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『梨の選果作業』と思春期の少年たち

2009-09-13 07:59:00 | 徒然なるままに
9月11日(金)
 
今日は、総合学習の時間に、『梨の選果作業』の引率をした。

学校から歩いて20分ぐらいの場所にある選果場は、今が一番忙しい時期。
今収穫されている品種は『豊水』。
大きさや重さの選別はオートメーション化されているとはいえ、やはり、最終段階は人間の目で、色や形、虫食いがないか、傷がないかをしっかりチェックした上での箱詰めとなる。これは女子が担当した。

箱詰めされた梨を箱の重さ別、ランク別に運んで、荷崩れしないように積み上げる作業は男子が担当。
5kg箱はまだしも、10kgを何回も運ぶのはきつかっただろうに、誰も不満な顔もせず、一生懸命働いていた。
特に、実家が梨園をやっている生徒の積荷の仕方は、作業場の人が惚れ惚れするほど堂に入っていて、的確だった。流石*(グッド)*

2階の作業場では、箱作りをしていたが、空き箱とはいえ、組み立てる前の段ボール箱30枚組みの重さは結構な重さだ。それを機械にセットし、中敷を効率よく敷く作業は、機械の速さとタイミングを測る運動神経が要される。
リズミカルに中敷を投げ入れるコツを覚えた生徒は、作業場の人にほめられ、担任の先生にもほめられて、得意満面*(笑顔)*
「先生、4時間目の授業まで、これやっていましょうよ」
「だ~め。4時間目は美術だから。それにもう次のクラスが交代でこっちに向かっているから」
「え~*(涙)*」
現場の作業員の方からも
「せっかく覚えて、効率も上がって能率よくできるようになったのに、もう帰ってしまうのかい?」
「申し訳ありません。またすぐ次の組の生徒達が来ますので、また仕事を教えてやってください」
「え~、また最初っからだよね~?」
「はい、どうぞよろしくお願いします。」
「君たち、せっかく仕事覚えたんだから、明日も手伝いにおいでよ」
他の部署でも、スカウトされていた生徒がたくさんいた。

普段、おチャラけて入るような生徒や、授業に身が入りにくい生徒でも、こういう作業では、結構テキパキと動いたり、真剣に大人の人の話を聞いて、まじめに作業していたり、みんなの普段とは違った姿を見られて、とても新鮮だった。

5月に摘果作業の手伝いをしているせいもあるのか、梨を扱う手つきが本当にやさしく、大切に扱っているように見える。
自分の故郷を代表する農産物であると言うことを小学校からきちんと学んでいるおかげかもしれない。
ましてや、梨園を営む生徒の作業が真剣そのものなのは、この果物で一家の生計が成り立っていることを骨身に沁みているだろうし、ここまで大きく美味しくする1年間の作業の大変さを、小さい頃から親の姿を見て知っているからだと思う。
更に、選果場では、近所の同業の大先輩たちがたくさんいるのだ。
家の面子にかけても、いい加減な作業などできるはずがない。
「流石、梨園の息子、惚れ惚れするような仕事ぶりだね」
とその場にいた人たちをうならせた褒め言葉は、けして社交辞令ではない。
少子化などで後継者不足が心配される昨今、こういう子どもは、地域としても渇望されているのだろう。

2時間の作業を終えて、お土産に大きな梨を2個ももらって、味見の梨を頬張った。
大きな声で挨拶をして、作業場の皆さんに笑顔で見送ってもらい、帰路に着いた。

まるでトトロの背景に出てくるような田舎道を、遠足帰りのように歩きながら、道端に夏の終わりの花々や、秋を感じる草花を眺めやり、トンボが飛んでいたり、アマガエルを見つけたり、凄く懐かしい感じがした。

最初は女の子たちと、美術の課題の『読書感想画』の話や相談に乗っていたのだが、さっき真剣に作業していた中1の男子達が、最後尾からちょっとずつ遅れ始めた。かと思うと、私に、ちょっとH系な質問をし始めた。
さりげなく交わしながら、何とか来週の期末テスト用に社会のクイズや理科のクイズを出してみるのだが、どうしても、そっち系の話に持って行きたがる。
「あなたたち、いっつもそういうことで頭いっぱいになっているの?興味いっぱいで妄想たくましくなっちゃってるんだね」
「はい*(びっくり2)**(キラキラ)*」
肝心なことはオブラートに包みながら、適当に相手をしてやっていると、もう、目はキラキラ、耳はダンボ状態。
みんな思春期なんだね~。かわいい*(ハート6つ)*

「先生は、何人子どもいるんですか?」
「3人いるよ」
「え、じゃあ、3回ヤッタんですか?」
と真顔で聞いてきた時には思わずのけぞって笑ってしまった。
「『その時』はどんな気持ちでしたか?」
と突っ込んでくるので、
「そういうことはお父さんとお母さんに聞いてみたら?」
とかわすと、みんな真っ赤になって下を向いてしまった。ほんと、かわいい*(笑顔)*

そんなエロいことばかり考えているのかと思うと、私が
「この辺は蛍いるの?」
と話しかけたことをきっかけに、
『ほたるの墓』の話から、原爆の話に至るまで、戦争の話になって言ったのだが、そういう話も真剣に聞いてくれ、突っ込んだ話や、中学生ならではの正義感あふれる意見を話してくれた。
最後に、私が
「64年前の話だけれど、みんなの未来の話でもあるんだよ。今は科学技術が発達して、もし、戦争が起こったら、原爆の被害の何千倍の被害になるんだから。皆がお父さんになる頃もこんな自然が残っているようにしなくちゃね。」
と言った時のみんなの表情が忘れられない。

日差しも、吹く風も、秋の訪れを感じさせる爽やかな1日だった。

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