明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1253)地震多発を踏まえ「原発からの命の守り方」の拡散とさらなる研究にご協力を!

2016年04月30日 09時56分30秒 | 「原発からの命の守り方」発売中です!

守田です。(20160430 09:30)

一月ほど前になってしまいましたが、3月24日に『原発からの命の守り方』の二刷りがでました!
おかげさまで売れ行き好調ですが、熊本・九州地震を踏まえて、さらに各地にこの本をお届けしたいと強く思っています。ぜひご紹介などにご協力下さい!
またさらに研究を進め、国際放射線防護委員会(ICRP)批判をより前に進めたいと思っています。研究と書籍の作成にもご協力下さい。

本書は福島原発事故の分析を丹念に行うことを通じ、原発事故がどのような恐ろしさを持っているのかを明らかにすると同時に、この国の政府と電力会社が、事故に対していかに不誠実な態度を取り続けてきたのかを暴露したものです。
残念ながらこのままならば同じことが繰り返してしまう。あれほどひどい対応が行われ、避けられる多くの被曝までもが避けられずに来たのに、責任者が誰一人処罰されていないからです。
これまでの科学的知見を超える大規模地震が続発し、さらなる大地震の発生も強く懸念されているのに、危険極まりない川内原発を停めようとしないことや、中央構造線上の伊方原発を再稼働しようとしていることにもそれが表れています。

これに対して、繰り返し述べてきたように、川内原発を停めよ!の声を何度も上げていく必要性がありますが、同時に原発が事故を起こした時のために「原発からの命の守り方」を多くの人に身に着けてもらうことが必須です。
いやそれだけではありません。そもそも今回の熊本・九州地震があらためて私たちに突きつけているのは、この国が自然災害大国なのだということです。
災害対策の第一人者で、防災・危機管理アドバイザーの山村武彦さんは、今回の地震対策でもテレビ出演し「世界で起こる震度6を超える地震の5回に1回は日本で起こっている」と警鐘を鳴らしています。

それだけではありません。日本は今、歴史上、最も水害に弱い国にもなってしまっています。戦後の気候のあり方が比較的穏やかな時期に、乱開発を繰り返し、本来ならば人が住んではいけないところを多数、分譲してきてしまっているからです。
いやそれよりも危険なのは、利根川や淀川などの大河川が、堤防のかさ上げを繰り返してきてしまったため、有史以来、もっとも大量の水が流れていることです。利根川が大規模に決壊したら、たちまちのうちに首都圏は機能を失います。
火山の数でもそうです。日本には世界の約1割の火山があります。面積が0.25%しかないにもかかわらずです。いつ大噴火が起きるかも分かりませんが、歴史上、繰り返されてきたのでいつかは必ず起こるのです。

このため本書では水害や事故などの人災も含めて、災害に直面した時、私たちにとって何が一番大切なのかにも誌面を大きく割きました。
あらゆる災害に共通している「正常性バイアス」など、人間の心理面を知り、だからこそあらかじめの備えを行っておくことの重要性を詳しく解き明かしました。
その点で本書は多発する地震や、災害の規模が大きくなるばかりの土砂災害・水害への対策にも有効性をもたせてあります。だからこそ今の時期に、できるだけ多くの方に読んでいただきたいのです。

なお本書は日本図書館協会選定図書にも選ばれています。

本書は海象社さんから出版されています。A5判並製272頁 本体1380 円(税別)です。
海象社さんのホームページをお知らせしておきます。
http://www.kaizosha.co.jp/HTML/DEKaizo57.html

僕自身も受付ますので以下のメールアドレス、ないしFacebookページからお申し込みください。
morita_sccrc@yahoo.co.jp
https://www.facebook.com/toshiya.morita.90

僕からの購入の場合は税込み1490円、送料無料です。必要ならばサインもさせていただきます。
また僕が講師となる講演の場にご参加いただけた場合は、特別価格で販売させていただいています。ぜひ講演の場でもお求めください。

同時に「原発からの命の守り方」を各地に広げることと、さらなる研究の前進のためのカンパを心より訴えます。
本書はこれまでも必要に応じて無料での送付も行ってきましたが、今回、とくに熊本・九州地震の被災地や川内原発、玄海原発、伊方原発周辺の関係機関にお届けしたいと思っています。そのための資金を必要としています。

さらに放射線から命を守るために必要不可欠なのは、被曝影響を極端に低く見積もっている今の放射線防護学の何がどう間違っているのかをきちんと解き明かすこと。これこそ被曝から身を守るのに必須の知識です。
本書でも必要最低限度で触れてありますし、琉球大学名誉教授の矢ヶ崎克馬さんにお話を伺う形で編んだ岩波ブックレット『内部被曝』でより詳しいことを形にしていありますが、さらに一歩も二歩も前に進まなければと思っています。
とくに国際放射線防護委員会(ICRP)体系の誤りにより切り込んだ研究を行い、出版につなげ、被曝の強制に立ち向かいたいです。そのため矢ヶ崎さんの研究の最新の知見も盛り込んだ書籍を、なんとか夏までに形にせねばと思っています。

これらの活動へのみなさまのご協力を心の底から訴えます!

以下、カンパの振込先を記しておきます。
書籍購入の場合の代金もここにご送付ください。

振込先 郵貯ぎんこう なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151
他の金融機関からのお振り込みの場合は
店名 四四八(ヨンヨンハチ) 店番448 預金種目 普通預金 口座番号 2266615

以下、参考までに『原発からの命の守り方』の目次と、さまざまな方が書いてくださった書評を列挙しておきます。

*****

『原発からの命の守り方』目次

まえがき 
  
 第1章 原発事故とはどのようなものか     
 1- 1 2011年春の危機  
 1- 2 今後、どのような事故が起こり得るか 
 1- 3 原発を再稼働させないことが一番  
 1- 4 実際に避難はできるのか 
      
 第2章 あらゆる災害に共通する「命を守るためのポイント」がある     
 2- 1 災害心理学から考える  
 2- 2 避難時の行動を災害社会工学から考える  
 2- 3 災害対策の見直しが問われている  

第3章 原発災害への対処法     
 3- 1 原発災害を想定したシミュレーションを  
 3- 2 原発の事故情報をどう見るのか  
     
 第4章 放射能とは何か、放射線とは何か、被曝とは何か     
 4- 1 放射能とは何か  
 4- 2 被曝のメカニズム  
 4- 3 内部被曝の危険性と過小評価  

第5章 放射線被曝防護の心得     
 5- 1 被曝を防ぐためにーその1、ヨウ素剤を飲む  
 5- 2 被曝を避けるーその2、放射線をかわす、被曝を減らす  
 5- 3 被曝したらどうするのか  
      
 第6章 行政はいかに備えたらよいのか(兵庫県篠山市の例から)      
 6- 1 原子力災害対策において地方自治体の置かれた立場  
 6- 2 兵庫県篠山市の原子力災害対策への関わりを振り返って  
      
あとがき  

*****

書評を列挙します。

新著 『原発からの命の守り方』(感想)
星の対話プロジェクト(災害避難者の人権ネットワーク)寺本和泉
http://starsdialog.blog.jp/archives/45831461.html

直言曲言 京都在住の知人でフリーライター、守田敏也さんが・・・
毎日新聞2015年12月6日 鳥取版
http://mainichi.jp/articles/20151206/ddl/k31/070/353000c

原発防災のリアリティを解き明かす伝道書
投稿者  哲郎  トップ1000レビュアー 投稿日 2015/12/21
http://www.amazon.co.jp/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E5%91%BD%E3%81%AE%E5%AE%88%E3%82%8A%E6%96%B9-%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%9D%E3%81%93%E3%81%AB%E3%81%82%E3%82%8B%E5%8D%B1%E9%99%BA

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必読。「原発からの命の守り方」(守田敏也著)
帽子作家ぜんばやしの贅沢な自給自足的生活
http://zisoku.com/kyoto/2015/12/23/book/

読了「原発からの命の守り方」
Narratives from a Counsellong Room 2016/4/4
http://nfacr.net/blogpost/2183/%E8%AA%AD%E4%BA%86%E3%80%8C%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E5%91%BD%E3%81%AE%E5%AE%88%E3%82%8A%E6%96%B9%E3%80%8D/
 

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明日に向けて(1252)熊本・九州地震は今なお活発に展開中。川内原発を停めよの声を高めよう!

