明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1384)膨大な量の放射性廃棄物が日々燃やし続けられ、被曝が野放しにされてきた!(528学習研究会に向けて)−2

2017年05月25日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20170525 23:30:00)

前回に続いていわゆる「8000ベクレル問題」についての整理をさらに進めたいと思います。


5、8000Bqが出されてきた根拠を探る

まずこの数値が出されて来た根拠を探りたいと思いますが、そのためには放射性物質に関するこれまでの規制法をおさえておく必要があります。ここで問題にすべきものは以下の二つです。


核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO166.html

放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO167.html

 

原子力規制委員会のホームページではこの法律が以下のように説明されています。

https://www.nsr.go.jp/activity/ri_kisei/kiseihou/

 「放射線障害防止法は、放射性同位元素や放射線発生装置の使用及び放射性同位元素によって汚染されたものの廃棄などを規制することによって、放射線障害を防止し、公共の安全を確保することを目的に制定された法律です。なお、放射性物質の規制は、同法のほか、原子炉等規制法、医療法、薬事法、獣医療法等においても行われています。」

ここでおさえておくべきことは、この法律では、放射性物質ごとに管理対象となる総量と濃度の双方が規定されており、その値を越えると管理すべき放射線同位元素とするとされていることです。具体的なことは「放射線を放出する同位元素の数量等を定める件」で規定されており、セシウム134と137に関しては10000Bq/kgベクレル以下のものは「放射線同位元素」とみなされないとなっています。

 

放射線を放出する同位元素の数量等を定める件

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/04/02/1261331_15_1.pdf

 

端的に言って、この「10000Bq」という規定との整合性をつけるために、それ以下の数値としての「8000Bq」が出された可能性が濃厚です。

 

6、8月に発表された16都県の焼却場データの重要性

続いてみておくべきことは、2011年8月に環境省が放射性物質が大量に検出されている16都県の焼却場の灰に含まれる放射能汚染データを公表していることです。まずはこの重要なデータを示しておきます。


16都県の一般廃棄物焼却施設における焼却灰の放射性セシウム濃度測定結果一覧

https://www.env.go.jp/jishin/attach/waste-radioCs-16pref-result20110829.pdf


なぜこの時期に発表されたのでしょうか。前回、述べたように東京都はすでに3月の段階で汚泥のものすごい汚染を把握し始めていました。当然にもこの事実は環境省に報告されていたはずです。しかし環境省はこの段階では動きませんでした。なぜでしょうか。推論されるのは、2011年3月に東北・関東の焼却場で日々作りだされている焼却灰の放射線値を測ったら、恐ろしい数字が出てしまう可能性があったことです。ヨウ素131をはじめ、半減期の短い核種が廃棄物の中にまだ大量に存在していたからです。この時点できちんとした調査を行えば、焼却そのものが続けられなくなるようなデータが各地から出てきてしまったでしょう。そして各地に処理のできない膨大な廃棄物が生まれ、社会的混乱が生まれ、それだけで原子力政策は完全に命脈を絶たれたでしょう。

このため環境省はすぐに都道府県に焼却灰の放射線値を測ることを指導しなかったのだと思われます。そして事故から80日以上が過ぎて、放射性ヨウ素131が1000分の1以下に減衰した6月になって初めてこうした指示を発したと思われます。この後、8月24日までに16都県に焼却灰に関するデータを提出させています。ではなぜ反対にこの時期に測ったのかというと、まだまだ大量に残留しているセシウム137は半減期が30年ですぐには減衰しないこと、同時にセシウム137は放射性物質の中でも例外的に測りやすいものであり、政府が測らずとも市民放射能測定所などによって計測されてしまうため、対処が必要とされたからでしょう。

ただこれらの経過を考察すると見えてくるのは、政府は各地の焼却場の焼却灰のリアルな計測をすることなしに8000ベクレルという規制値を先んじて決めざるを得なかったのではないかということです。すでにセシウムの汚染が社会的に見えて来ていたので、対応を急がねばならなかったからです。しかし8月24日に出そろったデータを見てみると、各地で8000ベクレルを大きく超えてしまう焼却灰が出てきてしまいました。環境省にとっても深刻な事態であったと言えます。


この事実の重要性に関しても僕は記事を発しました。 

明日に向けて(443)岩手県における放射能汚染の実態(がれき問題によせて) 2012年4月3日

http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8bfff14a348072520dd72985df1ab067 

明日に向けて(462)東日本全域で放射性物質が大量に燃やされ、濃縮されている!その1 2012年5月2日

http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/fb16143656f0bffe1a9ebaf9b29f4bc2


後者の記事の中で僕は焼却の恐ろしさを以下のように指摘しました。

「このところ、連日、「がれき」問題の分析を深めてきましたが、その中でみえてきたのは、「がれき」にとどまらず、ゴミの収集、運搬、焼却という現代社会が作り出したシステムが、まるまる人為的な、放射能の濃縮過程になってしまっているというとんでもない事実です。すでにこのことに気づいていた方には、何をいまさらと指摘されてしまうかもしれませんが、これは本当に、もの凄く、大変なことです。

とくに日本のように生産力が高く、それだけに日々、大量の廃棄物を発生させ、そのために、ゴミの収集、運搬、焼却、(灰の)埋め立てという巨大な処理システムを作りだしてきた「先進国」にとっては、広域汚染事故の恐ろしさの第一に数え上げられるものの一つともいえるのではないか。なぜならこの濃縮は、自然の中での生態濃縮などとは較べものにならないスピードで進むからです。何せ近代化の中で高められてきた生産力そのものによって濃縮しているからです。」

ぜひこのことをリアルに捉え、次のように考えていただきたいのです。まず東北・関東にお住まいの方は、先にあげた16都県の焼却場データに着目してください。何よりみていただきたいのはご自分のお住まいの周りにここに書かれた焼却場がないかどうかです。ある場合は近ければ近いだけ、これまで、長期にわたって高濃度の放射能を浴び続けてきた可能性があります。ここに書かれたデータはある一日の焼却に関するものですが、実際の焼却は365日×6年以上、続けられて来ているわけです。どんなに膨大な放射能が濃縮して発せられて来てしまったかが見えてくると思います。

この場合、もっとも危険性の高いのは、焼却場の職員の方です。もしこの記事を読まれている方にこうした施設の職員の方のお知り合いがおられる場合は、ぜひ健康診断を受けるように進められてください。とくに心臓検診を重視されてください。心臓の病は死に直結するので一番怖いですから。

次に危険性の高いのは焼却場の近隣に住まわれている方です。煙はやはりその多くが周辺に落ちます。このため焼却灰の濃度の高い焼却場の周りに住まわれている方には、いまからでも避難移住されることを強くお勧めします。この場合、放射性被曝は少しでも減らした方が有利ですから、とりあえず焼却場から離れるだけでも効果があると思いますが、被曝が長期間、継続してきたことを考えるならば、やはり西日本に向かわれるのがベストです。

「放射性廃棄物」問題を考えるとき、私たちはすでに相当量のものが焼却され、人々の上に降り注がれた事実に着目しなくてはなりません。膨大な量の放射能を浴びせられてしまった人々の心身をいかに守るのか、その上でこうした被害を今後いかに防遏するのかが、やはりこの問題の最重要ポイントなのです。「放射能汚染防止法」もこうした観点の上に築かれる必要があると僕には思えます。

しかしこの国の官僚達はそのようには考えなかった。8000ベクレルを「軽く」越えてしまう焼却灰など、新たに設けたゆるゆるの規制値ですら追いつけない大量の放射性廃棄物が出て来てしまったからです。

このため政府は2011年8月30日に制定した「放射性物質汚染対処特措法」を見直さざるを得なくなったのですが、実はもともとこのことは織り込み済みであったことも伺えます。この法律自体に「3年経った後の振り返り」を行うことが書き込まれていたからです。かくして2015年3月31日に「放射性物質汚染対処特措法施行状況検討会」の第一回会合が開かれましたが、ここでなされたのもまたしてもこの法律の矛盾の拡大でしかありませんでした。被曝の放置はなんら是正されず、より踏み込んだ容認がなされました。そしてこの中で、8000ベクレル以下の原発汚染土を公共事業などで使用するという新たな方針への布石も打たれたのでした。

続く

今回も5月28日の学習研究会の案内を貼り付けておきます。

*****

放射性廃棄物拡散問題第8回学習研究会

 
5月28日(日) 午後2時~4時

場所 市民環境研究所(京都市左京区田中里ノ前21石川ビル305)
主催 NPO法人・市民環境研究所

呼びかけ 石田紀郎(市民環境研究所代表理事)
     守田敏也(フリーライター・市民環境研究所研究員)
参加費 若干のカンパをお願いしています。
連絡先 090‐5015‐5862(守田)

