明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2234)『「黒い雨」訴訟』出版記念、小山美砂さん講演会にご参加を!

2022年07月28日 09時30分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20220728 09:30)

● 『「黒い雨」訴訟』ぜひお求めください!7月30日の出版記念会にもご参加を!

黒い雨裁判について、原告の方たちを最も深く取材された、毎日新聞記者・小山美砂さんの渾身の書『「黒い雨」訴訟』が出版されました!超お勧めです。ぜひお求めください。
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-721222-8

7月30日(土)には大阪で、出版記念の講演会も予定されています。僕も祝辞とアピールを述べさせていただきます。以下、講演会情報を載せます。(詳しくはイベントページをご覧下さい)
https://www.facebook.com/events/599019634992317?ref=newsfeed

すでにこの企画は終わりました。以下に録画を紹介しておきます。ぜひご覧下さい。


■7・30小山美砂さん講演会
~『黒い雨』訴訟」出版記念~
■14:00開始/13:30開場
集会終了後、交流会も予定しています。
■第2ターネンビル2階
大阪市中央区谷町2丁目3−1
地下鉄谷町4丁目駅から北へ徒歩2分
カフェベローチェの上
■参加費500円(経済的な事情があるかたは受付の担当者に当日申し出てください)
■演題:「黒い雨」訴訟の本質
――被ばくを切り捨てる論理



● 小山さんの書に導かれて「黒い雨」を追体験されてください!

小山さんとはこの間、広島で何度かお会いし、いろいろなことを教えていただきました。
特に昨年の8月7日、広島で小山さんに黒い雨降雨地域を案内していただき、原告団事務局長を務めた高東征二さんや自宅周りの被爆図を丹念に描かれた本毛稔さんなど、何人かの方に紹介していただきました。今回、祝辞とアピールを述べる一人、水戸喜世子さんも一緒でした。
山間部を車で走って、「広島で平らなところは原爆ドームの周りの数キロで、多くは山に囲まれていたのだ」と痛感しました。やはり現地に行かないと見えてこないものがある。

そんな中で原告の方たちの幾人かとお会いさせていただきましたが、小山さんが、原告の方たちの思い、痛みに本当に丁寧に寄り添い、心のひだに刻まれたものを読みとって記事にされてきたことをリアルに感じました。
その前後に幾つも彼女の記事も読んでいましたが、どれにもとても温かいものが流れていました。同時に取材者である己を問い続ける視点が随所に見られ、素晴らしい。深く胸を打たれ、「これこそが被爆に寄り添うことだよな」と思いました。
また小山さんは、「黒い雨」をめぐる長い長い人々の戦い、その中で一歩一歩代わってきた法制度の問題などを詳しく解き明かしています。被爆被害と立ち向かってきた人々の歴史の書としても高い価値があります。


原告の一人、本毛稔さんの話を聞く小山美砂さん 水戸喜世子さん、高東征二さんと共に 守田撮影 20210807

それだけに僕はこの書を多くの方に読んでいただきた。単に「黒い雨」という事実を知るだけでなく、そこにおられた人と出会うために、黒い雨被爆者の方々と何らかの精神的交感をするために、この書を読んでいただきたいです。
僕がそうであるように、読み手になったみなさんは、小山さんに誘われて「黒い雨被爆者」の前に連れて行っていただけます。黒い雨降雨地域を同書と共に旅をして下さい。
僕はそこで出会うことができるのは、広島の奥深くにある究極の人間的優しさだと思っています。それに触れるために本書を手に取っていただきたいし、小山さんのお話を聞きに来られてください。


やっとの思いで取得した被爆者健康手帳を手に 右から水戸さん、高東さん、本毛さん、守田 小山美砂さん撮影 20210807

注目動画 控訴審勝利の後の集会での原告の方たちの素晴らしい姿をご覧下さい!


#黒い雨訴訟 #黒い雨被爆者 #小山美砂 #広島原爆 #内部被曝 #高東征二

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明日に向けて(2233)美浜町にみんなで行ってデモをしてきました!(老朽原発美浜3号うごかすな 現地全国集会報告)

2022年07月27日 20時30分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20220727 20:30)

現地に300名が参加!LIVE配信しました

7月24日、美浜現地集会に行ってきました。動画をご覧下さい。



美浜町弁天崎での集会前(美しい海と歌とそして原発)→弁天崎での集会→美浜町役場近くから関西電力原子力事業本部までのデモ→関電抗議→美浜町内デモ→解散地と撮っています。
FBでLIVE配信したものをまとめました。LIVEのアーカイブの方が画質が良いのでこちらもご覧下さい。
https://www.facebook.com/toshiya.morita.90

ただし猛暑で集会時にiPhoneが高熱化しフリーズ。ごめんなさいですが集会は一部しか撮れませんでした。デモ以降は何とか撮れました・・・。


炎天下の中、集ったみなさん 以下、集会写真はすべて守田撮影









老朽原発うごかすなと声を上げ続けました!

この日の集会の内容を「さいなら原発・びわこネットワーク」の稲村守さんが丁寧に報告して下さっています。長いですが記録の意も含めて、許可を頂いて全文を転載します。
ちなみに稲村さん、デモ指揮も行われ、関電抗議では司会をしながら自らも熱いメッセージを発っせられていました。写真もシャカシャカ撮っておられた。それでこれだけ正確な報告されるのは本当に素晴らしい!感謝です。

*****

炎天下・コロナ禍をついて老朽原発・美浜3号機を止めろと市民が現地で決起・全国集会開催
(さいなら原発・びわこネットワーク ニュース第67号から転載)


関電前抗議行動でマイクを握り、熱烈なアピールを行う稲村守さん(中央) 守田撮影

40年停止の法律を破り、老朽美浜原発3号機7月下旬起動、8月初旬再稼働の関電発表を受けた7月24日正午から、すさまじい酷暑の下、また新型コロナ感染第7波で当日キャンセルもたくさん出る中ではあったが、万全のコロナ対策を行い‘‘老朽原発・美浜3号うごかすな!現地全国集会”が海の向こうに美浜原発をのぞむ敦賀半島西側の菅浜・弁天崎で開催された。

