アウトレイジ 最終章
を観ました。
《関東【山王会】vs.関西【花菱会】》の巨大抗争後、大友(ビートたけし)は韓国に渡り、日韓を牛耳るフィクサー張会長(金田時男)の下にいた。
そんな折、取引のため韓国出張中の【花菱会】幹部・花田(ピエール瀧)がトラブルを起こし、張会長の手下を殺してしまう。
これをきっかけに、《国際的フィクサー【張グループvs.巨大暴力団組織【花菱会】》が一触即発の状態に。
激怒した大友は、全ての因縁に決着をつけるべく日本に戻ってくる。
時を同じくして、その【花菱会】では内紛が勃発していた・・・。
言わずと知れた北野武監督のヒットシリーズの最新作です。
日本語に一つのジャンルを作ったシリーズです。
観終わったあとはしばらく語尾に「バカヤロー」「コノヤロー」がついてしまいます。
前作からスムーズに繋がっていて。
登場人物の重なりもいい感じです。
そこに新たにまた豪華なキャストが加わって更に魅力が増しています。
シリーズ通したら本当にオールスターキャストですね。
このシリーズに呼ばれたか、呼ばれてないかは役者の一つのステータスになってそうな気すらします。
基本的に死んでしまうので過去の登場人物が復帰できないのが残念ですが、
そういう感傷に浸ることをさせないのもいいですね。
どストレートなバイオレンスをど真ん中に投げたことによってヒットしてきましたが、
ストーリーが意外とよくできていますね。
わかりやすくて、適度に巧妙で引き込まれます。
義理人情や足の引っ張り合い、のし上がりの政権争い、日本の国会の縮図を観ているかのようです。
韓国のシーンもちらっとあってその辺にスケール感が増した感じもあります。
今作は全員暴走という触れ込みですが、序盤は意外とおとなしいです。
まさに種を撒いている最中と言うか、これから起きる抗争の前フリですね。
ビートたけし演じる大友は序盤はほとんど出てきません。
花菱会の内紛やら張グループとの抗争で。
西田敏行や塩見三省あたりが主役のように活躍しています。
ところが後半大友が出てきてからは確かに暴走です。
大友の容赦無さがすごいです。
ためらいなく全てのゴタゴタを暴力で解決していきます。
本来は良くないのでしょうが、痛快です。
あとこのシリーズの特徴としては大体みんなうっすら悲しいのですよね。
車で移動しているシーンや車から降りてくるシーンを不思議と悲しい感じに描くのは見事だと思います。
特に大友は悲しいです。
1作目の「貧乏くじばかりだよ」というセリフによく現れていましたが。
バイオレンスのモチベーションが悲しみにすら思えます。
アウトレイジシリーズにしては張会長という存在がかなりスペシャルです。
アンタッチャブルな絶対的な権力と人望があります。
一方大杉漣演じる新しい花菱会の会長が人望がなくて切ないです。
極道の才能もなければ人望もなく、ただ金稼ぎは得意という。
今作の中で一番のやられ役でターゲットな感じがプンプンです。
そのコントラストがわかりやすいですが、それを全部ぶち壊すような大友の暴走でした。
ただ大友は張会長への義理のために命を張っている感じが古き良きヤクザ感を出しています。
その余裕で命を張ってしまう感じに清々しさすら感じました。
ビートたけしは年々滑舌が厳しくなってきている気がしますが、やっぱり素晴らしい雰囲気持っています。
これに憧れてしまう極道モノやチンピラが現れないことを願ってしまうくらい、
かっこよくて魅力的なヤクザ像でした。
金田時男は監督的に大物ベテランな新人という狙いだそうですが、まさにそんな感じです。
前作から一気に出番が増えましたがすごい大物オーラでした。
確かに、誰?この役者?って感じです。
韓国語も喋っていたので韓国の大御所かな?とすら思いました。
こういう役は世間的に知られていない役者の方がいい、と監督が言っていましたが、
それを思うことはめちゃくちゃあります。
たくさん見ている役者って先入観抜きで見ることはほぼ不可能ですし、
それまでの役が染み込んでしまっている部分もあります。
その点で役者って非常に特殊な職業だと思いますが。
時に、まっさらな人で見たいと思う場面も多々あります。
