人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立劇場オペラ研修所修了公演でフェッラーリ「イル・カンピエッロ」を聴く~20世紀のオペラでも面白い喜歌劇

2018年03月11日 07時50分04秒 | 日記

11日(日)。わが家に来てから今日で1257日目を迎え、米朝首脳会談の開催合意の発表から一夜明けた10日現在、北朝鮮は米朝関係について沈黙を続けているが、過去の主張との整合性を慎重に計算している模様だ というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                北朝鮮はトランプ氏を「米国の老いぼれた狂人」とか呼んでたし  当たってるけど

 

             

 

昨日、初台の新国立劇場(中劇場)で新国立劇場オペラ研修所修了公演、ヴォルフ=フェッラーリのオペラ「イル・カンピエッロ」(1936年)を聴きました 「カンピエッロ」とは小広場のことで、このオペラはヴェネツィアの とあるカンピエッロを舞台に、結婚を夢見るガスパリ―ナと騎士アストルフィの恋物語を中心として、ニェーゼとゾルゼート、ルシエータとアンゾレートなどの恋人たちやその家族が、笑いあり 喧嘩ありの騒動を巻き起こし、最後にはガスパリ―ナとアストルフィが目出度く結婚して大団円を迎える というドタバタ喜劇です

エルマンノ・ヴォルフ・フェラーリって誰よ?と思いましたが、1876年1月にヴェネツィアで生まれ、多くのオペラを作曲し1948年1月に没した作曲家とのこと 彼の作品の中で今でも名を残しているのはオペラ「マドンナの宝石」(1911年)の間奏曲だということです

 

     

 

3日間の公演で、8日・11日と10日のダブル・キャストになっていて、研修所の18期から20期までの研修生と プロとして活躍している賛助出演者によって歌い 演じられます   管弦楽=新国立アカデミーアンサンブル、合唱=国立音大・昭和音大・桐朋学園・武蔵野音大の各大学有志、エレクトーン=西岡奈津子、指揮=柴田真郁による演奏、粟國淳の演出です

私が聴いたのは10日の公演で、席は8列48番、右ブロック左から2つ目です。8列といってもオーケストラ・ピットがあるので実質的には3列目です

この日は第19期の出演はありませんでした。賛助出演者は、ファブリーツィオを歌った清水那由太をはじめ、さすがに歌唱力、演技力ともに安定感がありました このオペラは、男性が女装して歌う役割もあるのですが、ルシエータの母親ドナ・カーテを演じた渡辺大、ニューゼの母親ドナ・パスクアを演じた伊藤達人の女っぷりには思わず笑ってしまいました

女性で声、歌唱力ともに一番良かったのはガスパリ―ナを演じた18期の西尾友香理さんでした また演技を含めて印象的だったのはルシエータを演じた20期の平野柚香さんでした 男性では騎士アストルフィを演じた20期の野町知弘さんが印象に残りました また、粟國淳の演出は楽しく、良かったと思います

ところで、第3幕の中盤で、3家族入り乱れての大げんかをしているところに、ガスパリ―ナとの結婚話をまとめた騎士アストルフィが出てきて皆を一喝し、一同が押し黙るシーンがありますが、”騎士”が登場する時に鳴り響いたのはモーツアルト「ドン・ジョバン二」で石像の”騎士長”が登場する時のデモーニッシュな音楽にそっくりでした フェッラーリはモーツアルトのオペラ「イドメネオ」の改訂も行っているので、まったくモーツアルトを意識していなかったわけでもなさそうです フェッラーリさん、パクりましたね

 

     

 

それにしても、と思うのは、こういう名も知られていないマイナーなオペラは新国立劇場でも他のオペラ公演でもほとんど上演されないので、こういう機会に聴くしかないというのが寂しいところです この「イル・カンピエッロ」は20世紀のオペラ(1936年)ですが、こういう楽しいオペラならもっと聴きたいと思います

 

     

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内池久貴著「東京CLASSIC地図」を読む~渋谷の名曲喫茶「ライオン」ほか東京のクラシック音楽ガイドブック

2018年03月10日 08時06分27秒 | 日記

10日(土)。わが家に来てから今日で1256日目を迎え、訪米した韓国大統領府の鄭義浴国家安保室長が8日、トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長からの要請を受け入れ、5月までに米朝首脳会談に応じる意向を示したことを明らかにした というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                 拉致された人たちが全員無事に帰国できたら 北朝鮮を信じることが出来るかな?

 

    

 

昨日、夕食に「カレーライス」と「生野菜と生ハムのサラダ」を作りました カレーはいつもビーフカレーなのですが、たまには鶏肉もいいかな、と思ってチキンカレーにしました

 

     

 

    

 

内池久貴著「東京CLASSIC地図」(散歩の達人POCKET:交通新聞社)を読み終わりました この本は東京都内の名曲喫茶を中心に、生演奏が聴けるレストランやバー、クラシック音楽専門レコード店、音楽ホールなどを写真入りで紹介したクラシック音楽ガイドブックです

いつものように、目次によってこの本の概要をご紹介することにします

CHAPTER1「名曲喫茶」~昭和から平成へ、文化の発信基地の現在。全160ページのうちこの名曲喫茶に95ページを割いているほど力を入れて取材しています

CHAPTER2「レストラン&バー」~生演奏をBGMにしてしまう贅沢な夜の過ごし方

CHAPTER3「音楽ホール」~名門ホールから寺院まで音楽を楽しめる場所たち

CHAPTER4「クラシック音楽専門店」~ネットを遮断して休日には街に出よう!

 

     

 

「はじめに」の中で、池内氏は次のように語っています

「もしものことだが、渋谷の道玄坂にある『名曲喫茶ライオン』が世界遺産に登録されたとしても驚きはしない。昭和元年(1926)の創業で、東京大空襲により全焼。昭和25年にかつての建物を甦らせるように再建された。その建物がそのまま平成に受け継がれているのだ。一歩その店内に足を踏み入れたなら、それだけでもタイムスリップした気になれる。というよりも、昭和の時代にはこんな空間が喫茶店であり得たのか・・・と息を呑む」

これは一度でも「ライオン」に行ったことのある人ならすぐに理解できます 暗い店内の正面に鎮座する巨大スピーカー、ほとんどすべてがスピーカーに向けられた椅子の数々、膨大なLPレコード・・・クラシックの迷宮に忍び込んだかのようです  リクエストではバロック、古典派、ロマン派の曲がかかるケースが多い、ということは極めて保守的なリスナーが集まっている証拠か かくいう私も、もしシェーンベルクがかかったら帰るけどね

「昭和の時代にタイムスリップ」ということで言えば、中野にあった伝説の名曲喫茶「クラシック」に初めて入った時の衝撃は忘れられません 昭和20年(1945)創業のお城のような構えの店内に入ると、暗い店内の板張りの床はギシギシいい、壁には店の主人で画家の美作七郎氏の手による絵画が掛けられ、コーヒーを頼めば、一緒に付いてくる小さなミルク入れの器はキューピーマヨネーズのフタで、水はワンカップ大関のコップだったりしました 不思議なことに私が行った時は2度ともホルストの「惑星」がかかっていました

「クラシック」は後継者がいなくなり平成17年(2005)1月に店仕舞いになってしまいましたが、店内の一角をそっくりそのまま阿佐ヶ谷の「ヴィオロン」に移築し受け継いでいるとのことです また、「クラシック」で働いていた2人の女性がLPや家具・調度品を引き取り、平成19年(2007)11月から高円寺で「ルネッサンス」というクラシック喫茶を営んでいます いかに中野の「クラシック」の存在が大きかったかということです 私は「ルネッサンス」には一度行ったことがありますが、「一角」だけに狭すぎという印象が残りました 「ヴィオロン」はまだです。是非訪ねてみたいと思います。無くならないうちに

異色なのは、埼玉県川越にある「アマデオ」です。この店は10年くらい前にある週刊誌で紹介されていたのを勤務先の人が教えてくれて、休日に訪ねてみたのですが、普通の民家のような喫茶店で、中古レコードも販売しています 喫茶店ですが、コーヒーしかありませんでした。頼むとご主人がコーヒーミルに豆を入れてガリガリと弾いて淹れてくれます。単純です。LPレコードを聴きながらコーヒーを飲んでいると幸せな気分になったものです

