18日(日)。わが家に来てから今日で1264日目を迎え、エンゼルスの大谷翔平が16日、ロッキーズとのオープン戦に登板し 1回3分の1を投げて7安打7失点と打ち込まれ、2回途中でKOされた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
「山高ければ 谷深し」っていうからね ロッキー山脈は高く大谷は深い ってか
昨日、渋谷のオーチャードホールで東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ公演、ベッリーニ「ノルマ」(セミ・ステージ形式)を聴きました
オペラと言えば東京文化会館という刷り込みがあるので、いつも通りJR上野駅で降り 目の前の文化会館に入ろうとすると、建物から出てくる人の波に出会いました。「なんか変だ」と思ってチケットを見ると「オーチャードホール」と書いてあるではあ~りませんか
ヤッチマッタ
以前も同じような凡ミスがあったので、すぐに銀座線の上野駅まで走り、地下鉄に飛び乗りました。開演時間の45分前の4時15分です。タイミングから言えばほとんど間に合わない時間です
渋谷駅に着いたのは4時53分。開演まであと7分です。またしても走りました。スクランブル交差点をぶっちぎって
汗びっしょりで会場の自席に着いたのは5時01分でした
滑り込みセーフ自民・公明党です
皆さん、くれぐれもコンサートに行く時はチケットで開演時間と会場を再確認しておきましょうね って 自分が気を付けろよ ってことですよね
ということで、歌劇「ノルマ」はベッリーニ(1801-35)が30歳の時に作曲し、1831年12月にミラノ・スカラ座で初演された「ベルカント・オペラの最高傑作」です
この公演は17日と18日のダブルキャストですが、17日の出演は、ドルイド教の巫女長 ノルマ=大村博美、ローマのガリア地方総督 ポリオ―ネ=城宏憲、ドルイド教の高僧でノルマの父 オロヴェーゾ=妻屋秀和、若い尼僧 アダルジーザ=小泉詠子、ノルマの侍女 クロティルデ=成田伊美、ローマ軍隊長 フラーヴィオ=前川健生、管弦楽=東京フィル、合唱=二期会合唱団、指揮=リッカルド・フリッツァ、演出=菊池裕美子です
舞台は紀元前50年頃、ローマ帝国の支配下にあるガリア地方(現在のフランス)。ドルイド教徒たちはローマとの戦いを願っており、ドルイド教徒の長であるオロヴェーゾの娘で巫女のノルマが神託を告げるのを待ちわびている しかし、ノルマは密かにローマの将軍ポッリオーネとの間に子供をもうけており、彼の心が離れたことに悩んでいる
ポッリオーネは若い巫女アダルジーザに心を移していた。一緒にローマに行こうと誘われたアダルジーザは 悩み、ノルマに相談にやってくる。しかし、巫女が恋愛をすることは禁じられている
恋の相手が同じ人物とは知らないノルマはアダルジーザを励ますが、そこにポッリオーネが登場、三角関係が露呈する
事情を知って苦しむアダルジーザ、激怒するノルマ、アダルジーザを想うポッリオーネとの三重唱が歌われて幕が閉じる(以上第1幕)
ノルマは2人の息子を殺して自殺しようとするが、どうしても出来ない アダルジーザがやってきて、自分は身を引き、ノルマと よりを戻すようにポッリオーネを説得すると語る。しかし、ポッリオーネがそれを拒否したことを知り、ノルマは怒りのあまり聖なる銅鐸を3回打ち鳴らして人々を集め、ローマに宣戦布告する
そこに捕らえられたポッリオーネが引き出されてくる。人々を下がらせたノルマは、アダルジーザを諦めれば命は助ける、と告げるが、彼は拒否する。そこで、ノルマは「裏切り者の女がわかった」と人々を集め、「それは自分だ」と告白する
そして2人の息子を父オロヴェーゾに預けると、自ら火刑台へと登っていく(以上第2幕)
自席は1階18列15番、センターブロック左から3つ目です。会場は6割くらい埋まっているでしょうか この公演はセミ・ステージ形式で上演されます。舞台上の手前にオケがスタンバイし、その後ろに高いステージが設けられ、さらにその後ろに合唱が構えるという舞台作りになっています
東京フィルはいつもの通り ヴァイオリン・セクションを左サイドに集める編成を採ります。コンマスは依田真宣氏です
2017年10月からベルガモ・ドニゼッティ音楽祭音楽監督を務める スキンヘッドも鮮やかな リッカルド・フリッツァが登場し指揮台に上がります さっそく、このオペラのエッセンスを凝縮したようなドラマティックな序曲が演奏されます
この前この会場で聴いたグルヴェローヴァの歌う史上最低のノルマの時も感じたのですが、音が籠ったように聴こえます
オケがピットでなくステージ上で演奏しているのにも関わらず そのように聴こえたということは、やはり会場の音響特性の問題でしょうか
それでも、第1幕が始まると慣れてきたせいか、気にならなくなりました
なお、ステージ奥の壁面には、自然を描写した映像が映し出され、聴衆を飽きさせない工夫が凝らされています
このオペラで最初に登場して歌うのはノルマの父でドルイド教の高僧 オロヴェーゾですが、新国立劇場でお馴染みの妻屋秀和氏は存在感が抜群です 説得力のあるバスで会場を圧倒します
そして、ポリオ―ネとフラーヴォが登場し 歌のやり取りがありますが、ポリオ―ネを歌った城宏憲氏は高音が良く伸び、魅力のあるテノールです。どんなフレーズを歌っても安定感があります
そしていよいよノルマの登場です。私がこのオペラで一番聴きたいのはノルマが月の女神に祈りを捧げて歌うカヴァティーナ「清らかな女神よ」です
大村博美さんが純白の衣装で登場、フルートのメロディーに導かれて歌い始めます。ゆったりとしたテンポ、抑制された声で美しいメロディーを歌い上げていくこの曲ほど難しい曲も珍しいと思います
大村さんのカヴァティーナは見事でした
日本人もここまで歌える水準まで来ているのか、とあらためて感じ入りました
次いで、アダルジーザが登場しポリオ―ネとの二重唱を歌いますが、小泉詠子さんは声も美しく歌唱力に安定感があります この後、何度かノルマと二重唱を歌うことになりますが、大村さんのノルマとの二重唱は息もピッタリで、見事なアンサンブルでした
特に第2幕第1場の二人の友情が完全に戻った証として歌われる「ご覧になってください、ああ、ノルマ」での二重唱はテンポ感も良く、気持ちよく聴くことが出来ました
リッカルド・フリッツァ指揮東京フィルは歌手に寄り添うばかりでなく、自らベルカントを歌い上げ ベッリーニの魅力を十二分に表出しました
全体を通して感じたのは、二期会の歌手陣のレヴェルの高さです とくに主役級の歌手陣は聴きごたえがあります。「ノルマ」が大好きで、どうしても生演奏で聴きたくてチケットを買いましたが、聴いて良かったと思いました