人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

プッチーニ「トスカ」を観る ~ 本作ロールデビューのヨンチェヴァとグリゴーロ、ベテランのルチッチにブラボー!:METライブビューイングアンコール2023

2023年09月06日 05時34分24秒 | 日記

6日(水)。わが家に来てから今日で3158日目を迎え、ウクライナ国防省情報局は3日、ロシア軍のヘリコプター操縦士マクシム・クズミノフ大尉(28)がヘリでウクライナに亡命し、ウクライナ当局に保護されたが、家族も別途ロシアを出国して無事である  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     若者ほど プーチン政権の無能力・無展望に 嫌気がさしている証拠 若者よ彼に続け!

 

         

 

昨日、夕食に「ナスと鶏の炒めもの」「冷奴・ウニソースがけ」「モヤシの味噌汁」を作り、「うにいか」と一緒に食べました ウニソースとウニイカは娘が伊豆旅行のお土産に持ち帰ったもので、とても美味しいです

 

     

 

         

 

昨日、東銀座の東劇で「METライブビューイングアンコール2023」のうちプッチーニ「トスカ」を観ました これは2018年1月27日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です キャストはフローリア・トスカ=ソニア・ヨンチェヴァ、マリオ・カヴァラドッシ=ヴィットーリオ・グリゴーロ、スカルピア=ジェリコ・ルチッチ、堂守=パトリック・カルフィッツィ。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱=メトロポリタン歌劇場合唱団、指揮=エマニュエル・ヴィヨーム、演出=デイヴィッド・マクヴィカーです

 

     

 

歌劇「トスカ」はジャコモ・プッチーニ(1858-1924)がヴィクトリアン・サルドゥによる悲劇「ラ・トスカ」を原作として、ルイジ・イリッカとジュゼッペ・ジャコーザの台本により1896年から99年にかけて作曲、1900年1月14日にローマのコンスタンツィ劇場で初演されました

物語の舞台は1800年、ナポレオン軍が迫るローマ 歌姫トスカには、反体制派で共和主義者の画家カヴァラドッシという恋人がいる 聖アンドレア・デラ・ヴァッレ教会でフレスコ画を描いていたカヴァラドッシは、脱獄した同志アンジェロッティと再会し、隠れ家に匿う 教会に現れたトスカに横恋慕する警視総監スカルピアは、アンジェロッティの妹アッタヴァンティ侯爵夫人の扇を利用して、恋人が不貞を働いていたという噂をトスカに吹き込み、彼女は取り乱してその場を去る スカルピアは「行け、トスカよ!嫉妬という鷲の翼を解き放ち・・・」と邪心を露わにする トスカは別荘の恋人のもとに向かうが、スカルピアの部下の尾行の結果、カヴァラドッシは同志を匿った罪で逮捕されてしまう(以上第1幕)

ファルネーゼ宮の一室。カヴァラドッシは拷問を加えられた末に、銃殺刑を言い渡される 一方、逮捕の報を知ったトスカは、すべての事情を悟る スカルピアは恋人の助命をちらつかせ、彼女に言い寄る トスカは揺れる胸の内を「歌に生き、愛に生き」に託して歌う そして、求愛を受け入れると偽り、カヴァラドッシの死刑が執行されたように芝居を打つ段取りをさせる スカルピアがトスカに近づいた瞬間、彼女はナイフで彼の胸を刺しぬく(以上第2幕)

サンタンジェロ城の屋上で、処刑が始まろうとしている。カヴァラドッシはトスカあての遺書を書き、思い出を胸に「星は光りぬ」を歌う そこにトスカが現れ、一部始終を告げて、「処刑は芝居」だと明かす しかし、空砲のはずの銃に装てんされていたのは実弾だった トスカは恋人に取りすがるが、そこにスカルピア殺害を知った追手が迫っていた トスカは「スカルピアよ、神の御前で!」と城壁を乗り越え、虚空へ身を躍らせる(以上第3幕)

 

     

 

