田園酔狂曲

二人三脚の想い出と共に!!

代役は、突然に!

2010-12-10 20:30:16 | よもやま話・料理編
またぞろ、エビ様ネタで恐縮ですが。 
京都の南座では、エビ様の急きょの 『 代役 』 に推された、
片岡 愛之助が評判だとか ・・・ 。
                    

70年代、京都・平安閣 ~~ 板場見習いのヒゲが、うごめいていた時代。
ある日の朝、煮方(上級板前) のK堂さんが、急な発熱で休みとの連絡が。
昼休みの休憩をそこそこにヒゲは、調理場に入ります。
皆んなは、ナゼ?と訝ります。 
少ししか予約が入ってないから、急ぐ必要はないハズなんだが?
ヒゲには、『 ある思惑! 』 があったのです ・・・ 。

ヒゲは、自分の仕事である焼き魚の串打ちを早々に終え、次ぎに谷さん(揚げ場)の
仕事の準備に掛かります。 天ぷら野菜や、海老の下拵え等です。
そして夕刻になり、『 その時 』 を待ちます。

K堂さんの次席の谷さんが、当然ながら、お声が掛ります。
おやっ(親父)さん  「 おい、T本、小吸い物は、丸やで! 」 ーーー 始まりました。
T本  「 おやっさん! 丸(スッポンの事)の当たりは、どない ・・・ 」
「 そんなもん、決まってるや! 」
                          

昼休憩を早めに切り上げ、段取りを進めていたヒゲは、
   「 T本さぁん! 天ぷらの用意終わってますよ。 」
   「 うん、分かった。 」 
しかし、谷さんは向こう(?)で、シックハック。

ヒゲ 「 T本さん! 油ちょうど適温ですよ。 代わりに、(私が)揚げましょうか? 」
T本 「 アカン! そのまま置いとけ。 」

ここで、置いとけ云われて、何もせんなら、厳しい京都の料理界では何も芽が出ません。
今日、早くから段取りしてたのは、ドサクサの最中のT本さんの 『 代役! 』 を勤める為でした。
幸い向こうでは、いまだ丸の禅問答(?)が続いてます。
ヒゲは、そっと天ぷらを揚げ始めました。
                           

やがて、向こうの煮方仕事を終えて、揚げ場に戻って来た谷さん。
型通りヒゲを叱り飛ばします。 「 お前! 置いとけ言うたろ 」
ヒゲ 「 すんまへん、スンマヘン 」
しかし、谷さんの目の奥は、笑っていたのでした!

70年代の、厳しい競争時代。 
人の仕事は、常々盗み覚えて、何時でも 『 代役 』 に立てないと、
代演のチャンスは巡ってこない京都。
まあ~、今どきあの頃の激しい闘いみたいなもん、何処も無いそうですが。

田園のお客様で、谷さんとこ (  祇園・たに本 ) に行ってみたい方。
ママちゃんにお尋ね下さい。 京都は、紹介が無いと、結構シンドいもんですよ。



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