守田です(20230728 10:00)
【ご注目】7月30日(日)午後2時から講演会「原発からの命の守り方」を行います。(奈良教育会館にて)
FacebookでのLIVE配信もあります。
https://fb.me/e/avnHbI5qP
● 高浜原発は蒸気発生器や配管に致命的欠陥を抱えている➄
関西電力の超老朽原発高浜1号機が本日午後3時に再稼働しようとしています。心から反対します。前回の記事に続いて再稼働が危険な理由を列挙し、詳しい解説記事を示します。
加圧水型原発は原子炉内を150気圧に加圧した300度の熱水(一次冷却水)を回しています。加圧することで沸点を上げ、これを蒸気発生器に導入し、その中の細管の壁を通して二次冷却水に熱を移して蒸気を発生させ、タービンを回しているのです。
これまでこの蒸気発生器が繰り返し壊れ、深刻な事故が繰り返されてきました。1991年2月9日に美浜原発2号機の蒸気発生器伝熱管の1本が破断。一次冷却水が勢いよく漏れ出し、あわやメルトダウン寸前にまで至りました。
さらに2004年8月には美浜3号機で今度は蒸気発生器から出てくる二次系配管が破断。定期検査の準備をしていた関連会社の作業員が熱湯を浴びてしまい5人が死亡、6人が重傷を負いました。
美浜原発3号機で起きた死傷事故を伝える報道より
肝心なことは、この蒸気発生器と周辺配管をめぐる故障事故が繰り返し起こっていて止めることができていないことです。電力会社各社は、このため格納容器を切断して穴をあけて蒸気発生器を交換するようになりましたが、新型でも事故が起きています。
とくにこの間、高浜3号機4号機で定期点検の度に蒸気発生器細管損傷が見つかっています。連続6回もでしかも原因を解明しきれていない。要するに蒸気発生器は未完の機器で、周辺配管を含めて安全性を確保できてないのです。これでは過酷事故必至です。
明日に向けて(2232)高浜原発は原因不明の配管損傷を連続6回繰り返している!このままでは極めて危険(24日美浜全国集会へ) 2022年7月21日
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/f0b8889ac6e69436024c41ace4981274
高浜3,4号機は点検の度にこうした不具合が見つかっている。繰り返されるのは原因が特定できていないから NHKの報道より 2022年7月9日
● 高浜原発の一次冷却水ポンプも構造的欠陥部品だ➅
この型の原発は一次冷却水ポンプもアキレス腱です。実際に繰り返し各地の同型原発で、このポンプからの水漏れ事故が繰り返されています。しかも再稼働にあたって新品に交換してもその新品が事故を起こしている。
ポンプは150気圧で回っている熱水の流れを強めるためのもので、配管に垂直に差し込まれ、その先にプロペラを設置して回しています。ところがこのプロペラのモーターの軸の部分から冷却水が逆流してしまい、漏れ出してしまいうことが止められないのです。
伊方原発3号機で再稼働前に起きた一次冷却水ポンプの故障事故を伝えるFNN
理由はこの一次冷却水ポンプもまた未完だからです。実はこのことに僕が気がついたのは伊方原発で水漏れが起こった時のこと。四国電力の釈明書を読んでいたらどうしても理解できませんでした。
それで仮説を立てました。「実は四国電力も本当は原因が分かってないのではないか?」と。それで他の原発での同様の事故と説明を調べ、確信が深まりました。その上で元東芝の技術者である小倉志郎さんにこの点をお伺いしたのです。
すると「守田さんのおっしゃる通り」とのお答え。このポンプは沸騰水型原発では「再循環ポンプ」と言われ、同じ水漏れ事故が繰り返されている。その時、東芝は「異物混入」というのだそうですが、分解して異物が出てきたことなどないそうです。
つまり高浜原発は、蒸気発生器と一次冷却水ポンプという未完成な部品を抱えたまま、運転を続けてきたのです。だから繰り返し故障事故を起こしてきたのです。メルトダウン寸前の事故や死亡事故すらです。こんなものを稼働させてはなりません。
以下にこの点を解明した時の記事を列挙しますが、3番目の記事の小倉さんの言葉をぜひお読み下さい。
明日に向けて(1886)伊方原発3号機のトラブルで明らかになった構造的欠陥部品=一次冷却水ポンプ 2020年9月20日
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/2d9b3ebfcfd8e008623e5be74eb20226
明日に向けて(1887)一次冷却水ポンプがなぜ壊れるのか、実は誰も分かっていない・・・元東芝の技術者小倉志郎さんにお聞きしました 2020年9月21日
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/0882cdf5d32862916de0cb76b986b25c
明日に向けて(1888)一次冷却水ポンプと再循環ポンプは原発のアキレス腱・・・元東芝の小倉志郎さんはかく語ってくれました 2020年9月22日
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/744092a8114f4183ad0226b18f91c388
尊敬する小倉志郎さん ハンギョレ新聞より
● 関西電力は原発の危険性が知るがゆえに歴代首相を買収してきた⑦
大事な点はこれらの欠陥が全ての加圧水型原発に共通していることです。
関西電力の高浜・大飯・美浜、四国電力の美浜、九州電力の玄海・川内に共通の欠陥なのです。
だからどの原発も即時運転を止めるべきなのですが、なんと関西電力は盆暮れに首相に1000万円の賄賂を贈り続けることで、原発を生き延びさせてきたのでした。
この衝撃的な内容は、関西電力元副社長内藤千百里(ちもり)氏によって告発されました。
関電の首相への賄賂を報じる朝日新聞 2014年7月28日
これを石橋敬一さんという方がFacebookに数日前にアップして下さったのでここにシェアしておきます。報道番組で内藤さんが証言しているのがご覧になれます。
https://www.facebook.com/100003832155962/videos/1002729594198755/
関電は金品授受問題でも金まみれのひどい実態を世に示してきました。こんな会社に危険な原発を運転させて良いわけがありません。
明日に向けて(1735)関電原発マネー問題の追究によって原子力政策を終わらせ国の根幹を問うていこう!
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/6dc79117380a2eb910bca09f293569a4
以上、高浜原発を始めとする加圧水型原発が未完成の、構造的欠陥を抱えたものであること。関電はそれを知っているからこそ多額の賄賂で運転を維持してきたことを明らかにしました。
これだけで運転してはいけない根拠として十二分ですが、実はまだ動かしてはいけない理由があります。
続く
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