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明日に向けて(1383)「原発汚染土8000Bq/kg以下再利用問題」を捉え返す(5月28日の学習研究会に向けて)−1

2017年05月24日 23時30分00秒 | 講演予定一覧

守田です(20170524 23:30)

5月28日(日)に「放射性廃棄物拡散問題第8回学習研究会」を行います。今回のメインテーマは「放射能汚染防止法制定に向けて」ですが、ここでその前提となる「原発汚染土8000Bq/kg以下再利用問題」を再度、整理して捉え直しておきたいと思います。

1、毎日新聞による報道

「8000Bq/kg」問題が大きくクローズアップされたのは、以下の毎日新聞の記事によってでした。

原発汚染土 「8000ベクレル以下」なら再利用を決定
毎日新聞2016年6月30日 20時30分(最終更新 6月30日 21時23分)

http://mainichi.jp/articles/20160701/k00/00m/040/063000c

記事の冒頭にはこう書かれていました。(幸いリンク先が生きているのぜひ全文をおさえておいてください)

「東京電力福島第1原発事故に伴う福島県内の汚染土などの除染廃棄物について、環境省は30日、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下であれば、公共事業の盛り土などに限定して再利用する基本方針を正式決定した。」

 

2、問題の発端は福島原発事故直後の汚泥の汚染

ただしここで私たちが整理しておく必要があるのは「8000Bq/kg」という数値は今回初めて出て来たものではないということです。

発端は福島原発事故直後に、各地の汚泥からものすごい量の放射能が検出されたことにあります。しかも問題はただ汚染がものすごかっただけではなく、この国はこうした膨大な量の放射能漏れを「あり得ないこと」としてきたため、この事態に対処する法律がなかったことにもありました。こうした中で共同通信が2011年5月13日に行った東京都への取材から、3月下旬に採取された汚泥焼却灰から1キロあたり17万ベクレルもの放射性物質が検出されたことを明らかにしました。江東区の「東部スラッジプラント」からでした。同時期に大田区と板橋区の下水処理場2か所でも汚泥焼却灰から10~14万Bq/kgの放射性物質が検出されていたことも明らかになりました。

この頃はまだまだ東日本大震災と原発事故後の混乱が続いていました。ちょうど放射能汚染の実態が徐々に明らかになりつつあった頃で、その一環として汚泥問題が記事になりましたが、それほど大きな反響を呼んだわけではありませんでした。しかしここには今日につながる重大な問題が隠されていました。このため僕もすぐにこの問題を記事化しました。以下にアドレスを記しておきます。

 明日に向けて(112) 放射能汚染が各地に拡大中・・・ 2011年5月14日
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/24da6e3ad75d730622dbab7916ff40d7

 明日に向けて(153)汚泥から放射能が。北海道・大阪でも!・・・2011年6月15日
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/43c6ee2e40d8dc763f98e04bc72314a6 

二つ目の記事の中で僕はこう論じています。

「全国で、汚泥から放射性物質が検出されだしています。見つかったのは、北海道、青森、山形、福島、栃木、群馬、茨城、千葉、埼玉、東京、神奈川、山梨、新潟、長野、静岡、大阪の16都道府県ですが、大阪で検出されたならば、福島原発との間にまたがる地域、愛知、京都などでも、検出されうるのではないかと懸念されます。その意味で、検出はもっと広域から行われることになるのではないか。

また非常に重要なポイントは、汚泥は焼却処理がなされているということです。しかもダイオキシンを出さないために、高温での処理がなされています。その場合、雨などによって流され、集められてきた放射性物質にどのような化学反応がもたらされるのか。当然、沸点の低いものは、揮発して再度、大気中に出てしまいます。

恐らくはこれらの影響もあって、汚泥処理施設の周りの放射線量が高くなっている地域が多く、「中には汚泥の保管場所を「放射線管理区域」に指定する自治体も出ています」とNHKは報じています。具体的には前橋市の名があげられている。」

今にして思うのは、あの時、政府は放射性物質の焼却を中止すべきだったということです。もちろん、この国の廃棄物処理はその多くが焼却によっていますからそれは大変困難なことであったでしょう。

だとするならば、つまり何百歩も譲ったとしても、最低限、焼却の大いなる危険性を社会に対して明らかにし、被曝防護の徹底化を呼びかけるべきでした。それで防げる被曝もあったはずです。しかしそうした防護策はまったく出されなかった。このことで人々は2次被曝、3次被曝とでも呼べるものに遭遇しました。首都圏を含む膨大な数の人々がです。

このように本来、住民を守る義務を負っているはずのこの国の官僚は、事故直後から続けられてきた焼却による被曝から人々を守りませんでしたし、いまもなお守ろうとしていません。それどころかいわば「現に起こっている事態に法律を追いつかせること」に心血を注いだのでした。その結果として出て来たのが8000Bq/kgという数字であったわけです。あまりにも本末転倒したものであることを私たちはおさえておく必要があります。

 

3、8000Bq/kgの初めての提示

さて問題の8000Bq/kgという数値は、6月16日に「原子力災害対策本部」から出された関連省庁への通知の中で初めて登場しました。8000Bq/kg以下の「上下水処理等副次産物」を、通常の管理型処分場で埋め立てて良いとする技術基準が示されたのでした。環境省を含む各関連省はこれに基づいてその後の方針を策定していきました。以下が問題の通達です。

放射性物質が検出された上下水処理等副次産物の当面の取り扱いに関する考え方

http://www.mlit.go.jp/common/000147621.pdf

 

さらに6月23日に環境省が福島県内での方針を発表しました。福島県内において「上下水処理等副次産物」と同じく8000Bq/kgまでの放射性廃棄物を管理型処分場で埋立て良いとする基準が示されました。

福島県内の災害廃棄物の処理の方針

https://www.env.go.jp/jishin/attach/fukushima_hoshin110623.pdf

8月30日にはこれらを受け、「放射性物質に汚染された廃棄物の処理」と「土壌等の除染」の二本柱からなる、いわゆる「放射性物質汚染対処特措法」が新たに公布され、一部施行されました。これによって、それまで原子力災害対策本部からの通知や環境省からの方針の形で出されていた、8000Bq/kg以下のものを一般の廃棄物と同じく通常の管理型処分場で埋め立て可能にすることが合法化されたのでした。

「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」

http://www.env.go.jp/jishin/rmp/attach/law_h23-110a.pdf

 

4、問題の本質は被曝が野放しに続けられていることにある!

以上が8000Bq/kgという数値が出て来たもともとの経緯ですが、ここまでで整理すべきことは、そもそも問題の背後にあるのは、放射性物質の原発外への放出を想定せず、原発外での放射性物質の管理に関する法律を作ってこなかった国の大きなあやまり、責任にあるということです。ここにはもともと「原発の外へ膨大な放射能が漏れることなどありえない」という認識が、原発を動かす上での住民への重大な約束であった事実も含まれています。このことだけでも本来、原子力政策が放棄されるべき重みがあります。

しかもこの国の官僚たちは、法律を作ってこなかっただけでなく、現に進行する被曝になんら歯止めをかけようとせずに、ただ法的つじつまをあわせることばかりを進めてきたのでした。私たちはあくまでもこの責任を追及し続けるのでなければなりません。

同時にこうした被曝の野放しや、さらなる被曝の強制にストップをかけるために、この大きな法的かつ道義的欠陥を民衆側から埋め合わせるものとしての「放射能汚染防止法」を策定していくことが問われています。

このもとで放射性物質の危険性への注意喚起をもっと大規模に行い、放射性廃棄物を厳しく管理していくことで、これ以上の被曝を少しでも低減していくことこそが問われています。これがこの問題の本質であることをまずはおさえておきましょう。

続く

以下、5月28日の学習研究会のお知らせを貼付けておきます。

*****

放射性廃棄物拡散問題第8回学習研究会

福島第一原発事故で放出された放射能にさらされ、除染作業などによって集められた膨大な放射性「汚染土」。これを8000Bq/kgのものなら公共事業で再利用してしまえというあまりにひどい政策が進められつつあります。私たちは、この問題についての学習研究会を立ち上げ継続してきました。

第8回研究会は、前回に引き続いて全国で活発化しつつある放射能汚染防止法制定の動きについて考察します。テキストとして『制定しよう 放射能汚染防止法』(山本行雄著 星雲社)を使います。それぞれの方がお持ちになる必要はありません。主要部分をレジュメ化してご紹介します。
今回も基調的な報告を守田敏也さんが行い、その上でみなさんのご意見をお聞して討論します。ぜひご参加ください

