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いのちの代償

2020-08-15 09:19:05 | 本と雑誌
いのちの代償

 Go toキャンペーンから東京が外されて、ネットで宿泊プランを調べても、「通常6,000円のところGo toキャンペーン2,600円、東京在住者を除きます」の文字。これを見て行く気も失せ、それに追い打ちをかける連日の猛暑に、Stay homeと言われなくても、家を出ることもためらう状況。北海道の北見でも33℃、宗谷地方は少し涼しいようですが、これでは大雪山にでも登らない限り涼しさは味わえないではないか。

 大雪山で思い出したのが、アナウンサー先生がラジオ深夜便で、大雪山での遭難事故で仲間10人を失いながらも1人生還したリーダーの野呂氏にインタビューされていたこというお話。「そうだ、ぼーっとテレビを見ていないで本を読もう」と、図書館で検索してその遭難事故を題材にした「いのちの代償」を借りてきました。



 大学の山岳部の冬合宿で大雪山に挑んだ11名のパーティーが猛吹雪に遭い、次々と仲間が亡くなっていく中で、一番元気だったゆえに助けを呼びに下山したが、結局助かったのは自分ひとり。自らも凍傷で両足首から下を切断することになったものの、リーダーだけが生還したという状況に、遭難死した仲間の遺族からは厳しい非難を浴びせられ、卒業後に教職に就いた中学校に授業中に酒に酔った親が怒鳴り込んできたこともあった。そんなときも「ここまで悲しい思いをさせてしまった。」と自分を戒め、亡くなった10人の分も頑張って生きると決めた。学校では私塾と称して熱心に補講をして、遅れる生徒が出ないように必死の努力もした。保険会社に転職して、全く契約が取れずに意気消沈したものの、仲間の分まで生きるという言葉に知恵を振り絞って、保険のしくみわかりやすく説明するというアイデアにたどり着いて契約を伸ばした。その傍ら、足を失いながらもスキーの大会に健常者に混ざって出場して入賞する快挙も成し遂げ、パラリンピック出場も果たすなど、並々ならぬ努力を重ねていました。
そのパラリンピックでは、滑降中にスキー板が外れてしまって付け直してゴールの5位。板が外れるとそのまま棄権してしまう人がほとんどの中、ゴールしたときは拍手の嵐だったそうですが、この不屈の諦めない精神こそが遭難からの生還とその後の活躍に繋がったのでしょう。

 野呂氏は、本の中で最近の遭難事故について「天気の急変など予測できない事態に遭ったことが原因であるが、そうなっても対応できる準備をしていない人たちが多い。山中で夜を明かさなければならない事態ぐらいには対応できるようにするべきである。」と語っています。
 私の山行きは、ハイキング程度のものですがこれは気を付けたいと思いました。

 暑さとコロナ自粛で疲弊気味でしたが、これを読んで気合いを入れられました。山に登らない人や障がいのある方にも読んでほしい作品でした。

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