<福島から湖西に避難 11年の青田恵子さん><東北のおなごは鬼さ:になる><美浜町役場南出発・中嶌さん・真中>

主催したのは一昨年来大阪で大集会を開催してきた老朽原発うごかすな!実行委員会。福井現地・関西からは次々に大型観光バスやマイクロバス・たくさんのマイカーで参加者が駐車場にあふれ、四国原発立地地元、東海、老朽東海第二原発地元や首都圏など炎天下4時間の行動に300人の市民が結集した。「立って弁当食べたのは初めてだ」という参加者もいたが、老朽原発許すまじの熱気であふれた。
司会の敦賀の山本さんは、「美浜3号機で5年間働いていた。事故でたくさんの人がなくなっても、『安全対策にそんなお金をかけるわけにはいかない』というのが、関電の考えで、『穴が開いたら直せばいい。やかんと同じだ』というのである。美浜3号機を止めることが安全対策だ」と開会挨拶。

次いで、小浜の中嶌哲演さんから主催者挨拶として、「原発が目の前に見えるいつもの会場は海水浴場で使用されこの会場になったが、原発のイロハの確認を行いたい。」として、「美浜原発 1.2号機は40年で廃炉されたが、3号機は自ら決めた40年を超えて動かそうとしている。美浜3号機は1年で83万 KW 発電し、1000億円を稼ぐ。ヒロシマの死の灰800発分、ナガサキ原爆20発分のプルトニウムを生成蓄積している。こんなことをもう許すわけにはいかない。」と力説された。 
 
地元美浜町議会で原発反対派で頑張る松下町議からも、この若狭・福井の自然を何としても守り切ろうと挨拶。各地の闘いから連帯挨拶があり、老朽原発停止訴訟の名古屋、京都の反原発訴訟の報告、滋賀県のさいなら原発・びわこネットワークからは福島県の相馬から避難された青田恵子さんから、「福島県民が福島第一原発事故に遭い、身をもって原発の恐ろしさを示した。ぜひこのことに学んでほしい」と訴えた。炎天下1時間の集会の締めくくりでシュプレヒコールのあと、参加者は美浜町役場裏に車で移動し、町内デモを行って関電原発事業本部の国道向かい側に参集し、40分にわたる抗議行動を実施した。

司会のさいなら原発・びわこネットワークの稲村守事務局長は、「国に不当にも忖度した東京地裁でさえ、経営責任者の賠償責任は認めた。関電の榊原会長は東レの経営責任者としてびわ湖にお世話になっていながら、1450万人の水源を放射能で汚染しようとしているが、自ら3兆円払う覚悟で美浜3号機を起動するならせよ!」と述べ、実行委員会の橋田秀美さんから関電会長・社長と原子力事業本部長および美浜原発発電所長宛の「申し入れ書」を力強く読み上げ、木原壯林さんと事業本部に提出に向かった。

美浜町河本町議のあいさつの後、地元若狭町の石地さん、兵庫県・播磨アクションの菅野さんからは、「毎週の関金行動が8月で500回になる。子どもたちの未来のために闘い続ける」と発言。関電原発マネーを告発する会の末田さんからの追加訴訟への協力訴えのあと、「関電は美浜原発3号機を絶対うごかすな!」「2ヶ月半前倒し再稼働を許すな!」「原発事故で避難などできないぞ!」とシュプレヒコールを叩きつけ、町内デモにはいった。
2階の窓から手を振る女性、わざわざ庭に出てきて応援する女性や男性など、老朽原発反対は原発立地地元で本当に支持される闘いとなって、炎天下の疲れが一挙に吹き込んだと参加者が一様に感想を述べた。

大阪地裁の美浜3号機運転停止仮処分は、関電の徹底した妨害策により8.11までには無理でも、遅くとも9月には決定が出されることが期待されている。そうなると6年前の大津地裁仮処分と同様の事態となり、世界史上2番目の「動いている原発を司法の力で止める」事態となる。そうなるよう、さらに最大限の運動強化を誓い合った現地集会となった。

(20220724 さいなら原発・びわこネットワーク 稲村守)


危険性をしっかりつかんで再稼働反対の声を高めよう

原発は本当に危険です。何度指摘してもまだまだ足りない。
この構造的な危険、さらに度重なる事故や不祥事をしっかりつかみ、暴き、伝えて、再稼働反対の声を高めましょう。

そのために以下の動画をご参照ください。




#老朽原発このまま廃炉 #老朽原発美浜3号うごかすな #原発再稼働反対 #原発は巨大な暴力 #原発一基で日本半分が壊滅 #関西電力原発とめよ #さいなら原発びわこネットワーク #稲村守 #中嶌哲演

*****

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明日に向けて(2232)高浜原発は原因不明の配管損傷を連続6回繰り返している!このままでは極めて危険(24日美浜全国集会へ)

2022年07月21日 22時00分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20220721 22:00)

高浜4号機で蒸気発生器配管12本が損傷

2022年6月8日から約5カ月の予定で定期点検に入っている高浜原発4号機で、蒸気発生器細管12本が損傷していることを、7月8日に関西電力が発表しました。
すべて外側から傷がついており、最も削れているとみられる配管では、肉厚の49%が削れている信号が確認されたとのことです。

配管損傷を報じるNHK 20200709

ものすごく深刻です。なぜかいうと高浜原発3、4号機で、毎回、定期点検の度に配管損傷が見つかっているからです。
原因を特定し対処することができていないので繰り返されている。しかもこれまで最大5本の損傷であったものが、今回は12本にまで拡大しています。


2018年の定期点検からなんと連続6回、同様の損傷が見つかっている

この損傷が初めて見つかったのは高浜3号機で、2018年8月から開始された第23回定期点検の時でした。この時、見つかった損傷配管は1本。20%未満の減肉と見積もられました。
続いて高浜4号機の2019年9月からの第22回定期点検で、3つの蒸気発生器のそれぞれから合計5本の損傷配管が見つかりました。最大減肉率63%。

