妄想 ～目の付け所が全てなのかもしれない～

座れもしない電車に毎日乗っている。

そこには沢山の人間が乗っている。

携帯いじったりするのもあまり得意ではないので音楽を聞きながら周囲を観察している。

沢山人間が居る。
沢山のエピソードがあるはずだ。
一生そのエピソード達の中身を知ることは出来ないだろうが色々想像を張り巡らす。

この人間たちの人生で一番大きな怪我はなんだろう。
この人間たちが問答無用で怒り出す要素はなんだろう。
この人間たちの怖がる要素はなんだろう。
このカップルはどのような馴れ初めでカップルになったのだろうか。
お化け屋敷は得意か苦手か。
お酒を飲むか飲まないか。
カラオケに行くとよく歌う曲はなんなのか？
こいつはミスチル、こいつは木村カエラ、こいつはケツメイシ・・・。

この地味な男は意外に学生時代は応援団に所属して硬派にはしゃいでいた。
この色っぽい女性は中学時代ごってオタクだったけどいつも二人一緒だった友人との喧嘩をきっかけに所属グループを変えて一気にデビューしていった。
人見知り風に見えるこの男は意外にバックパッカーで世界中を旅して小話を沢山持っている。
この女性は30歳前後で薬指に指輪をしているが、既に別れたくてその青写真を描いている。

まぁこういった妄想はほぼ無限に出来るので退屈しのぎに丁度いいのである。

そしていい感じの妄想がビシーっと決まった時、
こころの中で密かにほくそ笑むのである。