5月28日(日) 午後2時~4時
場所 市民環境研究所(京都市左京区田中里ノ前21石川ビル305)
主催 NPO法人・市民環境研究所

呼びかけ 石田紀郎(市民環境研究所代表理事)
     守田敏也(フリーライター・市民環境研究所研究員)
参加費 若干のカンパをお願いしています。
連絡先 090‐5015‐5862(守田)

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明日に向けて(1382)被ばくのリスクといかに向き合い生き抜くのか(5月27日西宮市でお話しします)

2017年05月23日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)
守田です(20170523 23:30)

5月27日阪神・市民放射能測定所4周年企画に呼んでいただきました。西宮市勤労会館で午後1時よりお話しします。
測定所の設立記念に呼んでいただけるのはとても光栄です。しかもこの測定所では4年前の開設式にも呼んでいただいています。
放射線被ばくから人々を守るために奮闘してきたみなさんの4年間の思いをしっかりと受け止めてお話しします。

今回は以下のような構成でお話しします。
1、福島原発事故後の放射線被ばくの現実
各地への取材の中でつかんできた、「いま実際に起こっていること」をお話しします。岡山に避難移住された三田茂医師からいただいた、東京での被ばくデータの一部も紹介します。
2、被ばく影響が深刻化していながらなぜそれがまともにとりあげられないのかの原因についてお話しします。端的には放射線防護学が広島・長崎の被爆者調査を下に、核戦略を進めるアメリカのもとで作られて来たこと、だからこそ被ばく影響が徹底的に過小評価されたことについてです。先日参加した「全国被爆2世3世交流と連帯の集い」の中での被爆2世の健康問題を扱った分科会で得た最新の知見についても触れます。
3、被ばく影響過小評価のからくりの根幹にある隠されて来た被ばく=内部被ばくの実相についてお話しします。
4、被ばくの避け方を外部被ばくと内部被ばくの双方、および両者の合わさった「汚染」に即してお話しします。なおこれらは黄砂やpm2.5からの防御にも適用できます。
5、被ばくに対抗するための食べ物の選び方や食べ方についてお話しします。

前半が被ばくの現状と歴史と論理、後半がリスクと向き合うための実践編です。
これからの時代の中で命を守り抜くための知恵です!

ちなみに僕はこの間、群馬県に繰り返し講演に赴いたり、あるいは各地からの避難者の方達から情報を頂いたりする中で、被ばく影響が本当に深刻にあらわれていることを痛感しています。
これに向かい合おうとしない点において、この国の現政権や為政者たちが滅びることはもはや確実なのですが、問題はこのままでは多くの人々がこの崩壊に巻き込まれてしまうことです。
この事態を転換するためにまず一人一人が命を守っていただき、同時に、命を守るすべをつかんでできるだけ多くの人に伝えていただきたいのです。
守るべきは子ども達だけではありません。もちろん子どもを守ることは当然ですが、しかしそのためにも大人達が身を守らなくてはなりません。大人が倒れたら子どもを守れない。

また「自分は高齢者でどうせもう先が長くないからいい」とおっしゃる方が時々おられますが大きな間違いです。
「先が長くない」といっても、その期間をどのように過ごすのかで人生は大きく変わります。
最後まで楽しい生を送れるのか、それとも病の苦しみにもだえながら生きるのかです。

この間、よくみられるのは、被ばくによって現にある身体の弱み、悪いところが急速に悪化していくことです。
もともと高齢化することは、さまざまな身体の不調がでてきたり、何らかの病にかかったりすることですが、被ばく影響はそれを加速させ、苦しみを増します。
その場合、ご本人も辛いですし、周りで診なければならない人も辛い。誰もが辛いです。
だからご本人に、人生の残された時間を可能な限り、病の苦しみにとらわれず、あるいは少なく生きていただくことが、実は周囲の誰にとっても幸福なのだと僕には思えるのです。もちろん病と格闘しながらの充実した人生も現にたくさんみてきましたが、だからといって痛みや辛さは誰にも味わって欲しくない。

とりわけどうみても脳の被ばくは認知症を促進させます。記憶をつかさどる海馬帯が放射線被ばくに弱いからと解釈されていますが、認知症になると何より本人が不安の中に落ち込んでいきます。介護する側も大変ですが、本人も苦しいのです。
これに対しては社会的介護体制をもっと充実させていく必要がありますが、しかしこの国はまったく逆方向に走っている。高齢者、そしてまた障がい者の社会的介護体制の脆弱さが、本人にも介護者にも苦しいあり方を促進させています。だから私たちは高齢者を、そしてまた障がい者をみんなで守らなくてはなりません。
子どもとともに高齢者、そして障がい者もまた放射線弱者であることをしっかりとみつめて、誰をも被ばくから守ってゆくことが大事です。

そのために大事なのは現状認識を深めることと、防護の知恵を少しでも膨らませて、実現可能な防護策を実践していくことです。
そのために「被ばくのリスクといかに向き合い生き抜くのか」を心を込めて精一杯お話ししますので、ぜひ会場に足を運んでください。

最後に企画案内を貼付けておきます。
僕も「だるま森+えりこ」の歌・演奏、朗読を堪能してからお話しします。

*****
 
原発事故から6年 脱被ばく社会の実現をめざして
阪神・市民放射能測定所4周年企画
https://nukecitizen.ojizo.com/publish/20170527_4syunenkikaku.pdf

原発事故から7年目に入りました。原子力緊急事態宣言は解除されていないにもかかわらず、避難者への住宅支援の打ち切りや避難区域の解除が強行されています。

過酷な汚染実態や健康被害実態は隠され、原発事故への国民の関心が薄められようとしています。しかし、子どもたちの命を守ろうと避難移住した人々、汚染された大地で少しでも被ばくを避けて生きようとする人々が存在する事実を消し去ることはできません。

多くの市民が、原発事故をきっかけに脱被ばくを選択する権利が認められ、原発のない社会をめざそうと決意しました。私たちは、この思いにこたえて、取り組みを続けて行きます。未来に希望をつなぐ和やかな交流ができたらと思います。是非ご参加ください。

記念講演(13時)
「原発事故から6年。被ばくのリスクと向き合い、未来を生き抜くために」
守田敏也さん(フリーライター)
放射能汚染や健康被害隠しの実態や被ばくを避けて生き抜くすべなどをお話しいただきます。

5月27日(土)11時〜16時30分
西宮市勤労会館 第8会議室
資料代500円 阪神西宮駅東へ10分・JR西宮駅南7分
キッズスペース用意します

プログラム
11時 開場
会場では測定結果等の展示や有機野菜やお昼弁当なども販売します。ゆっくり過ごしていただけます。

12時30分 歌・演奏と朗読
総合工芸芸術家
だるま森+えりこ 
「After311のこどもたち」

13時 測定所からのあいさつ
記念講演
守田敏也さん
質疑応答

15時 交流会(発言予定)
有機無農薬栽培農家
避難移住の方々

16時30分 終了

企画内容
●展示:土壌・肥料・食品等測定結果
●3年間の測定記録冊子等書籍販売
●有機無農薬野菜販売(放射能測定済)
●お昼弁当販売(有機無農薬・測定済)
●放射能無料測定(1リットル要)

阪神・市民放射能測定所
〒662-0916 西宮市戸田町5-21
Tel 050-5317-4016 Tel/Fax 0798-34-2315
mail: shs.hanshin@gmail.com
blog: http://hanshinshs.blog.fc2.com
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明日に向けて(1381)迫り来る危機に備えよう!―書評『南海トラフ地震』(山岡耕春著 岩波新書)上

2017年05月19日 09時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20170519 09:00) 

 

連続9日間企画参加というすごい日々を送っています。

週土曜日の「ウチこま」企画を皮切りに、日曜日からは徳島県各地でお迎えいただきました。

県内4カ所で講演するとともに、徳島で平和と安全のために日夜奮闘している多くの方々と知り合うことができました。

各会場とも議員さんの参加も多く、毎夜、楽しい交流もさせていただきました。

徳島講演ツアーを企画してくださった、山本純さん(市民連合徳島代表)やコープ自然派しこくさんなど、関わってくださったみなさん、参加してくださったみなさんに心からお礼申し上げます。

 