さらに高浜3号機の2020年1月からの第24回定検で、2つの蒸気発生器からそれぞれ1本ずつ、合計2本の損傷配管が見つかりました。最大減肉率56%。
高浜4号機の2020年10月からの第23回定検で、2つの蒸気発生器から1本と3本、合計4本の損傷配管が見つかり、最大減肉率36%でした。

5回目は高浜3号機の2022年3月からの第25回定検で、2つの蒸気発生器から4本と1本、合計5本の損傷配管が見つかり、最大減肉率36%でした。
そして今回、高浜4号機の2022年6月8日からの第24回定検で、3つの蒸気発生器から5本、2本、5本、合計12本の損傷配管が見つかり、10本が減肉率20%以上、最大減肉率49%でした。

なおこれらについては、「美浜の会」が丁寧に検証を続けておられます。ぜひHPをご覧下さい。
https://www.jca.apc.org/mihama/


高浜3号機でも2022年3月に4本の損傷発見、これが連続5回目だった。NHKの報道より


原因が特定しきれていない!

深刻なのは原因が特定できていないこと。それも最初の3回は「異物混入」と発表し、「異物は海に放出されたもよう」としたものの、4回目からは、配管の中で生じる鉄酸化物=スケールであると原因推定を変更。(20210219事故報告書より)
このため薬剤を使って鉄酸化物を洗浄して脆くする対応を、4回目定検から強化しました。しかし配管損傷はその後も毎回起こっています。しかも1本→5本→2本→4本→5本と推移していたものが、6回目は12本に跳ね上がっている。

しかも肝心なことに、配管を損傷したと思われるスケールは、それらしきものを一つが見つかっただけ。それがどの配管を削ったのかもあいまい。つまり未だに損傷の原因は「推定」の域を出てないのです。
現在定検の終盤で、もうすぐ再稼働しようとしている高浜3号機では、配管損傷が収まらないことに対し薬剤洗浄をより高圧で行う対応を執っていますが、そもそもこれが正しい方法であるかどうか分かっていない。原因が特定しきれていないのです。


原因が特定できないままに高浜3号機が7月23日に再稼働されようとしている NHKより


蒸気発生器は加圧水型原発のアキレス腱

ものすごく恐ろしい。蒸気発生器の中にある配管はおよそ1万本ですが、たった1本切れただけで原子炉の中をまわっている冷却水が飛び出して来てしまいます。157気圧にまで加圧されてまわっているからです。
しかも325度の高温ですから、いったん吹き出したら抑えるのは極めて困難。そうなると冷却材が一気に失われて、メルトダウンに向かってしまいます。

実際に美浜原発2号機で1991年2月9日に、蒸気発生器細管がたった1本が切断したことで、メルトダウン寸前の大事故が起きています。それからもう30年も経つのに、配管損傷が止まらない。
要するに蒸気発生器は、トラブルを繰り返す欠陥部品、恐ろしいアキレス腱なのです。だから運転させてはいけない。超老朽原発美浜3号機だけでなく、高浜、大飯原発も即刻停めないと危ない。みんなで声を上げましょう。


美浜原発2号機の配管破断事故の説明図 原子力・エネルギー図面集より


24日美浜現地集会へ!

美浜、高浜、大飯の老朽原発を止めるための、美浜現地全国集会が24日に予定されています。僕も参加します。可能な方はぜひご参加を。
以下からチラシと、新大阪、京都、大津駅からのバスの乗り方をご覧下さい。
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/cbf2a3eebf8bd03b9e9f44069fc629c7

当日、参加できないみなさん。ぜひ以下の方法でサポートして下さい。
(1)この日の集会を僕のFacebookページでLIVE配信しますので、ぜひご覧下さい。また拡散して下さい。
個人アカウントから配信するのでFacebookを使ってない方はご覧いただけません。事後的にYouTubeでご覧下さい。
https://www.facebook.com/toshiya.morita.90

(2)24日を盛り上げるためにも16日に緊急ZOOM学習会を行いました。ぜひご覧下さい。拡散して下さい。

(3)カンパで活動をお支え下さい。
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Paypalからもカンパができます。自由に金額設定できます。https://www.paypal.me/toshikyoto/1000

みなさん。どうかお力添えを!

#高浜原発配管損傷 #原因不明の配管損傷が連続6回 #蒸気発生器はアキレス腱 #メルトダウンの危険性が #原発再稼働反対 #老朽原発このまま廃炉 #美浜3号機再稼働反対 #高浜大飯も動かすな

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明日に向けて(2231)立憲野党の敗北をいかに越えるのか・・・保守層に擦り寄ってはダメ!ブレずに原発反対を貫こう(参院選の捉え返しー2)

2022年07月20日 14時30分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20220720 14:30)

前回、明日に向けて(2230)の投稿に続いて、参院選での立民、共産両党の大きな後退をどう捉え返し、市民と野党の共闘の再構築を目指すのかを論じたいと思います。

脱原発共闘が大きな展望を切り開いていた

前回も述べましたが、市民と野党の共闘の発展は、福島原発事故以降の多くの人々の新たなる覚醒を発火点としていました。そのためこの流れをいかに大事にし、成長させるかに大事なキーポイントがありました。
しかも昨年2021年、その流れが一つの頂点に達しようともしていました。その一つがアベノミクスの柱の一つであった原発輸出がすべてとん挫してしまう事などの中で、安倍首相が病を理由に突然の辞任を発表したことでした。

このため、自民党は総裁選を行わなければならなくなりましたが、河野太郎氏が立候補することで、総裁選に原発問題が上らざるを得なくなりました。自民党の中ですら、脱原発の市民の声を無視できなくなりつつあったことの表れでした。


自民党総裁選に向けた各候補の原発に対する考え方 産経新聞 20210925 

しかも各電力会社が「特定重大事故等対処施設」(通称テロ対策施設)を期限までに全く作らなかったため、2020年から次々と稼働中の原発が停まってしまっていました。それと軌を一にするかのように、柏崎刈羽原発などで不祥事が連発しました。