2016年04月25日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160426 23:30)

熊本・九州地震がいまだに活発に続いています。
NHKの4月25日23時53分に流されたニュースによれば14日以降、震度1以上の地震は897回を超えたそうです。すぐに900回を超えるでしょう。
25日の午前0時44分ごろにも、熊本地方を震源とするM4.4の地震があり、熊本市西区と宇城市で震度4を観測したそうです。
観測史上もっとも激しく繰り返されている地震です。
気象庁は以下のように発表しています。「地震の回数が減ったように感じられるかもしれないが、全体的には地震の回数が比較的多い状態とやや少ない状態を繰り返しながら活発な活動が続いている」。

 熊本・大分 活発な地震活動続く 引き続き警戒
 NHK NEWS WEB 4月25日 23時53分
  http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160425/k10010497161000.html

この未曽有の事態を前に、川内原発の運転を停止せよ、伊方原発の再稼働を断念せよという声が各地から上がっていますが、この動きを22日に毎日新聞が丁寧に取材して記事してくださいました。
とてもよく良識、あるいや常識をまとめた記事です。幾つか掲載されている発言もピックアップして引用しておきます。
 
 「忘災」の原発列島 熊本地震 それでも再稼働か
 毎日新聞2016年4月22日 東京夕刊
 http://mainichi.jp/articles/20160422/dde/012/040/056000c

 脱原発弁護団全国連絡会共同代表の河合弘之弁護士
 「規制委は危険なギャンブルをしている。国民の安全を預かる組織としては不適切な判断だ」。

 「伊方原発をとめる会」(松山市)の和田宰事務局次長
 「もし事故が起きたら住民は被ばくを避けるために屋内退避を、と言われているが、熊本地震で多くの家屋が倒壊したように現実味がない対策だ。トンネルや道路も損壊すると考えられるので、今ある避難計画は机上の空論に過ぎない」。

 福島原発1号機を製造したゼネラルエレクトリックに努めた経験のある原子力コンサルタントの佐藤暁氏
 「米国では、原発周辺に大型ハリケーンが来襲すると予報されれば原発を止める。原発に被害がなくても、送電線や鉄塔が倒壊して外部電源が喪失し、深刻なリスクを及ぼしかねないからだ。
 地震の場合も同様。本震で原発が大丈夫でも、余震で送電線などが損傷する可能性があると考えれば、あらかじめ運転を止める選択もあるのではないか」。

引用はここまで。

アメリカの原発が大型ハリケーンに備えて停められているとは知りませんでした。
アメリカの原子力政策がいいともとても思えませんが、しかし大型ハリケーンはこれまで数多くやってきたでしょうから、数多くの停止があったことでしょう。
日本にも何度も猛烈な台風が襲来しているのに一度も原発が停められたことはありません。そう考えると福島原発事故以前の日本のあり方は、何度も僥倖を重ねた綱渡り状態だったと言えるでしょう。
福島原発事故でこのことを痛いほど思い知らされたのですから、観測史上にない地震の多発の中、なんとしても川内原発を停めるべきだし、伊方原発の再稼働もやめるべきです。

23日のTBSの報道特集でも同様の見解が示されました。

 TBS報道特集
 20160423
 http://www.dailymotion.com/video/x46iclc

この中に登場する鹿児島大学 井村隆介准教授が以下のように発言しています。

「九州島全体が大きく動いているという感じがする」
。「九州島を分けているような別府島原地溝帯という大きな構造なのでむしろこれぐらいから始まってまだ続いていくかもしれない」。
「今後、震源が延び、より大きな地震が川内原発を襲った場合、少なくとも今よりは(揺れは)いくし、(耐震)設計基準もギリギリかもしれない」。
「今、日奈久断層がまさに動いていて、今後、南に飛び火するかもしれない状況ですから不断の状況ではない。(予防措置を)考える必要がある」。

これに対して、原子力規制委員会の田中俊一委員長が以下のように発言したこともこの番組の中で取り上げられています。
「どういう事態が起ころうとも、川内原発において想定外の事故が起きるとは判断していない」。

番組ではこのあとに、井村准教授の後半の発言を配置しているのですが、そもそも「想定外の事故が起きるとは判断していない」というのはそれ自身、矛盾極まりない発言です。
「想定外」とは文字通り、想定してなかったことのこと。「こういう事故が起きる」と判断できるならそれは想定内で、「判断していない」ものこそ想定外なのです。
だから「想定外のことは起こり得ない」というのは、かなり滅茶苦茶な発言です。

田中委員長の言っていることを正しい日本語に訳せば「起こりうることはすべて想定している。それ以外のことは絶対に起こり得ない」ということになります。
しかし気象庁自身がそうは言ってないのです。震度7の地震が起こって「本震だ」と思った後に、もう一度、マグニチュードでは16倍も大きい震度7の地震がおこり、以前のものを「前震」、新たなものを「本震」と言い換えざるを得なくなったこと自身が初めてのことなのです。
震度1以上の地震が900回も続くのも観測史上初めてのこと。どれもがすでに「想定外」なのです。だから次に何が起こるか分からないのです。確かなことは震度7の地震が起こった断層の北東と南西に地震が展開しつつあるということだけです。

にもかかわらず田中委員長は、事実上、「想定したこと以下は絶対に起こらない」と言っています。
これは「地震の原発への影響はすべて分かっている」と言っていると同じです。
しかし気象庁すら分からないと言っているのですからこの姿勢はあまりに非科学的で傲慢です。

こんな非科学的な「原子力規制委員会」に私たちの安全を委ねるていることはとてもできません。
正しくは何が起こるか分からないのです。なおかつ何かが起こりそうな気配は濃厚にあるのです。
だっだらあらかじめ危険性を除去しておくのが常識的な対応です。だから川内原発は即刻停めるべきなのです。

九州の人々のために、また私たちすべての命と安全のために、この声を上げ続け、さらに高めていきましょう!

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明日に向けて(1251)被曝隠しをこれ以上許さないために(4月23日京都被爆2世3世の会オープン企画へのお誘い)

2016年04月22日 11時00分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160422 11:00)

前回の「明日に向けて(1250)なぜ原発の危険性は隠されるのか(『放射線を浴びたX年後』について)」の続きです。
今回は僕のストーリーを書かせていただきます。実は本当に奇遇に僕も映画『放射線を浴びたX年後』につながっているのです。

あの福島原発事故の時、僕はそれまで「原発事故が起きたら絶対にこの国は人を逃がしてはくれない。だから大事故が近くで起こったらとっとと逃げる。遠くで起こったら逃げろと連呼する」と決めていました。
それでこの「明日に向けて」に連なる情報発信を3月11日の夜から始めました。以来、今日まで「明日に向けて」の前の「地震情報」をあわせてほぼ1300本の記事を書いてきました。

そんな僕は実は福島原発事故前まで放射能のことはそれほどよく分かっていませんでした。それまで被ばく被害とほとんど向き合ったことがなかったのでした。恥ずかしながら被爆者運動にもほとんど関わりを持てていませんでした。
僕は懸命になって原発の危険性、福島の現状を伝えていれば、そのうち膨大な数の放射線の専門家が出てきて、次々と被曝の危険性と防護の知識を伝えてくれると思っていました。
ところが待っていても全然出てこない。それどころかテレビではとんでもない安全論ばかりが吹聴されている。愕然としました。「えっ、放射線被曝のことまで僕がやらなくてはならないのか」と深い谷に落とされるような感を味わいました。

しかしやるしかない。これが原発大国日本の本当の姿なのだと考え直し、腹をくくり、猛然と放射能に関する勉強を開始しました。その時に真っ先にネットで動画をみたり本を読んだ対象が、肥田舜太郎さんと矢ヶ崎克馬さんでした。
いわずとしてた被爆医師と、内部被曝の解き明かしを続けている数少ない専門家でした。
そんなとき、岩波書店の『世界』誌から突如として肥田舜太郎さんのインタビューをしてもらえないかという仕事が舞い込みました。驚きました。同時にとても光栄でありがたいことだと思いました。
この準備をしている間に、さらに京都に矢ヶ崎さんがやってくることを知りました。それが何とこの『放射線を浴びたX年後』の関係者による集会の発言者の一人としてでした。

そのとき、僕は矢ケ崎さんの著書『隠された被曝』を熟読し、この内容を広めることが最も被曝の実相と危険性を世に伝えることになると確信していました。その裏付けとなるものが同時期に読み込んだ肥田先生の本で与えられていました。
肥田先生の凄さと貴重さは、本に書かれた「放射線防護学」からではなく、自らが直接に診察された被爆者の姿から被曝の実相を捉えていたことでした。肥田先生は「放射線防護学」と被爆者の現実はぜんぜん違うと語られました。
またアメリカの側からこのことを暴いたアーネスト・スターングラスなどの優れた研究書を自費で翻訳出版までされていました。その内容がまたすべて矢ヶ崎さんの本につながっていました。

「この内容をもっと分かりやすく解き明かして世に送り出すのだ」と決意した僕は、『放射線を浴びたX年後』の関係者が集った京都の集会に赴き、初めて矢ヶ崎さんとお会いして失礼になることも失念したままやおらこう切り出しました。
「矢ヶ崎さん。この本を僕に翻訳させてください。分かりやすくリライトさせてください。」
すると矢ヶ崎さんはこう言われました。「そう言ってくれる人が出てくるのをずっと待っていたのです」。
かくして矢ヶ崎さんに教えを受けながら編み出したのが、岩波ブックレットから出版していただいた『内部被曝』でした。

その後、僕は矢ケ崎さんを通じて、より多くの内部被曝問題の解き明かしにチャレンジしている研究者とお会いすることができました。その一人が原爆研究の第一人者の沢田昭二さんでした。
その沢田さんに僕は、広島に原爆が投下されたときに、陸軍船舶隊にいた父が、広島の被災者の救助命令を受けて四国の善通寺の基地から呉までやってきたことをお話しました。
父の部隊の到着によって、もとからそこにいた海軍部隊が押し出されるように広島市内に向かっていきました。しかし父はそこから動かなかった。だから父は被曝寸前でとどまったと話したのでした。

ところが沢田さんから帰ってきた答えは衝撃的でした。「守田さん。広島原爆の原子雲は呉まで届いていましたよ。だからお父さんがそこにいたら被ばくしています。だから守田さんは被爆2世ですよ」と言うのです。
因みに父は59歳のとき、終戦から35年後に脳溢血であっという間に亡くなったのですが、僕はそれを被曝と結びつけたことは一度もなかった。
そうです。僕もまた50歳を超えてから、父の死が放射線被曝によってもたらされたのではないか、自分もまた被爆2世ではないかと初めて気が付いた一人なのです。

僕にとってそれは何とも言えないことでした。なぜなら僕は若い時から戦争反対の活動を長く続けてきたからです。日本の侵略を問い、軍隊「慰安婦」問題の被害者のおばあさんたちをサポートし、アフガン・イラク戦争にも反対してきた。
そんな僕ですら、父が、そして自らも被曝をしているのではという自覚を持てずにきた。そうなのです。隠された被曝を強制されてきたことに気付けずに来たのです。それは言いようのない悔しさでした。

