守田です。(20160903 23:30)
信州大鹿村からの発信です。
今回で「明日に向けて」は1301回目を迎えました。
このタイトルにする前に「地震情報」の名で46本の記事を出しましたので実質的には1347本目になります。
ずいぶんたくさんのことを論じてきましたが、まだまだ足りない。もっともっとみなさんにとって必要で大事な論稿を紡ぎ出せるように精進を続けます。
この連載の大きな節目にみなさんにこの活動へのカンパを心より訴えます。
みなさんのお力でさらに活動領域をひろげ、もっと豊かな内容の発信を続けたいと思います。
なんのためのカンパをお願いするのか。今回は何回かにわけてお話ししたいですが、さしあたっては防災の日の9月1日もちなんで、災害対策のための活動の強化のためのご協力をお願いしたいです。
本日(3日)午前中に篠山市で消防団研修会に参加し講演させていただきました。毎年恒例の防災の日を前後した研修会で、このところ、毎年講演させていただいているのですが、今年は300人超の団員さんが集まってくださいました。
今日はいつもの「原発からの命の守り方」の内容に加えて、熊本九州地震と川内原発のこと、篠山の断層帯のこと、故障事故を繰り返している伊方原発の問題、さらに台風10号の被害に見られる水防への取り組みの強化の重要性、消防団活動を全国的にレベルアップすべきことなどをお話ししました。
研修会が朝9時半からだったため、前夜から篠山入りしたのですが、篠山市消防団の団長さんと筆頭副団長がご接待くださり、食事をご馳走になりながら歓談しました。
さまざまなことをお話ししましたが、重要なこととして、もともと消防団のメイン活動は消防ですから水防はメインではないこと、それでも篠山では団長さんの下で「やらねばあかん」と水防活動も強めてきたことなどを教わりました。
ある川と田んぼを水門で仕切っている場所でその水門が全部で4つあるところがあるのですが、水門の扱いがなかなか難しい。それで全部に土木工事経験者などの団員を張り付かせ、なおかつ4つが連携して上流から見事に連続して閉じて水害を防止するノウハウを「完全につかんだ」話等をうかがいました。水防のリアリティや極意をかいま見たような気がして興奮しました。
今日は団員の皆さんにも、本来、日本には水防団を作る必要があること、しかしそれがない現状では消防団が水防活動を強めていくことが必要で、そのためには消防団活動の予算と人員の拡大、とくに団員への手当のアップが必要であること、今後僕も各地でそれを訴えていくつもりであることなどをお話ししました。
実際、命を守る民衆的な力を強めるために、消防団の拡充、水防への取り組みの強化は必須です。みなさんにもぜひ着目していただきたいと思います。
とくに今回、台風が初めて東北に上陸して岩手で多数の方が亡くなられたこと、またその前に北海道に1週間で3つもの台風が上陸し(これも観測史上初)、その上に今回は上陸はしなくとも、大変な暴風雨が襲って数名の方が亡くなられたこと、さらに事前の3つの台風をあわせてなんと16228ヘクタールもの農地が被災し、影響が全国に及ぶ可能性があることなども考え合わせた時、この相次ぐ「観測史上初の事態」のオンパレードに全面的に立ち向かっていくことは必須の課題なのです。
現在(3日午後11時)、流れている情報によれば亡くなられた方の数は岩手県14人、北海道2人ですが、まだ行方不明の方がおられ、犠牲者数が増える可能性があるとのことです。また岩手でまだ800人の方が孤立状態にあるそうです。
北海道の農業被害をもう少し詳しくみると台風10号によって被災した農地は4134ヘクタールでした。この中には北海道の中でもとくに肥沃な大地が広がり、「食料基地」と呼ばれる十勝平野2370ヘクタールが含まれています。
破壊された農業施設も1471、しかも被害の大きな南富良野町などはまだとてもではないですが被害総数を調べられる段階にないので、今後、この数値は確実に増えます。
これ一つみても人的被害以外にもさまざま被害が出ていることが分かります。
しかも今はまだ9月の初め。台風はまだこの先もやってくるかもしれない。
雨をたくさん含み、地盤の緩んだ地帯にさらなる豪雨が重なる可能性もあります。私たちは腹を固めてこの危機に立ち向かわなくてはなりません。
いやもちろんそれは東日本だけのことだけではありません。台風12号が九州に接近してきています。
すでに鹿児島県十島村で、50年に一度という猛烈な雨が降ってしまいました。1時間の降水量が129.5ミリを記録したそうです。