この他、高円寺「ネルケン」、荻窪「ミニヨン」、吉祥寺「バロック」(一度行った)、国分寺「でんえん」、新宿三丁目「らんぶる」(何度か行った)、淡路町「ショパン」などが紹介されています まだ1度も行ったことがないお店がほとんどです。「らんぶる」と言えば、新宿歌舞伎町にもあったし、銀座にもありました。歌舞伎町は風俗産業に押され、銀座は火事に遭いました。両店とももう存在しません 高田馬場には「あらえびす」というクラシック喫茶がありましたが、一度行ってみようと思っているうちに消えてしまいました

この本で紹介されているクラシック喫茶店の店主に「お店でよく流れる名曲&名盤」を訊いていますが、ワルターのモーツアルト「第40番ト短調」だったり、カザルスのバッハ「無伴奏チェロ組曲」だったり、フルトヴェングラーのベートーヴェン「田園」だったり、グレン・グールドのバッハ「ゴルトベルク変奏曲」だったりと、極めてコテンコテンの古典音楽で驚きます しかも演奏者は故人ばかりです クラシック喫茶に来るお客の多くは頭の中が昭和でストップしてしまっているのではないか、と思ってしまいます かく言う私も例外ではないかも知れませんが。古い奴だとお思いでしょうが、古い奴なんです

楽しそうなのはCHAPTER2「レストラン&バー」です 生演奏を聴きながらビールやワインを飲むなんて最高の贅沢です ここでは、「音楽ビアプラザ ライオン銀座店」、「オペラサロン トナカイ(サン・ミケーレ)」(大門)、「アルテ・リーベ」(横浜)などが紹介されています 「アルテ・リーベ」は新聞博物館が入居している横浜の情報文化センター1階にありますが、10年以上前に みなとみらいホールで開かれた「ヒラリー・ハーン+ヤンソンス+ベルリン・フィル」のコンサートの前に食事をしたことがあります 海外の演奏家がピアノ三重奏を演奏していました

クラシック音楽のガイドブックとして鞄に入れてクラシック喫茶やバーに出かけてみてはいかがでしょうか  新しい出会いや発見があるかも知れません

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METライブビューイングでドニゼッティ「愛の妙薬」を観る~南アフリカ出身のソプラノ歌手プレティ・イエンデは同郷のゴルダ・シュルツに次ぐ逸材か!

2018年03月09日 07時47分44秒 | 日記

9日(金)。わが家に来てから今日で1255日目を迎え、大相撲の横綱稀勢の里が11日初日の春場所を休場することになった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      純国産の横綱が6連続休場になるのは残念だ 日本相撲協会は相変わらず窮状だ

 

        

 

昨日、夕食に「豚の生姜焼き」「生野菜とツナのサラダ」「海老入り水餃子」を作りました 「生姜焼き」はキャベツを添えるのがオーソドックスだと思いますが、私の見たレシピはレタスです

 

     

 

        

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ドニゼッティ「愛の妙薬」を観ました これは今年2月10日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演された公演のライブ録画映像です 出演はネモリーノ=マシュー・ポレンザ―二(テノール)、アディ―ナ=プレティ・イェンデ(ソプラノ)、ドゥルカマーラ=イルデブランド・ダルカンジェロ(バス)、ベルコーレ=ダヴィデ・ルチアーノ(バリトン)ほか。管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団、指揮=ドミンゴ・インドヤーン、演出=バートレット・シャーです

 

     

 

素朴な農夫ネモリーノは農場主の娘アディ―ナに夢中になっている 軍曹のベルコーレが彼女を口説くので、ネモリーノも勇気を奮って告白するが 相手にされない   そこへインチキ薬売りのドゥルカマーラが登場し、愛の妙薬と称して安物ワインを彼に売りつける 酔っぱらったネモリーノは急に強気になるが、怒ったアディ―ナはベルコーレと結婚すると言い出す ネモリーノはさらに妙薬を買うお金を得るために軍隊に入隊する。それに心を打たれたアディ―ナはネモリーノに愛を告白し、二人はめでたく結ばれる

この物語は、最初にアディ―ナが「トリスタンとイゾルデ」の本を農家の娘たちに読み聞かせるシーンから始まりますが、このオペラのタイトル「愛の妙薬」からすると象徴的です 言うまでもなく、ワーグナーが曲を付けた「トリスタンとイゾルデ」は、自殺しようと思って飲んだ毒薬がイゾルデの侍女ブランゲーネが差し替えた媚薬だったことから、二人は死ぬどころか熱烈に愛し合うようになるという物語です 「愛の妙薬」の台本作家ロマ―二はこの物語からヒントを得たのかも知れません。もっとも、「愛の妙薬」でペテン師ドゥルカマーラがネモリーノに売りつけたのは媚薬ではなく 安物ワインだったわけですが

ネモリーノを歌ったマシュー・ポレンザ―二はMETを代表するスター・テノールで、数多くの作品で歌っています 第2幕終盤で歌われる「人知れぬ涙」はオペラ史上屈指の名アリアですが、ポレンザ―二は甘くも力強いテノールでアディ―ナへの想いを切々と歌い上げました。しばらく拍手が鳴りやみませんでした

アディ―ナを歌ったプレティ・イェンデは南アフリカ生まれのリリック・コロラトゥーラ・ソプラノの新星です 今回がMETデビューとのことですが、同じ南アフリカ出身のソプラノでMETライブ「魔笛」のパミーナ、新国立オペラ「ばらの騎士」のゾフィーを歌ったゴルダ・シュルツに次ぐ逸材だと思います まさにベルカントの歌唱力が抜群で、演技力も十分です 幕間のインタビューで「同じベルカント・オペラの3人の作曲家、ロッシーニ、ベッリーニ、ドニゼッティを比べて、ドニゼッティの特徴は何だと思いますか?」というスザンナ・フィリップスの質問に、「高すぎる音もなく、低すぎる音もなく、自然に歌えることろです ドニゼッティは歌手に無理強いしません」と答えていました また「オペラ歌手になったキッカケは?」と聞かれ、「英国航空のCMとして流れていた『ラクメ』の二重唱を聴いて感動したのがキッカケです」と答えていました。これはドリーブ作曲「ラクメ」の「花の二重唱」のことです 航空会社のコマーシャルがオペラ歌手を生んだとは意外でした 経歴が飛んでますね

ペテン師ドゥルカマーラを歌ったイルデブランド・ダルカンジェロはイタリア生まれのバスで、現在ウィーン国立歌劇場宮廷歌手ですが、いかにもやり手のペテン師といった面構えと、ロッシーニばりの早口言葉アリアも難なくこなす抜群の歌唱力で聴衆を虜にしました

軍曹のベルコーレを歌ったダヴィデ・ルチアーノはイタリア出身のバリトンの新星で、いかにも女性なら誰でも声をかけるという典型的なイタリア男を見事に演じ、明るいバリトンで聴衆を魅了しました

演出のバートレット・シャーはミュージカル「南太平洋」のリバイバル演出でトニー賞を受賞したほか、METでも「セヴィリアの理髪師」「ホフマン物語」「オリ―伯爵」「ロメオとジュリエット」などの名演出で話題を巻き起こしましたが、この「愛の妙薬」でも喜劇に相応しいウィットに富んだ演出で楽しませてくれました 第2幕冒頭の宴会のシーンでは ドゥルカマーラ役のダルカンジェロに スパゲティを食べながら歌わせていましたが、彼の豪快な食べっぷりを見ていたら スパゲティが食べたくなり、映画を見終わった後、パスタ専門店でスパゲティの昼食を取りました  もちろんアルデンテでした

指揮のドミンゴ・インドヤーンはベネズエラの音楽教育システム「エル・システマ」でヴァイオリンを学び、ベルリン国立歌劇場でバレンボイムのアシスタントを務め、同歌劇場でオペラ・デビューしました 今回がMETデビューとのことですが、よく歌手に寄り添ってタクトを振っていました 蛇足ながら、夫人は前回のMETライブの「トスカ」でタイトルロールを歌ったプラノ歌手のソニア・ヨンチェヴァです