しかし何か強く合点するものもありました。福島原発事故後に僕がものすごいペースで被爆者や2世の方、3世の方と会い続けたことです。さらにさまざまな縁が向こうからやってきました。
科学的根拠のないことで恐縮ですが、僕には被爆者の霊が背後から僕を押してくれているように思えました。「お前がわれらの悔しさを代弁するのだ」「人知れず苦しみ死んでいったこの嘆きを世に出すのだ」と言われ続けているように感じたのです。
そしてその挙句に、僕自身もまた被爆2世なのではと思うところまで来たのでした。

そのことをある講演会で発言したら、「京都被爆2世3世の会」の方から、「ぜひ会に参加して欲しい」という依頼が舞い込みました。
初めは戸惑いました。僕には自分が被爆2世である確たる証拠などありません。またこれまで抱いてきた「被爆者」のイメージを考えるときに、僕がそのセカンドゼネレーションの一員であると名乗るのはおこがましいという気持ちもありました。
しかしそれでは僕のような立場の者が被害者の一員として声をあげられなくなる。すぐにそう思い直して参加させていただいたのですが、そのことで僕はさらに深く被ばく被害の痛み、悲しみの中に沈殿して訴えを作ってくることが出来たように思います。

さてそんな風に歩いてきた僕のもとに『放射線を浴びたX年後2』が作られたという話が流れてきました。
情報をもたらしてくれたのは僕の親友であり、主治医として気功治療を施してくださっている方でもありました。またまた奇遇なことに、彼女が川口美砂さんの何十年来の友人だったのです。
それで映画が京都で封切られるので一緒に観に行こう、川口さんが舞台挨拶をするので会って欲しいと誘われました。3月のことでした。

映画館について川口さんと挨拶して、すぐに映画を鑑賞しました。素晴らしい映画でした。冒頭の15分を見ただけで僕の頭の中に強いひらめきが沸き起こりました。
「川口美砂さんを京都にお招きしよう。そして講演していただこう。」・・・実は僕はこの時、この4月23日に行われる京都被爆2世3世の会の年次総会の記念トークの講演者を探す役目を仰せつかっていたのです。

映画が終わって僕が美砂さんに発した一声はこうでした。「美砂さん。お父さんたちの仇を取りましょうよ!」
美砂さんは笑ってこう言われました。「監督の伊東さんも同じことをおっしゃるんですよ」。
そののち、場所を変えて講演を申し込みました。すると川口さん、人前で話したことなどないから飛んでもないと当初は断られていましたが、次第に考えを変えられて、僕との対談の形ならということでOKしてくださいました。

かくして来る4月23日に京都市中京区で記念トーク「父の死が放射線のためだと知った時」を川口美砂さんと僕とで行います!主に『放射線を浴びたX年後2』を主題とし、僕がインタビューする形で進めます。
会の方が素敵なタイトルを付けて下さったのですが、実は美砂さんも僕も少しだけ戸惑うものがあります。私たちの父の死が放射線由来であったことは、状況的にしか説明できないからです。
あるいは他の病の影響であったかもしれない。違う可能性も考えられます。
でも私たちがこの題でのトークに臨むのは、私たちの父が被曝を受けていたこと自身は間違いないと思うからです。さらに父たちの向こうに、膨大な数の隠された被爆者が存在していることを強く実感するからです。

九州の人々が地震災害で苦しんでいる中で、川内原発の危険性があまりに軽視され、運転が強行されているこの強烈な緊張関係の中で行われる、隠された被曝をメインテーマとするこのトークに、僕も深い思いを込めて参加したいと思っています。
ぜひお近くの方、お越しください。そしてあなたとあなたにつながる愛する人々の、隠された被曝に思いを馳せて下さい。
共有したいのは、「もうこんなことが続くのは御免だ」という意識です。広島・長崎から今日まで続てきた被曝の歴史と流れを、今こそ大転換させたい。
共にそのための一時を持てればと思います。

以下、企画案内を簡略化して貼り付けます。詳しくはFacebookのイベントページをご覧下さい。

*****

4月23日 京都市中京区

京都「被爆2世・3世の会」 2016年度総会オープン 企画
記念ト―ク「父の死が放射線のためだと知った時」川口美砂さん&守田敏也さん
https://www.facebook.com/events/261061190896416/

川口さん・・・『放射線を浴びたX年後2』出演。太平洋 核実験で被爆した漁船員を尋ね聞き取りをしていく。
守田さん・・・フリーライター 京都「被爆2世・3世の 会 」会員
二人の共通項は父の死が放射線の影響だと50代にして気 が付いたこと!

4月23日(土)午後2時30分~4時30分
「ラボール京都」大会議室(中京区・四条通り御前)
参加費無料

お問い合わせ
京都被爆2世3世の会 075‐811‐8203

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明日に向けて(1250)なぜ原発の危険性は軽視されるのか(『放射線を浴びたX年後』について)

2016年04月21日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160421 23:30)

このところ熊本―九州地震に際しての川内原発の危険性の解き明かしを続けています。みなさんとともに運転停止を実現し、九州のみなさんや私たち自身の安全を守りたいと思ってのことです。
原発から命の守るための行動にみなさんのさらなるご協力をお願いします。

今宵は九州の現場を少し離れ、この間の論に深みをもたせるためにも、なぜ原発の危険性がこれほどまでに軽視されるのかについて論じたいと思います。
原発の危険性の軽視は、実は被曝被害の軽視と強くつながっています。つまり川内原発の危険性を無視する姿勢は、福島原発事故で飛び出した放射能による害をあまりに軽く見積もっていることとつながっているのです。

この点でぜひ注目していただきたい映画があります。
『放射線を浴びたX年後』と『放射線を浴びたX年後2』という連作です。

公式ホームページを示しておきます。
http://x311.info/blog/theater/

この映画はアメリカの核実験の際に、ビキニ環礁などで被ばくしたマグロ漁船を扱ったものです。
こう書くと、多くの方が「第五福竜丸」という名を思い浮かべるのではないかと思うのですが、実は被曝したのはこの1隻だけではありませんでした。
現在記録で確認できるだけでも、のべで997隻の船が被曝していたのです。船員の数では1~2万人にも及びます。

しかし被曝した方たちは誰も被爆者手帳ももらえず、補償もされませんでした。マスコミに大きく取り上げられた第五福竜丸の乗組員こそ、多少の医療は受けられましたが、しかし久保山愛吉さんが半年後に亡くなり、みなさん病に苦しんできました。
映画はこのような被害が1万人を超える規模で起こっていたことを追いかけて作られました。当時の被曝した船を探し、やっと見つけた乗組員から他の方たちを辿っていくと、早ければ20代で、多くは50~60代の働き盛りで亡くなった方たちがいました。
最も多く記録されている病はガンでしたが、亡くなるまで身体が辛くて思いに任せず、苦しみ抜いた方が多かったことも浮かび上がってきました。

さらに映画はアメリカの公文書から衝撃的な事実を浮かび上がらせていきます。太平洋での核実験の際、アメリカは太平洋の島々のみならず、米本土や日本各地(占領地の沖縄、広島・長崎、横須賀・三沢の米軍基地)などでも観測を行っていました。
その情報を辿ると、太平洋で成層圏にまで吹きあげられた放射能が風に取って洋上を渡っていき、米本土を激しく被曝させていたことをがき彫りになりました。さらに日本本土も放射能によってすっぽりと覆われてしまっていました。
もちろん広範な海域にたくさんの放射能が降り、第五福竜丸の被曝から暫くは、マグロの検査がなされ、大量に廃棄されましたが、しかしそれ以外の魚はまったく対象になりませんでした。それどころかこの調査も中途半端に打ち切られてしまいました。

ここから分かることは何か。一つにものすごくたくさんの船員たちが、何も知らずに放射能の降る中で操業し、被曝させらえてしまったのだということです。
それぞれの「X年後」に病があらわれ、塗炭の苦しみが襲ってきて、亡くなっていったのでした。
被曝被害を受けたのは海の男たちだけではありませんでした。大気から降ってくる放射能や、魚などによって運ばれてくる放射能に、アメリカや日本に住まう人々が、いや世界の人々が、繰り返し被曝させられたのです。
これを犯罪と言わずして何を犯罪と言うのでしょうか。ものすごい規模での被曝がこれまで隠されてきたのです。

なお『放射線を浴びたX年後』の公開に即しての、監督の伊東英朗さんを中心に行われたトークショーの記録を見つけたので紹介しておきます。

 <~ビキニ事件、第五福竜丸以外の被災船と被災漁民について考える~>トークショー
 2012年8月22日 夢の島公園内にある都立第五福竜丸展示館にて
 http://www.cinemajournal.net/special/2012/bikini/


さてこの映画の公開後、ある劇的なことが起こりました。
室戸出身でマグロ漁師の娘さんである川口美砂さんが、ある日、妹さんに誘われて、何の予備知識もなしにこの映画を観て深い感銘を受けられました。
「自分だったら室戸のおんちゃん(おじさん)から聴き取りができる。この調査に協力できる」と考えた川口さんは、すぐに監督に連絡をとり、以降、東京から郷里の室戸に通い始めました。
その中で前編の時にはまだ出あってなかった新たな漁師さんたちとのつながりが生まれていきました。

劇的だったのは調査を深める中で、川口さん自身が、若くして亡くなったお父さんが被曝していたのだという確信を持ったことでした。その証左を探すと、なんと見つからないと思っていた航海日誌に奇跡のようにたどり着いたのでした。
そこで川口さんは、お父さんの乗った船もまた、核実験で放射能が降った地域で操業していたことを事実としてつかみました。
写真でみるお父さんは屈強でとてもハンサムな方ですが、わずか36歳で亡くなってしまわれました。しかも周りから「酒の飲み過ぎのせいだ」と言われ、美砂さんは妹さんとお母さんと3人で二重に苦しまれたそうです。
しかも当時12才だった美砂さんは、小中学校に通いながら春、夏、冬の休みに家計を支えるために働かなくてはなりませんでした。

