メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

座布団飛行

2007年09月03日 | 
座布団飛行はとても難しい。
空を飛ぶにはあまりに心細い座布団。
レンガ造りの洋風の町並みなのに何故かみな日本の座布団で空を飛ぶのである。
しかし飛んでる人を見かける事はほとんど無い。

街は年末の賑わいだった。
僕は外国風の商店街のような通りに住んでいて、大掃除の真っ最中だった。
僕は母に掃除に必要な道具や消耗品の買出しを頼まれていた。
いつものように座布団で飛んで行くのだ。

初めて乗る感覚だった。
こんなもので本当に飛べるのだろうか?と疑問を抱き両手で前に構えた座布団に正座の格好で飛び乗った。
少し地面から浮いているのだがぐらぐらする。
高度をもっと上げたいのだが、左右の揺れに耐えるのに精一杯だった。
徐々に慣れてきて、両手で座布団の前方を引っ張りあげると急に上空へ浮き上がり、危うく落下死してしまうところだった。
あまりの恐怖に一回降りようと思った。
人気の無い裏通りへ向けて高度が下がってゆく。
いかにもヨーロッパみたいな尖がった屋根にぶつからないように注意しながら。

この街の終点は何故か空までそびえるレンガの壁がある。
僕は苦労して座布団飛行でその壁を越えた。
するとそこは急に日本のデパ地下みたいなところだった。
僕は旨い事通路に着地したのだが片手に持っている座布団が何となく恥ずかしかった。
持っているのに持っていないように見せかけて人混みに溶け込んだ。

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