メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

ドリーム

2017年10月11日 | 映画
ドリーム
を観ました。


東西冷戦下、アメリカとソ連が熾烈な宇宙開発競争を繰り広げている1961年。
ヴァージニア州ハンプトンのNASAラングレー研究所では、優秀な頭脳を持つ黒人女性たちが“西計算グループ”に集い、計算手として働いていた。
リーダー格のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)は管理職への昇進を希望しているが、上司ミッチェル(キルスティン・ダンスト)に「黒人グループには管理職を置かない」とすげなく却下されてしまう。
技術部への転属が決まったメアリー(ジャネール・モネイ)はエンジニアを志しているが、黒人である自分には叶わぬ夢だと半ば諦めている。
幼い頃から数学の天才少女と見なされてきたキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は、黒人女性として初めてハリソン(ケビン・コスナー)率いる宇宙特別研究本部に配属されるが、オール白人男性である職場の雰囲気はとげとげしく、そのビルには有色人種用のトイレすらない。
それでも、それぞれ家庭を持つ3人は公私共に毎日をひたむきに生き、国家の威信をかけたNASAのマーキュリー計画に貢献しようと奮闘していた。
1961年4月12日、ユーリ・ガガーリンを乗せたソ連のボストーク1号が、史上初めて有人で地球を一周する宇宙飛行を成功させた。
ソ連に先を越されたNASAへの猛烈なプレッシャーが高まるなか、劣悪なオフィス環境にじっと耐え、ロケットの打ち上げに欠かせない複雑な計算や解析に取り組んでいたキャサリンは、その類い希な実力をハリソンに認められ、宇宙特別研究本部で中心的な役割を担うようになる。
ドロシーは新たに導入されたIBMのコンピュータによるデータ処理の担当に指名された。メアリーも裁判所への誓願が実り、これまで白人専用だった学校で技術者養成プログラムを受けるチャンスを掴む。
さらに夫に先立たれ、女手ひとつで3人の子を育ててきたキャサリンは、教会で出会ったジム・ジョンソン中佐(マハーシャラ・アリ)からの誠実なプロポーズを受け入れるのだった。
そして1962年2月20日、宇宙飛行士ジョン・グレンがアメリカ初の地球周回軌道飛行に挑む日がやってきた。
ところがその歴史的偉業に全米の注目が集まるなか、打ち上げ直前に想定外のトラブルが発生。
コンピュータには任せられないある重大な“計算”を託されたのは、すでに職務を終えて宇宙特別研究本部を離れていたキャサリンだった……。


セオドア・メルフィ監督作品です。
”ヴィンセントが教えてくれたこと”の監督ですね。

今作は1960年代アメリカにおける黒人差別問題を扱った作品です。
NASAを舞台に活躍する黒人女性たちが白人と全然扱いが違う差別を受けます。
実在の人物を描いた実話だそうで、なかなか素晴らしい素材だと思います。

この手の映画は多く見てきました、なので大筋ででこの作品に真新しい要素はありません。
設定が宇宙開発を絡めているとは言え王道の黒人差別映画でした。
その分、品質勝負という側面が強く、そしてその品質は非常に素晴らしかったです。

宇宙開発の感動展開も王道のフォーマットと言えるでしょう。
クライマックスは宇宙船との通信が切れて・・・戻ってワッショイ!ワッショイ!のやつですね。
まあアポロ13式とでも呼びましょうか。

黒人差別モノとは言え一応認められた女性たちです。
なので迫害されるようなことはありません。
仕事上での極端な差別です。
現在では職場でこんな不当は考えられませんが、つい最近までアメリカはコレが当然だったのですね。

白人より優れている黒人女性たちが人種のみを理由に正常な査定をされていない、
正常な労働環境を与えられていない、などなど。
ただ主人公たち3人は能力的に非常に優れているので、ポイントポイントで明確に活躍して。
その天才的能力でまさに白人たちにぐうの音も出させないような活躍をして徐々に自分たちで権利を勝ち取って行きます。
それは痛快であり感動的です。
そういう場面が何度もあり非常に痛快でした。

観ている人は当然、黒人女性たちの活躍やトイレが無い事情などわかりますが、
管理職の人々がそれを知らなかったりするので、
そこがわかってもらえるシーンなどは問答無用で痛快ですね。

ケビン・コスナー演じる責任者はロシアとの争いに躍起になっているので人種差別をしている場合ではない、
という感じで彼女たちを正当に評価して理解があります。
人種別のトイレをいきなり排除して
「ションベンの色はみんな一緒だ!」
というセリフは名言でした。

主人公は数学の天才で計算を担当しています。
数学大好きな自分はあの微分積分系の数式を観ているだけで妙に興奮してしまいます。
学生時代に必死に勉強したあの複雑な数式もこういう場面でちゃんと使われているのだなと嬉しくなりました。

今まで観てきた南北戦争や公民権運動モノみたいにしんどい描写は無いですが、
近代社会でこういうことをアメリカがやっていたというのは忘れては行けない史実ですね。
こういう女性たちの活躍が差別社会の撤廃に大きく貢献したかも知れないですね。

前例になろうとする彼女たちの頑張りは感動でした。
ノンフィクション映画のお約束で、ラストに実物の写真が出ますが、
それ系の演出ではかつて無いくらい感動しました。
別にただ写真が出ただけで感動したので、劇中で観た内容が余程響いたのだと思います。

タラジ・P・ヘンソンが主演でしたが毅然とした芯の強い女性で素晴らしかったです。
小走りの演技が何か印象的でした。
感情移入しやすい素晴らしい演技でした。

オクタヴィア・スペンサーがリーダーになっていく女性でした。
最近良く見かけますが非常に良い特徴を持っていますね。
ウーピー・ゴールドバーグみたいになれそうな気がします。

ジャネール・モネイも主演3人の一人でした。
最近観たムーンライトにも出ていましたが美人ですね。

ケビン・コスナーが責任者として素晴らしい役でした。
イケメン俳優からの脱却で一時期消えそうな感じもありましたが、
いいおじさん役者として再び巻き返していますね。
かなりいいポジションを築いていると思います。

新しい要素は無かったですが、非常に上質で名画でした。
いかにもアカデミー賞が好きそうな作品って感じでした。


そんなわけで8点。

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