その美砂さんが、おんちゃんたちの間を訪ね歩くうちに、伊東監督が、2本目は美砂さんを主人公に撮りたいと決意を固めていきます。かくしてできたのが『放射線を浴びたX年後2』なのです。
それはまた50代になって初めて、父の死が放射線被ばくのせいではないかと目覚めた女性が、核実験による被曝の真実、隠された被曝の実態を暴くために室戸の町を歩き続けた圧巻の記録です。
ぜひ、みなさんにこの二つの映画を観ていただきたい。この被曝強要と、被害隠しこそが、現在の原発の危険性の軽視や、福島原発事故被害の軽視にストレートにつながっているからです。

続く

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明日に向けて(1249)川内原発は停めたらではなく停めないとメルトダウンしうる(川内を停めるべき理由の続き)

2016年04月21日 10時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160421 10:30)

ネット上で「川内原発を停めるべきではない」という言説が流れており、反論を求められたので、「明日に向けて(1248)」で、なぜ今、原発をすぐに停めるべきなのかを書きました。

 明日に向けて(1248)なぜ大地震に襲われる前に川内原発を停めるべきなのか?
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/c1cc6520b33c281c7720064dec313937

続きを書きます。
とくに「川内原発を停めたら電気が足りなくなり、他の電源に何かあった場合に冷却できなくなってメルトダウンする」という荒唐無稽な論に対しての反論を行います。
これを主張している方は「そうなったら責任がとれるのですか!!」とヒステリックに叫んでおられるのですが、これはある意味でユニークな論です。
なぜかというと、この方は川内原発が外部電源を喪失したらメルトダウンすると考えておられるわけですが、「そんなことはない!」と声高に主張しているのが他ならぬ九州電力だからです。

どこでそれが述べられたのかと言うと、原子力規制委員会が設けた「新規制基準」への対応においてです。
以下、同委員会のホームページに掲載されている九州電力の報告書をご紹介します。

 川内原子力発電所1号炉及び2号炉
 誤操作防止について
 安全避難通路等について
 全交流動力電源喪失対策設備について
 安全保護回路について
 平成25年12月3日 九州電力株式会社
 https://www.nsr.go.jp/data/000034874.pdf

この中の38ページ以降に「全交流動力電源喪失対策設備について」というタイトルのもと、延々と説明がなされているのですが、冒頭に対策の骨子が書かれているので引用します。

 「所内動力源用電源は、外部電源系の他に非常用所内電源として、原子炉格納容器の健全性を確保するために必要な容量を有したディーゼル発電機2系統(5700kW×2台)を設置している。
 また、全交流動力電源喪失が発生した場合でも、喪失時から重大事故等に対処するために必要な電力の供給が交流動力電源設備から開始されるまでの間、発電用原子炉を安全に停止し、かつ、発電用原子炉の停止後に炉心を冷却するための設備が動作する

とともに原子炉格納容器の健全性を確保するための設備が動作することができるよう、これらの設備の動作に必要な容量の蓄電池2系統(約1200A・h×2組安全施設に属するものに限る。)を設けている。」

引用はここまで。

つまり外部電源を失っても大丈夫なように、ディーゼル発電機2系統、蓄電器2系統を設けているというわけです。
これは福島原発事故において、「地震で外部電源を失った後に非常用電源が起動したけれども、津波に襲われてダウンしたためにメルトダウンを防げなかった」という東電の主張に基づいた新規制基準の内容です。
にもかかわらず先に紹介した方は「原発を停めて電気が足りなくなったら原発の冷却ができなくなってメルトダウンする」と叫ばれているわけですが、だとするならば新規制基準が間違っていて再稼働してはならないことになるのである意味ユニークです。
もっともこの方は、こうした点を踏まえずに語られているのだと思いますが。

この点については、僕も新規制基準の内容も、これに応じた九州電力の対応も、まったく信用できないと思っています。
一つには非常用の設備は平時に動かしていないため、時間の経過とともに動きにくくなってしまうことが多いからです。
しかしそれだけではありません。もっと決定的に重要なのは、福島原発におけるメルトダウンが電源喪失によって起こったのではなないと思われるのに、この重大ポイントが無視されているからです。

というのは、福島原発は、事故後のパラメーターの解析から、津波で電源が喪失する前に配管破断が起こって、メルトダウンが始まっていた可能性が高い。つまり電源喪失ではなく冷却材喪失が原因だった可能性が極めて高いのです。
このことを解析されたのは、元日立の圧力容器設計者だった田中三彦さんです。より深く真実に迫りたい方はぜひ以下の記事を読んでいただきたいと思います。

 明日に向けて(176)地震による配管破断の可能性と、東電シミュレーション批判(田中三彦さん談再掲1)
 2011年6月29日
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/f1914e7352792c89767a9c7585ee4a00

 明日に向けて(176)地震による配管破断の可能性と、東電シミュレーション批判(田中三彦さん談再掲2)
 2011年6月29日
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8d603fe6649fe963d189d712df46e0c5

この指摘は、非常に重要な位置を持っています。
津波で電源が喪失したというのなら、その点だけは津波対策をあつくし、電源を喪失しないようにすることが対策の一つになり得ます。
しかし地震で配管が切れてしまったのだったら、耐震設計が根本的に間違っていたことになります。いや実際にその可能性が高いのですが、そのことを認めると日本中の原発を見直さなければならなくなります。
基準地震動を高く設定して、すべての原発を建て直さなければならなくなるのですが、そんなこと、コスト的にとてもできませんから、これを認めればその時点で日本のすべての原発は終わるのです!

このため新規制基準は、実は本来、建て直しでしか対応できない基準地震動のアップを、紙面上の操作だけで行うというひどい過ちをも入れ込んだものになっています。耐震設計のあやまりを突っ込まれないための対応なのでしょう。
しかしこんなもの、言葉のもてあそびで対策でもなんでもありません。こんな中身のない耐震対策の「強化」の上に、配管破断の可能性を無視抹殺して作られたのが新規制基準なのです。

ちなみに3月に出された大津地裁による高浜原発運転停止を命じた仮処分決定も、この点をきちんと踏まえて出されていました。
そもそも新規制基準は「福島原発事故の教訓を踏まえたもの」とされているのですが、大津決定には「建屋の中は入ることすらできず、調査が進んでいない。この中で事故の主因を津波と断定してよいか判断できない」ときちんと書かれていました。
田中三彦さんや後藤政志さんなどが懸命に訴えてきてくださったことの反映ですから、感動するとともに、田中さん、後藤さんへの感謝の念を覚えました。真っ当な主張をやっと押し通して高浜原発を停めてくださったからです。
もちろんこれは全国のみなさんの再稼働反対の声の中で実現されたことで、みんなで実現した素晴らしい成果です。この力を川内原発にも及ぼしたい。

まとめます。

原発が停止して電気が足りなくなったら、原子炉の冷却ができなくなるのか。
九州電力も原子力規制委員会も「そんなことはない」と主張しています。外部電源を失ったときに、自力で電力供給できる非常用電源と蓄電池を備えているから大丈夫だというのが、新規制基準の合格ラインだからです。

これが信頼できるのかというと本当に非常時に動くかどうかの不安は残ります。しかし現在はまだ再稼働からそれほど経っていませんからまだしも動くのではないでしょうか。
というかこの大地震の最中ですから、九電は当然にもテストと点検を行い、いざという時にきちんと非常用電源を動かせるようにしておくべきです。
しかし非常用電源が大丈夫でも、地震による配管破断があったらまったく冷却できなくなります。この場合の方が恐ろしい。冷却材が一気に抜けてしまうので、すぐにメルトダウンに向かってしまう可能性が高いからです。

ではどう対処すれば良いのか。いますぐ原子炉を停止し、崩壊熱を下げておくことです。前回、説明したように、原子炉の中の崩壊熱はある程度までは急速に下がるので効果が大きい。
核燃料がどれだけ熱を持っているのかこそが、メルトダウンを防げるかどうかの一番のポイントですから、とにもかくにも運転をやめて熱を下げることが第一なのです。
停めないと、スクラムの失敗による爆発は免れても、熱量が大きいのでメルトダウンしうるのです。この点もまた川内原発を即刻、運転停止すべき大きな理由の一つです。

続く

次回は川内原発の大きな欠陥であり弱点である蒸気発生器について書きます。

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明日に向けて(1248)なぜ大地震に襲われる前に川内原発を停めるべきなのか

2016年04月20日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160420 23:30)

熊本・九州地震が拡大を続けており、収束の気配が見えません。
(注・政府はこの地震を「熊本地震」と名付けていますが、すでに九州全域で震度1以上の地震が繰り返し起こっていること、その中で鹿児島の川内原発の運転継続があまりに危険であることを踏まえ、ここでは「熊本・九州地震」と呼ぶこととします。

19日夕から夜にかけて熊本県八代市で震度5強や5弱の地震が観測されました。活動範囲は布田川(ふたがわ)断層帯と日奈久(ひなぐ)断層帯の一部です。
14日午後9時代の「前震」、16日午前1時代の「本震」のあった地域から南西方向にあたります。地震活動はいっこうに収束する気配がないと気象庁が発表しており、南西方面でもより大きな地震が起こる可能性があります。

またこの「前震」と「本震」の時に、熊本県益城市では双方ともに震度7が観測されたことが分かりました。また16日には震度7は西原村でも観測されました。
同じ地点で震度7以上の地震が2度起こったのも、同時に2か所で震度7が記録されたのも、観測史上、始めただそうです。14日午後9時26分の震度7から、20日午後6時までに観測した震度1以上は706回。これもまた過去最多のペースです。

このようにこの地震災害は「観測史上初めて」のことが大きく重なっていることが一つの特徴です。
今回の「本震」の北東方向、中央構造線の上には伊方原発があり、南西方向には川内原発がありますが、地震がそちらに向かいつつある兆候が見られるものの、何が起こっているのか、これまでの知見ではつかみ切れていないのが現実です。
地震に人間の知力がまったく追いついていないのです。だからこそ、川内原発が巨大地震に見舞われることもありうることを考えて、川内原発を即時停止させることが必要です。

ところがネット上に、「原発は停めるべきではない」という意見が幾つか散見されます。
根拠として電力が足りないことと、運転停止しても原発が熱を持ち続けるので、今、停めても意味がないことなどがあげられていますが、どちらも大きく間違っています。
さらに今、停めると電源が足りなくなって原発がメルトダウンしてしまうという荒唐無稽な論も出ているようです。今回はこれら点にきちんと反論しておきたいと思います。

1、原発を停めても電気は十分に足りている!

