人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

戦争末期、ベートーヴェン「月光ソナタ」が弾かれた~毛利恒之著「月光の夏」を読む

2012年08月02日 06時59分42秒 | 日記

2日(木).どうも再び風邪をひいたようです やっと治ったと思って安心していたら、昼と夜の気温差に身体がついていけなかったようで、昨日の朝起きたらのどが痛くて悪寒がしました 地下のNクリニックに行って診てもらい、抗生物質等の薬を出してもらいましたが、薬のせいか眠くてなりませんでした今夕はチョン・ミュンフン指揮アジア・フィルのコンサートを聴きに行くので眠いなどと言ってられません

 

  閑話休題  

 

8月25日から9月28日まで東銀座の東劇で上映される「METライブビューイング2006-2012アンコール」のチケットを東劇で買ってきました この7年間に上映されたMETオペラ映画のうち23作品が再度上映されます チケット代は1枚3,000円ですが、4枚綴り券10,000円がお得です。詳細の上映日程は右の松竹ホームページの「最新情報」に載っています.www.shochiku.co.jp/met/

私が選んだのは①モーツアルト「魔笛」,②ロッシーニ「セヴィりャの理髪師」,③プッチーニ「トゥーランドット」,④ヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」(以上4作品はかつて1度以上観た),⑤オッフェンバック「ホフマン物語」,⑥ビゼー「カルメン」(以上2作品は初めて観る)の計6作品です.「トゥーランドット」に至っては4度目です.フランコ・ゼフィレッリ演出,マリア・グレギーナのトゥーランドットは最強です 何度観ても感動します 「セヴィリャの理髪師」はフローレス,ディドナートのアリアが最高でとにかく楽しいです 「イル・トロヴァトーレ」はホヴォロストフスキー,アルヴァレスはじめ歌手陣が揃っており,アリアに次ぐアリアが魅力です

 

  も一度、閑話休題  

 

毛利恒之著「月光の夏」(講談社文庫)を読み終わりました あらすじは次の通りです。

「太平洋戦争末期の夏、九州の鳥栖国民学校(現・鳥栖市立鳥栖小学校)に陸軍の二人の特攻隊員(特別操縦見習士官)がやってきた。その一人が、人生最後の思い出にとフッペル社製グランドピアノでベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番”月光”を弾いて、去って行った その時に演奏に立ち会った、当時の教師・吉岡君子が、ピアノが老朽化のため廃棄されると聞いて、保存したい一心で、ラジオでその思い出を語った。それが報道されると大きな反響があったが、当時、吉岡が二人の特攻隊員の名前を聞いていなかったため、”作り話”ではないかと疑われることになった

「放送局関係者の取材によって、当時、譜面をめくったのが風間森助、ピアノを弾いたのが海野光彦という特攻隊員だったことが判明する。海野は特攻で死亡。テレビ局の取材に風間は口を閉ざす。アポなし取材でやっと口を開いた風間は特攻隊が何らかの理由で引き返さざるを得なくなくなった時に監禁された”振武寮”の存在を語る 特攻に行った者は生きては帰れないことからすれば、生き残っていることが世の中に知れては困る。そのため、彼らは特定の施設に監禁され外部との接触を断たれていた

著者の言葉にもあるように、これは事実を元にしたフィクションです 1993年に書かれ、同年5月に映画化されています。その際、九州を中心とした市民により1億円の募金が行われたとのことです

何よりも驚くのは帰還特攻隊員の収容施設”振武寮”の存在です 突撃の途中で燃料切れなどやむを得ない理由で日本に戻らざるを得なくなったとしても、問答無用で強制的に施設に収容されたという事実です 戦争は何でもアリだということが良く分かります

「月光の夏」というタイトルから、もっとロマンティックな作品だと思って読んでいったのですが、ベートーヴェンの”月光ソナタ”が出てくるシーンはあまりにも短く、目の前の厳しい現実が突きつけられるハードな内容でした 普通だと、本の中にクラシック音楽が出てくると、本を読みながらその曲を聴きたくなるのですが、今回はそういう気持ちにはなりませんでした。私にとってこれは不思議な体験です

 

          

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする