メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

尾ビレ

2005年12月27日 | なんとなく書いてます
多くの人間が暮らしていた
それぞれが、それぞれの好きな場所に集まって
ルールの無い勝負をしていた
好きな方法で、好きな武器で
勝利への欲も無く
戦っていた

勝った者はまた好きな場所へ去っていった
負けたものはその姿を変えさらに戦った
ある物は狐みたいな尻尾を生やし
ある者は風船で顔を覆い
ある者はテーピングで拳をぐるぐる巻きにした

彼は負け続けた
最初に負けたとき、彼は腰から尾ビレをはやしその先端を海面に沈めた
そして彼は負ける度にその尾ビレを長くしていった
負け続けた彼の尾ビレはいつしか深海まで到達していた
体は陸地にあるのに
その尾ビレは深海の中でクラゲみたいに透明になり
黄色く怪しく光っていた
海流の中でそれはゆらゆらと揺れ
深海魚たちはその光の中で穏やかに眠った

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