今は昔、今年の1/3のことでございます。小田急ロマンスカーふじさん号に乗って御殿場に着いたあと、御殿場線と東海道線を乗り継いでやってきたのは吉原駅。
ここ吉原から岳南江尾まで岳南電車という鉄道が走っています。「全駅から富士山が見える鉄道」を標榜し、近年は工場夜景を楽しむツアーなども組んでいる鉄道ですが、御多分に洩れず赤字経営です。もともと近隣の工場から出荷される紙製品を輸送する目的で開業しましたが、2011年に貨物輸送が廃止されてからは経営が悪化しています。
2018年から走り始めた最新車両の9000形。最新型といえども中古車両で、富士山の反対側の親会社の富士急行線からやって来た電車です。さらに辿ると東京の京王帝都電鉄(京王電鉄)で走っていた5000系電車です。岳南電車初の転換クロスシート車となっています。この電車に乗りのんびりと終点の岳南江尾駅へ。
終点の岳南江尾駅は東海道新幹線の高架下にひっそりとあります。頻繁に通過してゆく新幹線の風切り音以外はのんびりとした時間が流れます。東海道新幹線の高架橋の向こうには富士山が見えますが、あいにく雲が出て来てしまいました。
隣の線路には年末年始恒例のだるま電車が止まっていました。こちらは7000形電車で、同じく京王からの譲渡車ですが、京王井の頭線で走っていた電車で運転台を取り付け改造をしています。吉原駅近辺にある妙法寺(毘沙門天)が日本三大ダルマ市の行われることから、毎年お正月前後にだるまの装飾をつけた電車が走っています。
お昼ご飯を近くのマックスバリュで買って食べていると、新春ヘッドマークをつけた電車が到着しました。
ホームの先端に取り付けられているワンマン運転用の、ドア確認ミラーに映る電車を。
もちろん並びの光景は少し離れれば撮影できます。7001号車の反対側にはヘッドマークはついておらず、京王井の頭線時代をモチーフにした前面になっています。7001号車にのって吉原方面へと戻ります。
吉原駅の一つ手前のジヤトコ前駅で下車。ジヤトコ前駅はその名の通りジヤトコ株式会社の1地区に近接していることからその名がつけられています。2005年までは日産自動車吉原工場だったので「日産前」となっていました。この駅のすぐそばには、
デザインマンホールがあり、マンホールカードの座標一位置ともなっています。このマンホール蓋は岳南排水路管理組合が管理しており、その創設50周年を記念して設置されたもので、富士山と工場の夜景、製品のロール紙の他、田子の浦漁港も近いことから駿河湾の桜エビとシラスも描かれています。数字は富士山剣ヶ峰と宝永山の標高を表しているそうです。
隣の吉原本町駅までぶらぶら歩き、吉原駅で折り返してきた電車に乗って今度は岳南富士岡駅で下車。
岳南富士岡駅には岳南電車の車庫があり、運用に入っていない電車が見られるほか、廃車になった旧型電機や7000系電車、そしてかつて紙製品の輸送で岳南電車線を走っていたワム80000型有蓋貨車も留置されています。ホームからはその旧型電気機関車の向こうに富士山が見えます。
構内に入って車両を見ることができ、留置されている旧型電気機関車を見ることができます。見るだけで乗ったり触ったりするのはいけません。錆が浮いていますが、一応車庫のある場所。一部の車両は塗装が行われある程度メンテナンスがされているようです。
岳南富士岡駅から北へ少し歩いて行くと、泉の郷湧水公園にでます。この岳南富士岡駅付近では富士山の恵みとして湧水があちこちから湧き出しており、泉の郷として観光地化しています。この湧水を使い富士市に製紙業が発展してゆきました。公園の池の水も湧水で、綺麗な水の中に鯉が泳いでいました。
湧水公園から今度は西へ向かいます。富士山へ向けて標高が上がったゆく場所なので坂を上り下りして歩いて行くとついたのは竹採公園。
その名の通り竹林が斜面に広がっていますが、この竹採公園。「今は昔竹採の翁といふものありけり…」で始まるかぐや姫伝説の元となった竹取物語。その竹取物語の伝説残る地の一つがここ静岡県富士市ということで、その物語をイメージした公園となっています。かぐや姫伝説残るこの富士市では、消防用マンホール蓋にもかぐや姫があしらわれています。
富士山を背に南へと歩いてゆくと、一駅分歩いた比奈駅に到着。この駅舎には鉄道模型店が同居しており、窓越しにNゲージ鉄道模型の線路などが見られました。残念ながらお休みでしたが。比奈駅から電車に乗り吉原駅へ。吉原駅で東海道線に乗り換えます。
東海道線で三島…ではなく、静岡までゆき静岡から新幹線で東京へ戻ります。静岡駅ではひかり号も停車しますが、年末年始の帰省ラッシュを考慮してこだま号を選択。こだま号の自由席に乗って東京駅へ帰りました。