まず原発が停まったら電力が足りなくなるというのはまったく事実ではありません。
そもそも現在起きている停電は、発電所の問題ではなく、送電線の切断などが原因で起きているものです。電気が足りないのではなく届いていないのです。こんなことは調べれば誰にでもすぐに分かります。

この点についてはFacebook上で鎌仲みとみさんがいち早く反論を行っていたのでご紹介しておきます。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10206542002373481&set=a.2509755187894.2111254.1373542493&type=3&theater

そもそも原発は安定性の低い電源なのです。何かトラブルがあると危険性が高いのですぐに停まってしまいます。そもそも基本設計は何十年も前のもので多くがポンコツですから、トラブルが多いのです。
このため原発はバックアップ電源としての火力発電所をそれぞれの近くに持っているのです。だから日本中の原発が停まっても、この国は、まったく、何も、困らなかったのです。

福島原発事故以前は、原発が無くなると化石時代に戻るかのような言説が飛び交っていましたが、それどころか原発が停まっている間に株価は上がり続け、アベノミクスの大成功が喧伝されていました。
ただしこれは問題の多い経済政策で演出された株価上昇でしかなかったし、しかもこの間、貧富の差が開き続けたので、「経済が順調だった」とは全く言えないのですが、それでも原発の稼働と経済が実は連動してないことは明白です。
皮肉なことに、むしろ昨年の夏に川内原発が動きだしたころから、株価は落ち初め、安定性を失って激しく乱高下し続けています。もちろんそれも原発の稼働とは関係ない。いずれにせよ、電気はいつも足りていたのです。

同時にもっと大事なことは、人口密集地から遠く離れた過疎地に原発を作り、そこから高圧電線で電力を供給している今のあり方こそが、地震災害などが多いこの国のあり方に不向きだということです。
もっと発電設備を小さく多く分けていくことが必要です。そもそも送電の間に失う電力ロスも大きいので、その方が経済的にも合理的であり、なんといっても災害に強くなります。

2、地震の恐怖はスクラム(緊急停止)が間に合わなくなり、壊滅的な被害が出る可能性があることにある!

二つ目になぜ地震の前に停めておくべきなのかと言えば、大きな地震に原発が直撃された時に、原子炉の安全停止ができなくなる可能性があるからです。これが最も恐ろしい。本当にものすごく恐ろしい。
原子炉の中では中性子が飛び交ってウランの核分裂が連鎖的に行われています。運転を停めるときには燃料棒の間に「制御棒」を差し込みます。ホウ酸など中性子を吸収する物質でできていて、これで核分裂の連鎖が止まるのです。
加圧水型原発の場合は、上からこの制御棒が降りてくる仕組みになっています。それ自身の自重をバネなどで支えているのですが、これを外して差し込むのです。

緊急時の停止は「スクラム」と言われていて、一気に制御棒を差し込むのですが、怖いのはこの時に大きな横揺れが起こっていると、うまく制御棒が入らなくなる可能性があることです。
これに大きく関わってくるのが「基準地震動」です。設計上、どれぐらいの揺れにまで設備が耐えられるかの基準値で、地震がこれを超えた場合、制御棒がうまく差し込めず、スクラムが働かない可能性があるのです。
では川内原発の基準地震動はどれぐらいなのかと言えば620ガルです。ところが今回、益城市では14日の「前震」のときになんと1580ガルの揺れを記録しているのです。基準地震動をはるかに上回っています。

福島原発事故でもこのスクラムの失敗という最悪の事態だけは免れ、ともあれ核分裂反応を停めることはできたのです。
しかし同じように次もうまくいくとは限らない。そもそも福島原発を襲った地震は、直近でのものではありませんでした。それでも大規模な配管切断が起こってメルトダウンした可能性が高いのですが、ともあれ制御棒だけは入った。
これに対して川内原発の近くで断層が大きくズレる地震が起こって重大事故にいたったら、今度は制御棒が入らないかもしれない。そうしたら福島原発事故のレベルではまったくすまなくなります。

原子炉を停められないまま出力が一気に上がって原子炉が吹き飛んでしまったら、福島原発事故とはけた違いの量の放射能が飛び出してしまいます。繰り返しますがけた違いの量です。
しかも悪いことに川内原発は沖縄などをのぞいた日本列島の最も西にあります。その上を偏西風が吹いているので、台風が辿るのと同じように、放射能が列島を総なめしていく可能性があります。
海に落ちた放射能は、黒潮や日本海流に乗って、日本列島を取り巻くように流れる可能性があります。まさに日本壊滅の恐れがあるのです。

だから絶対に今、停めなくてはならないのです。何せ観測史上、初めてのことが直近で起こっているのです。震度7という大地震が2回も起こったり、本震だと思った地震の直後にもっと大きな地震が来たりしているのです。
なぜ安倍政権はこんなに危険性があるのに停めようとしないのでしょうか。理由は単純で、反知性主義の道を歩む安倍首相とスタッフたちには、もはや自分に都合の悪いことを感知する能力がなくなっているからです。
このような、あまりに無謀で、愚かで、命を軽視している首相に、災害対策を任していたら危険すぎます。日本壊滅の可能性をなくすために、なんとしても川内原発を停める必要があります。

3、崩壊熱は急速に下がっていくので早く停めればそれだけ危険性を下げられる!

次に原発を停めれば破局的な爆発の可能性はかなり低められますが、しかし確かに停まってもそれですぐに安全になるわけではありません。
問題は二つあります。一つに原子炉内の核燃料が崩壊熱を出し続けることです。またこのために運転が終わった核燃料をプールに入れて冷やさなくてはならないのですが、そのプールが構造上、極めて脆弱なため、危険性に満ちていることです。
ただそれでも大事なポイントは崩壊熱が当初は急速に下がっていくことにあります。

この点については東京電力が提出した実際の資料を参照しましょう。
2011年5月26日に提出されたものですが、これを見ると崩壊熱は、原子炉停止後にまずは急速に下がり、時間と同時に下がり方が遅くなって、なかなか下がらなくなる曲線を描いていることが分かります。

 炉内燃料の崩壊熱
 東京電力 2011年5月26日
 http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_110526_01-j.pdf

何故なのか。この熱の正体は、炉内にある放射性物質が、それぞれに放射線を出して違う物質に変わっていく「崩壊」という過程で出るものだからです。そのためこの曲線はそれぞれの物質の半減期に規定されるのです。
当初、炉内には半減期の短いものがたくさんあり、単位時間当たり猛烈な量の放射線が出ます。だから熱も極めて高いのです。
しかしどんどん半減期の短いものが減衰していくため、熱量が急速に下がっていくのです。しかしある程度立つと、今度は半減期の長いものしか残らなくなるため、放射線の出方が比較的ゆっくりになり、熱の下がり方もゆっくりになるのです。

このため原子炉を停めてから時間が経てば経つだけ、原子炉の安全性は増します。とくに最初の数日間ほど、急速に熱量が減りますが、恐ろしいのはこれですからきるだけ少なくした方が良いのです。これこそがメルトダウンを引き起こすのですから。
もちろん熱量は非常に長い時間が経たなければゼロに近づきませんから、冷却は延々行っていかなくてはなりません。そこに原発が停めたあとも危険な理由があります。
しかしそのリスクの度合いは、停めた直後から急速に下がっていくので、停まってからの時間が長ければ長いだけ危険度が低くなるのです。

ただしもちろんリスクはあり続けるのですから、早く解体してしまうことこそが肝心です。そのためにもうこれ以上、運転して熱量が高くリスクの高い使用済み核燃料を増やさないことこそが核心です。
その点で伊方原発は停まってから長く経っているので、崩壊熱自身はかなり下がっています。同時にそれは放射能量の総量が低減していることも意味しています。だから伊方原発は川内原発と比べれば危険度ははるかに低いのです。
しかもそれでも放射線を出し続け、熱を発している物体が、脆弱なプールの中に沈んでいるのですから、危険性があることは間違いありません。だからこそ早く燃料をプールから降ろし、安全度を高めることこそが必要なのです。

続く

次回に「原発を停めると電源がなくなって原発の冷却自身ができなくなり、メルトダウンを招いてしまう可能性がある・・・という荒唐無稽な論にも反論したいと思います。
同時に燃料プールの抱えている構造的な問題、とくに実は当初の設計仕様を無視して、核燃料の間を詰めてしまう「リラッキング」という無茶が横行しており、それが危険性を高めていることも論じたいと思います。

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明日に向けて(1247)川内原発即時停止の声が全国に圧倒的に拡大中!さらに高めて運転を止めよう!