METライブビューイング「愛の妙薬」は全2幕で 開映後の上映時間は歌手や指揮者へのインタビュー等を含めて2時間48分です 9日(金)まで新宿ピカデリーほかで上映中です

 

     

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海老原光+小林美樹+金子三勇士+がんばろう日本!スーパーオーケストラでメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」、リスト「ピアノ協奏曲第1番」、ベートーヴェン「交響曲第7番」を聴く

2018年03月08日 07時58分17秒 | 日記

8日(木)。毎週水曜日の朝日夕刊に連載している黒木瞳さんのエッセイ「ひみつのHちゃん」を愛読しています 昨日は花粉症撃退の秘策を公開していました。瞳さんが雑誌「現代農業」で編集長と対談した時、「ある農家の人が、西洋ワサビを毎日食べていたら花粉症が治った」という話を聞いたということでした 食べ方は、西洋ワサビをすりおろし、それを醤油につけたものをご飯の上に小さじ一杯かけて食べるだけとのこと 瞳さんは「人によっては効く効かないはあるかもしれないけれど、万一効いたら儲けもんだ」と書いています。花粉の飛散量は昨年の1.5倍と聞きましたが、花粉症の人はダメ元でやってみてはいかがでしょうか ところで西洋ワサビってどこで売っているのでしょうか? ご自分で調べてください

ということで、わが家に来てから今日で1254日目を迎え、森友学園との国有地取引に関する財務省の決裁文書が書き換えられた疑いをめぐり、自民、公明両党が7日、同省に対し資料の調査と関係者の聞き取りを行い 8日までに国会へ報告するよう政府に求めた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

         決済文書を書き換えたらケッタイ文書じゃん  財務省は罪無省のつもりじゃね?

 

          

 

昨日、夕食に「海鞘(ほや)の炊き込みご飯」「生野菜と生ハムのサラダ」「ふかひれスープ」「アジと えぼ鯛の塩焼き」を作りました 「ほやご飯の素」と「フカヒレスープ」は息子が宮城県に行った時に買ってきたもので、アジと えぼ鯛は勝浦在住の大学時代の友人S君が送ってくれた逸品で、これが最後です 「ほや」は嫌いな人は嫌いだと思いますが、わが家は海産物はほとんど大好きなので問題ありません

 

     

 

          

 

6日(火)は新国立劇場の「ホフマン物語」が終わり カーテンコールに途中まで付き合って劇場を出たのが午後5時50分でした  その後 地下鉄に乗って初台から市ヶ谷経由で溜池山王まで行き、サントリーホールに着いたのは6時20分過ぎでした。途中 コンビニで買ったおにぎりをカラヤン広場のテラスのテーブルで食べて 開場時間の6時半にはホールに入りました こういう忙しないコンサートのハシゴは健康に良くないですね

ということで、一昨日 午後7時からサントリーホールで「がんばろう日本!スーパーオーケストラ」のコンサートを聴きました  これは3.11東日本大震災のあった2011年から毎年開かれている「毎日希望奨学金チャリティーコンサート」の第8回公演です。プログラムは①メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」、②リスト「ピアノ協奏曲第1番変ホ長調」、③ベートーヴェン「交響曲第7番イ長調」です ①のヴァイオリン独奏は小林美樹、②のピアノ独奏は金子三勇士、指揮は海老原光です

 

     

 

自席は1階13列39番、センターブロック右通路側です。会場は8割方入っているでしょうか

オケの面々が入場し配置に着きます。コンマスの小森谷巧氏を中心に読響のメンバーが多く約70人のうち18人います 次に多いのは被災地の仙台フィルのメンバーで14人です このほか、東京からはN響、都響、東響、東京フィル、藝大フィル、イルミナートフィルなど、地方からは千葉響、群馬響、神奈川フィル、山形響、中部フィル、広島響などからも参加、また ソリストとして活躍している演奏者も参加しています

第1ヴァイオリンの小森谷コンマスの隣は同じ読響アシスタント・コンマス伝田氏、第2ヴァイオリン首席は読響の瀧村依里さん、その隣はソリストの会田莉凡さんです   読響の皆さんは前日コバケンとの「都民芸術フェルティバル」公演があったので連チャンです  リハーサルの時間がかなり限られていたのではないかと想像します

最初の曲はメンデルスゾーン(1809-1847)の「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」です  この曲はゲヴァントハウス管弦楽団のコンマスだったダーヴィトのために書かれ、1845年に初演されました 第1楽章「アレグロ・モルト・アパッショナート」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグレット・ノン・トロッポ~アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成りますが、続けて演奏されます

個人的なことを言えば、メンデルスゾーンという作曲家は大好きなのですが、この曲ばかりは外来の高名な演奏家が来日すると必ずといっても良いほどこの通俗名曲「メンコン」を演奏するので、いささか嫌気がさしています 日本の聴衆をバカにしているのかと憤りさえ感じています もっとも、演奏する側は別の曲を演奏したいのに、日本側からの要望が「通俗名曲でないとお客が入らないから」として押し付けているということかも知れません いずれにしても、この曲が名曲であることに変わりはありません 

朱色の鮮やかな衣装を身にまとった背の高い小林美樹さんが颯爽と登場します 彼女は2011年の第14回ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールで第2位に入賞しています 海老原氏のタクトで第1楽章が開始されます この曲を聴くたびに思うのは、これほど「流麗」という言葉がピッタリな曲があるだろうか、ということです 何の苦もなく美しいメロディーを紡いでいく小林美樹さんの演奏姿を見ていると 余裕さえ感じます 後のインタビューで「この曲は20回くらい演奏してきたと思います」と答えていましたが、その実績が背景にあるのでしょう   とくに素晴らしいと思ったのは第2楽章のヴィブラートをかけた高音部の演奏です。キラキラと煌めいていました

グランド・ピアノがセンターに移動し、リスト「ピアノ協奏曲第1番」の演奏に備えます。この曲は何度かの改訂の後、1855年2月にリストが宮廷楽長を務めていたドイツのワイマールで本人の独奏、ベルリオーズの指揮で初演されました 第1楽章「アレグロ・マエストーソ、テンポ・ジュスト」、第2楽章「クワジ・アダージョ」、第3楽章「アレグレット・ヴィヴァーチェ~アレグロ・アニマート」、第4楽章「アレグロ・マルツィアーレ・アニマート~プレスト」の4楽章から成りますが、続けて演奏されます

オケがスタンバイしますが、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの首席の間にトライアングル奏者が座ります 後の海老原氏の解説によると これはハンガリーのゾルターン・コチシュが考案した配置とのことです 第3楽章と第4楽章でトライアングルが活躍しますが、この位置なら音が良く聴こえます 当時としては珍しい楽器起用で、保守派の批評家ハンスリックから「トライアングル協奏曲」と揶揄されたと言われています

1989年に日本人の父とハンガリー人の母のもとに生まれ、ハンガリーで学び、2008年にバルトーク国際ピアノコンクールで優勝した金子三勇士が登場しスタンバイします 後のインタビューで語ったところによると「三勇士(みゅうじ)という名前は、ミュージックから採られたのかとよく言われますが、大変申し訳ありませんが、三男で勇気ある子に育ってほしいとして付けられた名前です」とのことでした

海老原氏のタクトで第1楽章がドラマティックな序奏で開始され、独奏ピアノが力強く入ってきますが、金子三勇士のピアノはアタックが半端なく強烈で、ピアノが壊れるのではないかと心配したくらいです 第2楽章では一転、抒情的な演奏に終始しました 第3楽章に入ると、トライアングルが活躍し演奏に彩を与えます 第4楽章は管弦楽総動員のもとに駆け抜けたノンストップ超特急の演奏でした

 

     

 