その後、後藤政志さん、筒井哲郎さんの緊急講演会に入っています。

昨日は大津市で開催。会場いっぱいの参加者にめぐまれました。

今日は午後1時半から京田辺市立社会福祉センターにて、午後7時過ぎからキャンパスプラザ京都にて同じ企画を行います。

その前の午後6時ぐらいから、後藤さん、筒井さんとともに京都駅前の関西電力京都支店前金曜行動にも参加します。講演会はキンカン後、7時15分頃から始めます。

 

さて話を徳島での連続講演に戻したいと思います。今回のタイトルは『南海トラフ地震と原発』でした。

講演に向けて、僕自身、あらためて南海トラフ地震について学び直しました。

テキストに選んだのは、記事タイトルにも掲げた『南海トラフ地震』(岩波新書)でした。2016年1月20日第1刷発行ですので、最新の知見も盛り込まれています。今日はこの書についての評論を試みたいと思います。

 

本書は以下のような構成で成り立っています。

このうち第1章と2章を読むと、南海トラフ地震とはどのようなものか、基軸的なことがつかめます。

 

序章 巨大地震の胎動

第1章 くり返す南海トラフ地震

第2章 最大クラスの地震とは

第3章 津波、連動噴火、誘発地震

第4章 被害予測と震災対策

 

まず南海トラフとは何かですが、東海地方から西日本太平洋側の海底の地形につけられた名前のことです。

トラフ(trough)とはもともとは家畜を飼育する桶のことだそうで竹を半分に割ったような形状のものを指します。

海底の中でプレートが沈み込む場所ですが、地形の急峻なものを「海溝」と呼ぶことに対して、穏やかなものが「トラフ」と呼ばれています。

 

南海トラフの東の端は伊豆半島の西側の駿河湾の奥です。このあたりは駿河トラフとも呼ばれます。

伊豆半島の東側は、南海トラフには入りませんが、相模トラフがあり、関東大震災の震源域になっています。

南海トラフ自身は、ここから御前崎、潮岬、室戸岬、足摺岬の沖合を経て、九州近海まで延びています。

 

特徴的なのは潮岬を境に、東側と西側に別れて地震が発生することが多いことです。

東側を東海、ないし東南海地震、西側を南海地震と呼びますが、当時に起こったこともあれば別々に動いた場合もあります。

別々といっても2~3年の間をもって連動したり、わずか30時間後に起こったりもしています。

 

歴史上もっとも古く記録されているのは684年の白鳳地震。この時は潮岬の西側が動きました。

以下、地震の起こった年号と地震の名、動いた地域を示します。

 

887年  仁和地震         東西

1096年 永長東海地震   東

1099年 康和南海地震   西

1361年 正平地震         東西

1498年 明応地震         東

1605年 慶長地震         東西

1707年 宝永地震         東西

1854年 安政東海地震   東

1854年 安政南海地震   西

1944年 昭和東南海地震  東

1946年 昭和南海地震   西

 

歴史上、最も大きかったのは1707年の宝永地震。マグニチュード8.6でした。

その次の安政東海地震と安政南海地震は30時間で連続して起こっています。

最も新しい地震は昭和東海地震と昭和南海地震。それぞれ73年前、71年前に起こっています。

昭和の東南海地震は12月7日に起こりましたが、翌年1月13日には連動して三河地震が起こっており、よりたくさんの人が亡くなっています。

また南海地震では室戸岬や足摺岬が隆起した反面、高知市が1メートルも沈降し、津波被害を拡大させました。

 

さて問題は次の地震がいつ来ると予測されるかです。

本書では「時間予測モデル」による予測が紹介されています。規模の大きな地震の後は長く休み、規模の小さな地震後の休みは短いという考え方です。

これによると昭和の地震は比較的小さいものであったため、次の地震が起こるまでの間隔はなんと約88年と予測されています。

現在まで73,71年経っているわけですからあと15~17年です。

 

もちろんこれはあくまでも予測であった、現在の地震学では確実にいつ起こるかを確定することはできません。

しかし南海トラフ地震は数ある地震の中でも、古くからの文献にもっともよく記されて来たもので、それをみると100年から200年ぐらいの間に繰り返されています。

その点からこの地震は「確実に来る」地震であることは間違いないのです。

南海トラフ地震は必ず起こる!このことを踏まえて、地震の特徴をつかみ、対策を施していく必要があります。

続く

 

 

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明日に向けて(1380)どうなる?東芝・高浜・福島 後藤政志さん・筒井哲郎さんにお聞きします。

2017年05月11日 12時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)
守田です(20170511 12:00)

原発メーカー東芝が坂を転げ落ちるように崩壊しています。安倍政権の成長戦略の主要な柱の原発輸出路線が大きく揺らいでいます。残りの原発メーカー三菱重工も日立製作所も苦況に陥っていて経済誌でさえ輸出政策が無謀であることを指摘し出しています。

これに対し政府と原子力規制委員会は原発再稼働を急いでおり、高浜原発がこの5月17日にも再度、動きだそうとしています。輸出の道が閉ざされて焦っているのでしょうが、だからこそとても危険。この流れを止めるために東芝・高浜・福島を最もよく知るお二人の緊急講演会を設定しました。大津市、京田辺市、京都市の3会場で行います。

まずお二人に話していただいてから、僕がコーディネータを努めて、ディスカッションをしてみんなで内容を深めていきたいと思っています。ぜひご参加ください。

後藤政志さんをご紹介します。後藤さんは博士(工学)で1989年から東芝で柏崎刈羽原発6号機、浜岡原発、女川原発の格納容器設計に携わられ2009年に退職されました。
福島原発事故時は何が起こっているのかを的確に解説され、その後技術者などからなるNPO法人APASTを主宰しつつ国の再稼働の動きを批判し続けておられます。原子力市民委員会などさまざまな分野で活躍されています。
最近では東芝問題でも社会的発言を深めておられます。原発輸出を進めた東芝の幹部たちの内情もよくご存知ですが、ゴシップ的な話題は極力避けて、原発輸出の何が最も問題だったのかをきちんと抽出し、分かりやすくお話されているので、ぜひ聞いていただきたいです。すでに一度、4月23日に京都市で緊急講演をしていただき、その主旨を「明日に向けて」にまとめていますが、今回はこれに加えて17日にも4号機が再稼働されようとしている高浜原発の構造的危険性についてもお話いただきます。
なお僕とは福島原発の事故当時、後藤さんの発言を僕が次々とノートテークし、文字起こしして発表したことからご縁を結ばせていただいてきています。これまでに京都市、舞鶴市、彦根市などでもジョイント講演をさせていただいています。

続いて筒井哲郎さんをご紹介します。筒井さんは東大工学部卒で1964年から千代田化工建設で国内外のプラント設計・建設に携わり、イラク製油所プロジェクトのエンジニアリングマネージャーを務められました。ほかでも各種のプラント建設にプロジェクトマネージャーとして関わられた経験をお持ちです。現在はプラント技術者の会や原子力市民委員会などで原発の危険性を訴え続けておられます。APASTの理事でもあります。
僕は後藤さんのご紹介でお会いさせていただきました。そのときイラクで数千名の技術者を率いてプロジェクトリーダーをされた経験を聞いて「凄い方だな」と思ったのですが、そのとき筒井さんが「守田さん。私たち技術者は束でなんぼなんですよ。1人じゃ何にもできないのです。集まらないとダメなのです」とおっしゃったことがとても印象的でした。ちっとも偉そうなところがなくて、ますます「本当に凄い方だなあ」と思いました。
筒井さんはアマゾンブックレビューでも有名な方で、実にたくさんの書評をなされています。しかもどれも的確です。僕の本もとても良く紹介してくださっています。以下をご覧下さい。

書評「内部被曝」
https://www.amazon.co.jp/review/RYVAX92WRS2DJ/ref=cm_cr_dp_title?ie=UTF8&ASIN=4002708322&channel=detail-glance&nodeID=465392&store=books
書評「原発からの命の守り方」
https://www.amazon.co.jp/review/R1SF9YWLEW6YBN/ref=cm_cr_dp_title?ie=UTF8&ASIN=4907717431&channel=detail-glance&nodeID=465392&store=books

後藤さんも筒井さんも、豊富な現場経験をお持ちで、そこから原発の抜本的な危険性、再稼働に向けた新規制基準の愚かさ、そして難航する福島原発の事故処理の現状などを解き明かされ続けています。
それにとどまらず、安全工学の考え方や技術のあるべき姿も説かれているのですが、こうした方達のお話を聞いていていつも思うのは「実は日本の技術はこんなに高度で優秀なんだ」ということです。
こうした技術者のまっとうな声が通れば、社会はもっと安全でよくなるはずなのに、それを政治と経済が歪めているのです。僕はお二人のお話を聞かれるみなさんに、単に原発の危険性だけでなく、本来、技術とは何なのかを学び、考える契機もつかんでいただければと思っています。