これがどれほど凄いことかというと、雨の多い鹿児島県の年間降水量は約2200ミリ。なんとその20分の1以上がわずか1時間に降ってしまっているのです。1年間が約8760時間であることを考えるとどんなに凄いことか見えてくると思います。
ちなみにヨーロッパは日本よりも降水量がずっと少ないのですが、例えばポーランドのプラハの年間降水量の平均は500ミリです。十島村ではその四分の1が1時間で降ってしまった。驚愕すべきことです。
台風は4,5日にかけて九州に上陸し、北東に進路を変えて中国、関西にも接近する可能性があります。その後、日本海に抜けることも考えられますが、それで安全になるのでもない。これまで日本海を北東に進む台風は大量の雨を降らしているからです。今回の北海道の事態が示しているように、台風の被害は上陸地点ばかりでなく進路の東の地域で大きく広がる可能性をみておく必要があります。
しかも熊本・九州は4月からの大地震の連続で地盤が揺すぶられています。そんな中で8月末にまたも震度5弱の地震も起こっている。本当に自然災害が何度も襲ってきているのです。
こういう状態、明らかにここ数十年の気候の観測からは考えられない「観測史上初」のことが立て続けに起こっていることをみるとき、私たちがもっともっと社会的に災害対策を進めればならない必然の中にあることは明らかです。
私たちが知っておくべき事は、スイスの保険会社のスイスリーが、世界の660都市を水害の観点から比較し、危険度ランキングをつくったときに、なんとワースト1に東京・横浜圏があがっていることです。
大阪・神戸がワースト4、名古屋がワースト6です。スイスリーはワースト10の都市には「けして移住してはならない」との勧告まで発しています。
こうした迫り来る災害への対応のために、「自衛隊を災害救助隊に変えよ!」というのが僕がこの間、繰り返し主張していることですが、同時に、行政任せでない下からの災害対策の強化の必要性を訴えたいです。災害対策への民衆の能動的な取り組みが必要なのです。
中でも原子力災害対策への取り組みは最も重要です。なぜか。原子力災害こそ最も危険だからですが、同時にこの対策こそ、もっとも国や政府、官庁等を当てにできず、民衆が自らイニシアチブをとって進めなければならないものだからです。
まさに民衆の能動性の発揮が問われます。そしてそうであるがゆえに、この取り組みは災害全般への能動性の強化、発展にも必ずつながっていくのです。
今のこの国に迫り来る災害の危険性を考えるならば、この国には、尖閣諸島などにかまっている暇などまったくなければ、東京オリンピックをやっている余裕もないことは明らかです。
そもそもオリンピック中に大きな台風が来たらどうするのか。万が一、利根川が決壊したらどうなるのか。そんなところでオリンピックなどやっている場合かなどと考えれば、自ずから答えが出てくることです。
そのためにもさまざまな災害対策の飛躍的な強化を図ることをみなさんとともに行っていきたいと思います。
さてそのためには僕自身、もっと災害現場を取材し、研究し、多くのことを学んで災害対策の知見を増やしていきたいと思うのですが、これらはほとんど大学の研究機関などのみにまかされてしまっています。
そこで積極的に災害現場を歩く事をしたいのです。
さらに篠山市で行っている安定ヨウ素剤自主配布の意義をもっと多くの地域に広げたい。そのために各地の行政への説得の旅にも行きたいのですが、そのためには多くの調査費と研究費、旅費などが必要です。
ぜひ原子力災害対策を含む、あらゆる災害対策の民衆の側からの強化のために、お力をお貸しください!
以下、振込先を記しておきます。どうかよろしくお願いします!
振込先 郵貯ぎんこう なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151
他の金融機関からのお振り込みの場合は
店名 四四八(ヨンヨンハチ) 店番448 預金種目 普通預金
口座番号 2266615
なお今宵僕は大鹿村のある方の家に泊めていただいています。
篠山を午後に発ち、JR特急こうのとりと新幹線、高速バスを乗り継いで信州までやってきました。
ここの大鹿村で行われている「お山の上でどんじゃらホイ」に合流するためです。明日の午前中に「戦争、原発、憲法・・・平和の可能性はどこに?」のタイトルで心を込めてお話しします。
頑張ります。
このお話の後、それぞれの活動への取り組みへのご支援の訴えもまた書かさせていただきます。