19日(火)。わが家に来てから今日で3171日目を迎え、ウクライナ軍の関連組織「国民抵抗センター」は17日、ロシアのプーチン大統領が13日に行われた北朝鮮の金正恩総書記との会談中、ウクライナ東部のロシア占領地域に、州内の要塞やインフラ施設の建設作業のため 北朝鮮の労働者を連れてくるよう求めたとみられるとの見方をサイトに投稿した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
ロシアは面積が広い割には人口が少ないし 若者は戦争に行ってるし 金ちゃん頼みか
昨日、夕食に「野菜とひき肉のドライカレー」を作りました カレーには赤ワインですね、って もうすっかり腰痛が治ったつもりでいるし
昨日、東銀座の東劇で「METライブビューイング・アンコール2023」のうち、ヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」を観ました これは2011年4月30日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演はレオノーラ=ソンドラ・ラドヴァノフスキー、マンリーコ=マルセロ・アルヴァレス、ルーナ伯爵=ディミトリ・ホヴォロストフスキー、アズチェーナ=ドローラ・ザジック。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱=メトロポリタン歌劇場合唱団、指揮=マルコ・アルミリアート、演出=デイヴィッド・マクヴィカーです
私はこの公演のライブビューイングは観ていませんが、2015年10月3日収録のライブビューイング(レオノーラ=アンナ・ネトレプコ他)を観ています 演出は同じです
「イル・トロヴァトーレ」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)がアントニオ・ガルシア・グティエレスの「エル・トロヴァドール」に基づき1851年から翌52年にかけて作曲、1853年1月19日にローマのアポロ劇場で初演された全4幕から成るオペラです 標題の「トロヴァトーレ」とは「吟遊詩人」のことです
物語の舞台は15世紀初頭のスペイン。ルーナ伯爵の陣営で警備隊長フェルランドが昔語りをする 先代の伯爵に2人の息子がいたが、弟君がジプシーの老婆に呪いをかけられたとされ、老婆は火あぶりとなり、弟君は行方不明になったという 夜、城内の庭では、暗闇の中、女官のレオノーラが恋人の吟遊詩人マンリーコと間違ってルーナ伯爵に抱きついてしまい、レオノーラを愛する2人は決闘となる(以上第1幕)
ジプシーの野営地。アズチェーナは息子マンリーコに、自分の母が火炙りにされた様子を物語る 復讐のため伯爵の弟君を火に投げ入れたつもりが、誤って自分の息子を殺したと聞き、マンリーコは自分の出生に疑問を抱く そこにレオノーラが修道院に入るという知らせがもたらされる 駆けつけたマンリーコは、先にレオノーラを略奪しようとしたルーナ伯爵から彼女を救い出す(以上第2幕)
ルーナ伯爵の陣営にアズチェーナが捕らえられてくる 彼女がマンリーコの母親と知った伯爵は復讐を誓う 一方、マンリーコの陣営では、レオノーラとの結婚が準備されている最中に、アズチェーナが捕らえられたとの知らせがもたらされる マンリーコは母親の救出のため出陣する(以上第3幕)
マンリーコはルーナ伯爵との闘いに敗れ、アズチェーナと共に塔に囚われている 一方、レオノーラはルーナ伯爵に身を任せる代わりにマンリーコの助命を嘆願する 牢に現れたレオノーラはマンリーコを逃そうとするが、先に飲んでいた毒が回り息絶える それを知ったルーナ伯爵は激昂しマンリーコを処刑する アズチェーナはルーナ伯爵に、彼こそ行方不明のお前の弟だと告げる 伯爵は「それでも俺は、生きていかなければならないのか」と絶望する(以上第4幕)
スコットランド出身のデイヴィッド・マクヴィカーの演出・舞台作りは極めてオーソドックスで好感が持てました 廻り舞台により場面転換がスピーディーに行われ、弛緩する所がありませんでした
レオノーラを歌ったソンドラ・ラドヴァノフスキーは米シカゴ近郊出身のソプラノです 1995年にMETのオーディションに合格し、翌年「リゴレット」でMETデビューを果たしました 第1幕のアリア「穏やかな夜」、第4幕のアリア「恋はばら色の翼にのって」をはじめ、超絶技巧の美しいコロラトゥーラによるベルカント唱法で抜群の存在感を示しました
マンリーコを歌ったマルセロ・アルヴァレスはアルゼンチン生まれのテノールです 30歳まで家具会社を経営し、本格的に声楽を学び始めてわずか数年で世界的なトップ・テナーの名声を獲得したという特異の経歴の持ち主です 本作では第3幕の「見よ恐ろしき炎」をはじめ情熱的な歌唱で聴衆を魅了しました
アズチェーナを歌ったドローラ・ザジックはアメリカ出身のメゾソプラノです アズチェーナは当たり役で、輝かしく威厳のある歌唱でジプシーの母親を見事に歌い演じました このオペラは「イル・トロヴァトーレ」よりも「アズチェーナ」とした方が良いのではないか、と思わせるほどの存在感がありました
ルーナ伯爵を歌ったディミトリ・ホヴォロストフスキー(ホロストフスキーとも書く)は1962年 ロシア・シベリア生まれのバリトンですが、第2幕第2場におけるアリア「君が微笑み」をはじめ、パワフルでありながら翳のある独特の声と、銀髪・甘いマスクで聴衆を魅了しました また、マンリーコとの二重唱、レオノーラを加えた力強い三重唱はわくわくどきどきが止まらない興奮を味わいました ヴェルディのオペラはこういうところが素晴らしいと思います 幕間のインタビューでホヴォロストフスキーは、「6月に日本でヴェルディ『ドン・カルロ』に出演するのが楽しみです」と語っていました 私はその時すでにその来日公演のチケットを入手していたので観に行きました 2011年6月10日のMET来日公演:ヴェルディ「ドン・カルロ」(指揮=ファビオ・ルイージ)です ホヴォロストフスキーはロドリーゴ役で出演しましたが、映像で観た通りカッコよくて歌も抜群に巧く、圧倒的な人気でした
今でも思い出すのは、その年の3月11日に東日本大震災が起こり、それに伴って東京電力原子力発電所の事故が発生したことにより、MET来日公演で来日するはずだった何人かの歌手が来られなくなったことです アンナ・ネトレプコ、オルガ・ボロディナ、ヨナス・カウフマン、ジョセフ・カレーヤといった錚々たる歌手たちです しかし、ホヴォロストフスキーは来日し歌ってくれました ますます彼のファンになりました
しかし、残念ながら下の写真の「死亡告知」の通り、彼は 2017年11月22日に脳腫瘍が原因で死去しました 55歳は あまりにも早すぎです
ところで「ヴェルディのオペラの中で最高傑作は何か?」と問われたら 何と答えますか? 「マクベス」「リゴレット」「椿姫」「ドン・カルロ」「アイーダ」「ファルスタッフ」・・・まだまだありますが、迷いますね 私は「イル・トロヴァトーレ」だと答えます このオペラは最高峰の歌手が4人揃わないと上演できない作品なのです 美しいアリアあり、力強い二重唱、三重唱あり、第2幕の勇ましい「アンヴィル・コーラス」ありーといった、ある意味アンサンブル・オペラの傑作と言えるかもしれません ヴェルディの他のオペラも好きですが、「イル・トロヴァトーレ」は特別です
今回のMETライブ「イル・トロヴァトーレ」を観るにあたり、マリア・カラスがレオノーラを歌ったCDで予習しておきました いいですね、マリア・カラス