裁判でも次々と原発停止や被曝被害を問う判決が続いていた

それだけではありません。裁判でも次々と原発運転停止を求める判決が続きました。とくに2020年12月には、大阪地裁が大飯原発3,4号機に対して原子力規制委員会の設置許可の取り消しを命じる判決をだしました。
続いて2021年3月には水戸地裁が、避難計画の未作成を理由に東海第二原発に運転を禁じる判決を下し、さらに4月には東電の不祥事連発に耐えられなくなった規制委員会自身が、柏崎刈羽原発に運転停止を命じました。

原発賠償訴訟でも、控訴審で次々と東電だけでなく政府の責任を問う判決が出され、その上、黒い雨裁判控訴審で、一審を上回る画期的な判決が出され、上告断念で確定。放射能被曝の被害を厳しく捉える法的動きが強まりました。
あたかも黒い雨訴訟の進展に合わせるかのように、NHKが米軍による長崎などの黒い雨被曝による深刻な被害を隠していたことを暴く大きなスクープをNHKドキュメントで放映。それやこれや核と被曝をめぐる問題が大きくクローズアップされていました。


多数派を目指して保守層に忖度してはダメ!

この中で市民と野党の共闘陣営から、「衆院選で政権交代を目指す」という言葉が掲げられました。しかし思えばこの頃から、つまり「政権交代」を目指し始めた時から、脱原発の方向性に曇りが出始めてしまったのではないでしょうか?
例えば9月8日に「市民連合と立憲野党の政策合意にあたっての声明」が出されましたが、僕にはショックでした。大きな6項目から原発反対が消え、「再生可能エネルギーの拡充により、石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素社会を追求する」となってしまったからです。

この政策合意をめぐるやりとりを、僕は全く知りませんが、しかしあの時、自公政権との最も鮮明な対立的争点である「脱原発」をトーンダウンしてしまったことで、僕は「政権交代などとてもおぼつかなくなった」と強く思いました。
その後、10月2日に立憲枝野代表と共産志位委員長の間で、新政権で日本共産党が「限定的な閣外からの協力」をすると取り決められましたが、共闘の前進のためにと、ますます原発反対のトーンが下げられてしまったように思います。


立憲と共産の限定的閣外協力での合意を報じた朝日新聞  20210930

そこにあったのは、多数派への道を見始めると、保守層への忖度を始めてしまう野党勢力の抜本的な弱さだったのではないでしょうか?しかし保守層に擦り寄って勝てるはずがない。ブレてはダメなのです。再度、「原発ゼロ基本法案」に時を戻しましょう!


「原発ゼロ基本法案」国会審議を求める緊急集会 立憲民主党HPより 20180608

#参院選 #なぜ野党は負けたのか #立憲共産は脱原発に戻って欲しい #原発反対こそ最も鮮明な争点 #脱原発共闘の再構築を #原発ゼロ基本法案に戻ろう #原発再稼働反対 #原発は巨大な暴力 #原発一基で日本の半分が壊滅

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明日に向けて(2230)立憲野党はなぜ敗北を重ねているのか・・・もう一度、脱原発を鮮明に掲げることが大事-1

2022年07月19日 22時30分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20220719 22:30)

残念だった立憲、共産両党の敗北

参院選から10日余りが経ちました。前回衆院選で16議席を減らした自民が12議席増やしました。前回30議席を伸ばした維新は今回5議席伸ばしました。
立憲野党の側は、立民が23から16議席へ、共産が6から4議席へと議席を減らし、唯一、伸びたのは0から3議席となったれいわだけ。社民はギリギリで議席と国政政党要件を維持しました。

どうして立憲野党は昨秋、今夏と敗北を重ねているのでしょうか。まずは一人区の多くで野党共闘が不成立で勝てなかったことがあげられます。実際、自民の議席の拡大はすべて一人区でした。
しかし立憲は比例で野党第一党の座を維新に明け渡し、共産も比例で650万票を目標としながら361万票しかとれず2議席を落としてしまいました。比例でも負けています。何が問題だったのでしょうか?


参院選に向けた各党のスローガン 北國新聞20220629


負けたのは脱原発をトーンダウンしてしまったため

端的に語りましょう。僕は両党の敗北は、脱原発の声を大きくトーンダウンしてしまうことでもたらされたのだと思います。なぜそうなのかというと、原発を認めるのか、認めないかということは、与野党の争点の中でも最も鮮明なものだからです。
この点では維新も明確に与党よりだし、新たに票を集めた参政党も原発推進。つまりここを争点としてしっかり頑張れば、立憲野党にもっと大きなチャンスがあったのです。


原発に関する世論調査 朝日新聞20120312


そもそも福島原発事故という、大変な問題をたくさんの人々が経験してきたこの国の中で、それでも危険な原発を進めるのか、それとも原発ゼロに向かうのか。これほど分かりやすい対立軸はありません。

だからこそ安倍政権は、一度も選挙で原発推進を鮮明にしなかったのです。徹底して争点化を避けたのです。でもそれを打ち破る形で野党共闘=脱原発共闘が進みつつありました。


原発ゼロ基本法案国会提出を発表した民進党党大会 蓮舫党首を先頭に今より勢いがあったのでは? 20170312


「原発ゼロ基本法案」へと、時を戻そう

思い出しましょう。そもそも今の野党共闘そのものが、福島原発事故後の大変なショックを越えて、新たに沸き起こった民衆運動をベースにしています。
あの時、事故後に脱原発を掲げ、毎週金曜日に国会前に人が集まりだして20万人にも達し、やがて地方に広がりだしました。新たな人々もたくさん参加してくる中で、それまでバラバラになっていた民衆運動の出会い直しも進みました。

この動きに拍車をかけたのが、安倍元首相が戦争法を強行に可決させようとしたことでした。この時、脱原発国会前行動などをベースにしつつ、「憲法守れ」の一点で多くの人々が国会を取り巻き、市民と野党議員との熱い連帯も生まれました。
これがやがて選挙での野党統一候補擁立を進めるとともに、2018年3月9日、立憲、共産、自由、社民4党による「原発ゼロ基本法案」提出にまでつながったのです。もう一度、あの熱い瞬間へと「時を戻す」ことが大事です。

続く

#参院選 #なぜ野党は負けたのか #立憲共産は脱原発に戻って欲しい #原発反対こそ最も鮮明な争点 #脱原発共闘の再構築を #原発ゼロ基本法案に戻ろう #原発再稼働反対 #原発は巨大な暴力 #原発一基で日本の半分が壊滅

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明日に向けて(2229)原発9基稼働?とんでもない!-7.16ZOOM学習会、7.24美浜現地集会へ!