プッチーニの数ある名作オペラの中で他の作品と異なるのは、主役級の3人の登場人物が3人とも死亡することです スカルピアはトスカに刺され、カヴァラドッシは銃殺され、トスカは城壁から飛び降ります そのこと一つとっても、このオペラがいかにドラマティックであるかが分かります

スコットランド出身 デイヴィッド・マクヴィカーの演出の大きな特徴は、舞台装置から衣装に至るまでリアリティーを追求していることです 第1幕冒頭の聖アンドレア・デラ・ヴァッレ教会の内部にしても、第3幕のサンタンジェロ城の屋上にしても、現地を視察したうえで設計図を描き、模型を作り、かなり実物に忠実に再現しています 幕が開くと同時に聴衆から感嘆の声とともに大きな拍手が起こるのも無理ありません

私がこのオペラで一番好きなのは、第1幕のラストです スカルピアは「イアーゴは嫉妬する男心をかき乱すためにハンカチを使ったが、俺は扇でやる」と邪心を露わにします これは言うまでもなく、シェイクスピアの「オテロ」(ヴェルディがオペラ化)では、旗手イアーゴがオテロの妻デズデーモナのハンカチを利用してオテロの嫉妬を煽り失脚させることを狙ったが、スカルピアは教会内に落ちていたアッタヴァンティ侯爵夫人の扇を利用してトスカの嫉妬を煽り、「カヴァラドッシの行先を突き止めてやる」と言っているのです

スカルピアから、恋人が不貞を働いていたという噂を吹き込まれたトスカは取り乱してその場を去りますが、神を称賛する「テ・デウム」の合唱が力強く歌われる中、スカルピアは「行け、トスカよ!嫉妬という鷲の翼を解き放ち・・・」と欲望を露わにして歌い上げます 「聖」と「俗」の融合が見事で、何度聴いても感動します セルビア出身のルチッチの欲望に満ちた力強い歌唱はスカルピアそのものです

フローリア・トスカを歌ったソニア・ヨンチェヴァはブルガリア生まれのソプラノです ”歌う女優”と言いたくなるほど演技力が優れ、深い情感を秘めた豊潤な声で聴衆を魅了します 第2幕のアリア「歌に生き 愛に生き」ではトスカに成り切った彼女の熱唱に、拍手とブラボーが鳴りやみませんでした 「トスカ」を歌うのはこれが初めてとは思えない存在感を示しました

マリオ・カヴァラドッシを歌ったヴィットーリオ・グリゴーロはイタリア生まれのテノールです 明るく甘美な声と真に迫った演技力で、若さ溢れるカヴァラドッシを歌い演じました 第3幕のアリア「星は光りぬ」では恋人を残したまま死のうとしている若者を迫真の演技力とともに熱唱、拍手とブラボーの嵐に包まれました

ところで、(前にも書きましたが)、カヴァラドッシはスカルピアの命により「パルミエリ伯爵の時と同じように、見せかけ」の方法で銃殺されるわけですが、具体的にどのような方法かは普通の演出では分かりません しかし、マクヴィカーの演出では、最初に他の受刑者の「通常の銃殺」(銃殺後に短剣でとどめを刺す)を舞台上で見せ、カヴァラドッシの銃殺の時には「とどめを刺さない」ことで、違いを明らかにしています つまり「パルミエリ伯爵の時と同じように」とは「とどめを刺さない」ということであり、決して「見せかけ」ではなく実際に銃殺してしまうのです トスカはまんまとスカルピアの「見せかけ」に引っかかり恋人を失ってしまったのです

これで、3日連続でプッチーニの三大オペラ=「ラ・ボエーム」「トゥーランドット」「トスカ」をMETライブビューイングで観たことになります ほかに「蝶々夫人」もあるし「マノン・レスコー」もあるし「ジャン二・スキッキ」もあるし、プッチーニは本当に素晴らしいオペラをいくつも書いているなと、あらためて感嘆します

METライブビューイングアンコール「トスカ」の上映時間は、幕間のインタビュー、2回の休憩を含め約3時間です 今後の東劇での上映予定は、9月6日(水)15時10分、同12日(火)18時45分、同24日(日)10時30分、同28日(木)14時40分です

 

     

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする