明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1358)国際女性デー(ミモザの日)に思う

2017年03月08日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20170308 23:30)

みなさま。今日、3月8日は国際女性デーです。

1904年3月8日に、アメリカで女性労働者が女性の参政権を求めてデモを起こしました。これを受けて1910年にコペンハーゲンで行われた国際社会主義会議で「女性の政治的自由と平等のためにたたかう日」を作ろうという気運が生まれました。これを力強く押し上げたのが1917年に起きたロシア二月革命でした。この革命は旧暦では2月23日に始まったので二月革命と呼ばれるのですが、新暦のグレゴリー暦ではまさに3月8日が始まりの日でした。

この時も革命の火ぶたを切ったのは女性たちでした。当時の首都ペトログラードで女性労働者を中心としたデモが起こり、皇帝を倒すことにつながっていったのでした。

この革命に世界中の人々が勇気づけられ、やがて1921年に3月8日が「国際女性デー」と決められたのでした。日本でも1923年3月8日に社会主義フェミニスト団体の初の集会開催が行われています。

この女性の日に、世界のあちこちで男性から女性への感謝が捧げられて花束が贈られているのですが、最も粋なのはイタリアの男たち。ミモザの花を贈っているのです。

なぜミモザなのかもイタリアらしい。イタリアではこの日をFesta della Donna(女性の日)と呼ぶそうですが、定められたのは第二次世界大戦後の1946年、イタリア女性連合の提唱によるものでした。そのとき、どんな花を贈るのがふさわしいのかが論議され、「すみれがいい」となったのだそうです。

しかし当時、スミレは高価な花でした。これに対してイタリアに自生する身近な花であるミモザならば、貧富の差に関わらず、どんな人でも感謝の意を表すことができるということで、ミモザが贈られることになったのだそうです。

イタリアは日本と同じく、第二次世界大戦の時にムッソリーニ率いるファシスト党に支配され、ドイツ、日本と同盟して連合国を相手に戦いました。国土は戦場となり、乱れに乱れましたが、戦争末期にパルチザンが立ち上がって、ムッソリーニを倒し、共和制が作り出されました。

そのときイタリア社会は貧しい人々を大切にし、ミモザの花を選んだのでした。戦乱の苦しみの中から立ち上がり、はにかんだ顔でミモザを女性に渡すイタリアの男たちの顔、それを喜んで受け取る女たちの顔が見えるようで、なんとも心が温かくなります。

なおミモザそのものはオーストラリア原産で同国の国花とされています。オーストラリアのスポーツチームのカラーの黄色と緑もここから来ているのでしょう。ちなみにオーストラリアではミモザは「ワトル」と呼ばれています。

花言葉は「友情」「真実の愛」「秘やかな愛」「豊かな感受性」「堅実」「エレガンス」「神秘」だそうです。

 

さてこのミモザの日=国際女性デーを迎えて思うのは、間もなく7回目の3月11日を迎えるこの6年間が、ものすごい数の女性たちがものすごい行動を起こした日々であったということです。

一番先頭に立っていたのは、原発事故に際して、率先的避難者となって、危険地帯を飛び出した人たちでした。この行動に全国の女性たちが感化され、放射能から子どもたちを、命を守るための大行動を開始しました。素晴しい行動でした。

私たちがしっかりと見据えておくべきことは、この行動がどの政党も、組織も、マスコミも動かなかった中で行われたことです。このとき、政治家も革命家もジャーナリストも、やすやすと追い越されてしまったのです。

もちろんそのことにすぐに気がついた一群の人々が一緒に走り出した。僕もその端くれにいれたと思います。それでこれまでこの国の歴史になかったことが次々と行われていきました。

その一つが東京の首相官邸前や、全国の電力会社の本店、支店前、あるいは主要ターミナルで行われている金曜行動です。今日、そのどれもが200回を軽く超えています。これほど持続的で広範囲な地域で行われている政治行動は日本の歴史の中になかったものです。

この力は裁判所をも動かして原発の再稼働を阻み、ついに原発メーカーの一つ、東芝が瓦解する結果にもつながってきました。

もちろんこの行動は女性たちだけで成り立っているわけではありません。文字通り老若男女の力によって作り出されて来たものです。でも僕はその原動力になったものこそ、命を育み、守ろうとする女性の心温まるパワーだったと思うのです。

だとするならばここから先、日本社会を根底から変えていくために最も重要なことはもっともっと女性たちの力が発揮しやすいようにこの国を変えていくことです。もちろんそれは安倍政権が目指している「名誉男性」とでも言うような、男性的な暴力のロジックを受け入れた女性たちが重用されるようなあり方のことをさすのではまったくありません。

女性がもっと活躍ができるようになるためには、男性が、いや社会全体が、この国がまだまだ深刻に女性差別的な国であることを見据え、自己変革をしていくことが必要なのです。

