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Fukushima 50

2020年03月07日 | 映画
Fukushima 50
を観ました。


マグニチュード9.0、最大震度7という巨大地震が起こした想定外の大津波が、福島第一原子力発電所(イチエフ)を襲う。
浸水により全電源を喪失したイチエフは、原子炉を冷やせない状況に陥った。
このままではメルトダウンにより想像を絶する被害をもたらす。
1・2号機当直長の伊崎ら現場作業員は、原発内に残り原子炉の制御に奔走する。
全体指揮を執る吉田所長は部下たちを鼓舞しながらも、状況を把握しきれていない本店や官邸からの指示に怒りをあらわにする。
しかし、現場の奮闘もむなしく事態は悪化の一途をたどり、近隣の人々は避難を余儀なくされてしまう。
官邸は、最悪の場合、被害範囲は東京を含む半径250㎞、その対象人口は約5,000万人にのぼると試算。
それは東日本の壊滅を意味していた。
残された方法は“ベント”。
いまだ世界で実施されたことのないこの手段は、作業員たちが体一つで原子炉内に突入し行う手作業。
外部と遮断され何の情報もない中、ついに作戦は始まった。
皆、避難所に残した家族を心配しながら―


若松節朗監督です。

封切り翌日に行きましたが世の新型コロナウイルス危機の状況の割に結構はいっていました。
自分は正直震災のPTSDで会社辞めたり被災地を巡ったりとかなりこの手の話題や作品に過敏ですが。

物理学を専攻していたこともあり偶然好奇心で震災前に原発の構造をかんたんに学んだりしていました。
なので当時も相当夢中でこの手のニュースを見ていたのでかなりの好奇心でした。
自分がニュースやネットで見てきた福島第一原発と本店との鬼気迫るやり取りを見事に映画化していたと思います。

どこまでリアルか?事実と違うってクレームする人が出るのは当然でしょう。
自分は客観的に見て描写の脚色はあれど知りうる限りでかなり事実に忠実だと思いました。

いきなり地震が起きるシーンから始まりその後に対応している最中に大津波が来てSBO(Station Blackout)になりその後数時間の極限状態を描いています。
邦画とは思えないかなりのスケール感で生々しく描いていて、この時点で怖くて涙が止まりませんでしたが頑張って見ました。

対応にあたった人たちの勇気と実績はもっと称賛されるべきですね。
この映画を見て様々な批判をする人も居るでしょうが暴走する原発対応した人たちの功績を称えることはしていいと思いますね。

内部の映像はロボットが撮影してきたやつなどは見たことありましたがこうして見るととても怖いですね。
線量が高いところでベントを開けようとするのはとても怖かったですね。
そして記憶に鮮明に残る立て続けに起きた建屋の爆発。
現場の人たちはとても怖かったでしょうしとても不安だったでしょうね。
改めてよくここまでの被害で収めたなと思いました。

事故後に原発の反対運動をする人たちの気持ちはわかりますが、自分としては原発の仕組みは事故前にわかっていたし。
それまでは他の発電よりよほどクリーンと言われていました。
またその影で原発周辺の発がんリスクの噂なども聞いていました。
その上で我々は電気を使ってきたので、今日現在も使っているので。
今まで発電してこなかった一般人が事故後に原発批判をするのはかなり筋違いには思いますね。

何れにせよ豊かな文明的生活にはジレンマはつきものですね。

場面は少なめですが避難所生活やライフラインが止まった原発での生活感。
トイレも人が処理してる感じなどは壮絶でしたね。
つい最近の日本の出来事だと忘れてはいけないですね。

一言言うならば、日本アカデミー賞の日に封切りされた今作ですが、来年の作品賞はこれですね。
そして主演男優賞は佐藤浩市で助演男優賞は渡辺謙でしょうね。
それくらい本格的で鬼気迫る重厚な作品でした。

主演の佐藤浩市はそのキャリアを注ぎ込んだような名演でした。
テーマがテーマだけにこのクラスのベテランが悲壮感ある演技をしているのは素晴らしいですね。

助演の渡辺謙はめちゃくちゃ素晴らしかったですね。
吉田所長は当時かなりニュースやドキュメンタリーやその後の動画で見ましたがなかなかハマっていましたね。
存在感というか頼れる上司の感じが見事に出ていました。

自分の命を顧みず手伝いに来る作業員を吉岡秀隆が演じていました。
彼も言うまでもなく実力派のベテランなのでさすがの演技でした。

総務で吉田所長を支える女性を安田成美が演じていました。
控えめながら芯の強さを感じさせる役どころとして素晴らしかったです。
これもアカデミー賞ノミネートでしょう。

ほかも日本映画史でもトップクラスの豪華キャストとキャストの量ですが。
みんな非常に見事でした。
それ以外が許されないテーマで少なくとも映像や演技で萎えるポイントが無かったのは良かったです。

そして大好きな吉岡里帆が出ていたのも嬉しかったですね。

ちょっとPTSDには辛いですが、冒頭の地震と津波シーンは飛ばしてもいいのでみんな見るべき映画でしょう。
知るべき内容でしょう。


そんなわけで9点。

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