---数年前僕はとあるコンビニエンスストアの深夜バイトをしていた。
住宅街にあるコンビニだからそれほど客は多くない。
毎日同じ客が同じものを買ってく、そんなコンビニだった。
深夜1時から朝9時までの間、店員は僕一人だけだった。
断っておくが僕は反社会的な思想を持っていた。---
深夜から朝までバイトをしていると凄く長い時を過ごしたような錯覚がある。
夜明け前が一番客が来ないが、出勤時間が終わった8時台も客が少ない。
そんな時間によく現われるおばさんが居た。
恐らく50代くらいであり、いったって普通の女性だろうか。
少々スナックのママのように、夜の仕事をしているようなオーラも放っていた。
いつも思いっきり部屋着スタイルで財布を小脇に抱えている。
”キンコーン”と扉を開けると、入口正面の弁当の棚へ一直線に向かう。
当然その間、レジに立つ僕の目の前を通っていく。
するとその際に必ず
「・・・えーっと、白いご飯、白いご飯・・・と」
と大きめの独り言を言いながら通り過ぎるのである。
わかるよ。
確かにこの世代の人間によく見られる光景である。
話しかけられたい、話しかけたい。
そんなコミュニケーションへの欲求から大きめの独り言を言う。
他人に話しかける時のハードルを下げる効果があるのだろうか。
しかし当時の僕は尖っており、何よりもドSである。
僕はSVOC等で成立していない会話は認めない。
主語が無い会話など、聞くだけでストレスである。
伝わればいいじゃん、みたいなアホが蔓延しすぎている。
イライラしながら、
絶対に聞こえていないぞ!
といつも心の中で叫び必要以上に無視をした。
すると弁当棚の前で背伸びしたり体を掲げたり、
かなりわざとらしい感じにおばさんはアピールをしてくる。
「・・・白いご飯、白いご飯・・・」
と呪文のように呟きながら。
その際のおばさんの心境ヒィーウィーゴー
『あー残念、今日も白飯が無いわぁ』
『それにしても、あれ?私の言葉あの店員さん聞こえてないのかしら?』
『もっとおっきめの動きで、もっとおっきめの声で言った方がいいかしら?』
「白いご飯、白いご飯・・・」
『・・・だめだわぁ、あの店員聞こえてるくせに、愛想悪いわぁ』
そしていつも置いてるだけの白飯を買って行く。
白飯が無い時は。がっくりと代用品のおにぎりを買って行く。
そんな時はよく
「ねぇ、おにいさん。次のお弁当はいつ入るの?」
と聞いてくる。
「11時前後です」
とこのやり取りを10回以上は繰り返した。
携帯のスケジュール帳にでも入れておいて欲しかったものだ。
きっと愛想がいいコンビニなんかだと、そのおばさんの独り言の時点で
「あ、すいませーん、今無いんですよー、次11時前後に入って来るので良かったら・・・」
とかやるのだろうが、いかんせん僕はガン無視である。
なんなら口笛吹きながら外をボーっと見ているくらいだ。
おばさん一言熱いメッセージを送るぜ
「炊け!!」
住宅街にあるコンビニだからそれほど客は多くない。
毎日同じ客が同じものを買ってく、そんなコンビニだった。
深夜1時から朝9時までの間、店員は僕一人だけだった。
断っておくが僕は反社会的な思想を持っていた。---
深夜から朝までバイトをしていると凄く長い時を過ごしたような錯覚がある。
夜明け前が一番客が来ないが、出勤時間が終わった8時台も客が少ない。
そんな時間によく現われるおばさんが居た。
恐らく50代くらいであり、いったって普通の女性だろうか。
少々スナックのママのように、夜の仕事をしているようなオーラも放っていた。
いつも思いっきり部屋着スタイルで財布を小脇に抱えている。
”キンコーン”と扉を開けると、入口正面の弁当の棚へ一直線に向かう。
当然その間、レジに立つ僕の目の前を通っていく。
するとその際に必ず
「・・・えーっと、白いご飯、白いご飯・・・と」
と大きめの独り言を言いながら通り過ぎるのである。
わかるよ。
確かにこの世代の人間によく見られる光景である。
話しかけられたい、話しかけたい。
そんなコミュニケーションへの欲求から大きめの独り言を言う。
他人に話しかける時のハードルを下げる効果があるのだろうか。
しかし当時の僕は尖っており、何よりもドSである。
僕はSVOC等で成立していない会話は認めない。
主語が無い会話など、聞くだけでストレスである。
伝わればいいじゃん、みたいなアホが蔓延しすぎている。
イライラしながら、
絶対に聞こえていないぞ!
といつも心の中で叫び必要以上に無視をした。
すると弁当棚の前で背伸びしたり体を掲げたり、
かなりわざとらしい感じにおばさんはアピールをしてくる。
「・・・白いご飯、白いご飯・・・」
と呪文のように呟きながら。
その際のおばさんの心境ヒィーウィーゴー
『あー残念、今日も白飯が無いわぁ』
『それにしても、あれ?私の言葉あの店員さん聞こえてないのかしら?』
『もっとおっきめの動きで、もっとおっきめの声で言った方がいいかしら?』
「白いご飯、白いご飯・・・」
『・・・だめだわぁ、あの店員聞こえてるくせに、愛想悪いわぁ』
そしていつも置いてるだけの白飯を買って行く。
白飯が無い時は。がっくりと代用品のおにぎりを買って行く。
そんな時はよく
「ねぇ、おにいさん。次のお弁当はいつ入るの?」
と聞いてくる。
「11時前後です」
とこのやり取りを10回以上は繰り返した。
携帯のスケジュール帳にでも入れておいて欲しかったものだ。
きっと愛想がいいコンビニなんかだと、そのおばさんの独り言の時点で
「あ、すいませーん、今無いんですよー、次11時前後に入って来るので良かったら・・・」
とかやるのだろうが、いかんせん僕はガン無視である。
なんなら口笛吹きながら外をボーっと見ているくらいだ。
おばさん一言熱いメッセージを送るぜ
「炊け!!」