この際、参考になるのは世界経済フォーラム(World Economic Forum)が2016年10月20日に発表した「世界ジェンダー・ギャップ報告書( Global Gender Gap Report 2016)」です。この際、毎年発表されている2016年版「ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)」も公表されました。

対象は世界144カ国ですが、格差が少ない国=女性の社会的地位の高い国の1位から4位までは北欧諸国が独占、順位はアイスランド、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンでした。なお内戦でたくさんの男性が失われたアフリカのルワンダが5位に入りました。

その他、主な国ではドイツ13位、英国20位、米国45位、中国99位となっているのですが、では日本はどうなのかというとなんと111位なのです!144カ国中です。これらはジェンダー間の経済的参加度および機会、教育達成度、健康と生存、政治的エンパワーメントなど、4種類の指標を基にしたものです。

20位までの国を並べてみましょう。アイスランド、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、ルワンダに続き、6位アイルランド、7位フィリピン、8位スロヴェニア、9位ニュージーランド、10位ニカラグア、11位スイス、12位ブルンジ、13位ドイツ、14位ナミビア、15位南アフリカ、16位オランダ、17位フランス、18位ラトビア、19位デンマーク、20位イギリスです。

日本は111位。なんという嘆かわしいありかたでしょう。しかも昨年は101位だったのにそこからも大きく後退してしまったのです。安倍政権のもと、女性差別は進行するばかりなのです。

もちろんG7諸国とロシアを含む「先進8ヶ国」の中では断トツの最下位です。というか、これでは「先進国」だなどと言っていることが恥ずかしい限りです。

このことが物語っているのは私たち男性もまた、国際基準から見てかなり劣った位置にいるという残念な事態です。私たちの多くの常識が世界では非常識なのです。

いやジェンダー差別は社会的構造によるものですから、私たちの社会全体の女性観、男性観がまだまだ劣っていると捉えなくてはいけません。そもそもこんな国を「美しい国」だなどと言っていることが恥ずかしすぎる。この恥ずかしい状態を自覚的に、意志的に変えていく必要があります。

ではどこから変えていったら良いでしょうか。僕は私たちの民衆運動をもっと女性が活動しやすいものに変えていくべく努力を重ねることが大事だと思います。そのためには保育などの社会的充実化などを実現することも大事ですが、行政に何々をせよと言う前にもっとあらゆる組織で女性がリーダーになりやすい環境をみんなで整えることが大事だと思います。

その点でぜひともあらゆる政党や進歩的組織で女性のトップやリーダーを増やしていただきたい。そのことを意識的に行っていく必要があると思います。

またそのためにも、子育て世代がもっと集会に参加しやすいように工夫を重ねる必要があります。ぜひあらゆる集会に託児だけでなく、親子スペースを設けて、子どもの泣き声がある中で進行できるようにしていただきたいです。

その際、男性のみなさんに一緒に考えて欲しいのは、ともすれば理屈ばかりに走りがちで、実は屁理屈にも引っかかりやすい男性的思考性を自己変革しようということです。

福島原発事故のとき、多くの男性、とくにさまざまな組織のリーダー的な位置にいた男性が、「にわかに健康に被害はない」などという政府の発する屁理屈に騙され、避難を呼びかけたり、自ら決行したりすることができなかったことに対し、多くの女性たちが「危険だ!逃げなくては!」と直感に基づいて行動できたこと、このギャップを捉え返すことがカギです。

繰り返しますが、それまで民衆運動のリーダーを自認していた多くの政党や社会組織の男性たちほど、「避難しよう」という組織的なかけ声をかけられなかったことを捉え返すことが大事なのです。

女性の地位の向上のために何かをするという前に、男性の側が自らを捉え返し、変わっていくことこそが、大きく道を開くことにつながると僕は思っています。その点で私たち男性は、世界の111位という悲しい現実から自らを解き放っていくこと=「男性解放」を意識化していく必要があるのです。

ジェンダー差別とは女性と男性の間で社会的に成り立つものであるわけですから、その克服の早道は男性の側が変わっていくことです。

もう3月8日自身は過ぎ去ってしまいますが、そんな気持ちも込めて、いま私たち男性は、女性に深い感謝を捧げようではありませんか。

もちろんその中で同時に私たちは、女性、男性というアイデンティティのあり方をももっと豊かに超えて、ありとあらゆる存在のあり方が肯定され、リスペクトされる関係性を作り出していく必要があると思います。

ミモザの日にそんなことを思いました。

最後に女性だけでなく、すべてのみなさんにミモザの花を贈ります。Facebookのページに載せたものです。以下をご覧下さい!

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10210171231415579&set=pcb.10210171244295901&type=3&theater

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