ほらまた夏だよ

近所の小さな神社で小さな盆踊り大会をやっていた。
少し自転車と止めて自転車の上からその情景を見ていた。

まるで20年以上もタイムトラベルしたような気持ちになった。

夏の匂い外した。

臭いは遺伝子に刻まれた記憶を呼び起こす。

本当に見たのかわからないものにもジーンとしてしまう。

浴衣を着た人。

0歳の幼子を抱いた若いお母さんが家の前で子供を抱っこしながら何かを話しかけている。
自転車をこぐ少年たちの群れが僕とすれ違う。
老人は夏を踏みしめるように杖をついて散歩をしている。

ほら何度も経験した夏です。
何回目か数える夏です。

年を追うごとに早く過ぎ去っていく夏。
気づくともう盆踊りの終わり。

子供の頃、近所のお祭りの時、兄と友達に連れられ僕らは蝉の幼虫を探していた。
神社の明かりが少し遠くに見える林や、神社の裏で僕らは蝉の幼虫の穴をほじっていた。

無限に広がっていく夏休みの世界に胸のドキドキは止まらなかった。