休憩後はベートーヴェン「交響曲第7番イ長調」です この曲は かつてテレビ番組で一世を風靡した「のだめカンタービレ」で使われ 一気にクラシック・ファンを増やしたと言われるノリのいい曲です  ワーグナーはこの曲を「舞踏の聖化」と呼びましたが、音楽の3要素(リズム、メロディー、ハーモニー)のうちリズムを中心に据えた音楽です   1813年12月にウィーン大学旧講堂で開かれた「(ナポレオン軍との)ハーナウ戦没傷病兵に救援資金を贈るチャリティ・コンサート」で公開初演されました 第1楽章「ポコ・ソステヌート~ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「プレスト」、第4楽章「アレグロ・コン・ブリオ」の4楽章なら成ります

海老原氏のタクトで演奏が開始されます 後半の楽章では管楽器に一部お疲れ気味のところも垣間見られましたが、全国から集まったプロの演奏家による1年に1度のコンサートということで「一期一会の集中力」とでも言うべき渾身の演奏を展開し、聴衆の心を熱くし、会場の温度を上昇させました 海老原氏の指揮はテンポが良く、見ていて気持ちが良いものがありました 私はとくに第4楽章終盤のコントラバスによる音のうねりが大好きですが、この日は座席がコントラバスに近い方向だったこともあり、重低音の魅力を十分堪能することができました

最後に ソリストの二人も再登場し、会場の聴衆も加わってオケの伴奏により「ふるさと」を歌いました 「ふるさとを国歌に」という主張もあるようですが、分かります、その気持ち

 

     

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新国立オペラでオッフェンバック「ホフマン物語」を観る~コルチャック、ベルキナ、コ二エチュニー、安井陽子にブラボー!

2018年03月07日 08時15分12秒 | 日記

7日(水)。わが家に来てから今日で1253日目を迎え、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が4月末に南北軍事境界線上にある板門店の韓国側施設「平和の家」で南北首脳会談を行うことになったが、韓国側の説明によれば、北朝鮮は非核化の意志を表明し、対話が続く間は核実験や弾道ミサイルの試射は行わないとした というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       この合意に至るのに 韓国側は裏取引でどれだけの経済援助を求められたんだろう?

 

          

 

昨日、夕食に「ひき肉と大根の煮物」と「生野菜サラダ」を作りました 「ひき肉~」ほど安上がりなメニューも少ないかも知れません

 

     

 

           

 

昨日午後2時から 初台の新国立劇場でオッフェンバックのオペラ「ホフマン物語」を、午後7時からサントリーホールで「がんばろう日本!スーパーオーケストラ チャリティ―コンサート」を聴きました ここでは、初台の新国立劇場「オペラハウス」で開かれたジャック・オッフェンバックのオペラ「ホフマン物語」について書きます 

これは、2月28日のプルミエ公演が新日本フィルのコンサートと重なったため振り替えたものです。出演は、ホフマン=ディミトリ―・コルチャック、ニクラウス/ミューズ=レナ・ベルキナ、オランピア=安井陽子、アントニア=砂川涼子、ジュリエッタ=横山恵子、リンドルフ/コッペリウス/ミラクル博士/ダベルトゥット(4役)=トマス・コ二エチュニー、アンドレ/コシュ二ーユ/フランツ/ピティキナッチョ(4役)=青地英幸ほか、管弦楽=東京フィルハーモニー、合唱=新国立劇場合唱団、演出=フィリップ・アルロー、指揮=セバスティアン・ルランです

 

     

 

舞台は歌劇場に隣接するドイツの酒場 公演終演後に恋する歌姫ステッラとの逢瀬の約束を交わした詩人で音楽家のホフマンは、酒を飲みながら3人の過去の女性との失恋物語を学生たちに語り始める 最初は機械仕掛けの人形オランピアに 人形とは知らずに恋をする物語 二番目は 胸の病を抱える恋人アントニアが激しく歌い生き途絶える物語   最後は ヴェネツィアの高級娼婦ジュリエッタに影を奪われる物語   回想を終え、恋の虚しさに絶望して酔いつぶれたホフマンの前に、詩の女神ミューズが姿を現す

 

     

 

私がフィリップ・アルローの演出で新国立オペラの「ホフマン物語」を観るのは 2003年11月、2005年11月、2013年11月に次いで今回が4回目です この日の公演は「前奏曲」「第1幕 プロローグ」「第2幕 オランピアの幕」(休憩30分)「第3幕 アントニアの幕」(休憩30分)「第4幕 ジュリエッタの幕」「エピローグ」という構成で進行しました

短い前奏曲に続いて第1幕が始まります 合唱に続いて歌われるミューズのソロを聴いて、何か普段聴いているオペラと違うなあ、と思ってよく考えたら「ホフマン物語」はフランス語のオペラでした このミューズを歌ったレナ・ベルキナはウクライナ出身のメゾソプラノですが、新国立オペラでは「フィガロの結婚」のケルビーノ、「セビリアの理髪師」のロジーナを歌っています メゾでも良く通る美しい声でニクラウス(ミューズの化身)を歌い上げました

主人公のホフマンを歌ったロシア生まれのディミトリ―・コルチャックは、新国立オペラでは「ウェルテル」のタイトルロールを歌っていますが、今や世界中の歌劇場から引っ張りだこの人気テノールです 甘い声、輝く高音で聴衆を魅了します 第1幕で余興代わりに歌う「クラインザックの物語」は聴きどころでした

ステッラを巡るホフマンの恋敵リンドルフ(あと3役も)を歌ったトマス・コ二エチュニーはポーランド出身のバス・バリトンですが、ワーグナー歌手として世界中にその名を轟かせています 東京・春・音楽祭の「ワーグナー・シリーズ」でもお馴染みです。声が甘く、ドラマティックなバス・バリトンで声が良く通ります

第2幕の観どころ聴きどころは、何と言ってもオランピアの歌と動きです ホフマンが恋したオランピアはゼンマイ仕掛けの人形ですが、安井陽子さんはシャンソン「クマシデ並木の鳥たちから」を 人形らしいぎこちない身振りとカタコト口調で超絶技巧を伴いながら歌い上げ聴衆を笑いの渦に巻き込み、拍手喝さいを浴びました 安井陽子さんといえば「魔笛」の「夜の女王のアリア」を思い浮かべるほど超絶技巧コロラトゥーラ歌手ですが、オランピアでもその実力を遺憾なく発揮しました

第3幕の聴きどころは、冒頭のアントニアの「きじ鳩は逃げた」ですが、2003年、2005年にも同役を歌っている砂川涼子さんの歌は寂寥感に満ち、思わず感情移入してしまいました また、この幕では医師ミラクル(コ二エチュニー)とアントニアの父親クレスペル(大久保光哉)とホフマン(コルチェック)による三重唱は不気味な雰囲気がよく出ていました

第4幕の聴きどころは、冒頭と第5幕エピローグへの間奏曲として流れる「ホフマンの舟歌」です このオペラはこの舟歌によって世界中で知られていると言っても過言ではないでしょう

この日の公演の陰の主役はセバスティアン・ルラン指揮東京フィルハーモニー、新国立劇場合唱団の演奏です 後にいくほど流れの良い演奏になりました

このオペラの最後は「人は愛で大きくなり、涙でいっそう成長する」という歌で幕を閉じます 深いですね、オッフェンバック

 

     

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小林研一郎+仲道郁代+読売日響でグリーグ「ピアノ協奏曲」、チャイコフスキー「悲愴」他を聴く~アダージョ・ラメントーソの演奏

2018年03月06日 07時49分54秒 | 日記

6日(火)。わが家に来てから今日で1252日目を迎え、トランプ米大統領が3日にフロリダ州の別荘で開いた政治資金パーティーの演説で、中国の習近平国家首席が 憲法が定める国家主席の任期制限を撤廃し 長期政権を目指していることについて「彼は今や終身国家首席だ。彼はそれをやることが出来た。素晴らしい。いつか我々も挑戦してみるか」と語った というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      習氏が任期制限撤廃の終身国家首席なら トランプ氏は人気暴落の終身刑かもね

 

    

 

昨日、夕食に「豚バラ 甘酢ネギ胡麻だれ」「生野菜とタコのサラダ」「ウインナとキャベツとミニトマトとエリンギのスープ」を作りました これでも 毎日 栄養のバランスに気をつけているのですよ