そもそも技術は私たちの世を成り立たしめる根本にあるものであり、それそのものが社会的共通資本です。けして市場の弱肉強食の論理や、官僚の恣意的差配に委ねてはいけないのです。
技術者と市民からなるもっと開かれた社会的共通資本としての技術の管理のあり方を私たちは見つけだしていく必要があります。
そんなことをも射程に含めつつ、ぜひ学びに来てください。

大津会場
5月18日(木)
午後5時半から8時まで
大津市生涯学習センターにて
JR琵琶湖線「膳所駅」下車徒歩20分
主催 後藤さん筒井さんの話を聴くしが実行委員会
連絡 09082080423 にしむらしずえ

京田辺会場
5月19日(金)
午後1時半から3時半まで
京田辺市社会福祉センター3階和室
近鉄新田辺駅下車徒歩15分
主催 3.11ゆいネット京田辺
連絡 09021901258 坂本まゆみ

京都会場
5月19日(金)
午後7時過ぎから9時半まで
当日は関西電力京都支店前行動があるので終ってから始めます。
キャンパスプラザ京都第1会議室
JR京都駅下車徒歩3分
主催 自由と平和のための京大有志の会
連絡 09050155862 守田敏也

参加費は各会場とも1000円

〜お二人の話を同時に聞くことができる機会は、しが、京都では滅多にありません。ぜひお誘い合わせの上、ご参加ください!〜

全体統括
後藤さん筒井さんの話を聴く会(09050155862守田敏也)

Facebookイベントページも紹介しておきます。
https://www.facebook.com/events/312551532497978/
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明日に向けて(1379)金儲け優先のひどい京都を変えたい!ぶっちゃけ選挙ばなしにご参加を

2017年05月09日 22時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20170509 22:00) 

5月13日に京都市内で「ぶっちゃけ選挙ばなし」を行います。
午後1時半から4時半まで。洛陽協会で開催します。主催は僕も参加している「ウチら困ってんねん@京都」です。
私たちは選挙の中でもとくに京都市長選を問題にしています。3年後です。
「なんでそんな先のことを」と思われるかも知れません。「それより野党共闘が先ではないの」とも思われるかも。

そうですよね。3年という期間を考えるとそれまでに衆議院選がやってくるでしょう。もちろんそれもとてもとても大切なことだと思います。
それでもこれまで2008年、2012年、2016年と京都市長選に取り組んで来て、私たちが痛感したのは、市長選には4年間を、いやそれ以上をかけなければダメだということでした。
それで私たちは、前回2016年の市長選で本田久美子さんが破れたその日から、もう次に向けた取組を始めました。

といっても京都ではまだ誰も次の市長選へのトライを表明していないのですが、そもそも「候補が決まってから選挙に取り組むのでは遅い」というのが私たちの考えたことなのです。
一番大事なのは京都市の現状を変えることです。私たちはそれを日本社会全体を変えることにもつなげたいと思っています。京都の現状を変えることで日本のいまに一石を投じたい。
その際のエネルギーは何なのかと言えば、京都のいまとこれからを憂い、もっと明るい未来を作ろうと欲している人々の心だと私たちは思っています。だからそれともっと深くつながろう、寄り添い合おうという活動を私たちはすすめてきました。
それで「ウチら困ってんねん@京都」と、思っていることそのまんまをグループ名とし、困っている現実のシェアを進めてきました。

京都市の現状は、いまの世界を覆っている金儲け最優先の新自由主義のあり方を象徴しています。
例えば私たちが前回の市長選の時からみんなで関わり続けて来たのは、京都の下鴨神社にある糺ノ森を守る運動です。
下鴨神社をご存知でしょうか。「京都」と書かれたガイドブックをみると必ず1ページが割かれているきわめて知名度の高い神社です。
世界遺産にも登録されています。世界遺産に登録されることが必ずしもいいことでもないのですが、ともあれ多くの人に知られた由緒ある神社です。

この神社をおおう祈りの森が「糺ノ森」です。都市化の波の中でも、長く保全されて来た森で、この地域に自生する木々なども混じったとても美しいところです。
ところがなんとその一部が神社によって不動産会社に売られてしまい、大金持ちを対象としたマンション建設が始まってしまったのです。
一番驚いたのは神社の周りに住んでいた人々でした。「私たちの大切な場をお金儲けのために売らないで」と叫ぶ住民運動が始まりました。
私たちは前回の市長選のときに糺ノ森を守ろうとする住民の方たち(糺ノ森 未来の会)と出会い、交わり、自分たちのこととして美しい糺ノ森を守る運動に加わりました。

みなさん。「そうだ、京都、行こう」という言葉をどこかで聞いたことがおありですよね。JRが京都旅行を売り込むために考え出したキャッチコピーです。
なんで「京都、行こう」なのでしょうか。京都に行けば、この国の古き良きもの、美しきもの、美味しいものに触れられると感じるからですよね。
しかしその京都では、長い間、地域の人々に一番大切にされてきた場が、お金儲けのために切り売りされているのです。京都という由緒ある町が虐待を受けているように僕には感じられます。

糺ノ森について、より詳しくは以下の「糺ノ森 未来の会」のFacebookページをご覧下さい。
https://www.facebook.com/糺の森-未来の会-394941354026233/
 
そもそも京都は観光で成り立っている町でもありますから、糺ノ森の破壊は京都の観光資源を台無しにすることでもあって、長い目で見れば誰も得をしない愚作です。
しかし少し前なら保守の方たちからすら待ったのかかったこうしたことまでがまかりとおってしまうのが、新自由主義の特徴です。
なぜって目先の株価のつり上がりばかりに意識が支配されて、先々まで見通して大切なものを守っていく観点がつぶされてしまうのが新自由主義だからです。
 
京都では他にも、二条城の周りの木々が切り広げられ、巨大なバスターミナル建設が進められたり、京都美術館の名前が企業に売られ「京都京セラ美術館」に変えられようとするなど、歴史的な宝ものの切り売りが続いています。
それで私たちはいつしか京都の良きものを守る側に立つようになりました。京都では少なくとも私たちの方が真性保守です。
京都の大切なものを守ること、歴史の中で長々と伝えられて来たさまざまなものを未来世代からの借り物と考え、大事にし、守り抜いて未来に渡して行くこと、それをしなくてはならない。そのために市政をかえる必要があるのです。

もちろん私たちが扱っているのはこうした問題だけではありません。これもまた新自由主義の特徴として、市民の生活に関する支出がどんどん切り縮められてしまっています。
とくに酷いのが教育や保育、福祉などの予算が切り捨てられ、現場がひどい状態になっていることです。
私たちはその犠牲者の1人として、あもう君という男の子のお父さんの榛葉さんと出会いました。あもう君は京都市の認可保育園のプールで溺れて亡くなってしまい、お父さんは裁判を闘われています。

その話を聞いた時に、あまりのことに唖然とするものがありました。そもそも榛葉さん夫妻はあもう君が「トイレで吐いたので救急車を呼んで運んだ」と言われて病院に呼び出されたのでした。
ところが病院に着いた時、ご両親は救急医から「非常に重篤な容態ですから覚悟してください」といわれたのでした。にもかかわらず園の側はまともな説明をしようともしなかった。
あもう君は結局、7日後に低酸素脳症で亡くなりました。2014年8月6日のことでした。ところが園はその間も子ども達の保護者達に「あもう君は体調不良で意識不明になった」と説明し続けました。未だに真実を知らない方がいるそうです。

その後も保育園と京都市は、榛葉さんご一家にあまりに冷酷で不誠実な対応をし続けました。そもそも死亡事故があったのに責任者の園長が会おうともしない。もちろん事実経過も何も明らかにされませんでした。
榛葉さんが一番知りたかったのは、あもう君がどのように亡くなったのかでしたがそれすらがまったく知らされない。そもそも誰も榛葉さんご夫妻にお詫びもなければ説明もない。
京都市はこうした保育園のあり方を擁護するばかりで、まったく榛葉さんたちの味方をしてはくれませんでした。ひどすぎる。涙無くしては聞けないお話です。‥この件に関しては詳しくは以下のページをご覧になってください。

