メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

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「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

ノーカントリー

2008年04月16日 | 映画
ノーカントリーを観てきました。

1980年代あたりのアメリカの西部を舞台にした麻薬と大金にまつわる物悲しい物語。
トミー・リー・ジョーンズ演じる年老いた保安官の印象的な語りに始まる。
モスという男が狩りの最中に偶然に荒野の決闘の跡地を発見する。
無残に転がる死体と車。
その車の荷台には大量の麻薬。
少し離れた場所で死んだ男の傍らには大金の入ったバッグ。
モスはその大金を持ち帰る。
とんでも無い事に巻き込まれ、もう平穏ではいられなくなる事を理解しながら。
一方その金を追うシガーという男は自分のルールに従い何のためらいも無く次々人を殺す殺人鬼。
ちょっと車を借りたいだけでその持ち主を殺す有様。
とにかく恐ろしい男。
シガーは感情も無くとにかくモスを追う事を諦めない。
またモスもシガーの要求を聞かず逃げる事を諦めない。

そんな二人を語りべ的に追うトミー・リー・ジョーンズ。
音楽も無く、静寂の緊張感の中物語は加速していく。


コーエン兄弟作品は全て観て来て、どれも素晴らしくとても好きな監督の一人です。
いつもながら小さな原因から大きなトラブルに発展していく有様はいかにもコーエン兄弟作品らしい作りですが、今回はストーリー以上に哲学的とも言えるような台詞、やりとりがとても印象的でした。
またシガー役を演じたハビエル・バルデムの演技の凄い事。
「セブン」のケビン・スペイシー以来の恐怖を感じました。
その他初めてお目にかかる役者ばかりでしたが、キャスティングも完璧だったと思います。
音楽が無いせいか緊張感も凄く、どんどん映画の世界に引きずりこまれました。
相変わらず編集も天才的で、見事にスキの無い映画になっています。

ハリウッド映画はアホが観ても理解できるように明快なものが多く、作り手のエゴを出しにくい世界だと思うのですが、コーエン兄弟はそれが出来る数少ない監督と思いました。
難解といえば難解な映画ですが、感じれる人が観れば単純な映画だと思います。

そんなわけで9点。

早くも今年の自分のベスト映画に出会ってしまったのかも知れないです。

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