2016年04月18日 23時00分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160418 23:00)

熊本地震災害の拡大、地震の別の断層への移行などを見すえて、川内原発を即時停止せよとの声が、全国に広がっています。
今のところ、政府も原子力規制委員会も、まったく無責任に「問題なし」の態度を貫いていますが、批判の声に押されつつあることが見て取れます。
もっと声を高めましょう。それが九州の、西日本の、いやこの国全体の安全に大きく貢献することになります。

地震災害の現場は、まだまだ混乱しており、救助、復旧活動に力をとられています。
それだけに全国から知恵と力と声を集めて、現場を助けていく必要があります。そのためにもこの状況の中での川内原発の重大事故の発生を何としても避けなくてはなりません。
そこで、この間、さまざまな立場から発せられている川内原発運転停止を求める声を時系列に沿って紹介します。ぜひこの流れに乗って下さい。周りに呼び掛けて下さい。

ただし原発は停まってからも炉内の核燃料から崩壊熱が出続けるので、数年間は非常に危険な状態が続きます。
危険性は時間経過の中で急速に低減していきますが、川内原発は停めてもしばらくはかなり危険です。
そのため、運転停止を求めるだけでなく、避難の準備をする必要があります。
すでに道路が寸断され、九州全域で新幹線も停まっていることなどを考えるならば、可能な方は、一時的避難で良いですから身をかわされることをお勧めします。

一方で、今回の大地震は中央構造線の上で起こっており、本震の起こった熊本県から北東と南西に動きが拡大しつつあります。
北東ではすでに大分で大きな地震が起こっていますが、そこから海を隔ててすぐにあるのが伊方原発で、ここにもまた大きな危険性があります。
幸いにも伊方原発はすでに5年間にわたって停止しているので、崩壊熱は停止直後に比べれば格段に低くなっています。川内原発と比較すればリスクはずっと小さいです。

それでも伊方原発は燃料プールをリラッキング(詰め直し)でギュウギュウにしてしまっているので、地震の大揺れに直撃された場合に、燃料の思わぬ集合によって臨界反応が発生してしまう可能性があります。
この面でやはり重大事故が発生する可能性があることを見すえて、伊方原発の周辺の方も、避難や屋内退避の準備を進めて下さい。
原発事故の場合、理想的にはとっとと逃げてしまうことが一番ですが、ご家庭の事情などで逃げられない場合は、あらかじめ立て籠もるための物資を備蓄するなど、対策を重ねておいてください。

ちなみに日本中の原発がすでに停止から4年から5年経っていて、崩壊熱の面からはリスクが非常に提言した状態にありますが、しかしどこもかしこも燃料プールのリラッキングを行っているのでこのリスクがあります。
私たちは今後、各原発の燃料プールから燃料を降ろし、乾式保管に移行することも強く求めていく必要があります。
この点をも見すえながら、ともあれ今は川内原発を停めよという声をさらに高めていきましょう。

以下時系列に沿いながら、さまざまな申し入れや提言に関する報道を紹介していきたいと思います。なおどの記事も一部を紹介します。


まず政党では日本共産党が真っ先に原発停止の申し入れを行いました。毎日新聞が共産党鹿児島県委員会の申し入れと、小池書記局長による政府への申し入れを紹介しています。

 川内原発の即時停止申し入れ 共産党鹿児島県委
 毎日新聞2016年4月16日17時54分(最終更新 4月16日 21時23分)
 http://mainichi.jp/articles/20160417/k00/00m/010/022000c

 「日本共産党鹿児島県委員会は16日、九州電力に対して川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の即時運転停止を求める緊急申し入れをした。同党の小池晃書記局長も同日、世耕弘成官房副長官に川内原発の運転停止を求めた。
 小池氏は記者団に「停止しても電力需要に支障はないはずだ」と語った。」


作家ら有志による申し入れです。

 作家ら有志、川内原発の即時停止を要請 相次ぐ地震受け
 朝日新聞 沼田千賀子 2016年4月16日21時25分
 http://www.asahi.com/articles/ASJ4J6T2CJ4JUCLV00C.html

 「要請したのは、作家の落合恵子さん、澤地久枝さん、広瀬隆さんと、ジャーナリストの鎌田慧さん、フォトジャーナリストの広河隆一さん、学生団体「SEALDs(シールズ)」メンバーの大学生、山田和花(のどか)さん。
 地震後も稼働している川内原発について、「異常があってからでは遅いということは、これまでの福島第一原発の事故の経験から、誰の目にも明らか」とし、すぐに停止するよう求めている。」


福井の2つの反原発団体の声明を福井新聞が紹介しています。

 熊本地震後なお川内稼働に異議 福井の反原発団体が声明
 福井新聞 2016年4月17日午後5時00分
 http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/npp_restart/93659.html

 「大規模な地震や余震が続く中「手動停止して点検するという安全方策をとることが東京電力福島第1原発事故を経験した私たちの責務」と指摘。
 「激動期の地震列島といわれるわが国の全ての原発を停止し、廃炉へのプログラムを進めるべき」としている。」


偶然にも17日に伊万里市で総会を開いていた脱原発をめざす首長会議が、基準地震動の見直しを求める声明を発表しました。

 「基準地震動の見直しを」 脱原発めざす首長会議が声明
 朝日新聞 2016年4月17日20時05分
 http://www.asahi.com/articles/ASJ4K5TNDJ4KTTHB00Y.html

 「声明は熊本地震を踏まえたもの。14日夜の揺れの勢いを示す加速度は1580ガルを熊本県で記録したが、九州電力川内原発(鹿児島県)の基準地震動は620ガルだと指摘。
 起こりうる地震の規模や影響を改めて検討するとともに、国主導で「具体的で可視的な避難計画」を早急に策定するよう政府に求めている。」


民進党も明日、運転停止の申し入れを政府に対して行うそうです。

 民進「川内原発運転停止を」19日にも申し入れ
 毎日新聞2016年4月18日 18時47分(最終更新 4月18日 20時54分)
 http://mainichi.jp/articles/20160419/k00/00m/010/023000c

 「(江田代表代行が)新幹線の復旧のメドが立っていないなど避難計画の前提が満たされていない」と指摘したうえで「(原発の)周辺住民にとどまらず、九州地方の皆さんが大変不安に思っている」(と指摘)」


なお「明日に向けて」でもご紹介してきた川内原発の停止を求めるネット上での署名は、4月18日22時45分現在で7万3千人を超えています。
さらに拡散して広げていきましょう!以下から入れます。

 ネット署名 川内原発を停めてください。
 https://goo.gl/EGlD3w


この他、主な申し入れ先をご紹介しておきます。

 ◆首相官邸に対するご意見・ご要望
 https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html
 ◆原子力規制委員会
 https://www.nsr.go.jp/ssl/contact/contact_done.php
 ◆九州電力
 http://www.kyuden.co.jp/functions_inquire_index.html


最後におまけです。昨年秋に毎日新聞に載ったマンガです。

 川内原発は安全なの?の巻
 毎日新聞 2015.09.01
 http://mainichi.jp/sumamachi/news.html?cid=20150830mul00m04000700sc

危機をきちんと認識するのは、それでこそ事態と正面から向かい合い、命を守る可能性を広げられるからです。
そのためにも危機に圧倒されず、他方で正常性バイアスに陥ってしまわずに、しっかりと前を向いて歩いて行きましょう。

みんなで励まし合って、地震と原発から互いの命を守り抜いていきましょう!

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明日に向けて(1246)熊本地震が南西に拡大中。ただちに川内原発を停めるべきだ!伊方原発も危険!

2016年04月17日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160417 23:30)

熊本県で発生した地震、一方で北東=阿蘇山や大分県方面にも広がっていましたが、他方で南西方面への拡大も確認されはじめました。
気象庁が、広い範囲で強い揺れに警戒するように呼び掛けていますが、この南西方面には川内原発があります。

災害対策は、万が一を考えた早目の避難が鉄則。人ならば避難が大切ですが、原発ならばとにかく早く停めてしまうことが大事です。
これだけ被害が広がっている中でさらに原発に何らかのトラブルが起きたら本当にとんでもないことになります。だからこそ川内原発を今、ただちに止めることは、必須の災害対策です。

このことを全国から訴え続けましょう。以下に要請先を記しておきます。

 ◆首相官邸に対するご意見・ご要望
 https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html
 ◆原子力規制委員会
 https://www.nsr.go.jp/ssl/contact/contact_done.php
 ◆九州電力
 http://www.kyuden.co.jp/functions_inquire_index.html

とくに原子力規制委員会は18日に臨時会合を開き、川内原発の安全性・危険性についての確認を行うそうです。
ぜひそれまでに「川内原発はとめるべきだ」の声を集中しましょう!
いやそれだけではありません。この間、大きな地震を起こした断層は、「中央構造線」という日本列島に沿って東西に長く伸びた断層帯であり、熊本・大分の延長上に伊方原発が存在しています。
伊方原発はこの夏の再稼働を目指していますが、これだけの地震の発生があるのですからそれもとりやめるべきです。

ネットで呼びかけられてる川内原発を停める署名もご紹介しておきます。17日夜半で約35000人が署名しています。

 川内原発を止めてください。
 https://www.change.org/p/%E7%B5%8C%E6%B8%88%E7%94%A3%E6%A5%AD%E5%A4%A7%E8%87%A3-%E5%B7%9D%E5%86%85%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%82%92%E6%AD%A2%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84?recruiter=50897116&utm_source=share_petition&utm_medium=copylink

さてその後の地震と被害の状況をお伝えします。
先にも述べたように地震は熊本から大分へと広がっています。双方でたくさんの余震も起こっています。4月14日夜から17日午後11までに発生した地震は震度1以上ではなんと488回
しかも震度7が1回、震度6強が3回、震度6弱が3回、震度5強が1回、震度5弱が6回、震度4が66回で、震度4以上が合計で80回もありました。ものすごい数の強い揺れです。

