守田です。(20150429 23:30)
安倍政権がアメリカで戦争に突っ走っています。
日米両政府は27日、ニューヨークで自衛隊と米軍の役割分担を決めた「日米防衛協力指針(ガイドライン)」の大幅な改定を合意しました。
最も重要な点は、従来のガイドラインが日本の防衛にアメリカが関与することをベースとする「安保条約」に基づき、日本有事、および朝鮮半島有事などの「周辺事態」への対応への指針としていたことに対し、地域的制約をなくしてしまったことです。
要するに世界中どこでも米軍の戦闘行動に自衛隊が参加することを約束してしまったのです。安保条約にも逸脱し、もちろん憲法9条にも完全に違反しています。
しかも安倍政権はより具体的な項目において、国内法を国会で審議し、成立させなければならないとしてきた戦時の機雷掃海や米艦防護、弾道ミサイル防衛などの集団的自衛権を行使する活動内容をアメリカに約束してしまっています。
国会どころか公明党との与党協議さえも無視しています。民主主義のルールを踏みにじった暴走であり独裁政治そのものです。あまりにひどすぎる。
安倍首相のやり口は、国内で国民・住民を十分に説得できないことを、勝手に外国と約束し、既成事実化し、推し進めてしまうというもので、合意のプロセスを踏みにじる民主主義の破壊行為そのものです。こんなことを絶対に許していてはなりません。
しかも安倍首相はこのような暴挙を働きながら「(日本が)戦争に巻き込まれるとレッテル貼りのような議論が行われるのは大変残念だ」と国内での安倍政権批判に言及したと言われています。
さらに「60年安保闘争」で倒された祖父の岸信介元首相を引き合いに出し「55年が経過し批判が間違っていたことは歴史が証明している」「(安保条約により)戦後日本の繁栄があり、アジア太平洋地域の平和と安定が守られてきた」とも語ったそうです。
私たちは日本民衆を侵略戦争に駆り出したA級戦犯でありながらあろうことか首相に返り咲いた岸信介氏以降、日米安保同盟のもとでアジアの人々に塗炭の苦しみを強いてきたこの国の歴史を賛美するこの考え方とこそ真っ向から対決しなければなりません。
何より私たちが忘れてはならないのはこの安保条約のもとで、米軍が沖縄を始め、日本各地の基地からベトナムなど東南アジア各国に出撃し、北ベトナム爆撃をはじめとした大変な戦争犯罪を行ったことです。
「アジア太平洋地域の平和と安定が守られてきた」どころか、ベトナムは「絨毯爆撃」にさらされ、さらには枯葉剤など猛毒を散布されるなどして、未だにその後遺症に苦しみ続けています。
この国が戦火にさらされなかったのは、ベトナムの人々が侵略してくる米軍への自衛的な武力の発動にとどめ、出撃拠点の在日米軍基地にまで攻撃してこなかったからです。その意味でベトナムの人々の寛大さゆえに私たちは直接的な戦火を免れたのです。
もちろんそのことは、私たちの国の中で、激しいベトナム戦争反対運動が繰り広げられたことをベトナムの人々が知ってくれていたからだとも思います。
60年代後半の激しい学生運動も、ベトナム戦争を背景にしなければ起こりえなかったことでした。
しかし一方でそのころの日本企業が、戦争特需で大儲けしたことも否定できない事実です。日本は朝鮮戦争への経済的関与で戦後復興を成し遂げ、ベトナム戦争への関与で、経済成長を成し遂げたのです。
その後の私たちの国の経済的爛熟、バブル期のモラル崩壊と、その後のさらにひどい状態への移行もまた、僕はベトナム戦争による血塗られた儲けにこの国が乗ってしまったことと無関係ではないと思います。
しかも朝鮮戦争、ベトナム戦争と続いたアメリカへの戦争協力は、私たちの国への原爆の投下や都市空襲、沖縄上陸戦などでのアメリカ軍が重ねた戦争犯罪を問う力を内側から削いでしまい、この国をアメリカのもっとも悪い側面に隷属させてきました。
僕はそれが岸信介元首相がベースを作った「日米安保体制」のもとで重ねられてきたものであり、安倍首相が急速に加速させているものだと思います。
私たちは今、そのことにこそ目覚め、平和を守るというより、平和を取り戻していくべきだと思います。
原爆を投下され、たくさんの自覚的・非自覚的ヒバクシャを抱えていたのに、さらに原発を押し付けられ、喜んで受け入れてしまったこの国のあり方。その挙句に福島原発事故に横着したこの日本国のあり方を変えたい。
例え国内が平和であっても、他国への政治的・経済的・軍事的侵略への加担によって経済が成り立っているようなあり方の中にいるのはもうごめんです。もうこれ以上、加害者の中に僕はいたくないです。いやこの国を加害国の中に置き続けたくないです。
