メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

ゴールデン・リバー

2019年07月07日 | 映画
ゴールデン・リバー
を観ました。


「俺たちはシスターズ兄弟だ」──その言葉に誰もが震えあがる、最強の殺し屋兄弟がいる。1851年、オレゴン。兄の名前はイーライ(ジョン・C・ライリー)、弟はチャーリー(ホアキン・フェニックス)、雇い主はあたり一帯を取り仕切る提督だ。度胸があり提督からの信頼も得ているチャーリーが、リーダーとして仕事を仕切り、兄はそんな弟のワガママをぼやきながらも、身の回りの世話を引き受けていた。
彼らに与えられた新たな仕事は、連絡係のモリス(ジェイク・ギレンホール)が捜し出すウォーム(リズ・アーメッド)という男を始末すること。とりとめのないバカ話をしながら、サンフランシスコへ南下する。兄弟が馬で山を越えていた頃、モリスは南へ数キロ先のマートル・クリークで、ウォームを見つける。時はゴールド・ラッシュ、金脈を求めて群れをなす採掘者の中に、ウォームの姿もあったのだ。
2日後、次の町ウルフ・クリークで、モリスはいきなりウォームから「前に会った?」と声を掛けられ、慌てて「人違いだ」と答える。だが、屈託なくモリスの笑顔を褒める人懐こいウォームに、作戦を変えて昼食をおごると誘う。うまい具合に話は進み、ウォームと一緒にジャクソンビルへ砂金を採りに行くことになったモリスは、シスターズ兄弟に「急がれたし」と手紙を残す。
旅の途中でウォームはモリスに、にわかに信じがたい話を打ち明ける。自分は化学者で、金を見分ける“予言者の薬”を作る化学式を発見したというのだ。だが、ジャクソンビルに到着し、モリスの動きに不信を抱いたウォームが、彼のカバンを探ったことから、モリスの正体と目的がバレてしまう。モリスはウォームを拘束するが、雇い主の目的は化学式を奪うことで彼が化学式を教えるまで兄弟に拷問されるだろうと知って動揺する。
翌朝、モリスはウォームと逃げ出すことを選び、連れ立って出発する二人。道中、ウォームはモリスに、手に入れた金で「野蛮な世界を終わらせ、理想郷を作る計画」について滔々と語る。初めは半信半疑で聞いていたモリスだが、次第に彼の話に引き込まれ、その思想に心酔していく。やがてモリスは、亡き父の遺産を資金に、ウォームの夢に加わることにする。
モリスを信じてメイフィールドまで来た兄弟は、その町に自分の名前をつけた権力者が、ウォームの化学式を奪うべく部下を放ったと聞き、初めてモリスの裏切りを知る。普通の暮らしに憧れていたイーライは、これを機会に引退しようと持ち掛ける。だが、裏社会でトップに立つ野望を抱くチャーリーには論外だった。
サンフランシスコに到着した兄弟は二人の居所を突き止めるが、追っ手を予測していた彼らに捕えられる。やがてメイフィールドの部下も現れ、二人はやむなく兄弟の力を借りて、彼らを撃退するのだった。
ウォームからの提案で、黄金を採るために、手を組むことになる4人。初めは互いに疑心暗鬼だった2組だが、兄弟もまたモリスと同じようにウォームのカリスマ性に魅せられ、奇妙な友情と絆が生まれていく。
だが、いよいよ“薬”を川に流したその時、黄金と一緒にそれぞれの思わぬ欲望が、ギラギラと浮かび上がる──。


ジャック・オーディアール監督・脚本です。
ディーパンの闘いはめちゃくちゃ高評価した大好きな作品です。

今作もそれと似たような非常に重厚で没入できる素晴らしい空気感を作りだしています。

ゴールドラッシュ時代あたりの西部劇な舞台でかなりのアウトローでハードボイルドでとても好みの舞台設定でした。

物語はいい意味でグズグズの行き当たりばったりなロードムービーで。
予定調和のようでそうでは無く勧善懲悪のようでそうではなく。
思いもよらぬ展開になるけどそれもそう続かず。
それでいてびっくりするような展開もあって。
めちゃくちゃ好みで面白かったです。

みんなが必死で生きていて、そして迷っていて、それでいて後悔して。
全然悲しく描かないですが個人的にはめちゃくちゃ悲しい展開で泣きそうになり。

絶対的な悪のような存在が突然なくなる究極的な虚しさ。
それこそが恐怖だがそれこそが生きる目的のようであり。
ただそれはある日突然無くなったりするという、多くの人間にとっての人生の縮図を見せているような。

それでいて見事に最高すぎるラストシーン。
この映画がこんな着地するなんて。
正直序盤から終盤まで全然違う終わり方を想像していました。
そうなるに決まっていると思っていたことがことごとく裏切られました。

正直自分のように大量に映画を品評してきた人間にとっては最大級のどんでん返しでした。

見事に没入させられるので登場人物たちのやることなすことにイチイチ一喜一憂して夢中でした。
何より主人公の兄弟の弟がなかなか狂気でおバカでストレスなのですがそれが素晴らしかったです。
いつもバカがバカをすることで転がる物語が嫌いと言い続けてきましたが、このクオリティ、このブラックさでは最高でした。
バカの緊張感が強いのでその反動のほっこりも沢山もらえました。

主演兄弟の兄はジョン・C・ライリーで実質彼が主演でした。
実力派なバイプレーヤー的な印象ですが主演でも流石の実力と存在感です。
殺し屋だけどもううんざりしていて足を洗いたいのだが、グイグイ系の弟に振り回され続ける感じで。
そしてそんな弟の尻ぬぐいばかりさせながらもしっかり強くてかっこよかったです。

弟は主にストーリーを転がすポジションでしたがホアキン・フェニックスが演じていました。
主にかなりの悪役をやるイメージも強いですが、今作もクセが強い役で新たな引き出しって感じでした。
殺しに対する迷いのなさ、依頼主への忠誠度、とにかくややこしい人間で怖かったです。
それでいてバカでおっちょこちょいで憎らしいけど憎めないという感じで、見事な塩梅でした。

ジェイク・ギレンホールは兄弟の連絡役を演じていました。
かなり売れっ子の印象ですが脇役もこなすので良い印象です。
兄弟の味方でありながらターゲットの化学者の影響を受けて人生を考えて変えて行きます。
結局兄弟も彼に続いて行きます。

リズ・アーメッドがターゲットにされる化学者でした。
最近急上昇な役者の一人って感じです。
時代にそぐわぬ先見の明と化学者としての見事な知識で一番弱い立場のようで3人を導く良いポジションでした。
4人が一時的に不思議な関係性で友情状態になる一時的な件はとても好きでした。

映画上級者向けな素晴らしい名画でした。


そんなわけで8点。

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