あもう君の会 京都市認可保育園 プール死亡事故について
事実経過
http://www.withamou.com/summary
 
私たちが知ったのは命があまりに軽視されていることでした。そして悲しみに暮れている犠牲者、被害者に、京都市政がこれほどまでにむごくあたっていたということでした。
ぜひみなさん、それが「そうだ、京都、行こう」とJRがキャンペーンしている、いまの京都のリアルな一断面なのだということを知ってください。「おもてなし」も「和のこころ」も口先ばかり。拝金主義と命の軽視、そうして苦しむ人々をさらに踏みにじるような市政がまかり通ってしまっているのがいまの京都です。
 
だからこそ選挙で市長を変えたいのですが、しかし私たちの前には大きな壁が立ちはだかっています。
京都市政では長い間、共産党が唯一の野党であとはオール与党体制となっており、京都を変えようとする候補が共産党の支持を受けると、マスコミもすぐに「オール与党対共産党」と書き立ててしまいます。
それだけで選挙への関心が低まってしまい、結局、市政は改善されず、大切な場がお金で売り払われ、子どもや福祉のための予算が切り捨てられることが続いて来ているのです。
 
これを変えるために知恵を寄せ合おうというのが私たちの目指す「ぶっちゃけ選挙ばなし」です。
その際、「これまでの選挙のやり方はどうなん?」とか「候補ってどこでどうやって決まるの?」とか、いろいろなことをぶっちゃけあい、これまでになかった発想を少しでも広げることを目指したい。
その意味で私たちの自己変革、脱皮をも目指したい。これまでの閉塞感を打ち破り、私たちの手で新しい市長選挙をつくりだす道をひねり出したいと思います。
 
いずれにせよ、大事なのは、誰が候補になろうとも、その方に京都を変えてもらおうというのではなく、一緒になってみんなで京都を変えてゆくうねりを作って行くこと。
私たち「ウチら困ってんねん@京都」自身は、いまはもう一度、前回の市長選の候補、本田久美子さんに立って欲しいと考え、勝手に応援することを決めていますが、後からもっと違う方が出てくるのならそれでもいい。
誰が乗ってもすぐに快速で走り出せるような神輿をいまからもう作ってしまうこと、そのムーブメントに市長候補を迎えようというのが私たちの目指すところです。
 
日本はいま、大きな曲がり角に来ていて、私たちは憲法を守らなければいけないし、共謀罪を作らせてはいけないし、原発の再稼働もやめさせなくてはなりません。
沖縄の辺野古に新基地を作らせてはいけないし、原発事故の避難者を守らなければならないし、保養もやって、もっともっとたくさんの人が避難できるようにしなくてはいけない。
だからこそ野党共闘も進めて国政のあり方を変えなくてはいけないし、そのためにも森友問題だって、ここで安倍首相を逃がさないために、追求を続けなくてはなりません。
 
私たち「ウチら困ってんねん@京都」のメンバー自身が、いまここに書いたそれぞれの運動にも関わり、沖縄にいったり、祝島にいったり、本当に激しく動き続けています。いやここに書ききれないことも山ほどある。
その一つ一つの切実さ、大切さはだから当事者として分かりながら、しかし私たちは、私たちの立っている場の市政を、年月をかけて変えていく取組、みんなで未来のあり方を描いて行く試みもやらねばと思うしぜひやりたいと思うのです。
だから京都市民ではなくてもまったくかまいませんから、こんな私たちの試みにも立ち寄っていただけたらと思います。
 
今回は4人のスピーカーから選挙について思うところを話していただいて、その後にディスカッションを行います。
2008年、2012年に候補となった弁護士の中村和雄さん、
そのとき持ち寄って欲しいのは「自分が市長だったらどう京都市政を進めるのか」という思いです。そんなことをぶっちゃけあうところからも新しいヒントをつかめたらと思います。
 
以下にFacebookのイベントページを示しておきます。
まずはのぞいてみてください。お近くの方はぜひご参加ください。
 
京都のいまとこれからを考えるPart9
ぶっちゃけ選挙ばなしⅡ
https://www.facebook.com/events/223616921455479/
コメント (2)
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明日に向けて(1378)黄砂に要注意!身体を守ろう!

2017年05月05日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20170505 23:30)

 

黄砂が日本列島に迫って来ています!

昨日、中国の北京で今年初めての警報が出ました。

以下、TBSの報道をご紹介します。

 

北京で今年初めての警報、黄砂6日にも日本に飛来

TBS系(JNN) 5/5(金) 17:31配信

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20170505-00000060-jnn-int

 

報道によれば4日から5日にかけて北京がひどい黄砂に襲われたそうです。

中国が目安としているのはpm10!これが一時2000μを越えたそうなのですが、この値はWHOの定める24時間あたりの環境基準の40倍にもなるそうです。

ともあれ猛烈な黄砂が北京を襲ったのは間違いないことですが、これがいま、日本海を渡って、日本列島に迫って来ています。

6日夜から7日にかけて日本付近に到達する見込みと報道されていますが、大事をとって明日6日から7日は黄砂から身を守る態勢をしっかりととってください!

 

黄砂はもともとは繰り返し起こってきた自然現象です。

中国大陸内陸部のゴビ砂漠、タクラマカン砂漠などの砂塵が舞い上げられ、偏西風によって運ばれてくるものだからです。

黄砂は春に多く発生します。砂漠地帯は、冬の間はシベリア高気圧の影響で風が弱く、たくさんの雪にもおおわれていますが、春になると高気圧が弱くなり、低気圧が強い風を吹かせつつ、次々と通り抜けていくためです。

黄砂の成分にはさまざまな鉱物が含まれますが、全体の6割は二酸化ケイ素だと言われているそうです。この物質は、アレルギー反応を強める作用があり、花粉症、気管支ぜんそくなどを悪化させるそうです。中国や韓国の調査では、呼吸器系感染症、肺炎、心筋梗塞、脳卒中、アレルギー性鼻炎、結膜炎の増加が報告されています。

さらに近年、さまざまな研究者がこの黄砂にさまざまな人工的な大気汚染物質が付着していたり、細菌類なども運ばれて来ていることを指摘しています。中には放射性物質が付着していることを指摘している研究者もおり、とにもかくにも、身を守ることが必要なことは確かです。

 

ではどうしたら良いのかというと、シンプルですが、花粉対策、インフルエンザ対策をまねてください。

外出時はマスクを着用し、できるだけ頭まで覆えるヤッケやレインコート等を着用してください。外出から帰ったら、家の外で上着を払い、玄関より奥には持ち込まないようにし、さらにうがい、手洗いを徹底してください。家の中では洗濯物はこの時期は外に干さないようにし、窓を開けた時は拭き掃除を励行してください。それやこれや、黄砂からきっちりと身を守って行きましょう。

連休後半で行楽の時期なので、せっかくだから外出しようという方も多いと思いますし、夏日も多くなってきたのでマスクをするのもしんどいのですが、せめて黄砂到来の時期だけはこのことをまもっていただきたいです。

 

なお黄砂と放射性物質の関係を研究しているサイトを紹介しておきます。農業環境技術研究所のものです。

黄砂とともに飛来する放射性セシウム(137Cs)

http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/sinfo/result/result24/result24_68.html

 

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明日に向けて(1377)「南海トラフ地震と原発」のタイトルで徳島県各地でお話しします!(14〜16日)

2017年05月03日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20170503 23:30) 

【訂正】先に前回の記事の訂正をお伝えします。航空機内で放射線値測定を行ったことをご報告しましたが、放射線の単位をμ/Svと意味不明な形で表記してしまいました。正しくはμSv/h、マイクロシーベルトパーアワーの略です。お恥ずかしいです。また後半でオイルについてお話ししたところで「被曝の効能がある」と書いてしまっていますが「被曝の影響を抑制する効能」の間違いでした。どちらもお詫びして訂正させていただきます。(ブログ上は訂正済みです)

さて本日のお話に入ります。5月14日から16日まで徳島県各地でお話しします。

徳島でのお話は昨年9月14日にコープ自然派しこくの徳島センターさんに呼んでいただいて以来2回目になります。今回は交流を含み4箇所でお話しします。
今回の講演のタイトルは今回の記事タイトルにも使用したように「南海トラフ地震と原発」です。
昨年9月にお話しした時のタイトルは「安保のこと原発のこと〜平和の可能性を考える〜」でした。このため原発そのものの抱える構造的危険性の他、原発が原爆製造から生まれ、日本に押し付けられたこと、その後も日本がアメリカの軍事戦略のもとにいつも組み入れられて来たことなどをお話しし、平和と原発についてトータルに語らせていただきました。
このため残念ながら南海トラフ地震のことや、原発災害対策などはほとんど話せなかったので、今回のこうしたタイトルでまた徳島県でお話させていただけることをとてもありがたく思っています。ぜひ四国各地のみなさんに集っていただきたいです。(といっても四国はなかなか広いですが)
 
