けらいのひとりもいない王様が草原を行く
王国を一度も持ったことのない王様が馬に乗って行く
浜辺では魚たちが騒いでいる
王国はいつも王様の入って行けないところにある
月は線路端の柵を照らしている
男の子の親たちは家の中で晩ご飯を食べている
ねえ、君だけどうして晩御飯を食べないの
家族はいつも男の子の入って行けないところにある
汽車は坂道を上り山をくだる
旅人はドアのところで外の景色を見ている
おじいさんやおばあさんが膝をおりお茶を飲んでいる
旅はいつも旅人の入って行けないところにある
ケーキのろうそくに火をともし
友だちはニワトリにナイフを入れる
電気が消され大人たちは友だちの誕生日を祝うけど
友だちはいつも友だちの入って行けないところにある
学校の中で男の子と女の子が知り合い
二人は印刷機の匂いのする部屋で抱き合った
女の子の体はあつく男の子の体はふるえていた
女の子はいつも男の子の入っていけないところにあったから
ある日新聞記事が男の子にこう聞いた
君はどうして街の中で歌うの
誰もが本当に街の中で暮らし始めるべきだ
街の中はいつも街の人たちの入って行けないところにある
けらいのひとりもいない王様が草原をいく
王国をいちども持ったことのない王様が馬に乗っていく
浜辺ではさかなたちがさわいでいる
王国はいつも王様の入っていけないところにある
from 友部正人
王国を一度も持ったことのない王様が馬に乗って行く
浜辺では魚たちが騒いでいる
王国はいつも王様の入って行けないところにある
月は線路端の柵を照らしている
男の子の親たちは家の中で晩ご飯を食べている
ねえ、君だけどうして晩御飯を食べないの
家族はいつも男の子の入って行けないところにある
汽車は坂道を上り山をくだる
旅人はドアのところで外の景色を見ている
おじいさんやおばあさんが膝をおりお茶を飲んでいる
旅はいつも旅人の入って行けないところにある
ケーキのろうそくに火をともし
友だちはニワトリにナイフを入れる
電気が消され大人たちは友だちの誕生日を祝うけど
友だちはいつも友だちの入って行けないところにある
学校の中で男の子と女の子が知り合い
二人は印刷機の匂いのする部屋で抱き合った
女の子の体はあつく男の子の体はふるえていた
女の子はいつも男の子の入っていけないところにあったから
ある日新聞記事が男の子にこう聞いた
君はどうして街の中で歌うの
誰もが本当に街の中で暮らし始めるべきだ
街の中はいつも街の人たちの入って行けないところにある
けらいのひとりもいない王様が草原をいく
王国をいちども持ったことのない王様が馬に乗っていく
浜辺ではさかなたちがさわいでいる
王国はいつも王様の入っていけないところにある
from 友部正人
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