人的被害ですが、17日23時30分配信の東京新聞によれば一連の地震の死者はこの時点で42人、11人が行方不明だそうです。避難者は最大で19万6千人、夜半に入って11万人となっているそうです。
同じく17日20時45分配信の毎日新聞によれば、熊本・大分両県の負傷者は1063人、うち重傷者は205人だそうです。
家屋は全壊が400棟、半壊が1262棟、一部損壊が761棟、合計で2442棟ですが、被害の多かった南阿蘇村や益城町ではまだカウントできておらず、さらに増えるのは必至です。

地震の特徴ですが、重要なこととして押さえるべきは、地震が南西に広がりつつあることが確認されていることです。
これは17日午前10時半ぐらいに気象庁によって発表されたことです。これを伝えたNHKのニュースをご紹介します。重要な点を抜粋しておきます。

 気象庁 地震活動の範囲 南西側に広がる
 NHK NEWS WEB 4月17日 12時33分
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160417/k10010484531000.html?utm_int=news_contents_news-main_002

 「3日前に震度7を観測した地震以降、熊本県では布田川断層帯や日奈久断層帯の北東側で活発な地震活動が観測されています。
 一方、16日午前9時16分ごろ、熊本市の南側にあたる八代市や宇城市などで震度4の揺れを観測したマグニチュード4.5の地震以降、日奈久断層帯の南西側で地震活動が活発になっているということです。
 多くは体に感じない小さな地震だということです。」

抜粋はここまで

極めて重大な指摘です。川内原発が日奈久断層帯の伸びた先の直下ではないけれども近くにあるからです。
ちなみに新規制基準で認可された川内原発の耐震基準道は620ガル。ところが今回の地震では4月14日午後9時過ぎのもので、熊本市益城市で1580ガルを観測しています。
このままでは川内原発を、耐震許容度をはるかに越えた直下型の地震が襲う可能性があります。だとしたらとにかく停止させた方がいい。運転中の方が格段に危険だからです。

さらに極めて注目すべき見解が出ています。今回の地震のあり方はこの100年間の観測の中でもなかったものであると指摘されていること。だから今後の予測がつかないとされていることです。これはとてもつもなく怖い
各紙が報じていますが、例えば京都新聞には以下のような記事が載っています。一部を抜粋します。

 双子地震後に本震ほぼ例なく 熊本地震メカニズム
 京都新聞 2016年04月17日 11時23分
 http://www.kyoto-np.co.jp/environment/article/20160417000028

 「九州で14日から連鎖的に発生している地震は、近代的な地震観測が始まったこの100年間ではほとんど例のない非常にまれな形態だ。」
 
抜粋はここまで

この他にも、今回の地震がこれまでの観測から得られた推測を大きく上回っており、今後の展開の予測がつかないという見解が多数の専門家から出されています。
こうした中で断層帯延長部から別の地震が誘発される可能性も繰り返し指摘されだしています。NHKがこうしたニュースを流しています。これも一部抜粋します

 専門家「断層帯延長部では別の地震誘発も想定を」
 NHK NEWS WEB 4月17日 19時09分
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160417/k10010485501000.html?utm_int=news_contents_news-main_002

「これまで経験したことのない地震活動になっていて、断層帯の延長にあたる部分ではさらに別の地震が誘発されることも想定して備える必要がある」
「地震活動はこれまでにずれ動いた布田川断層帯や日奈久断層帯の区間からしみ出すように広がっているように見える。仮に別の区間で地震が誘発されると、これまでと同じ規模か、さらに大きな地震が起きるおそれもある。
耐震性の低い住宅や、すでに強い揺れに見舞われた住宅にいる場合には、地震活動がおさまるまでは自宅から避難することなどが重要だ」

抜粋はここまで

さらに多くの報道機関が、今回の地震が南海トラフ地震につながることへの懸念について触れだしていますが、しかしポイントとしてみるべきことは、今回の地震がこれまでの100年間の観測の経験を越えてしまっていることです。
だから誰も確定的なことなど言えない。いや推論もしづらい。要するに、今までの知見では何が分かるか把握できな事態の前に私たちは立っているのです。

このことはだからこそ川内原発を停止しなければならないし、伊方原発にも厳重な警戒がいること、さらにこうした危険性にさらされるリスクを回避するために、即刻、日本中の原発の燃料プールから核燃料を降ろすことに着手すべきだということです。同時にこれら二つの原発事故への備えとして避難準備も必須です。
なぜって、地震がどのような規模でいかに発展するのか分からないからです。
そもそも原発は、人類が地震に対して一定の把握ができるという前提に基づき、耐震設計がなされてきたのです。しかしその前提が大きく崩れてしまっている。
だからこそ、安全性がまったく担保されないのだから、原発は動かしてはならないし、一刻も早く核燃料をプールから出し、より安全な場に移すべきなのです。

以上、熊本県から始まった大地震は、断層伝いに北東・南西に広がりつつあり、断層以外のところの別の地震の誘発も考えられる恐ろしい事態が私たちの前にあります。
私たちはこれと正面から向かい合いながら、地震と原発から命を守り抜いていきましょう。
そのために、川内原発を停めるあらゆる努力を集めるとともに、川内原発、伊方原発での事故の発生に身構えましょう。
 

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明日に向けて(1245)熊本地震、16日未明に本震と思われる地震が発生。警戒を怠らず危険を感じたら避難を!

2016年04月16日 10時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160416 10:30)

みなさま。
本日、これから小出裕章さんとのジョイント講演会に出席のため、家を出ます。以下の企画です。

 「近くの原発が動き始めた・・・私たちの防災教育」
 https://www.facebook.com/events/108395789558470/

僕の役割は災害対策のポイントをお話することですので、現に進行中の熊本地震災害についてのポイントもお話します。
お近くの方はぜひお越しください。

このことも見すえながら、昨夜も熊本地震に関する記事を「明日に向けて」で連投しましたが、その投稿直後、16日午前1時25分にさらに大きな地震が発生してしまいました。
マグニチュード7.3。揺れ自身は震度6強ですが、地震のエネルギーの規模は14日午後9時代の地震の10倍もあると言われています。
気象庁は午前3時半に行った記者会見で、この地震がこの間の一連の地震の本震と思われるという見解を発表しました。14日午後9時過ぎに起こった地震はこの地震の「前震」であったとされています。

 気象庁「熊本地震は『前震』 今回が本震か」
 NHK NEWS WEB 4月16日 4時24分
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160416/k10010482591000.html?utm_int=news_contents_news-main_005

気象庁は以下のように注意を呼びかけています。
「今回の地震で揺れが強かった地域は14日の地震よりも広がっている。揺れの強かった地域では危険なところから離れ、身の安全を確保して欲しい。
余震も多くなっていて今後1週間程度は最大で震度6弱程度の余震が起きるおそれがあり、十分注意して欲しい」

実際、こうしている間にも次々と死亡情報などが入って来ています。たくさんの家屋が潰れて人々が閉じ込められています。
また南阿蘇村では大規模な土砂崩れの発生し、大きな橋が崩落しています。各地で電車の脱線も起こっています。
災害が拡大していますが、各地で道路が寸断されており、さらに余震が頻発していて救助が難航しています。
このような状況の中で、さらに今日の夕刻より、前線を伴った低気圧の接近による豪雨が予想されています。さらに土砂災害が発生する可能性があります。命を守る行動が必要です。

さらに重要なこととして、地震活動が別の断層に移っている可能性が指摘されています。これは極めて大きなポイントです。

 専門家 「別の断層に地震活動が移ったか」
 NHK NEWS WEB 4月16日 7時25分
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160416/k10010482931000.html?utm_int=all_side_ranking-social_001

ここでは昨夜もご紹介した東京大学地震研究所の古村孝志教授が「内陸の活断層で起きる地震としては国内最大級で、広い範囲が強い揺れに襲われたと考えられる」と分析し、「おとといからの地震は、いずれも『別府ー島原地溝帯』と呼ばれる地域で起きている

。この地域には数多くの活断層があることが確認されており、おとといマグニチュード6.5の「熊本地震」を引き起こした断層から、近くにある別の断層に地震活動が移ったように見える」と指摘されています。

古村教授は本日16日未明に発生した本震の以前から、地震が南北方向に拡大し、余震ではなく「次の地震」につながる可能性があると指摘して警戒を呼びかけていました。
実際には「本震」と呼ばれるより大きな地震が起こったわけですから、古村教授の警戒の呼びかけはまったく正しかったことになります。
それから考えても、この地震が別の活断層に移り、さらに大きな地震や災害が発生する可能性が十分にあります。

今のところ、この地震の北東方面への移動が確認されており、阿蘇山や方面や大分県での大きな地震の発生が懸念されていますが、しかし複雑に断層が重なり合っていますから、南西方面に地震が移ってくる可能性が十分に考えられます。
川内原発の近くにも大きな断層が南北にあります。こうして情報を発信している間にも、実に頻繁に震度5強、6弱といった地震の発生が伝えられおり、どのように展開するかまったく予断を許しません。熊本では1時間に10回以上の余震が起こり続けています。

九州のみなさんは、とにもかくにも最大の警戒を持って事態に向かいあい続けて下さい。
各地で危険を感じたらただちに避難を行って下さい。とくに今夜からの暴風雨は大変な脅威です。
雨が降る前、明るいうちに、暴風雨が始まる前に、安全な避難所などに移って下さい。地震が拡大していることを考え、可能な方はできるだけ遠くまで避難してください。早めの避難こそが命を救います。

これまでの地震だけでもかなりの被害が起こっています。安倍首相も早朝に行った緊急対策会議の場で、災害が拡大する可能性を示唆し、自衛隊の投入を大幅に増強することを発表しましたが、さらにぜひとも川内原発と停めるべきです。
ただでさえ地震が別の断層に移動していて、熊本県以外に拡大する可能性が指摘されているのです。各地ですでに手一杯の球状活動が行われています。
こんな状態では、原発災害に対応する力はありません。というか、万が一、原発で何かがあった場合、各地の救助の手を止めて、全力を原発に注がなければならず、助かる多くの命も見捨てなければならなくなります。

