人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ギエドレ・シュレキーテ ✕ エマニュエル・パユ ✕ 読売日響でシャミナード「フルートと管弦楽のためのコンチェルティーノ」、バルトーク「管弦楽のための協奏曲」他を聴く

2023年09月23日 00時02分22秒 | 日記

23日(土・祝)。わが家に来てから今日で3175日目を迎え、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は22日までに、金正恩党総書記がロシア訪問で「反帝国主義の正義の闘いを力強く鼓舞し推し進めた」と指摘し、北朝鮮が「世界の政治情勢の流れを主導している」と主張し、金正恩氏の今回のロシア訪問でこうした北朝鮮の「国際的地位と影響力が世界に改めて示された」とも強調した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     さすがは強権主義国家北朝鮮の機関誌だ 井の中の蛙大海を知らず とはこのことだ

     

  諸般の事情により夕食作りはお休みしました  

         

 

昨夜、サントリーホールで読売日響「第665回名曲シリーズ」を聴きました プログラムは①チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」、②サン=サーンス「オデレット 作品162」「ロマンス 作品37」、③シャミナード「フルートと管弦楽のためのコンチェルティーノ  ニ長調 作品107」、④バルトーク「管弦楽のための協奏曲」です 演奏は②③のフルート独奏=エマニュエル・パユ、指揮=ギエドレ・シュレキーテです

ギエドレ・シュレキーテは1989年、旧ソ連のリトアニア生まれの女性指揮者。2015年マルコ国際指揮者コンクール入賞。2016年から18年までクラーゲン市立劇場で第1カぺルマイスターを、2021/2022シーズンからリンツ・ブルックナー管弦楽団の首席客演指揮者を務めています

     

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び コンマスは日下紗矢子、その隣は林悠介というダブル・コンマス態勢を敷きます

1曲目はチャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が29歳の1869年に作曲(第1稿)、1870年3月16日にモスクワで初演されましたが、その後70年と80年に改訂を加えています

長い金髪を後ろで束ね、比較的長身のシュレキーテが指揮台に上り、演奏に入ります 全体の演奏を聴いた感想としては、かなり丁寧な音楽作りをしていると思いました 習字で言えば楷書体です。もう少しキレがあると面白いと思いました

2曲目はサン=サーンス「オデレット 作品162」と「ロマンス  変ニ長調 作品37」で、ともに独奏フルートと管弦楽のための作品です 「オデレット 作品162」はカミーユ・サン=サーンス(1835-1921)が1920年に作曲、「ロマンス  変ニ長調 作品37」はその49年前の1871年に作曲しました 「オデレット」は「小さなオード(頌歌)」の意です

フルート独奏のエマニュエル・パユは1970年、スイス・ジュネーヴ生まれ。パリ高等音楽院でM.デポストらに師事。ジュネーヴ国際音楽コンクール第1位など受賞多数   1993年にベルリン・フィルの首席奏者に就任し現在に至る

シュレキーテの指揮で「オデレット」の演奏に入ります サン=サーンスらしい技巧的な曲で、速いパッセージでは超絶技巧を必要としますが、パユはパワフルな演奏で吹き切ります 一方「ロマンス」は文字通りロマン溢れる曲で、まるでオペラのアリアを、サン=サーンスで言えば「サムソンとデリラ」のデリラのノスタルジックなアリアを思い浮かべました パユは鮮やかに歌い上げました

3曲目はシャミナード「フルートと管弦楽のためのコンチェルティーノ」です この曲は女性作曲家セシル・シャミナード(1857-1944)がパリ音楽院フルート科の修了コンクール課題曲として1902年に作曲、同年パリで初演されました 飯尾洋一氏のプログラム・ノートによると、シャミナードは裕福な家庭に生まれ、恵まれた環境のもとピアノと作曲の才能を育みました メンデルスゾーンの姉ファニーのような境遇だったようです 44歳で15歳年上の楽譜商と結婚し、キャリアを犠牲にすることなく別居婚を選択したとのこと 当時の女性としてはぶっ飛んだ生き方だったようです この作品は結婚の翌年に書かれたもので、幸福感に満ちています

シュレキーテの指揮で演奏に入ります かなりメロディーが素直で聴きやすい曲で、フルート独奏の曲想としては、まるでソプラノ歌手が美しいコロラトゥーラで歌っているような感じがしました 作曲者が「フルートに課せられたあらゆる技巧が含まれた作品」と語っているように、美しいばかりでなく速いパッセージによる超絶技巧の部分もありますが、パユは何の苦もなく余裕で吹きます 鮮やかなカデンツァの後、華やかなフィナーレを迎えました

満場の拍手の中、カーテンコールが繰り返されます すると、1階前方右寄りの客席から一人の女性がステージ中央まで歩いていき、ブーケをパユに手渡しながら口頭で短いメッセージを伝えました 受け取ったパユは嬉しそうにしていたし、会場も”花束歓迎”のような雰囲気でした しかし、私は「パユさん、大丈夫か?」と思いました 新型コロナウイルス感染対策は第5類に移行しましたが、そんなことは人間が勝手に決めたことで、新型コロナウイルス感染は減少したわけではありません 思い出していただきたいのは、コロナ禍のもとでは「出演者への花束やプレゼントは、コロナウイルス感染拡大防止上、出演者本人ではなく主催者に預けて、主催者から本人に渡す」というのが”約束事”ではなかったか、ということです たしかに、最近は場内アナウンスでもプログラム冊子でも「花束やプレゼントは直接出演者に渡さないように」という注意はされていません だからこそ、コロナが収まるまでは、場内アナウンスでも注意を促すべきだし、プログラム冊子にも書くべきだと思います 私が恐れているのは、あれを見た人が、「ああ、演奏者に直接花束を渡してもいいんだな」と思って実行することです そしてそれが拡大することです われわれ聴衆は、演奏者の健康を第一に考えて、賞賛の気持ちを伝える方法を考えるべきだと思います

 

     

 

プログラム後半はバルトーク「管弦楽のための協奏曲」です この曲はベーラ・バルトーク(1881-1945)が1940年にナチスの台頭にともないハンガリーを離れアメリカに移住した後、ボストン管弦楽団音楽監督のセルゲイ・クーセヴィツキーに依頼により1943年に作曲、1944年12月1日にボストンで初演されました 第1楽章「序章」、第2楽章「対の遊び」、第3楽章「エレジー」、第4楽章「中断された間奏曲」、第5楽章「終曲」の5楽章から成ります

シュレキーテの指揮で演奏に入りますが、全体を聴き終わって一番印象に残ったのは、楽章と楽章の”間”を長く取ったことです まるでそれぞれの楽章が全く異なる楽曲であると言うがごとく、次の楽章に移るのに時間を空けました 面白く聴いたのは第2楽章「対の遊び」です 小太鼓の軽快なリズムに導かれてファゴット、オーボエ、クラリネット、フルート、トランペットがそれぞれ順に対になって登場し、おどけたパッセージを奏でます 金子亜未のオーボエがとにかく巧い 第3楽章「エレジー」における金子のオーボエは、夜の不気味さを表わしていて寒気がしたほどです いつも笑ってしまうのは第4楽章「中断された間奏曲」における管弦楽による「馬のいななき」のような音楽です 第5楽章のプレストは疾走感が堪りません

満場の拍手とブラボーがシュレキーテと読響の面々に押し寄せました これからは世界的に 女性指揮者が増えてくるんだろな、と思いました

コメント (2)
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