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新宿スワンⅡ

2017年01月21日 | 映画
新宿スワンⅡ
を観ました。


大好物な園子温監督作品、新宿スワンの続編です。

園子温らしいバイオレンスありでありながら、なかなか複雑な人間関係の物語ですね。
ストーリーの点では園子温らしからぬ、明確な起承転結な娯楽作品です。

極道的なやり取りや、戦略の部分の狡猾さ、巧妙さは非常に見応えありました。

前作とガッツリつながって居るので前作を見ていないと難しい部分はあります。
前作で居なくなってしまったキャラは何人か居ますが、また新しいキャストが加わり変わらない豪華さはあります。

中でも浅野忠信の存在感は素晴らしかったです。
そして深水元基が一気に重要な役どころになりました。
後、僕の大好きな広瀬アリスがヒロインになっていたのも良かったですね。

前回の境界線を巡るような争いから今度は街の取り合いのような展開で。
物語のストーリー規模は大きくなった気がします。
新宿側から仕掛けますが相手がやり手でかなりピンチに陥ります。
それでもそれなりに痛快な大団円へと向かいます。

組織が、人脈が上へ上へと繋がっている感じが良かったです。
怖いもの知らずに見える強い幹部役の中野裕太もボスの浅野忠信には怯えていて、
そんな浅野忠信もヤクザの中野英雄にしつけられていて、
そんな中野英雄も全酒連の椎名桔平には頭が上がらず。

そんな相関図の中で新宿チームと横浜チームがそれぞれ戦略的に上の人間を利用しようとする感じが実に生々しかったですね。
僕の好きな騙し合いの痛感さは味わえるストーリーでした。

腹黒く狡猾な全酒連が仕掛ける横浜と新宿のスカウトチームの争い、
横浜のボス・滝と新宿の幹部・関の過去からの因縁、
新宿から姿を消した洋介のドラッグ絡みのトラブル、
秀吉を殺したのは誰か?
と言った幾つかのストーリーが同時進行するような複雑さで。
それらが上手いことひとつの結末へと向かいます。

園子温監督らしく、画面から溢れ出る熱量は流石です。
龍彦単体の喧嘩も多いですが、2つのチームが交える喧嘩のシーンはなかなかの迫力です。
非常に高揚感に溢れ思わず立ち上がりそうになるほどでした。

クライマックスの浅野忠信演じる滝と綾野剛演じる龍彦の格闘も相当な迫力でした。
ハリウッドアクションでもクライマックスにライバルと延々と殴り合うような作りは多いですが、
それらより全然質が高いように感じました。
画面を揺らしてごまかすような演出もなく、カット割りやテンポが良く、使われる地形や道具もいい感じでした。

わざとでしょうが、全体的に昭和っぽい、Vシネっぽい雰囲気を出そうとしてるように感じました。
その分、自分にはダサいと思ってしまうような演出シーンもありました。
スカウト合戦の横浜チームの振る舞いとかはいくらなんでも愚かでわかりやす過ぎたように思いました。

綾野剛はすっかりスター俳優になりましたが、前作同様ちょっとバカで無鉄砲な男で、その分ピュアで優しい男です。
血の気が多くてすぐに喧嘩しますが、喧嘩アクションの出来も素晴らしかったです。

ライバルの浅野忠信は登場から凄み満載で素晴らしい存在感でした。
アクションもなかなかで怖かったですね。

今作では一気に二番手くらいになっていた深水元基が非常にかっこよかったです。
前作の伊勢谷友介的なポジションですかね。
実は横浜出身で横浜のリーダーは昔の相棒で、なかなかのおいしい活躍っぷりでした。

広瀬アリスは好みで可愛くて、意外とこの作品の雰囲気にハマっていました。
前作の沢尻エリカと比べるとエリカ様の方が作品の雰囲気には合っていたような。
抱えている内に秘めたモノもイマイチ伝わりづらく、ぞんざいなまとめ方をされていました。
でも彼女のキャバ嬢姿を見れただけでありがたいですね。

中野裕太が最近、各地でいい演技を披露している印象ですが今作もクセが強いキャラで良かったです。
龍彦と対照的に冷めてて人を見下す感じで実に嫌な男でした。

椎名桔平はちょっと演技をマイナーチェンジするだけでおちゃらけキャラから悪役になれるのが凄いですね。
こういうあくどい役も好きです。

久保田悠来ってあまり注目したことなかったですが、かなりのハンサムですね。
このルックスで演技力もあるので今シリーズで残したインパクトと共に今後ブレイクもありそうですね。