2022年07月14日 23時30分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20220714 23:30)

岸田首相の原発9基稼働指示に抗議します

岸田首相が14日、この冬の電力ひっ迫に備えるとして「冬で言えば最大9基の原発稼働を進めるよう指示」をしたそうです。
原発の危険性をまったく省みず、国民・住民を危険に晒すあまりに無責任なこの指示に強く抗議します。


岸田首相の無謀な指示を報道するANN 2022年7月14日18時15分

そもそもいま、再稼働状態にある原発は10基。しかしトラブルや定期点検、また「特定重大事故等対処施設」建設が期限を過ぎてもできなかったことなどで、実稼働しているのは5基です。
そもそも原発は定期的に停めて点検する必要があるので、稼働可能状態にある原発が同時にすべて動くなど無理があります。それを考えると再稼働が認められる原発を増やさなければ9基にはならない。

しかし稼働中の原発、例えば高浜原発では蒸気発生器細管にたびたび損傷が起こっています。原因を特定し対処することもできていない。
それらを考えると「9基動かす」という指示は、現場に今、以上の無理を強いることになり、ただでさえ危険なのにより一層危険性が増します。


原子力発電所の現状 資源エネルギー庁 2022年7月13日時点


現場は極度にモラル崩壊している

しかもこの間、原発の現場は相当なモラル崩壊が起こっています。例えば2020年9月に東電の柏崎刈羽原発で職員が他人のIDカードで運転室に入ってしまうということが起こりました。
それで調査を進めてみたら、あちこちの検知器がかなり長い間、動いていなかったこと、しかも職員がそれを知っていたことが発覚しました。このため原子力規制委員会は「われわれをなめていたのか」とすら言いつつ、柏崎刈羽原発に運転停止を命令しました。

さらに昨年6月に超老朽原発美浜3号機が再稼働させられましたが、わずか数カ月動いただけで10月に止まりました。なぜか。「特定重大事故等対処施設」が期限までにできなかったからですが、そもそもここに問題がある。
「福島原発事故の教訓」で作ることが決められた施設が、未だにできてなかったのです。ここには深刻なカラクリがあります。この施設の建設期限を、原子力規制委員会が二度にわたって大きく伸ばしてしまったのです。

しかもそれでも各電力会社はこの設備を徹底して作りませんでした。なぜか。明らかにこの施設を作っても深刻な事故が防げないと思っているからです。だからこの施設なしで長い事、運転してきています。
さらに当初は免震重要棟という地震の中でも作業ができる事故時の司令塔建設を、新規制基準が通ったあとに反故にしています。これまたひどい。でも規制委員会が通してしまいました。

これらのことは以下のビデオに短くまとめているのでぜひご覧下さい。



あまりに危険な原発再稼働を食い止めるために頑張ろう

原発はもともと構造的にとても危険です。技術的に未完成だとも言えます。確実に事故を防げる構造になっておらず、だから深刻な事故が起こった時の対処を多重にしています。多重にするのは一つ一つに信頼性がないからです。
しかも日本は地震大国。この間も能登半島で地震が繰り返されています。南海トラフ地震の到来は確実視されており、それと連動しているひずみ集中帯地震も繰り返し起きている。構造的に未完成な原発が、地震の危機に直面しているのです。

しかも現場は極度のモラル崩壊を繰り返している。それでさまざまな故障事故も繰り返しています。
その現場にさらに9基動かせと無理な指示を出したらどうなるか。安全マージンをさらに切り捨てた稼働が行われるのは明らか。ものすごく危険です。

どうしたらいいのか。声を上げましょう。そして声をあげるためにこそ学習しましょう。学習こそが私たちの力の源です。
そのために繰り返しお誘いしている7月16日(土)午後7時からのZOOM緊急学習会にご参加下さい。参加して、知恵をつかんで拡散して欲しいです。

【注記】学習会はすでに終わりました。以下から録画をご覧下さい。

また24日(日)に美浜現地集会があります。学習を深めながらぜひご参加を。以下からチラシがご覧になれます。
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/cbf2a3eebf8bd03b9e9f44069fc629c7

#原発9基稼働は無謀 #原発現場は極度のモラル崩壊 #美浜3号機再稼働反対 #特定重大事故等対処施設 #過酷事故は防げない #老朽原発うごかすな #緊急ZOOM学習会へ #学習こそが力の源 #美浜現地集会へ 

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明日に向けて(2228)ゼレンスキー氏は英雄か?・・・毎日新聞記者の目(伊藤智永専門編集委員)の投稿から考える

2022年07月11日 13時00分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20220711 11:00)

ゼレンスキー氏を英雄視することへの疑義

ああ、ようやくマスコミにこういうのが出てきたな。共感するな、と思った記事をご紹介します。

政治指導者の責任と国民の態度 ゼレンスキー氏は英雄か=伊藤智永(専門編集委員)
https://mainichi.jp/articles/20220708/ddm/005/070/004000c?fbclid=IwAR3sWV9vH9aQP71QMQmW1VQxJHIsSA0WhK4wFGHOfASb0BLHD_9-huOkhNg

伊藤氏はこう書き出しています。
「不本意な戦争でも一度始まってしまえば徹底的に戦うしかないと人は説く。「戦う」と言えば勇ましく感動的だが、正しくは「殺し殺される」と言うべきだ。まして徴兵制なら「殺す」のにいやも応もない。ためらいを消すため「戦え」と命じる者は「のために」でさらに言葉を飾る。」
「のために」は違っても同じ人殺しである。遠くの見物人たちは映像を眺めながら「のために」を巡っておしゃべりし、触ったこともない兵器と会ったことのない死者の数と知らない地名を数えるだけ。金もうけをたくらむ者もいる。それが戦争だ。」

