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メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

まく子

2019年03月16日 | 映画
まく子
を観ました。


ひなびた温泉街の旅館の息子・サトシは、小学5年生。自分の体の変化に悩み、女好きの父親に反感を抱いていた。
ある日、美しい少女コズエが転入してくる。
言動がどこか不思議なコズエに最初は困惑していたサトシだったが、次第に彼女に魅せられていく。
そして、「ある星から来たの。」と信じがたい秘密を打ち明けるコズエが、やがて町の人々みんなにまいたものとは…。
かけがえのない思春期を生きるサトシの葛藤とコズエとのせつない初恋を軸に、家族を愛しつつも浮気をしてしまう父親、それを知りながら明るくふるまう母親、道ならぬ恋をする若い女性、訳あり親子……小さな町のどこか不器用な人々を映し出す。


鶴岡慧子監督、西加奈子原作です。
不思議ですが妙にひかれる作品だったので観てみました。

見てみたら予想通り、意味深で意味不明でシュールなかなり作家性の強い作品でした。
テーマも設定も非常に好みで役者の演技も独特で素晴らしかったです。

主人公は比較的一般人な思春期の男の子。
大人へ変化していく自分の体に馴染めないという、誰もが体験したのに意外とわすれてしまう実に刹那的な人生のひととき。
主人公はそれが気持ち悪くて仕方ないのですが、自分も遠からず日々の自分の体の変化が気持ち悪い時期を思い出しました。
繊細な主人公は大人になっていくのが怖くて受け入れられないという、なんか妙に感情移入して泣けました。

そして不思議すぎる奇妙な転校生の母子、かなり不思議な言動を繰り返しますが自らを宇宙人といい。
僕の好きな映画”団地”を彷彿とさせるような設定で非常に嬉しかったです。

田舎の舞台に象徴的な独特の祭り、そういう邦画らしい物語もしっかりとしていました。
シュールな映画における伝統的な要素はたいてい意味深なメタファーですがそういうのは好きですね。

そんなわけで多少文学性も強い内容ながらなかなかファンタジーでした。
それを決定づけるような高揚感あるクライマックスとお後がよろしい終わり方。

全般通しては結構退屈で冗長的な演出ですが、要所要所で目が覚めるような盛り上がりがありました。

肝心のまく子は喋ってる最中、たいてい落ち葉をまいていて、それがなにを意味してるのか?とずっと悩みながら見てしまいました。
登場人物も全体的に不思議で特別どこかに正解があるわけでもなく、その主軸が定まって居ない感じは心地よかったです。

主演の山崎光は真夏の方程式の子ですね、あの映画でも非常に素晴らしく印象的な演技をしていましたが、今作も良かったです。
望まなくとも体が大人になっていくまさに思春期ど真ん中な感じ、ちょっと支離滅裂な感じもありますが、それが思春期って感じで妙に説得力がありました。

相手の新音はなかなか難しい役でしたが実に見事にこなしていました。
最初からちゃんと宇宙人に見えていたし、男の子たちが不思議と好きになってしまう神秘的な魅力も醸し出していました。

そして父親役の草彅剛が素晴らしかったですね。
ガサツでチンピラでめちゃくちゃいい演技でした。
今年の俺アカデミー賞助演男優賞ノミネートです。
息子におにぎりを握るシーン、ガサツに思春期の悩みを解消してあげる様、不思議と涙でした。

須藤理彩も実にナチュラルですっかり良い女優さんになりました。

若い頃すきだったつみきみほも出ていて嬉しかったです。

しずるの村上純が結構飛んだ役で出ていましたがなかなかいい演技でした。

かなり好みの作品だし、もう少し深い理解をしたいのでいつかもう一度見てみたい作品でした。


そんなわけで8点。

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