そしてそれは多くの人々の率直な思いだと思うのです。
人が苦しんでいるのを見過ごしていたら心が穏やかではない。ましてやそれに加担していると知ったら、夜もおちおち寝ることができない。
それは世界中の人々の大半を占める共通の思いではないでしょうか。
そのためにすべてのみなさんに憲法9条の本当の精神に立ち戻ることを安倍首相に対抗して訴えます。憲法9条の精神は、戦争放棄です!集団的自衛権どころか個別的自衛権すら否定した世界初めての憲法が日本国憲法なのです。
なぜってどの国も自衛権を理由に戦争をはじめるからです。近代国家の中で一つとして「これから侵略を始めます」といって戦争を行った国などありません。常に自衛権の行使が戦争の大義とされたのです。
それに対して私たちの憲法が唄ったのは、自衛権をも含んだ「国の交戦権」なのです。
憲法前文にはこう書かれています。
「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」
憲法9条にはこう書かれています。
「1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
私たちは今こそこの憲法に帰るべきです。(ただし「日本国民」を「日本人民」にあらため、国籍による差別をなくすべきです)
そのために、軍隊である自衛隊を解体し、災害救助隊に再編しましょう。実際に自衛隊がやっている活動のほとんどは災害救助で、自衛隊はまだ一人の「外国人」も殺してないのだからこれは完全に可能です。
ただしそうはいっても自衛隊は人殺しの訓練もしてきていますから、隊員をリハビリし、平和思想に戻れるようにする教育は必須です。
その上で日本の技術をふんだんに投入し、さまざまな災害に対応できる車両や機材を開発し、世界の中で群を抜いた災害対応力を作るのです。
そもそもこの国には世界の活火山の1割もが存在しており、国土の広範な地域がいつ大地震や大津波にやられるかも分からないのですからこれは最もこの国の人命・財産を守ることにも直結します。費用対効果を考えても最も合理的なのです。
そして災害救助隊が整うや否や、この部隊をこそ世界の災害地に積極的に派遣していきましょう。
今や世界は地球的規模での気候変動に見舞われており、各国各地域で「想定外」の自然災害が頻発しています。
そこに日本から災害救助隊がたびたび派遣されていく。そして世界最高水準の救助技術を披露していくのです。そうなればこの国への信頼度、親近感はどんどん増していきます。
当然にもそれはこの国へ軍事的な危害を与えようとするあらゆる意図に対しても大きな抑止力になるでしょう。「あんなにいい国を攻撃してはいけない」。それこそが最も強い防衛力です。
しかも日本がこうした行為を積極的に行っていけば、この国は、人類の歴史の中で、はじめて他国の災害に関与することを自国の大きな使命とした国として歴史に残っていくことになるでしょう。
そうしてやがて人類が成熟を深め、今の国境も次第になくして、融和を深めて行ったとき、その国境の垣根を越える象徴的な行為を率先して行った国、ないし地域として私たちの行いが歴史に刻まれるでしょう。
何も「日本」という名が残る必要などありませんが、私たちが戦乱にあけくれた野蛮な人類前史から、友愛にもとづく人類後史への移行に貢献したことが歴史に刻まれれば、僕はそれは少しは愉快なことだろうと思います。
こういう僕の論に対して、「それは単なる夢だ、青っちょろい理想だ」と言う声がたくさん聞こえてきそうですが、それに対して僕はこう答えましょう。
You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will live as one
あたなは僕を夢見がちなやつだというかもしれない。
でも僕は一人じゃないよ。
僕はいつか君が僕らと一緒になってくれると思う。
そしてきっと世界は一つになるんだよ。
Power to the people!
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こうした内容を5月2日に兵庫県篠山市でお話します。
以下案内を記しておきます。
日本国憲法施行 68周年 守田敏也氏講演会
「子どもたちを放射能と戦争から守るために」
5月2日(土) 13:30~15:30
篠山市立中央図書館視聴覚ホール
参加無料
主催:九条の会・ささやま
連絡先 079-552-4857(池田)
後援:篠山市・篠山市教育委員会・神戸新聞社・丹波新聞社