僕もまったく同じように思うし、そう語ってきました。「戦う」ことは「殺し殺される」ことなのです。ゼレンスキー大統領はロシアの侵攻と同時に、18歳から60歳までの男性の国外脱出を禁止し、その後に徴兵も行っています。
僕は何より戦争は、その国の民衆が、否応なく「殺し殺される」ことに動員されることに、大きな残酷さがあると思うのです。もちろん非戦闘員である市民が殺されることも残酷の極みです。しかし同様に殺し合いに動員されることもとても残酷です。


戦争に対する「指導者」のタイプ分け

伊藤氏はこう述べます。
「局面ごとに3タイプある。始めたくなかった戦争を始めるはめに陥る指導者、始めた以上「勝つ」まで殺し殺されるしかないと鼓舞する指導者、まだ殺せるぞと勇む同胞に殺されるのも覚悟で戦争をやめる指導者。日本にもかつていた。「日米開戦を回避したかった近衛文麿、「生きるのは恥」と呼号した東条英機、終戦を断行した鈴木貫太郎の3首相である。」

これはその通り。その上でゼレンスキー大統領について、伊藤氏はこう批判しています。
「現にあった政治・外交の行き詰まりを打開する戦略も展望も持たない芸人がドラマの勢いで大統領となり、「和平・中立」の選挙公約は就任後すぐ反露に変わった。これを無責任という。」

最後に取材で得たこんなコメントも紹介しています。
「世界的なロシア・ウクライナ研究者の松里公孝東京大学法学部教授に4日、日本記者クラブでの講演後、ゼレンスキー氏の評価を尋ねた。苦笑交じりの返答。『言ってもしょうがない。ああいう人に投票すると戦争になるし何万人が死ぬことになる。誰を指導者にするかという一票で失敗したら戦争が始まるのが民主主義だ。ポピュリストに投票したらダメなんですよ』」

僕もまったくその通りだと思います。


9条改憲に立ち向かうために大事なこと

この文章を書いているのは、昨日の参院選挙で「改憲勢力」が議席の三分の二以上を占有し、いよいよ憲法改悪が政治日程にのぼる可能性が高くなったからです。
改憲をどう止めるのか・・・という前に、僕は実質的にはすでに改憲は進められ、しかも野党の中にまで浸透してきていることに着目すべきだと思います。自衛隊はどうみたって憲法違反なのに、野党の中からいざというときに「自衛隊を活用する」という論まで飛び出してしまっている。
与党が憲法解釈をなし崩し的に変えて改悪してきただけでなく、野党の側でもその内容を受け入れてしまっている現実があり、それと向き合わなくてはいけない。

そのことがロシアのウクライナ侵攻のときにも大きく表れました。極めつけは戦争当事者であるゼレンスキー大統領の国会演説が行われ、与党はもちろん、野党のほとんどが賛成し、スタンディングオベーションすら行われてしまったことです。
果敢に反対したのは「れいわ新撰組」だけ。ある野党党首などは「祖国を守る決意を感じた」と称賛すらしていました。その間違いを捉え返し、改憲阻止というより、憲法を本当に実現するために頑張ることこそ大事です。
憲法9条は国に対して戦争を行うことを禁じた条項です。国民に「殺し殺される」ことを政府が強制することを禁じたのです。だから軍隊を持たないと明言した。ここにきちんと立ち戻りましょう。何よりそれが大切です。

最後に、伊藤氏の考察で、もっと強調して欲しいなと思う点を一つ。戦争はいつもその国の上級国民が起こし、民衆が動員されて上級国民の利害を守らされるもの。そのことを見抜き、民衆同士が「殺し殺される」関係を拒絶することが大事。
ゼレンスキー大統領への批判は、そこまでしっかり論じるとより説得力を増します。上級国民に騙され、正義だろうが自衛だろうが、「殺し殺され合う」ことに動員されないために、平和憲法を私たちの心の中に打ち立てましょう。


2014年、ウクライナ東部で戦闘が激化した時にもロシア民衆は政府の介入を批判してデモを行った ロシア国旗とウクライナ国旗を振りながら・・・ AFPより

#ゼレンスキー氏は英雄か #ゼレンスキー大統領 #ウクライナ戦争 #戦争反対 #平和憲法を心の中に打ち立てよう #上級国民に騙されるな #戦争を拒絶しよう #平和憲法を守ろう #憲法改悪に立ち向かおう

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明日に向けて(2227)伊方3号機でテロ対策設備(特重施設)が部品未装着だった!九電、関電も!-緊急学習会(16日)と美浜現地集会(24日)に参加を

2022年07月10日 21時00分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20220710 21:00)(0720改訂)

特重施設の部品が欠け動作不能となるおそれがあった

原発でまたしても故障事故です。伊方3号機で昨年10月から運用を開始した「テロ対策施設」=特定重大事故等対処施設(特重施設)が、部品未装着だったというのです。7月7日まで約8カ月もです。
朝日新聞は部品は複数未装着で、「フィルターやパッキンのように一定の頻度で交換する消耗品」と伝えています。設備が動作不能となる恐れがあり、国から認可を受けた保安規定を満たしていなかったことが指摘されたとも。

テロ対策施設で部品未装着 四国電、伊方原発3号機 朝日新聞 2022年7月9日05:00
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15349459.html?pn=2&unlock=1#continuehere



四国電力は「計装設備の一部に部品の未装着を確認」。計装設備の説明として「一般には、計器や制御装置等をいう」と発表しています。

伊方発電所3号機 特定重大事故等対処施設 計装設備の不具合と通常状態への復旧について 四国電力 2022年7月8日
https://www.yonden.co.jp/press/2022/__icsFiles/afieldfile/2022/07/08/pr001.pdf


電力会社は過酷事故を防げないと思っている

僕はこの「特重施設」が、ひどい矛盾に満ちていると何度も指摘してきました。そもそも「テロ対策施設」と言うけれど、ベント設備などテロではない重大事故への対処施設も含まれているので「騙し」に等しい言い方です。
しかも電力会社は徹底的にと言えるぐらい、作ることを先延ばしにしてきました。その末に運用を開始したら、きちんと部品装着されず「動作不能になるおそれがあった」のです。