桐山漣は脇役で良く見かけますが、今作の役は良いですね。
抗争の口火を切るタイプでこういうヤンキー的な作品では意外と目立つ役でした。

伊勢谷友介は前作に比べ大分出番が減った感じはありますがポジションは変わらず一番安定したキャラでした。

金子ノブアキはクセがすごくてちょっとわざとらしい仕上がりになっていました。

上地雄輔も最近すっかりいい役者になってきていますが、今作のキャラも非常に良いですね。
中野裕太もそうですがバラエティで名前を売って役者として活躍するパターンはひとつのルートになってきましたね。
もちろんいずれの才能も兼ね備えているからですが。
個人的には役者としての評価は高いです。

中野英雄はすっかり極道役者としてのポジションを築きましたが、今作も安定の存在感です。
もう普通の役はほぼやらないですね。

園子温監督がここまでの娯楽作品を撮るのは珍しいですが、
要所要所の熱量はらしいです。
普段は苦手な歌舞伎町がなんか暖かく行きやすい場所に思えてきます。
ちょっと若者への悪影響が懸念されますが、歌舞伎町PRには良い気がします。

そんなわけで7点。


(あらすじ)
南秀吉の死から1年。歌舞伎町を仕切るスカウト会社・バーストのスカウトマン、白鳥龍彦(綾野剛)は、ある夜マユミ(広瀬アリス)と出会い、助けを求められる。
ヤミ金からの借金返済に追われるマユミに、龍彦は涼子ママ(山田優)の店・ムーランルージュを紹介する。
その頃、ハーレムとの合併によりスカウトマンの数が倍増したバーストでは、スカウトする女の取り合いが起こっており、社内の雰囲気は最悪だった。
業を煮やした社長の山城(豊原功補)はシマを拡大するため、横浜に進出することを決断。その任務を横浜出身の関(深水元基)と、龍彦に命じる。
嫌がる龍彦だったが、突然新宿から姿を消した同僚・洋介(久保田悠来)が横浜にいるという話を聞き、歌舞伎町にしばしの別れを告げる。
ぶつかり合う意地と意地、そして全面戦争へ。
山城が関と龍彦を送り込んだのは、全日本酒販連合会の会長・住友 (椎名桔平)が横浜に大規模店舗を出店するという情報をつかみ、勝算ありと踏んだからだった。
しかし横浜には、ヤクザや警察と裏で繋がる武闘派スカウト会社・ウィザードを率いる滝マサキ (浅野忠信)によって支配された、難攻不落の「タキ王国」があった。
渋谷パラサイツの悪友・森長 (上地雄輔)とともに、さっそく横浜でのスカウトをはじめた龍彦だったが、突如現れた横浜ウィザードの尖兵・ハネマン (中野裕太)、モリケン (北村昭博)、キルビル (梶原ひかり)らに襲われたうえ、タキの息のかかった刑事・砂子 (笹野高史)に逮捕されてしまう。
この機に乗じて新宿進出を企むタキは、バーストのケツモチである紋舞会会長・天野修繕 (吉田鋼太郎)に接近、ウィザードの新宿でのケツモチを願い出る。
天野から手を引かれたバースト。危機に陥った山城は、龍彦たちを破門にし、事態の収拾を計ろうとする。
釈放早々、破門とウィザード新宿侵攻の知らせを聞いた龍彦は驚くが、関は「これ以上の揉め事はない。むしろ好都合だ」とほくそ笑む。
ハネマンらはムーランルージュに忍び込み無残になまでに破壊、休店に追い込む。着々と歌舞伎町に勢力を広げていくウィザード・・・・・・。
喰うか喰われるか。火花散るクイーン・コンテスト!
火に油を注ぐように、全酒連の会長・住友は、ウィザードに依頼していたスカウトを龍彦たちバーストにも依頼。
集まったキャバ嬢たちを一堂に会したクイーンコンテストの開催を宣言する。
新宿vs.横浜、互いの存亡を賭けた決戦の時が迫るなか、マユミと久々に再会した龍彦は、彼女の秘めた想いと向き合う。
関とタキの12年前の因縁、暗躍する真虎 (伊勢谷友介)、秀吉の死の真相、洋介の秘密。
すべてに決着をつけるべく、龍彦は運命の全酒連クイーンコンテストへ向け、走り始める!

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