知らない役者のクオリティが高かったときのインパクトはでかいですからね。
非常に説得力ある見事なキャスティングでした。
久々に北野作品に大杉漣が出ていました。
やっぱり大杉漣の居場所ってここだよな、と妙に嬉しくなりました。
めちゃくちゃハマりますね。
西田敏行も前作から引き続きのいい活躍です。
前作より怒鳴ってるシーンは減って迫力みたいな部分を削っています。
その分、狡猾で嫌味な感じがプンプン出ていてこれまた面白かったです。
個人的に一番印象に残ったのは塩見三省でした。
正直お痩せになった感じはありましたが、実際は病気の後遺症で自立することもできないようで。
それを知ってしまうとこの演技の迫力は信じがたいです。
ハンディキャップを考慮してなんか賞を与えたいくらいでした。
おもったより活躍するピエール瀧ですが、らしさ前回でした。
凶悪などでめちゃくちゃ怖い演技ができるのはわかっていましたが、
それだけではなく強い相手には情けない感じがあり。
その二面性を見事に表現していて、これはピエール瀧ならではと思いました。
大友の舎弟的な市川という役を演じいていた大森南朋も良かったですねー。
迫力の怒鳴り等がない、結構独特なキャラで。
ちゃんと義理人情を大事にしながら大友にヘコヘコしている良い奴な感じなのに。
暴走した殺しっぷりはすごいです。
はっきり言って今作の大友とこの市川はただのヒットマンです。
この二人に構成員をやられまくった大杉漣の
「組員みんなやられた?どうすんだ!」
みたいなセリフは滑稽で笑えました。
池内博之って密かに評価高い役者ですが。
やられ役として実にいい味出していました。
原田泰造は都合良く使われるチンピラ役でしたが、
出番も少なく出来もそれほど印象に残りませんでした。
今作で続編が作れないような終わり方をしてしまうので、
もう続編はなさそうです。
スピンオフ的な作品で過去のキャストたちに会いたい気分です。
ファンも多く日本映画史に一つの足跡を残した偉大なシリーズだと思います。
そんなわけで8点。
を観ました。
《関東【山王会】vs.関西【花菱会】》の巨大抗争後、大友(ビートたけし)は韓国に渡り、日韓を牛耳るフィクサー張会長(金田時男)の下にいた。
そんな折、取引のため韓国出張中の【花菱会】幹部・花田(ピエール瀧)がトラブルを起こし、張会長の手下を殺してしまう。
これをきっかけに、《国際的フィクサー【張グループvs.巨大暴力団組織【花菱会】》が一触即発の状態に。
激怒した大友は、全ての因縁に決着をつけるべく日本に戻ってくる。
時を同じくして、その【花菱会】では内紛が勃発していた・・・。
言わずと知れた北野武監督のヒットシリーズの最新作です。
日本語に一つのジャンルを作ったシリーズです。
観終わったあとはしばらく語尾に「バカヤロー」「コノヤロー」がついてしまいます。
前作からスムーズに繋がっていて。
登場人物の重なりもいい感じです。
そこに新たにまた豪華なキャストが加わって更に魅力が増しています。
シリーズ通したら本当にオールスターキャストですね。
このシリーズに呼ばれたか、呼ばれてないかは役者の一つのステータスになってそうな気すらします。
基本的に死んでしまうので過去の登場人物が復帰できないのが残念ですが、
そういう感傷に浸ることをさせないのもいいですね。
どストレートなバイオレンスをど真ん中に投げたことによってヒットしてきましたが、
ストーリーが意外とよくできていますね。
わかりやすくて、適度に巧妙で引き込まれます。
義理人情や足の引っ張り合い、のし上がりの政権争い、日本の国会の縮図を観ているかのようです。
韓国のシーンもちらっとあってその辺にスケール感が増した感じもあります。
今作は全員暴走という触れ込みですが、序盤は意外とおとなしいです。
まさに種を撒いている最中と言うか、これから起きる抗争の前フリですね。
ビートたけし演じる大友は序盤はほとんど出てきません。
花菱会の内紛やら張グループとの抗争で。
西田敏行や塩見三省あたりが主役のように活躍しています。
ところが後半大友が出てきてからは確かに暴走です。