すでに熊本空港は全便の欠航を決めています。建物に亀裂などがあり、安全が確認されるまでとても飛行機を飛ばせないからです。
原発も同じです。川内原発自身はまだ被害が確認されていませんが、しかし被害を受けた場合の深刻さがけた違いに重大なのですから、これほどの災害が重なっており、地震がどのように展開するか分からないからこそ、安全確保のために停めるべきです。
ぜひ全国から政府にこのことを呼びかけましょう。以下に連絡先を記しておきます。

 ◆首相官邸に対するご意見・ご要望
 https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html
 ◆原子力規制委員会
 https://www.nsr.go.jp/ssl/contact/contact_done.php
 ◆九州電力
 http://www.kyuden.co.jp/functions_inquire_index.html

安全確保のために原発を止めよ!という声に対して、産経新聞などが猛烈なバッシングを行っていますが、まったくもって許しがたい行為です。
そもそも産経新聞は、福島第一原発事故の時も、同じように危険性を訴えるさまざまな人々に、猛烈な攻撃を行っていました。
しかし今日、事故直後にメルトダウンが発生していたこと、しかもそれを東電が14日には把握していながら、黙っていたことが明らかになっています。
このことは産経新聞のあのときの猛烈なバッシングが、まったくもって誤まったものであり、人々を危機にさらしたものでだったことをもくっきりと暴きだしていますが、産経は一言の謝罪も述べていません。

だから今、こんなバッシングに負けずに、大地震の中にある原発を停めよ!という声をあげなければならないのです。
九州の方たちは、自らの身を守り、被災した人々を救うために手一杯ですから、被災していない全国の地域から声を上げましょう。

みんなの叡智を集めて、地震と原発からの命を守りましょう!

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明日に向けて(1244)川内原発は即時停止すべきだ!重大事故に備えヨウ素剤を手に入れ避難準備を進めよう!

2016年04月16日 01時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160416 01:30)

今宵は記事を連投します。
すでに(1243)で明らかにしたように、熊本地震災害はまだ終わっていません。余震のつらなりから次の地震や阿蘇山の変化などが誘発される可能性があるからです。
暴風雨の到来による土砂災害の発生も予測されます。

想像される危機の中でやはりもっとも恐ろしいのは稼働中の川内原発に新たな地震が襲うなどして、重大事故が発生することです。
ネットを見るとすでに多くの方がこの危険性について発信し、政府に稼働停止の申し入れを行ったことがなどが見てとれます。
しかし一方でこのような動きは過剰だとする、産経新聞を筆頭とした猛烈なバッシングも起こっています。しかしこれらの緒言は人々に「危機を感じるな」と連呼し、正常性バイアスを強化するもので、断じて許されるものではありません。

川内原発はただちに稼動を止めるべきです。そもそもその理由は、今回の地震がなくとも、稼働があまりに危険だからです。
安倍政権は「原子力規制委員会が安全だと言った原発から動かす」として川内原発再稼働にゴーサインをだしましたが、そもそも規制委員会は一度も「安全」とは言っていません。だた新規制基準に合格したと言っているだけなのです。
この他にも、川内原発は加圧水型原発として蒸気発生器に致命的な欠陥を抱えていることなど、危険な要素がたくさんあります。これらから多くの人々が、平常時ですら運転をするのはあまりに危険だ、停めるべきだと言ってきたのです。

今回はその上に、熊本地震が重なっています。
すでに前号で明らかにしたように、今、熊本地方には激しい余震が繰り返し起こっています。それが北側に、南側に拡大する可能性を東京大学地震研究所の古村孝志教授が指摘していました。
またその前提として九州は南北に引っ張られている力が強く、たくさんの断層が重なっていることも解説されていました。
これらはNHKで流されたものですが、さらに重要な情報が入ってきました。

 2016年04月14日 熊本県熊本地方の地震による強震動
 防災科学技術研究所 2016/04/15 12:33
 http://www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/topics/html20160414212621/main_20160414212621.html

ポイントは何といっても、熊本県益城町で観測されたこの地震の最大の揺れが1580ガルを示したということです。
なぜか。川内原発の耐震設計の基準振動がわずか620ガルとされているからです。これよりもはるかに大きいな地震による揺れが、原発の間近で確認されたのです。
これがどれほど大きな問題なのか。2月27日に毎日新聞の鹿児島版に載せられた記事を読むとよく分かります。

 残余のリスク 川内原発/1 後手後手 相次ぐ基準地震動見直し /鹿児島
 毎日新聞 2016年2月27日 地方版
 http://mainichi.jp/articles/20160227/ddl/k46/040/309000c

この記事には、川内原発で設計上、設備故障の恐れがある安全限界値が1020ガル(2号機)と想定されていることなどが書かれています。
今回の地震の揺れは、この想定をも大きく越えているのです。明らかに九州電力が想定し、規制委員会がゴーサインを与えた想定が突破されてしまっているのです。

では今回起きた地震の断層は、川内原発周辺につながっているのか。この点でもこの間、九州電力の甘い想定が批判にさらされてきました。
とくに2013年に政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会が公表した川内原発周辺の活断層長期評価で、それまでの九州電力のデータが再評価し直されています。
ここでは連続しないとされていた活断層が連続するとして長さが2倍以上になったり、マグニチュード6.8がM7.5になるものさえ出てきており、川内原発近くの市来断層の危険性があまりに過小評価されていることなどが指摘されたのです。
この点は、現地の市民団体、「反原発鹿児島ネット」さんが以下のパンフレットに端的に内容をまとめてくださっています。

 川内原発直近の巨大活断層と幾度も襲った火砕流
 反原発鹿児島ネット
 http://www.synapse.ne.jp/peace/sendaigenpatusaikadouhantaipanph.pdf

これらを読むと見えてくることは、川内原発が活断層の近くにあること、にもかかわらず設計基準動が非常に小さく設定されており、今回の熊本地震でも設定数値が完全に突破されてしまっていることです。
このことから今後の余震が、複雑に重なる九州の断層を刺激し、新たな地震が発生する可能性がある中で、川内原発がとてもそれに耐えられる設計になっていないことは明白です。
だからこそ、今回の熊本地震と、度重なる余震の発生を踏まえて、川内原発はただちに停止すべきなのです!

しかしたとえただちに停止しても、この原発はもう半年以上も動いていましたから、炉内には大量の放射性物質が溜まっています。半減期の短いものもたくさんあります。
甲状腺がんを引き起こす恐れのある放射性ヨウ素131なども大量に抱え込んでおり、放射性ヨウ素が半減期による減衰によって現在の1000分の1になるまでに、原発が停止してから80日(半減期×10)もかかってしまいます。
これらを考えたときに、九州のみなさんは、川内原発が重大事故に見舞われる可能性を考えて、いつでもとっとと逃げだす準備を整えていていただきたいし、そのために安定ヨウ素剤を手に入れていただきたいと思います。

理想的にはお住いの自治体から事前配布されると良いのですが、それでは間に合わないので、購入可能なお店をご紹介しておきます。シンガポールのお店です。といっても薬自身は、篠山市をはじめ配布を行ったほとんどの自治体が使っているのと同じ、日本の日医工というメーカーもののです。
なぜシンガポールからなのかというと、安定ヨウ素剤は、処方箋はいらないものの、医師の指示がないと国内では買えないからです。
これに対していわゆる並行輸入での個人購入は可能ですので、この点に目を付けたこの会社が、シンガポールに拠点を設けて、そこから販売しているというわけです。

 ファミリー薬局シンガポール
 ヨウ化カリウム丸50mg「日医工」:100丸入
 http://sg.mimaki-family.com/products/31887/
 100丸3830円 2丸=76.6円

実はご紹介するのにためらいを感じる情報でもあります。国内で買えば2丸で12円なのに、約77円と高値に設定してあるからです。
しかし僕には他にご紹介できるものがないのでこれをお伝えしておきます。

兵庫県篠山市に僕が属する原子力災害対策検討委員会が提出した提言書のアドレスも示しておきます。
ぜひ、重大事故の際に、とっとと逃げるための手引きとしてください。
 
 原子力災害対策計画に向けての提言
 http://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/group/bousai/assets/2015/06/teigensyo.pdf

この27ページから31ページの記述が、おそらく日本で出ている被曝防護のための安定ヨウ素剤の説明の中で一番シンプルで核心をついていると思います。これを服用の際の知恵としてご活用して下さい。
僕の著書、『原発からの命の守り方』の中にも取り込んでいますが、もともとは兵庫医大のスーパードクター上紺屋憲彦先生の篠山市での講演を僕が文字起こしし、ご本人に確認してもらったものをベースにしています。ぜひご参考にされてください。

この他、僕が関わっている兵庫県篠山市での安定ヨウ素剤事前配布について毎日放送が作ってくださった番組もご紹介しておきます。
この中で「妊婦はこの薬を飲んではいけない」という誤った解説もなされているのですが(むしろ飲むべきだというのが私たちの委員会の結論です)概ね、ポイントを押さえています。
16分ですが参考になります。

 毎日放送特集番組(石田ジャーナル)
 原発事故から子どもたちをどう守る?篠山市がヨウ素剤を事前配布
 http://www.dailymotion.com/video/x3smqqd

以上、現在進行形である熊本地震災害は、今後、いかなる形で大きく広がるかも分かりません。
これをみすえて、再度、川内原発の停止を強く求めるとともに、九州のみなさん、四国のみなさんをはじめ、多くの方々に、原発事故への備えを固められることを訴えます。
地震と原発から命を守り抜きましょう!

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