今から30年前の日本時間の今日89年1月23日にフロリダのジョー・
ロビースタジアムで行われた第23回スーパーボウル:サンフランシス
コ・49erS-シンシナティ・ベンガルズ戦が、個人的に最も印象深い
スーパーボウルである。
NFC王者サンフランシスコはレギュラーシーズン西地区優勝ながら
第2シードでプレーオフに出場し準決勝でミネソタに34-9、決勝で
シカゴに28-3で快勝して3度目の出場を決めたのに対しAFC王者の
シンシナティは第1シードでシアトルに21-13、決勝ではバッファ
ローに21-10で勝ってだが実は6年前と同じ対戦でこの時はサンフラ
ンシスコが勝っている。
ノーハドルオフェンスが売りでシーズンMVPに選ばれたQBブーマ・
アサイアソンを中心にしたパスオフェンスにRBイッキー・ウッズの
ランが強力なシンシナティに対し、QBジョー・モンタナを中心にRB
ロジャー・クレイグやWRジェリー・ライスを中心にしたオフェンス
は互角だがディフェンス力でサンフランシスコ有利というのが試合
前の予想だった。
試合は第1QにサンフランシスコがFGで先制するとシンシナティも
第2Qの終了間際にFGを決めて追い付き3-3で終わるなど、試合前の
予想とは全く違うロースコアの展開で前半を終了。
後半最初のドライブでシンシナティがFGで6-3と勝ち越すのだが
サンフランシスコも次のシンシナティのドライブで敵陣でのインタ
ーセプトからFGで追い付き6-6という展開にNTVの中継ではCM表示
の合間に‘地味な展開ですね’‘まるでスクイズ、スクイズで得点
を重ねている’と後藤完夫氏と長嶋茂雄氏の会話が漏れ聞こえて
いた。
ところが第3Qの残り1分でサンフランシスコのキックオフしたボー
ルをシンシナティのリターナーのスタンフォード・ジェニングスが
リターンTDを挙げて13-6と再びリードすると、直後のドライブで
サンフランシスコが僅か3プレーで敵陣14ydまで攻め込むとモンタ
ナのパスをキャッチしたライスが上手くエンドゾーンの角をかすら
せるTDで追い付く。
その後のドライブで先にサンフランシスコがFGを得たものの外し
たのに対し、シンシナティは残り3分20秒でFGを決めて16-13と
勝ち越し逃げ切りを図る。
ところがサンフランシスコはキックオフからのリターンでイリー
ガルブロックの反則で自陣8ydからの攻撃スタートで途中10yd罰退
となりながら、残り1分15秒で1stダウン20ydのピンチも切り抜け
るなど10回の攻撃で敵陣10ydまで進めると最後は中央のジョン・
テイラーへのTDパスを通して20-16と大逆転に成功し最後のシンシ
ナティのドライブを封じて逃げ切った。
‘逆転、逆転、大逆転!まさにモンタナマジック’と吉田填一郎ア
ナの絶叫は今でも耳に残っているし、この逆転TDまでのドライブが
‘ザ・ドライブ’と語り継がれている。