そもそも設置が2013年7月に決まりながら、原子力規制委員会が期限を5年も伸ばしたのでした。ところが電力会社がその期限が近づいても全く作らないのを見て、規制委員会は「設置申請から5年」と期限を再延長してしまいました。
電力会社はそれでも作ろうとせず、期限の再々延長を申し入れましたが、規制委員会はたまらずに運転停止を命令。それで実際に2020年3月から九電、関電、四電の原発が次々と停まったのです。

すると各社は突貫工事で施設を作って、原発を再稼働させましたが、そうしたら部品が未装着。これはもう電力会社が特重施設など無駄だと思っているとしか考えられません。「安全確保など無理!」と思っていることが透けて見えます。
それでも原発を動かすなんてものすごいモラル崩壊です。電力会社は過酷事故が起きうるし、その時、特重施設など頼りにならないことなど分かっていながら稼働を続けているのです。


7月16日緊急ZOOM学習会、24日美浜現地集会への参加を!

あきれるのは同じ部品の未装着を九電も関電も起こしていたこと。つまり特重施設を作って再稼働した全原発で、この施設は「動作不能になるおそれ」のもとにあったのです。
明らかに電力会社はまともな過酷事故対策などしていない。いやできないことが分かっているのでしょう。それで原発を運転させ続けるのはあまりに危険。原発をただちに止めよ!の声を強めましょう。

そのために7月16日(土)午後7時から緊急ZOOM学習会を行います。参加して下さい。

【注記】学習会はすでに終わりました。以下から録画をご覧下さい。

24日(日)には美浜現地集会があるのでこちらにもご参加を。
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/cbf2a3eebf8bd03b9e9f44069fc629c7

原発は今、目の前にある最大の危機です!命を守るためにみんなで頑張りましょう!

#テロ対策施設部品未装着 #特定重大事故等対処施設 #保安規定違反 #伊方原発3号機 #原発再稼働反対 #原子力規制員会 #四国電力が未装着 #関電も九電も未装着 #原発現場はどこもモラルハザード

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明日に向けて(2226)核兵器と原発は人類が生み出した最大の暴力!ありったけの力で反対しよう(7月16日(土)緊急ZOOM学習会に参加を)

2022年07月08日 23時30分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20220708 23:30)

暴力にラディカルに反対しよう!

暴力の問題が様々な形で立ち現れています。ロシアのウクライナ侵攻、NATO-英米とゼレンスキー政権による準備を重ねた迎撃、そして8日の安倍元首相殺害。
もちろん僕はこれらの暴力の全てに反対ですが、今このときに「暴力はけしからん」と思っているみなさんに、よりラディカルに、つまりより根本的に暴力反対を貫くことを訴えたいです。
そのためには僕は、核兵器と原発という、人類が生み出した最大の暴力にこそ反対しなければならないと思うのです。なぜか。3つの点があげられます。

1、これ以上の破壊力=殺傷力のあるものを人類は知らないこと。核兵器の破壊力は言うにおよばず、原発もまたたった一基の原子炉の過酷事故で、日本の半分以上が壊滅するほどの破壊力を有している。
2、それほどの危険性を冒しながら、今後何万年も管理しなければならない核のゴミを作り続けている。核兵器製造でも原発での発電でも。しかもその管理に費やす何万年の間、事故が起こらない保証など全くない。
3、被爆被害は遺伝的影響をもたらし、世代をまたがって人を傷つけ続ける。また二次的に社会的差別を作りだし、さらに人を苦しめ続ける。これまた他の兵器にはないこと。

これらを考えれば、核兵器と原発は、現代世代にとっても未来世代にとっても、ものすごく巨大な暴力であることが分かります。
現代社会はそんな暴力を野放しにしています。それで個々の暴力が無くせるわけがないと思いませんか?
核兵器と原発に正面から向かい合い、その暴力的本質をきちんとつかみ、だからみんなで核なき未来をめざす努力を重ねる中でこそ、すべての暴力を越えていく展望が切り開けると僕は強く思うのです。


福島原発事故時、半径250キロまでの3000万人の避難も想定されていた FNNの報道より


7月16日(土)緊急ZOOM学習会で、核兵器と原発について学ぼう!

これらの点を共に学びましょう。そう考えて参議院選挙から1週間後の7月16日(土)午後7時から、緊急ZOOM学習会を設定しました。ぜひご参加下さい。
緊急というのは、8月上旬に美浜原発3号機の再稼働がなされようとしているから。24日には美浜現地全国集会も行われます。
同時にこの日、7月16日は1945年に人類初の核実験が行われた日。また1979年にウラン精錬工場で深刻な事故が起こった日でもあります。共にアメリカ・ニューメキシコ州でのことでした。

これらを踏まえた学習ポイントは以下の7つです。
1、1945年の人類初の核実験、1979年のウラン精錬工場事故に学ぶ
2、能登半島で繰り返されている連続地震の構想を知る
3、能登地震につながる「ひずみ集中帯」が若狭原発の下にあることを把握する
4、美浜原発の致命的欠陥である「蒸気発生器」のことを捉える
5、特定重大事故等対処施設(テロ対策施設)のあまりの矛盾をおさえる 
6、老朽化した原発はどこが、すごく危ないかを知る
7、危険性をしっかり学べば「原発とめて」の世論を高められるという確信を共に作る

参加費無料です。ぜひぜひ暴力にラディカルに反対するために、学習会にご参加下さい。




【注記】学習会はすでに終わりました。以下から録画をご覧下さい。

#ロシアのウクライナ侵攻 #英米ゼレンスキー政権の戦争準備 #安倍元首相殺害 #暴力ラディカルに反対しよう #核兵器と原発は巨大な暴力 #未来世代への暴力を許さない #美浜3号機再稼働反対 #ひすみ集中帯 #能登半島地震

