を過ごすしかない一組の男女。
そして孤独と絶望しか知らなかった男たち。
美しく壊れかけた男と女がフェンスの先に見つけるものは―。


大好物の山下敦弘監督作品です。

前情報ゼロで観に行きましたが、どうせ自分好みの作品だろうとの期待はしていました。
案の定その通りの作品でした。

日本映画らしい気怠い空気に満ちた孤独な男の暮らしを中心とした物語。
まるで特別では無い、平均よりもちょっと下の暮らしをする主人公。
山下敦弘監督の作品は温度というより湿度が伝わってくるんですよね。
奇をてらうタイプでは無く、インディペンデント系の王道を行くような監督ですね。

職業訓練校が舞台というのも非常に斬新で唯一無二の設定な気がします。
それでいて実にこの手の映画らしい雰囲気です。

蒼井優演じる聡がやたらぶっ飛びキャラでヒステリックで、
その手のキャラは苦手なのでちょっと観ていてストレスでした。
ぶっ壊れている人間を表現しているのですが、まさしくぶっ壊れています。
感情の地雷が何処にあるのかわからず奇行多いし突然わめき出します。
ちょっと舞台みたいな演出でした。

主演のオダギリジョーは相変わらずかっこよく雰囲気で見せてきます。
孤独感プンプンで芯が強そうでありながらも人間らしい弱さも持ち合わせていて。
カッコいいようで惨めのようで。

松田翔太もリアルな胡散臭い人間を見事に演じていました。
最近ではこういう脇役は珍しいですが、持ち前のカッコよさでいい存在感でした。

最近売れつつある満島真之介は謎の病んだ人間でちょっと危ない人間でした。
さしてフォーカスされるわけでもなく謎の存在感でした。
ちょっと大袈裟過ぎて苦手な演技でした。
正直居なくてもいいのでは?と思わされるポジションでした。

優香が別れた嫁役で出ていましたが、
いつの間にかすっかり良い感じの女優になってますね。
かつてのどっぷりアイドルから見事なキャリアの積み方してるように思います。

それ以外の脇役の人々も上手でなんとも言えないリアリティに満ちていました。
学校のシーン、酒を飲んでいるシーン。
なんとも言えない生々しさがありました。

苦手なシーンと大好物のシーンが入り混じったような作品でした。
なかなか印象的なシーンも多くらしさは発揮していました。


そんなわけで6点。

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