メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

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「ごらん、世界は美しい」

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女神の見えざる手

2017年10月25日 | 映画
女神の見えざる手
を観ました。


ワシントンD.C.で、スパーリング上院議員(ジョン・リスゴー)による聴聞会が開かれていた。
召喚されているのは、敏腕ロビイストとして名高いエリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)。大手ロビー会社、コール=クラヴィッツ&W在職中に手がけた仕事で不正を行っていたとされ、その真偽が問われている。
聴聞会から遡ること、3ケ月と1週間前。
エリザベスは、コール=クラヴィッツ&Wの花形ロビイストだった。勝つためには手段を選ばず、一切の妥協を許さない仕事ぶりはクライアントから高く評価され、政府やメディアからも一目置かれる存在だった。
エリザベスは、銃擁護派団体からの仕事を依頼されていた。新たな銃規制法案に対し、女性の銃保持を認めるロビー活動で、廃案に持ち込んでくれというのだ。
団体の代表者は議員たちにも強い影響力をもつ人物だが、エリザベスは彼の目の前でその仕事をきっぱりと断る。
その結果、上司のデュポン(サム・ウォーターストン)から、「依頼を断るなら、君にいてもらう必要はない」と言い渡される。
その夜、パーティに出席したエリザベスは、銃規制法案の成立に尽力する小さなロビー会社のCEO、シュミット(マーク・ストロング)から、自分と一緒に闘わないかと誘いを受ける。
次の日、エリザベスは部下を引き連れ、シュミットの会社へ移籍。奇策ともいえる戦略によって、形勢を有利に変えていく。
だが、巨大な権力をもつ銃擁護派団体や元同僚も負けてはいない。エリザベスの過去のスキャンダルが暴かれ、スタッフに命の危険が迫るなど、事態は予測できない方向へ進んでいく……。


ジョン・マッデン監督です。
上質な作品を作る印象です。

やり手のロビイストをテーマにした作品ですが、いやはやかなり面白かったですね。
沢山のどんでん返しを目指した物語を観てきましたが、
その中で記憶に残る作品はかなり限られます。
コレはその1本に加わるでしょう。
恐らく何年経っても思い出しそうな気がします。

ロビイストという職業をテーマにした作品を初めて観ましたが、
やっていることは法廷ものに似ていました。
実際、聴聞会は裁判とほぼ同じでしたが。

冒頭に主人公のスローンがロビイストの真髄を部下に説いていますが、
結局2時間以上の映画が実はそれをなぞっていたという見事すぎる回収でした。

ある側面から見ると憎らしい程に完璧な主人公も、
ある側面から見ると非常に脆い女性です。
狂気の様に仕事にかける生活スタイルは観ていて痛々しい程でした。
薬を飲んで眠らずに猛烈に取り憑かれた様に仕事をしています。
アメリカだとこの手の人間の美徳が評価される様な印象があります。

勝利のために心を度外視してまで飽くなき執念で行動する主人公に振り回されて傷つく周りの人々。
完璧に見えた主人公がどんどん崩壊していき、どん底に見せる展開も見事でした。
なんともリアルに暗い気分にさせられ、没入してしまいました。

女性一人が率いる布陣に対して敵陣がやたら強烈な布陣でそういう不安感も良いですね。
元側近が敵陣にいる怖さも見事でした。

どうでも良いですが、アメリカのビジネスマンを描く作品を観ると、
両手いっぱいに資料抱えているのに更にカップのコーヒー持ってる場面を見かけます。
あれが苦手なんですよね。
コーヒー嫌いってのもありますが、
そんな状況になってまでコーヒーを手放さない執着が理解不能です。
それは溢れるような場面も増えるでしょう。

物語で争うテーマは銃規制です。
あまり詳しくは知らないですが、この手の圧力はよく見聞きしますね。
コレは実際にも相当な政治的な要因があるのでしょう。
日本人からするとコレだけ銃犯罪、事故が多いのに簡単に銃を買えてしまう環境は謎ですよね。
その辺の空気感を知れるいい作品だったと思います。
銃規制に反対をする人は余程アメリカ社会に洗脳されてると思えてしまいます。
危険を前提に生きなければいけない社会は哀れですらあります。

主演はジェシカ・チャステインでしたが、素晴らしい演技でした。
この大作の主演にはちょっと弱いかな?と思いましたが、観終わった後はちゃんと納得できました。
キャリアウーマンな雰囲気が見事でした。
この手の重い作品、役が多いですが流石の実力派です。

依頼者がマーク・ストロングでしたが相変わらず良い存在感です。
最近いいバイプレーヤーになってますね。

元側近のアリソン・ピルがなかなかいい味出してました。
結構いい作品に脇役で出ていますが、各監督に好かれるのも納得な感じです。

ググ・バサ=ローもなかなか良い存在感で印象的でした。
スター・ウォーズにも出るようなので今後も期待ですね。

多少期待していた作品ですが、期待を遥かに上回る感想でした。
ここまで見事な起承転結は久々でした。

クライマックスのネタバラシの緊張感も最高でした。


そんなわけで9点。


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