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明日に向けて(2225)「ゼレンスキー疲れ」に思う・・・ウクライナに一刻も早い平和を

2022年07月07日 09時00分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20220707 09:00)

ウクライナ戦争に関する考察の続きです。

ウクライナ軍の「劣勢」が伝えられるや「疲れ」「不満」が語られ始めた

このところ、欧米で「ゼレンスキー疲れ」なるものが広がっているのだそうです。ゼレンスキー大統領の「ウクライナに武器を送れ」の連呼に対し「疲れ」が出始めているのだとか。世界でも日本でもウクライナ報道自身が減っているとも指摘されています。
背景にあるのは、ウクライナ東部でのロシア軍の攻勢で、ウクライナ軍が劣勢にまわっていること。
5月17日、マリウポリの製鉄所に立て籠もっていたウクライナ政府軍や、アゾフ連隊2500人余りがロシアに投降したころからの流れなのだそうです。

アメリカのバイデン大統領などは、「ゼレンスキー疲れ」に、こんな不満も重ねました。
「(ロシアのプーチン大統領が)国境を越えるつもりなのは疑う余地がなかったが、ゼレンスキー氏は他の人々と同様、耳を貸そうとしなかった」
(6月10日のロサンゼルスで行われた資金集め会合にて。日経新聞6月11日より)


バイデン大統領の不満を報じる日経新聞 20220611


ウクライナ民衆や戦わされている若者たちの事が見えない

なんだか冷たく、悲しく、嫌な響きをもった言葉だな思います。戦火に巻き込まれ、命を落としているウクライナ民衆、そしていまも戦わされている両国の若者たちの事などが、あまりに見えてこないからです。
バイデン大統領などは、劣勢になるやゼレンスキー大統領に責任を転嫁し始めたようにも見えます。

しかし英米もゼレンスキー政権も、初めからどこかでウクライナが劣勢になることは分かっていたのではないでしょうか。
例えば、これまでにも紹介した、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)の秋元千明・日本特別代表が、東京新聞の「プーチン氏の筋書きとは違う展開に」という記事(3月8日)で述べたことを見てもそう思います。

秋元氏は、緒戦で各地でロシア軍が撃破されたことを、米英が「情報機関と特殊部隊で編成された複数のチームを秘密裏に現地に派遣」するなどして、ウクライナ軍と十分な準備をしていたからだ自慢げに語りましたが、こうも付け加えていたのです。
「両軍の戦力の差は大きく『ロシアの進軍は想定より遅れているが、戦術的にはウクライナ軍の勝ち目は薄い』。そのためゼレンスキー大統領が降伏や亡命などの選択肢を迫られる可能性がある」。


「ロシアの進軍は想定より遅れているが、戦術的にはウクライナ軍の勝ち目は薄い」と秋元氏 東京新聞の記事より守田が作成


戦争は上級国民が起こし民衆が殺し合いをさせられる

「ゼレンスキー疲れ」という言葉には、英米の側の戦争遂行者たちの中から、「そろそろこの戦争から引こう」・・・とのサインが含まれているのかもしれません。
欧米が武器を送るのを止めれば戦争は終わりますから、ここらで各国が関わって話し合いで停戦を実現して欲しいです。しかし報道では「疲れているけれど援助は継続」とも言われています。私たちが声を上げて戦争を止める必要がある。

そのためにも「ゼレンスキー疲れ」という言葉の、冷たく、悲しく、嫌な響きの中に、実は戦争の本質が垣間見えることも見ておくことが大事なのではないでしょうか?
今、起きている戦争は、ロシア・ウクライナという「国」なるものの争いとして表現されていますが、実は双方の国や背後にいる国の上級国民同士が起こしているものです。しかし現場は民衆が担わされ、民衆同士が殺し合いをさせられています。

当初、英米とゼレンスキー政権の入念な準備の元、各地でロシア軍が撃破されました。欧米は「ロシアは思ったより弱い。頑張れば勝てる」とウクライナや世界の人々を煽り続けました。
しかし「上級国民」たちは「戦術的にはウクライナ軍の勝ち目は薄い」ことなど分かっていたのです。分かっていながら武器を送り続け、今になって「疲れた」と言い出している。それなら初めから武器を送らず、妥結の道を探れば良かったのに。


当初は「ロシアは弱い」という報道ばかり繰り返された デイリー新潮 20220409


上級国民の肩を持たずウクライナに平和を!

僕は当初から「戦争当事者のどちらかに肩入れせず、平和の道を探ろう」と訴えてきましたが、あらためて言いたいのは、どちらの「上級国民」の肩も持たず、民衆同士が殺し合いをさせられることを止めようと言うことです。
戦争を国と国の争いと見てはいけない。戦争は上級国民が自らの利害を貫くため、民衆を動員して行うものです。民衆は憎んでもない相手国民と戦わされます。もちろんさんざん憎しみを煽られ、積極的になってしまう場合もありますが。
大事なのは、それぞれの国の民衆の間で「上級国民の肩を持つな」と声を掛け会うこと。「上級国民に騙されるな」「民衆同士が撃ち合うのはやめよう」とも語りましょう。

だからウクライナでこれ以上、上級国民たちに、戦争を続けさせてはいけません。ますます市民の被害が増えるし、現場の兵士たちも死傷するばかり。殺人の経験を背負い心が傷だらけになる兵士たちも増えるばかりです。
正義だろうがなんだろうが、人を殺すのは苦しみであり、悲しみです。殺人に動員された多くの兵士が、深いトラウマを背負います。そんなこと、もういい加減止めさせたい。
ウクライナに平和を。戦争を進める両国、両サイドの上級国民に批判を!民衆の手で平和を作りだしましょう。

第一次世界大戦のドイツ兵たちの悲しみを描いた映画『西部戦線異常なし』を参考に「国(政府)と民衆」を分けて考えることを説いた守田の講演スライド

#ゼレンスキー疲れ #ウクライナ #ロシア #ゼレンスキー大統領 #英国王立防衛安全保障研究所 #バイデン大統領 #戦争を起こすのは上級国民 #上級国民に騙されるな #民衆同士が撃ち合うのはやめよう

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