 

     

 

     

 

昨夕、池袋の東京芸術劇場コンサートホールで読売日本交響楽団のコンサートを聴きました これは「2018都民芸術フェスティバル」参加公演です。プログラムは①チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」より「ポロネーズ」、②グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」、③チャイコフスキー「交響曲第6番ロ短調”悲愴”」です ②のピアノ独奏は仲道郁代、指揮はコバケンこと小林研一郎氏です

 

     

 

オケのメンバーが配置に着きます。弦楽器はいつもの通り、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという配置です コンマスは小森谷巧氏です

1曲目はチャイコフスキー(1840-93)の歌劇「エフゲニー・オネーギン」の第3幕冒頭に演奏される「ポロネーズ」です この歌劇は1878年に完成し、79年にニコライ・ルビンシテインの指揮で、モスクワ音楽院の学生たちによって初演されました

コバケンが指揮台に上がり さっそく演奏に入ります 読響の華麗で煌びやかな演奏を聴いて、METライブビューイングで観た「エフゲニー・オネーギン」(アンナ・ネトレプコがタチアーナを歌った)の舞踏会シーンを思い出しました つくづくチャイコフスキーはメロディー・メーカーだと思います 曲の終盤で、コンマス小森谷氏のヴァイオリンの弦が切れたのか、隣のアシスタント・コンマス 伝田氏のヴァイオリンと交換して演奏しました。力演でしたから無理もないでしょう

次のグリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」の演奏に備えてグランド・ピアノがセンターに移動します。ピアノ椅子の後ろの2本の脚に”下駄”を履かせて高くしています このまま座ると前のめりになる傾斜です。仲道さんも場合はいつもそうするようですが、これによって前のめりに演奏するかと言えば決してそうではありません

仲道郁代さんが黒を基調とする衣装で登場、スタンバイします グリーグ(1843-1907)の「ピアノ協奏曲イ短調」は、ソプラノ歌手ニーナとの結婚の翌年(1868年)に作曲されました 第1楽章「アレグロ・モルト・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・モデラート・モルト・エ・マルカート」の3楽章から成ります

コバケンのタクトで第1楽章がドラマティックに開始されます この楽章で一番良かったのは仲道さんの美しくも力強いカデンツァです 第2楽章の冒頭、管弦楽だけで穏やかなメロディーが奏でられますが、とくに弦楽器がとても美しく響きました 仲道さんのピアノは抒情的です。第3楽章ではフリスト・ドブリノヴのフルートと日橋辰朗のホルンが冴えていました

演奏後、仲道さんが「マエストロからのリクエストで、ショパンの遺作(注:ノクターン第20番嬰ハ短調”遺作”)を演奏します」と告げて演奏に入りました コバケンは小森谷氏の椅子に半分腰かけて聴き入りました。マエストロ、小森谷さんはコバケンさんの子守やありまへんで


     


休憩後はチャイコフスキー「交響曲第6番ロ短調”悲愴”」です この曲は1893年2月頃に着手され 8月に完成、10月にチャイコフスキーの指揮で初演されました。第1楽章「アダージョ~アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アレグロ・コン・グラーツィア」、第3楽章「アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アダージョ・ラメントーソ」の4楽章から成ります

第1楽章はファゴットの静かな旋律で始まりますが、吉田将氏の演奏は安定感抜群で深みがあり、”悲愴”の開始を告げるのに相応しい演奏でした 次いで、ヴィオラが前面に出て苦悩の旋律を奏でますが、柳瀬省太氏率いるヴィオラ軍団の演奏は中音域の魅力がたっぷりでした 中盤では金子平氏のクラリネットが冴えていました 第2楽章はチャイコフスキーらしいワルツです やっぱり彼は屈指のメロディー・メーカーです 第3楽章はタランテラのリズムと行進曲です 大管弦楽による あまりにも勇ましく うねるような音楽に、楽章が閉じた瞬間、あってはならないアクシデントが起きました  1階右後方(もしくは2階右前方)の客席から複数の拍手が起こったのです   そこは この道ン十年のコバケンさんです。タクトを持った右手を上げたまま、左手で拍手を制していました。さすがです  こういうアクシデントはオケの定期演奏会では絶対と言ってよいほど起こりません  この日の「都民芸術フェスティバル」のような一時的なコンサートならではの事象と言えると思います  「普段はクラシック・コンサートに行く機会がないけれど、良いチャンスだから聴きに行ってみよう」という意欲は素晴らしいことだと思います。そうであれば、せめて事前にプログラム・ノートに目を通し、この曲が4楽章から成ることを知っていてほしいと思います。楽章間の拍手は指揮者や演奏者の緊張感を削ぐ恐れがあります

プログラム・ノートによると、「第4楽章は 初演時の速度標語が『アンダンテ・ラメントーソ』だったが、チャイコフスキーの死後、この曲を再演した指揮者が追悼の意からもっと遅い『アダージョ』に書き換えて演奏して以来、『アダージョ・ラメントーソ』の速度が踏襲されてきた」とのことです なお、「ラメントーソ」とは「嘆くように」という意味です

コバケン+読響の演奏は、チャイコフスキーの慟哭が聴こえてくるような深く悲しみに満ちた演奏でした チャイコフスキーはこの交響曲第6番”悲愴”の初演から5日後の11月2日にコレラを発病し、11月6日に53年の生涯を閉じています

コバケンはいつものように拍手を制し、「まもなく、あの忌まわしい3.11がやってきます。あの災害で亡くなられた被災者を偲んで『ダニー・ボーイ』を演奏して故人を偲びたいと思います」と語り、演奏に入りました あらためて言うまでもなく、小林研一郎氏は福島県の出身です。同郷の人間としてこだわりが強いのでしょう しみじみと良い演奏でした

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岡田暁生著「クラシック音楽とは何か」を読む~初心者には「クラシック音楽入門書」として、ベテランには「知識を整理するテキスト」として最適な良書

2018年03月05日 07時55分13秒 | 日記

5日(月)。わが家に来てから今日で1251日目を迎え、ビクター犬「ニッパー」に何やら耳打ちするモコタロです

 

     

      キミの耳が このブログに登場する とご主人が言っていたよ  耳よりな話じゃね?

     

        

 

岡田暁生著「クラシック音楽とは何か」(小学館)を読み終わりました 著者の岡田暁生氏は1960年京都生まれ。京都大学人文科学研究所教授、文学博士。音楽学者。音楽関係の著作が多数あります

 

     

 

この本は朝日新聞の書評欄を見て購入を決めたものです 読者好きで「ドッグ・イヤー」という言葉の意味を知らない人はいないと思います。気になるページの角を折って印にすることですが、その形が犬の耳に似ていることから付けられた言葉です この本を読み終わって「ドッグ・イヤー」を数えてみたら30か所ありました この本は全315ページありますから 10分の1ですね。それほど「そうだったのか!知らなかった」と驚いたり、「ふーん、そんな考え方もあるんだ」と感心したりしたことが多々あったということです

この本は40項目にわたってクラシック音楽を分析していますが、そのうち、自分自身が知っていることも含めて、面白そうな部分を掻いつまんでご紹介することにします

【クラシック音楽の黄金時代は19世紀】

クラシック音楽とは18世紀前半から20世紀初頭、わけても19世紀に作曲されたヨーロッパ音楽の名作レパートリーのことである 切符を買えば音楽が聴ける「コンサート」が最初に行われたのはイギリスであり、有名なのはザロモンという興行師が大陸からハイドンを招待してロンドンで行った 1791-92年と1794-95年のコンサート(目玉は交響曲第93番~第104番)である

【交響曲について】

交響曲はコンサートという制度のソフトとして生まれた 逆に言えば、コンサートがなかった時代には交響曲はなかった。バロック時代の音楽は教会儀式に使われるか、王侯貴族の生活のBGMのような性格が強く、音楽を鑑賞するためにチケットを買って聴きに出かけるなどという機会は皆無だった 交響曲が本格的に書かれるようになるのは、18世紀の半ばあたりからのことで、そのルーツの一つは『オペラの序曲』、もう一つは『セレナーデ』の類いである 交響曲は4つの楽章から成るが、オペラの序曲を拡張して4つの楽章にする、あるいは7つくらいの楽章から成ることが多いセレナーデを4つの楽章に圧縮して、交響曲が出来た、と理解してよい