大友の容赦無さがすごいです。
ためらいなく全てのゴタゴタを暴力で解決していきます。
本来は良くないのでしょうが、痛快です。
あとこのシリーズの特徴としては大体みんなうっすら悲しいのですよね。
車で移動しているシーンや車から降りてくるシーンを不思議と悲しい感じに描くのは見事だと思います。
特に大友は悲しいです。
1作目の「貧乏くじばかりだよ」というセリフによく現れていましたが。
バイオレンスのモチベーションが悲しみにすら思えます。
アウトレイジシリーズにしては張会長という存在がかなりスペシャルです。
アンタッチャブルな絶対的な権力と人望があります。
一方大杉漣演じる新しい花菱会の会長が人望がなくて切ないです。
極道の才能もなければ人望もなく、ただ金稼ぎは得意という。
今作の中で一番のやられ役でターゲットな感じがプンプンです。
そのコントラストがわかりやすいですが、それを全部ぶち壊すような大友の暴走でした。
ただ大友は張会長への義理のために命を張っている感じが古き良きヤクザ感を出しています。
その余裕で命を張ってしまう感じに清々しさすら感じました。
ビートたけしは年々滑舌が厳しくなってきている気がしますが、やっぱり素晴らしい雰囲気持っています。
これに憧れてしまう極道モノやチンピラが現れないことを願ってしまうくらい、
かっこよくて魅力的なヤクザ像でした。
金田時男は監督的に大物ベテランな新人という狙いだそうですが、まさにそんな感じです。
前作から一気に出番が増えましたがすごい大物オーラでした。
確かに、誰?この役者?って感じです。
韓国語も喋っていたので韓国の大御所かな?とすら思いました。
こういう役は世間的に知られていない役者の方がいい、と監督が言っていましたが、
それを思うことはめちゃくちゃあります。
たくさん見ている役者って先入観抜きで見ることはほぼ不可能ですし、
それまでの役が染み込んでしまっている部分もあります。
その点で役者って非常に特殊な職業だと思いますが。
時に、まっさらな人で見たいと思う場面も多々あります。
知らない役者のクオリティが高かったときのインパクトはでかいですからね。
非常に説得力ある見事なキャスティングでした。
久々に北野作品に大杉漣が出ていました。
やっぱり大杉漣の居場所ってここだよな、と妙に嬉しくなりました。
めちゃくちゃハマりますね。
西田敏行も前作から引き続きのいい活躍です。
前作より怒鳴ってるシーンは減って迫力みたいな部分を削っています。
その分、狡猾で嫌味な感じがプンプン出ていてこれまた面白かったです。
個人的に一番印象に残ったのは塩見三省でした。
正直お痩せになった感じはありましたが、実際は病気の後遺症で自立することもできないようで。
それを知ってしまうとこの演技の迫力は信じがたいです。
ハンディキャップを考慮してなんか賞を与えたいくらいでした。
おもったより活躍するピエール瀧ですが、らしさ前回でした。
凶悪などでめちゃくちゃ怖い演技ができるのはわかっていましたが、
それだけではなく強い相手には情けない感じがあり。
その二面性を見事に表現していて、これはピエール瀧ならではと思いました。
大友の舎弟的な市川という役を演じいていた大森南朋も良かったですねー。
迫力の怒鳴り等がない、結構独特なキャラで。
ちゃんと義理人情を大事にしながら大友にヘコヘコしている良い奴な感じなのに。
暴走した殺しっぷりはすごいです。
はっきり言って今作の大友とこの市川はただのヒットマンです。
この二人に構成員をやられまくった大杉漣の
「組員みんなやられた?どうすんだ!」
みたいなセリフは滑稽で笑えました。
池内博之って密かに評価高い役者ですが。
やられ役として実にいい味出していました。
原田泰造は都合良く使われるチンピラ役でしたが、
出番も少なく出来もそれほど印象に残りませんでした。
今作で続編が作れないような終わり方をしてしまうので、
もう続編はなさそうです。
スピンオフ的な作品で過去のキャストたちに会いたい気分です。
ファンも多く日本映画史に一つの足跡を残した偉大なシリーズだと思います。
そんなわけで8点。