南海トラフ地震は今後30年間に70%の確率で起こるとされています。それもマグニチュード8〜9クラスの地震が予測されています。詳しくは以下をご覧下さい。
 地震調査研究推進本部
 http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/kaiko/k_nankai.htm
 
これは地震の予測としてはもの凄い高い確率です。例えば熊本地震の震源となった布田川断層帯が30年以内に地震を起こす確率は、ほぼ0〜0.9%とされていました。そもそも活断層では3%以上だと確率が高いと言われるのです。
多くの地震が非常に長い年月を周期として起こって来たためにこのような確率になるのですが、これに対して南海トラフ地震は短い周期で繰り返し起こっており、しかも前回の地震からすでにそれなりの年月が経ってるため、非常に高い確率がだされているのです。
ともあれ災害対策としては、M8〜9の地震が起こりうることをほぼ確実視して取り組む必要があります。
この南海トラフ地震の概要をお話しした上で、市民としては何をどう備えておけば良いのかをお話ししたいと思います。命を守る知恵をお伝えしますので、ぜひこの地震の大きな可能性に直面しているできるだけたくさんの方にお集りいただきたいです。
 
さらに原発の危険性と、原発災害対策についてもお話しします。
南海トラフ地震における災害について、僕が最近知った注目すべき情報は、大津波が発生した場合、四国の多くの火力発電所が水没し、広域で長時間の停電が発生する可能性があるということ。それも場合によっては8ヶ月に及ぶ可能性もあるそうです。
日常生活に大打撃がもたらされると思われますが、同時に非常に危険なのが伊方原発です。
この原発については、そもそも南海トラフ地震で発生する津波にやられた場合、避難経路がまったく確保できないとか、あるいは南海トラフ地震に連動して、近くにある巨大断層帯である中央構造線が動くのではないかなど、さまざまな危険性が指摘されています。
しかも中央構造線から原発まではこれまで10キロ近く離れているとされてきましたが、最新の知見では数百メートルしか離れていない可能性があることが見えて来ており、そうであるならば中央構造線が動くと直撃を受けて大惨事になってしまう可能性もあります。
 
今回、ご紹介するのは、この段階でまだ原発が壊れなかった場合のことです。その場合でも大停電の発生で全電源喪失になってしまう可能性があるわけです。もちろん新規性基準では電源喪失の場合の非常用ディーゼルエンジンを津波から守ることを求めています。このエンジンそものもも6割ぐらいの確からしさでしか稼働しないだろうと言われているのですが、かりにこれが動いたとしても、ディーゼルそのものが10日間分しか備蓄されていないのです。となるとここまで順調に動いたとしてもなお電源喪失してしまう可能性があるというわけで、電源が不足する中で長期の冷却をしなければならなくなることを考えたならば、今の時点でこれ以上、熱量を上げないこと、即刻停止することが必要だということが分かります。
 
この知見を僕に教えてくださったのは、先日、伊方原発運転差止広島裁判の時に現場でお会いした小倉正さんです。以下に小倉さんの記事を掲載した「原発さよなら四国ネットワーク」のページをご紹介しますのでご覧になってください。
 原発さよなら四国ネットワーク
 https://gensayo4koku.jimdo.com/伊方原発ここが危ない/6-大地動乱の時代-の本命-南海トラフ巨大地震が想定内なのに原発-震災-だけは想定外/
 
伊方原発は他にも即刻止めるべき理由がたくさんあります。このため僕も伊方原発運転差止広島裁判の原告団に加わっていますが、今回の徳島訪問に向けて、伊方原発だけでなく、南海トラフ地震そのものに関してももっと見識を深めて赴かせていただくつもりです。
これらを踏まえた上で、できるだけリアルに「原発と災害からの命の守り方」をお話ししようと思います。
みなさま。ぜひお越し下さい!以下、詳しい情報を貼付けます。
 
*****
 
守田敏也さんリレー講演会
〜南海トラフ地震と原発〜
https://www.facebook.com/events/1882441125302163/

10年以内に起こるとも言われている南海トラフ地震。備えるのは地震と津波にだけていいのですか?もし、近隣の原発が事故を起こしたら、あなたはどうやって命を守ることができますか?篠山市の原子力災害対策検討委員会の委員を務める、守田敏也さんにお話を聞きます。3日間のリレー講演会です。お近くの会場にぜひ足をお運びください(^-^)

5月14日(日) 13:00〜15:30
阿波市久勝公民館
電話 0883-35-2026
会費 一般500円 高校生以下無料

5月15日(月)
午前の部 10:00〜13:00
小松島市新開公民館
電話 0885-38-1931
会費 500円お茶お菓子付き

午後の部 お話&懇親会 18:00〜21:00
山本個人宅
電話 090-1326-5666
要予約
持ち寄りあるいは会費1000円
(詳しくはお電話ください)

5月16日(火) 13:00〜15:30
阿南市ひまわり会館21世紀室
電話 0884-23-6600
会費 500円お茶お菓子付き

いずれの場合もお子様連れ大歓迎
お問い合わせは090-1326-5666(山本)まで
お気軽にお電話ください。
協賛:COOP自然派四国(15、16日日中開催のみ)
私たちの明日を語り合う会
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明日に向けて(1376)飛行機での宇宙線被曝に気をつけよう!

2017年05月01日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20170501 23:30)

すでにお伝えしているように3月末から4月にかけてトルコに行ってきました。今回はトルコ航空を使う必要があったので、伊丹から成田に飛び、そこからイスタンブールに往復しました。我が家からは関空が近いのですが、最近になってトルコ行きの便が飛ばなくなってしまったのです。トルコへの日本人観光客ががっくり減ってしまったからです。

さて今回、機内にガイガーカウンターを持ち込んで、道中で宇宙線を計測しました。前にもドイツとの往復で測ったことがあったので、だいたいのことは分かっていましたが、今回は発表を考えて少し多めにデータをとりました。なお測定に使用したのはRadex1706です。

飛行機(旅客機)は高々度を飛ぶので宇宙からやってくるさまざまな放射線(宇宙線)の影響を受けます。宇宙線は概して高エネルギーで、その中のものが空気中の物質にあたり二次的にガンマ線なども発せられます。ガイガーカウンターが検知しているのはこれだと思います。

宇宙線は地上にいるときは空気の層がバリアになるのでかなり弱められます。これに対して高度が上がるにつれて空気も薄くなるため、その分、強くなります。だいたい1500メートルあがるごとに線量が倍になると言われています。

航空機がどれくらいの高度を飛ぶのかというと、JALの説明では1万メートルが目安として説明されています。高い所の方が、空気が薄くて機体への抵抗が小さいので燃料が少なくてすむからですが、だからといってそれ以上上がっていくと今度は空気が薄すぎてジェット燃料に十分酸素を混合させられず、燃焼力が弱るので、だいたいこれぐらいの高度に落ち着いているようです。

ただし高いところまで上がってそこから降りてくるのにはそれなりの時間がかかります。このため航路の短い国内線ではあまり高く上がらず、1万メートル以下ぐらいで飛び、反対に長い距離を飛ぶ国際線では11000メートル以上ぐらいを飛ぶ事が多いようです。ただし国際線の高さ、国内線の高さが、それとして決められているわけではなく、あくまでも上昇、下降の都合のようです。

それでどれくらいの値になるか、参考数値としてとらえていただきたいのですが、成田空港からトルコに向かったときの数値を示したいと思います。なおメートルをm、フィートをfと記しています。

国際線

高度7315m(24000f)
0.53μSv/h

富山上空辺り
高度8229m(27000f)
0.87μSv/h

高度8839m(29000f)
1.03μSv/h

高度9448m(31000f)
1.29μSv/h

高度9753m(32000f)
1.54μSv/h

高度9753m(32000f)
1.70μSv/h

中国上空辺り
高度10972m(36000f)
3.46μSv/h

高度11582m(38000f)
3.36μSv/h

高度5638m(18500f)
0.80μSv/h

だいたい11582m(38000f)で巡航していましたが、3.40μ/Sv前後の値でした。前にドイツから日本に戻って来た時は同じぐらいの高度で4.00μ/Svにもなったと記憶しています。

ただしこのガイガーカウンターはきちんと放射線値を測るためには80秒の計測を必要とします。今回はそれほど厳密に測定することができなかったので、概ねこんな感じだと、参考値としてつかんでいただければと思います。