交響曲というジャンルが持つ特別なオーラを決定的にしたのは、いわゆるウィーン古典派の3人の巨匠、ハイドンとモーツアルトとベートーヴェンである だが、ハイドンやモーツアルトの交響曲は、まだ「人々に熱く呼びかける音楽」ではない。彼らの作品にはもう少し貴族的なクールさがある。交響曲をして、群衆を糾合するような音楽へと高めたのは、何と言ってもベートーヴェンだ 彼は交響曲の構成に政治集会のような性格を与えた。問いかけと否定、そして呼びかけーーこれがベートーヴェンの音楽の重要な基本性格である 19世紀ロマン派の、とりわけドイツの作曲家たちは、ベートーヴェン・コンプレックスに苛まれていた

ベートーヴェンとまったく違う世界を切り開くことができた唯一の交響曲は、シューベルトの交響曲第7番「未完成」だ 熱い熱狂で終わるベートーヴェンに比べ、静けさに満ちた甘美な旋律を繰り返して閉じられる。シューベルト以降、「消えるように終わる交響曲」で成功したのは、少なくとも チャイコフスキー「交響曲第6番”悲愴”」、マーラー「交響曲第3番」、同「交響曲第9番」の3曲である

【オペラは「クラシック」じゃない?】

交響曲は「重厚で真面目で偉大な芸術音楽」であり、いわば「クラシックの王様」である だが注意しておかねばならないのは、交響曲が作られたのが、ほとんどドイツ語圏(ドイツとオーストリア)だったということだ それでは、イタリアやフランスの音楽はクラシックではないのか? 極端に言ってイエスである イタリアやフランスなどの音楽はドイツのそれと比べて、はるかに娯楽音楽に近いのだ

もともとは娯楽音楽だったものが、いつの間にか交響曲などと一緒に「クラシック」に分類されるようになってしまったジャンルがイタリア・オペラである 図式的にいって、私たちがクラシックと呼んでいるヨーロッパの近代音楽には2つの「極」があった。ドイツの交響曲とイタリアのオペラである。ドイツ対イタリア、そして交響曲対オペラ・・・両者は水と油のように音楽文化が違う。イタリア・オペラは19世紀の演歌だった

それとは別に「19世紀版ムード・ミュージック」とも言うべきジャンルが「サロン音楽」である サロンではショパンやリストが活躍する。彼らは19世紀のポール・モーリアやリチャード・クレイダーマンだった

【クラシックの古典芸能化】

恐らく人々は19世紀くらいまで「演奏」にはあまり興味がなかったはずだ。例えばマーラーは大指揮者としても有名だったが、彼が指揮したオペラ公演のポスターを見ても、彼の名前は出ていない 人々の興味はもっぱら「誰が何を作るか」に向けられ、「誰の何を誰がどう演奏するか」などどうでもよかった それが20世紀に入ると変わってくる。あまり新曲が作られなくなり、レパートリーが固定し始める。クラシック音楽の古典芸能化だ 定期的に同じ作品が頻繁に上演されるから、必然的に人々は有名な曲を覚える。だから「今度は何を誰がどう指揮するのだろう」という関心とともにコンサートに臨むようになる。また、演奏家が演奏に特化するようになったことも関係する。マーラーやリヒャルト・シュトラウスは大指揮者だったが、それ以前に大作曲家だった。それが「演奏しかしない大演奏家」が増えてくる。それに先鞭をつけたのがイタリアのトスカニーニだった

【名演とは何か】

クラシック・ファンの間には、レパートリーの定番名曲についての、暗黙の「この曲、かくあるべし」のイメージがある 第1楽章のテンポはだいたいこんな感じ、あそこは少しブレーキがかかる、ここで盛り上げてあそこへもっていく、サウンドはこういう感じが良い等々。もちろん漠然としたものではあろう。はっきりした根拠があるわけではないのかもしれない。しかし、この暗黙のイメージ規範には結構な権威があって、そこからあまりにもかけ離れた演奏をやったりすると、たとえそのクオリティーが極めて高いものであっても、「異端」のレッテルを貼られかねない デビューした当時のグレン・グールドが弾いたバッハは、まさにこれが理由で、異端視されたわけだ

「いい演奏」とは、自分を消して徹頭徹尾作品に奉仕する類のものである 対する「名演」に特徴なのは、あえて言えば、一種の「ドヤ顔」である。それは遠慮会釈なしに「オレ様」を前面に押し出す。フルトヴェングラーのベートーヴェン、クライバーのヨハン・シュトラウス2世、バーンスタインのマーラー、ホロヴィッツのショパン・・・みんなそうだ 意地悪く言うなら、彼らの「名演」はほとんど彼らのアレンジだと言っても過言ではないくらいに、自分の個性と確信を強烈に押し出している それはフルトヴェングラーのベートーヴェンであり、ホロヴィッツのショパンであり、バーンスタインのマーラ―なのだ 「名演」とは、一方で恣意すれすれのエグ味を持ちつつ、単なる勝手には陥らないギリギリのところに成立する

【演奏のよしあしはどうすればわかる?】

どうすれば具体的に演奏のよしあしが分かるようになるか。極端に言って最良の方法は、「とんでもなく凄い演奏」と「とんでもなくひどい演奏」の両極端を経験することである それもライブがいい。もう一つは、プロモーションの誇大広告に注意すること まるで何十年に一人の天才であるかのような宣伝とともに売り出すことは、業界にはしょっちゅうある こういう演奏家を聴いて、「評判の人なんだから、たぶん良かったんだろう」などと思い込むのは止めた方が良い。「演奏のよしあし」はレストランの印象とよく似ている。「自分が美味しいと思えば、とりあえずそれでいいじゃないか。何かいいところはあったのだろう」「評判はあまり気にしない」「ものすごくいいものと、とんでもなくひどいものは誰にもすぐわかる」「よさが分かるまで時間がかかるものも時にはある」などだ

いつものように、こんな調子で紹介していったらキリがありません この本には 以上のほか、「モーツアルトとベートーヴェンの違いについて」、「宗教音楽について」、「古楽器演奏」、「オーケストラになぜ指揮者がいるのか」等々、クラシック愛好家には興味深いテーマが満載です クラシック音楽を聴き始めて日が浅い人たちには入門書として、かなりクラシック音楽を聴き込んでいる人たちには これまでの知識を整理するテキストとして最適な良書です

広くお薦めします あなたはいくつのドッグ・イヤーを折ることになるのでしょうか

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東京交響楽団「モーツアルト・マチネ」で歌劇「皇帝ティトの慈悲」序曲、「英雄劇『エジプトの王ターモス』のための3つの合唱と5つの幕間音楽」を聴く~東響コーラスの大健闘に拍手!

