アンカリング(意識の錨掛け)
賃金格差
●大企業との賃金格差は3000~4000万円?
人は定年までにどれだけのお金を稼ぐのでしょうか。そこで統計資料に基づいて調べてみると、大企業と中企業との生涯賃金差はざっと3000万円超、大企業と小企業との差は約4200万円です(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」平成29年度資料をもとに作成)。これらの賃金差がどこまで実感できるかは人それぞれです。平均というのは、単に個別をならしたものだからです。
しかし実際には、人の金銭的価値観は統計的な指標にしばしば捉われがちです。上に挙げた大企業、中企業、小企業の「平均」賃金レベルが、意識のどこかで錨(いかり)のように引っ掛かってしまうからです。これは行動経済学でいう「アンカリング」(Anchoring)です。アンカリングというのは「錨を掛ける(係留する)」という意味で、意識の中でその錨を掛けた所で他人と比較してしまうわけです。
大企業・中小企業にかかわらず、会社の社員は、自分と他人との賃金差は個人の持つ「能力・技能差」によるものだという錯覚があります。じつは、「賃金差の50%は、個別の労働者の技能水準によるものではなく、働いている企業次第である」ということを、行動経済学者も述べています。勤労者が転職したときの賃金は、たとえ技能水準が同じ人でも転職先の企業によって異なってくるというのは転職経験者ならおわかりでしょう。
●「心の錨」を取り払うには
これが現実であって、大企業に入れなかった者は生涯どの時点においても企業規模による賃金差は挽回できないことになります。では、個別的なライフプランを考えるにあたって、「平均」という錨を取り払うにはどうしたらいいでしょうか。
1つは、平均的数字は単なる目安として割り切ったうえで、個人のライフプランの現実を正しく認識することです。収入の多い人もいれば少ない人もいる、支出も多い人と少ない人と多様です。そういった現実からスタートするのです。
もう1つは、「逆アンカリング」という考え方です。人の意識に引っ掛かる(係留される)心理は逆にも応用できます。老後設計においては、まず自分の老後に必要な金額をはじき出し、次にその金額を自分自身の意識に自分から錨を掛けることで、常にその目安に向かって行動するようになります。それが自然に心の錨となって、次第に無意識に定着します。
賃金格差
●大企業との賃金格差は3000~4000万円?
人は定年までにどれだけのお金を稼ぐのでしょうか。そこで統計資料に基づいて調べてみると、大企業と中企業との生涯賃金差はざっと3000万円超、大企業と小企業との差は約4200万円です(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」平成29年度資料をもとに作成)。これらの賃金差がどこまで実感できるかは人それぞれです。平均というのは、単に個別をならしたものだからです。
しかし実際には、人の金銭的価値観は統計的な指標にしばしば捉われがちです。上に挙げた大企業、中企業、小企業の「平均」賃金レベルが、意識のどこかで錨(いかり)のように引っ掛かってしまうからです。これは行動経済学でいう「アンカリング」(Anchoring)です。アンカリングというのは「錨を掛ける(係留する)」という意味で、意識の中でその錨を掛けた所で他人と比較してしまうわけです。
大企業・中小企業にかかわらず、会社の社員は、自分と他人との賃金差は個人の持つ「能力・技能差」によるものだという錯覚があります。じつは、「賃金差の50%は、個別の労働者の技能水準によるものではなく、働いている企業次第である」ということを、行動経済学者も述べています。勤労者が転職したときの賃金は、たとえ技能水準が同じ人でも転職先の企業によって異なってくるというのは転職経験者ならおわかりでしょう。
●「心の錨」を取り払うには
これが現実であって、大企業に入れなかった者は生涯どの時点においても企業規模による賃金差は挽回できないことになります。では、個別的なライフプランを考えるにあたって、「平均」という錨を取り払うにはどうしたらいいでしょうか。
1つは、平均的数字は単なる目安として割り切ったうえで、個人のライフプランの現実を正しく認識することです。収入の多い人もいれば少ない人もいる、支出も多い人と少ない人と多様です。そういった現実からスタートするのです。
もう1つは、「逆アンカリング」という考え方です。人の意識に引っ掛かる(係留される)心理は逆にも応用できます。老後設計においては、まず自分の老後に必要な金額をはじき出し、次にその金額を自分自身の意識に自分から錨を掛けることで、常にその目安に向かって行動するようになります。それが自然に心の錨となって、次第に無意識に定着します。
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