帰りの成田からの国内線では、飛行機がどこを飛行しているのかもできるだけ把握するようにつとめました。以下、成田から伊丹に向かう途上でのデータです。

国内線

鎌倉上空辺り
高度9448m(31000f)
1.16μSv/h

大磯上空辺り
行動9753m(32000f)
1.36μSv/h

小田原上空辺り
高度9753m(32000f)
1.49μSv/h

裾野市上空辺り
高度9753m(32000f)
1.59μSv/h
出発から16分

愛宕山上空辺り
高度9753m(32000f)
1.63μSv/h

寸又峡辺り
高度8534m(28000f)
1.19μSv/h

浜名湖上空辺り
高度8534m(28000f)
0.98μSv/h
成田から25分

知多半島上空辺り
高度8077m(26500f)
1.06μSv/h
成田から29分

名古屋湾上空辺り
高度7467m(24650f)
0.81μSv/h

高度7162m(23500f)
0.74μSv/h

津市上空辺り
高度5943m(19500f)
0.58μSv/h

伊賀市上空辺り
高度4917m(16134f)
0.41μSv/h

成田から伊丹に飛ぶ場合、16分でもう富士山の前に至り、富士山を通過したあたりから降下を開始します。なんというか、あっという間です。

しかし国内線といっても札幌から沖縄まで飛ぶにはもっと高いところまで行くのかもしれません。このため国際線は高く、国内線は低いと決めつけるのは禁物ですが、しかし近距離のフライト、東京—大阪間ぐらいなら、高いところに至るのはわずかな時間だと考えて良いと思います。

あと飛行する緯度によっても違いがあるようです。地球の北と南の端、極点に近づくほどより宇宙線を浴びやすく、赤道付近の方が低いと記されています。

 

さて問題はこうした宇宙線の身体への害はあるのかどうかです。僕は間違いなくあると思っています。

今回、ガイガーカウンターで宇宙線を測りましたが、これは宇宙線が大気にあたった結果、二次的に生じたガンマ線を検知しているわけで、測れない他の放射線の影響もあるはずです。ですから「11500メートルは3.5μ/Sv」と言ってしまうことには危険性があるように思います。どこを飛ぶのかによる違いもありますが、それよりも大切なのは、あくまでこの数値は、この高度のガンマ線がこの値だったということを示しているだけで、この数値で宇宙線のすべてが把握されたことにはならないという点です。ただしそれ以上、詳しいことは僕もまだ良く把握できていません。

それでも国際線に乗った際に生じる「ジェットラグ・時差ぼけ」などの身体へのダメージの一部は被曝影響だと僕は強く思うのですが、これを裏付ける文献を探して、なんとNASAが問題にしていることが分かりました。以下の記事をご覧下さい。

 

『パイロットの放射線被ばく問題、浮上。NASA(米航空宇宙局)回避策提案』

http://tokyoexpress.info/2013/11/07/『パイロットの放射線被ばく問題、浮上%E3%80%82nasa米航/

少し引用します。

「ジェット機時代のパイロットの放射線被曝問題については『1990年代後半、EUでも取り上げられ2000年5月から実態調査が行われた』(BBC放送)。英国の有力な医学雑誌『ランセット』でもこの問題に警鐘を鳴らした。

白人パイロットだと飛行時間が5,000時間を超えると白血病の発症との因果関係がみられるという。皮膚がんに罹患する頻度が高いとも言われる。

FAA(米連邦航空局)がパイロットを原子力発電所で勤務する職員より年間被曝量は多いと見ており、『パイロットの職種を放射線作業従事者と扱う』(NASAニュース)が何よりの証拠だ。」

成田からイスタンブールの往復で約25時間飛びますから、これを200回重ねると白血病の発症との因果関係がみられることになります。はっきりとした関係があるわけです。

 

また僕自身、こうしたことを裏付ける証言を、先日、群馬県で講演した際に聞くことができました。

その前提として知ってまず知っていただきたいことがあります。日本の医師たちは概して放射線被曝への管理が甘く、内科医などしょっちゅうレントゲンを撮るので自らも被曝しているのですが、そのため顕著な影響が出ています。これは心臓の血管にカテーテルというワイヤーを通して、血管の弱っているところに補強材(ステント)を入れる手術を繰り返し行っていた医師から聞いたことですが、こんな証言が得られました。

「被曝の重なりで仲間の医師が白血病になったとか、そこまで深刻な話は聞いたことがありません。しかし確実に影響だと思われるものがあります。子どもが女の子しかできなくなるのです。そのため仲間が男の子を授かった場合、「もっと仕事しろ」とか「浴び足りないぞ」などと言われるのです」。

驚くべきことですが僕は同様の話を二人の医師から直接に聞きました。

これを前提に航空機内の宇宙線被曝に話を戻しますが、僕は群馬県での講演の中で、医師達から聞いたこの話をしたのですね。すると講演後に、ある航空会社で長い間、キャビンアテンダントをされてきた女性が寄って来て「守田さん。パイロットや客室乗務員も同じですよ」と教えてくださったのです。驚きましたが、さもありなんと思いました。

もっとも僕は、医師やパイロット、CAの被曝について、きちんとしたデータを持っているわけではありません。聞いた話しだけですので、どなたかより詳しいことを知っておられたら教えてください。

ともあれNASAの提案に加えて、実際に自分が聞いたこうした話から、僕は航空機内における宇宙線による被曝影響を危険なものとして捉えています。

 

それでは5000時間以上乗るパイロットに影響が見られるのは確かだとして、たまに利用する私たちの場合はどうなのでしょう。

ここでご紹介しておきたいのは、世界の放射線防護活動に絶大な影響を与えている国際放射線防護委員会(ICRP)が言っていることです。僕は、ICRPは内部被曝の固有のメカニズムを無視することで、被曝影響を非常に小さく見積もっていることなどさまざまな限界を抱えており、その体系への強い批判を行って来ていますが、そのICRPですら言っていることとして強調しておきたいのは次の点なのです。

「疫学から導出されている全ての推定値がそうであるように、名目リスク係数は特定の個人には適用されない」。(ICRP2007年勧告)

どういうことかというと、通例、語られているどれくらいの線量がどれくらいの人体への影響を及ぼすのかということは、いわば「平均的個人」に対して推定されていることで、現実の個人を指してはいないのだということです。被曝の感受性について、個人間に大きな差異があるためです。

この点を踏まえた場合、僕には航空機内の被曝で、無視できないダメージを受けられる方がおられると考えています。ただし自分の放射線感受性が高いか低いかも判別しようがありませんから、飛行機に乗るときは、誰でも被曝防護をされた方が良いと思います。

どうするのかというと、僕自身は大気汚染などから身体を守ってくれるあるアロマオイルを飛行前、飛行中に使用しています。とはいってもこれは西洋医学的な裏付けないものなので、このオイルに「被曝の影響を抑制する効能がある」と使うことをお勧めすれば薬事法に触れることにもなります。このためこの話は、あくまで僕が「なんか良い感じがすると思って使っている」程度でご紹介しておきます。

ではもっと一般的に勧められることとしては何があるのかというと、やはり身体の力をアップさせておき、被曝のダメージに耐えることにつきると思います。旅行前に体調をあげておくこと。帰って来てからもしっかり休んでダメージから回復しようとする身体の味方をしてあげることが大事だと思います。

さらに頻繁に飛行機に乗られる方、業務につかれている方の場合は、被曝の度合いを調べる電離放射線検診を受けられることをお勧めします。白血球の減少具合などから被曝影響を測ります。この検診自身に防護作用はないですが、身体に起こっていることをつかむには有効です。そしてその結果、深刻な状態が察知できたら、できるだけ飛行機に乗らないようにされた方が良いと思います。

これらについては電離放射線検診を行ってくださる医師とご相談ください。

 

ともあれみなさん。航空機を使う時には宇宙線による被曝にお気をつけ下さい。長い航路ほど被曝量は多くなります。

ただしこれを読んで「じゃあ、今度の東京—大阪間の旅は新幹線にしよう」と思われた方に一言。新幹線は東北や関東で走っている以外は放射線の影響はそれほどありませんが、しかし電磁波がすごいです。とくに窓際が高く、内側に少し身体をずらすだけで数値がぐっと下がります。これもまた僕が電磁派メータを持って車内計測して分かったことです。このため新幹線に乗る場合は、通路側の席に座られることをお勧めします。そうすると誰かが窓際に座るのでなんとも言えないのですが。

本来、これらは航空会社やJRなどが注意喚起すべきことですが、まったくなされていないので記事にしました。

みんなで、現代テクノロジーの負の側面から、身体を、命を守っていきましょう!

 

コメント (2)
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