2018年03月04日 07時57分47秒 | 日記

4日(日)。わが家に来てから今日で1250日目を迎え、トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムの関税引き上げを表明したことに対し、欧州連合(EU)が報復関税の検討に入った というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプ一人で世界中を引っ掻き回している感じだな  そのうち自業自得になるぞ

 

          

 

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで東京交響楽団の「モーツアルト・マチネ第32回演奏会」を聴きました プログラムはモーツアルトの①歌劇「皇帝ティトの慈悲」序曲、②英雄劇「エジプト王ターモス」のための3つの合唱と5つの幕間音楽です 演奏は、バス=妻屋秀和、ソプラノ=松原典子、アルト=松浦麗、テノール=児玉和弘、バス=金子宏、合唱=東響コーラス、指揮=秋山和慶です

 

     

 

自席は1C6列29番、センターブロック右から3つ目ですが、この席も今回で最後です

東響コーラスのメンバーがステージ奥に入場し、オケのメンバーが配置に着きます コンマスは水谷晃氏、オケの並びはいつもの東響の通りで、左サイドにヴァイオリン・セクションを集めています

1曲目は歌劇「皇帝ティトの慈悲」序曲です 「皇帝ティトの慈悲K.621」はモーツアルト(1756-1791)が作曲した最後のオペラです。モーツアルトは1791年(死の年)6月、ボヘミア王国からレオポルド2世の国王即位の祝典のためのオペラの作曲を依頼され、6月末(か7月半ば)から9月5日までのわずか2か月程度で完成させたのが古代ローマ帝国を舞台としたこのオペラです

指揮者の秋山和慶氏が登場、さっそく演奏に入ります 皇帝の威厳を表すかのような力強いテーマにより開始されますが、途中穏やかで優美なメロディーがオーボエとフルートによって奏でられます 荒木奏美さんのオーボエと甲藤さちさんのフルートは、皇帝ティトの慈悲深さを表したかのような素晴らしい演奏でした


     


ここで、今や新国立オペラではなくてはならない存在となったバスの妻屋秀和氏ほか4名のソリストが入場し オケの後方にスタンバイします

2曲目は英雄劇「『エジプト王ターモス』のための3つの合唱と5つの幕間音楽」です この曲はモーツアルトが作曲した唯一の劇付随音楽です。劇作家トヴィアス・フィリップ・フォン・ゲ―ブラー男爵が1774年4月にウィーンのケルントナー劇場で上演するにあたり、劇音楽をモーツアルトに依頼したことを受けて1773年(作曲者17歳)に作曲したものです 

戯曲は全5幕から成りますが、ヘリオポリスの太陽神殿を舞台とし、ターモス戴冠の日の朝から翌日の晩までの出来事を描いています この日演奏されたのは第1曲(第1幕)合唱「太陽よ、光の敵手たる」、第2曲(同)間奏曲、第3曲(第2幕)間奏曲、第4曲(第4幕)「間奏曲」、第5曲(同)間奏曲、第6曲(第5幕)合唱「すべてに全能な神よ!」、第7曲a(同)間奏曲、第7曲(同)独唱と合唱「そなたら塵芥の子らよ、震えおののけ」の8曲です

第1曲では、ソプラノとアルトが乙女たちを、テノールとバスが僧侶たちを演じ、太陽への讃歌とターモス王と祖国の勝利への祈りを歌うのですが、4人のソリストは健闘しました また東響コーラスの壮麗な合唱が素晴らしい

第2曲「間奏曲」の緊迫感あふれる音楽を聴いていたら「魔笛」の3和音を想い起こしました

第3曲「間奏曲」では荒木奏美さんのオーボエが冴えわたりました

第6曲「合唱~すべてに全能な神よ!」では東響コーラスの力強く迫力ある合唱が会場に響き渡りました

第7曲「独唱と合唱~そなたら塵芥の子らよ、震えおののけ」になって、やっと真打登場です 1994年から2001年までドイツ・ライプツィヒ歌劇場、2002年から2011年までワイマールのドイツ国民劇場の専属歌手を務め、今や日本を代表するバスと言ってもよい妻屋秀和氏の出番です 管弦楽の大音響を乗り越えて「そなたら塵芥の子らよ、震えおののけ」と祭司長の威厳のあるバスが会場を震わせます ほんの数分だけの出番で 贅沢な起用だと思いますが、東響もやってくれます    最後はオケ、ソリスト、合唱の総力戦で、太陽への賛美と祈りを力強く歌い上げました

私がこの曲を聴くのは今回が初めてでしたが、どこを切り取ってもモーツアルトです この曲を完成させた17歳の時、すでに「モーツアルトというDNA」が完成していたころが窺えます

今回の公演は特に、東響コーラスの健闘に大きな拍手を送ります

 

          

 

この公演に先立って、次年度の「モーツアルト・マチネ」のチケットを引き取りました チケットぴあで「4回分引き換え券」を取っておいたので、それと引き換えに4回分のチケットを受け取りました 次年度は、高関健氏の「ポストホルン・セレナーデ」、ソプラノの田中彩子さんによる「コンサート・アリア」、ユベール・スダーン氏の「プラハ」、小菅優さんの「ピアノ協奏曲第8番&第21番」という充実プログラムです 今から楽しみです


     

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「ハナミズキ室内合奏団」(5/7)と「エピス・クァルテット」(8/21)のチケットを取る / R.D.ウィングフィールド著「クリスマスのフロスト」を読む~破天荒な刑事の活躍

2018年03月03日 07時53分52秒 | 日記

3日(土)。昨日、新宿ピカデリーに行って、METライブビューイング、ドニゼッティ「愛の妙薬」の座席指定を取ってきました 8日(木)午前10時からの部です いつものように後方の席ですが、今回は右サイドにしました。前の方の席で観ている人がいますが、画面を見上げるような姿勢で観るのは気が知れません

「愛の妙薬」は翌週の14日に新国立オペラで観るので、ライブビューイングはタイミングの良い予習になります

 

     

    

ということで、わが家に来てから今日で1249日目を迎え、安倍晋三首相が2日、平昌冬季五輪のフィギュアスケート男子で2大会連続の金メダルを獲得した羽生結弦選手への国民栄誉賞の授与を検討するよう指示した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      回転不足の安倍首相としては 4回転の羽生選手にあやかりたいのが本音じゃね?

 

    

 

昨日の夕食は久しぶりに「すき焼き」にしました お酒はやっぱり日本酒の熱燗ですね

 

     

 

     

 

チケットを2枚取りました 1枚目は5月7日(月)午後7時から東京文化会館小ホールで開かれる「ハナミズキ室内合奏団  結成記念演奏会シリーズ  東京特別公演」です 「ハナミズキ室内合奏団」はヴァイオリニストの小川有紀子さんが結成した演奏グループで、宮城県仙台市に本拠を置き東北を中心に関東以北の地域をメインフィールドとして活動するとしています メンバーは、下のチラシに記載の通り、在京オケの首席奏者を中心とする錚々たる面々が揃っています プログラムは①ヘンデル「パッサカリア」、②モーツアルト「ディヴェルティメントK.138」、③ウェーベルン「弦楽のための緩徐楽章」、④バルトーク「民族舞曲」、⑤メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲」です

 

     

     

 

2枚目は8月21日(火)午後7時から虎ノ門のJTアートホール「アフィニス」で開かれるエピス・クァルテットの「ベートーヴェン後期作品への挑戦Vol.5」です エピス・クァルテットは先週金曜日にベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番を同じ会場で聴いたばかりです プログラムはベートーヴェンの弦楽四重奏曲①第6番、②第11番「セリオーソ」、③第16番です

 

     

     

 

     

 

R.D.ウィングフィールド著「クリスマスのフロスト」(創元推理文庫)を読み終わりました 著者のウィングフィールドは1928年イギリス、ロンドン生まれ。石油会社に勤務する傍ら執筆を始め、68年にラジオドラマの放送作家としてデビューしました 72年に小説第1作「クリスマスのフロスト」を執筆、84年に刊行されました このブログでは第2作「フロスト日和」を先にご紹介しました

 

     

 

この物語の主人公は、イギリスの地方都市、デントン市の警察署犯罪捜査部の警部、ジャック・フロストです ヨレヨレのレインコートとえび茶色のマフラーがトレード・マークというところは、かつてテレビ番組で一世を風靡した「刑事コロンボ」風です コロンボ刑事と異なるのは、地道な捜査と書類仕事が大の苦手で、上司を上司とも思わない不遜な態度を取り、刑事にもかかわらず違法な捜査を平気でやる、といったトンデモ中年刑事であることです

クリスマスの10日前、デントンの街では 娼婦アップルヒル夫人の8歳の娘トレーシーが日曜学校の帰り道、突然姿を消します   一方、何者かが深夜 銀行の玄関を金梃でこじ開けようとする事件が起こります   この2つの事件を巡って、アップヒル夫人の客になっていた教師のファーナム、教会のベル司祭、痴漢常習犯のホスキンズ、森に猫と暮らすマーサ・ウェンデル、詐欺師のドースン、銀行の元支店長のパウエルなどが、次々と容疑者として浮かびますが、なかなか決め手がつかめません  しかし、フロストはただのグータラな中年刑事ではありません。勇敢にも容疑者の家に”不法侵入”して証拠物件を家探しします   ところが容疑者に感付かれて銃で撃たれてしまいます   犯人は誰で フロストは生き残るのでしょうか

この「フロスト」シリーズはとにかく長いというのが特徴です この「クリスマスのフロスト」は530ページあります。しかし、これほど面白い警察小説も珍しいでしょう 登場人物が多いので一気読みが理想ですが、考えるまでもなく、いつの間にか読み終わっていることでしょう 「フロスト日和」の感想にも書きましたが、フロストのどうしても憎めない人間味あふれる人物像、性懲りもなく連発する際どいギャグなどは、芹澤恵さんの優れた翻訳によるところが大きいと思います

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堤剛+小山実稚恵の「変奏曲とソナタへの誘い」を聴く~ブラームス「チェロ・ソナタ第1番」、ラフマニノフ「チェロ・ソナタ」他 / ライナー・キュッヒル「ヴァイオリン・リサイタル」のチケットを取る

2018年03月02日 07時58分37秒 | 日記

2日(金)。昨日午前中、豊島税務署に確定申告に行ってきました 9時ごろ会場に着いて順番を待っている間、ブラームスの「交響曲第1番ハ短調」の第2楽章「アンダンテ・ソステヌート」のメロディーが流れていました お堅い税務署もなかなかやるじゃん、とちょっぴり親近感を持ちました そこまでは良かったのですが・・・

私は扶養家族の国民年金保険料控除や医療費控除などがあるので、そちらのコーナーに行って説明を受けたのですが、家族の国民年金保険料の控除証明書に「平成28年度分」とあったので、担当者から「これについては、過年度分の扱いなので28年度の所得税の更生請求をしてもらうことになる」と説明を受けました これを受けて、パソコン入力コーナーに行き、入力補助員の力を借りながらすべての必要事項を入力し、税の過不足を計算してもらったところ、1万数千円の不足となりました 例年同じように申告していて例年戻ってくるのに変だなと思い、念のため 先ほどハネられた 家族の平成28年度分の控除証明書を見せたところ、証明書には28年度分〇〇円、このうち29年分証明額〇〇円」と表示されているので、29年分については今回の確定申告に含めても良いことが分かりました 考えてみれば当たりまえのことですが、最初の担当者は間違った情報を話したことになります このため、せっかく時間をかけてすべて入力したのが無駄になり、最初から入力し直しになったため、2倍の時間がかかり 受付から申告書のアウトプットまで2時間半もかかってしまいました   幸い例年通り 少額ながら戻ってくることになりましたが、ブラームスの第1番ハ短調を流す前にやるべきことをちゃんとやってくれよな、破綻調になっちまうよとツッコミを入れたくなりました

ということで、わが家に来てから今日で1248日目を迎え、ノーベル平和賞を選考する委員会の事務局であるノルウェーのノーベル研究所が28日、今年の同賞にトランプ米大統領を推す推薦状を受け取ったが、偽造されたものだとみて警察に届け出たと明らかにした というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      要するにトランプ氏得意のフェイク・ニュースだった訳ね  せいぜい吞める賞だな

     

         

 

昨日、夕食に「鶏のトマト煮」「生野菜とサーモンのサラダ」「エリンギ、レタス、ウインナのスープ」を作りました 「鶏の~」は娘のリクエストです

 

     

 

         

 

6月29日(金)午後6時半から日経ホールで開かれる「第473回日経ミューズサロン ライナー・キュッヒル ヴァイオリン・リサイタル」のチケットを取りました 同日の午後1時半からも同じコンサートがありますが、プログラムは①ドヴォルザーク「ロマンティックな小品」、サン・サーンス「カプリス」他で 共通のようです 言うまでもなく、キュッヒル氏は長年ウィーン・フィルのコンサートマスターを務めたヴァイオリニストです。チケット代3,800円は安いと思います

 

     

 

         

 

昨夕、上野の東京文化会館小ホールで「変奏曲とソナタへの誘い」公演を聴きました   これは「2018都民芸術フェスティバル」参加公演です。プログラムは①ベートーヴェン「マカベウスのユダの主題による12の変奏曲」、②ブラームス「チェロ・ソナタ第1番ホ短調」、③マルティヌー「ロッシーニの主題による変奏曲」、④ラフマニノフ「チェロ・ソナタ ト短調」です 演奏は、チェロ=堤剛、ピアノ=小山実稚恵です

 

     

 

自席はG列18番、センター左ブロック右から2つ目。会場は満席です 堤+小山の人気コンビによる演奏のせいでしょうか

1曲目はベートーヴェン(1770-1827)の「マカベウスのユダの主題による12の変奏曲」です この曲は1796年頃の作品で、主題はヘンデルのオラトリオ「マカベウスのユダ」第3幕の合唱「見よ、勇者の帰還を」です と言っても分からないかも知れませんが、学校の運動会などで表彰台に上がる時に流されるお馴染みの音楽です

堤氏と、銀のラメ入り衣装の小山さんが登場、さっそく演奏に入ります ベートーヴェン26歳の若き日の作品ということもあり、変奏と言ってもさほど複雑な展開はなく、演奏者にとっては小手調べといった印象を受けます 演奏者が優れているからそう感じさせるのだ、という解釈も成り立つかも知れませんが

2曲目はブラームス(1833-1897)の「チェロ・ソナタ第1番ホ短調」です この曲は2曲のチェロ・ソナタのうち1番目の作品で、作曲者32歳の時 1865年に作曲されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アレグレット・クアジ・メヌエット」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります

プログラム・ノートには、バッハの「フーガの技法」やベートーヴェンの「チェロ・ソナタ」などの研究成果が生かされている曲である旨書かれていますが、私はそれほど詳しくないので聴いていても分かりませんでした しかし、この頃からすでに、ブラームスは”秘めた情熱”とでも言うべき曲想を漂わせていることは分かります 第1楽章冒頭はチェロのソロから入りますが、まるでコントラバスが演奏しているのかと思うほど重低音が響き、驚きました こういう曲は堤剛氏の独壇場です。素晴らしい演奏でした


     


休憩後の最初はマルティヌー(1890-1959)の「ロッシーニの主題による変奏曲」です ボヘミア出身のマルティヌーはチェコ・フィルの第2ヴァイオリン奏者としても活躍していた作曲家です この曲は ロッシーニが1818年に作曲した歌劇「エジプトのモーゼ」から採った踊るような主題に基づくもので、4つの変奏とコーダによって構成されています 曲想としては、ロッシーニの歌劇特有の早口言葉によるアリアのようなフレーズがあったりして実に楽しい曲です 堤氏と小山さんの丁々発止のやり取りは、演奏する側が楽しんでいることが窺え、聴いている方も楽しくなってきました

最後の曲はラフマニノフ(1873-1943)の「チェロ・ソナタ ト短調」です この曲は1901年(作曲者28歳)に作曲されました。第1楽章「レント~アレグロ・モデラート」、第2楽章「アレグロ・スケルツァンド」、第3楽章「アンダンテ」、第4楽章「アレグロ・モッソ」の4楽章から成ります

この曲を聴いた印象は、ロマンティックでありドラマティックです 堤氏の演奏はまさにそのロマンティシズムの極致を行くもので、「円熟の演奏とはこういう演奏を言うのだろう」と思わせる素晴らしいパフォーマンスでした

私が堤剛氏というチェリストを再認識したのは、バッハでも、ブラームスでもなく、昨年4月22日にミューザ川崎で開かれた東響定期公演でのグバイドーリナ「太陽賛歌」の演奏でした それ以来、幅広い音楽表現と深い洞察力による演奏に惹かれるようになりました その意味では、昨夕のラフマニノフは、今まで聴いてきた堤氏の演奏の中で頂点を極める演奏でした

満場の拍手とブラボーにアンコールとしてカザルス「鳥の歌」、次にサン・サーンス「白鳥」を演奏しましたが、これはやらない方が良かったように思います せっかくのラフマニノフの名演を強く印象に遺すべきでした

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