71年12月からスタートしたミラーマンはウルトラよりも1つ
上の世代をターゲットに製作された作品で敵であるインベーダー
が密かに地球を侵略しようとしており、防衛チーム・SGMが分析
チームに過ぎないなどリアルな雰囲気だった。
だからミラーマンが戦う敵はインベーダーが自らの正体を現し
巨大化した姿というのが基本で、これなどウルトラには見られな
い設定だろう。
ところが途中からミラーマンが戦う怪獣はインベーダーが連れて
来たものが増えミラーマンはインベーダーから捕まってエネルギー
時限爆弾を体内に仕掛けられたため、残りのエネルギーを明確にす
るために父親からカラータイマーが授けられSGMも3機分離合体
の戦闘機ジャンボフェニックスに搭乗して戦うというウルトラらと
変わらない設定になってしまった。
これは裏番組のシルバー仮面が当初は大人向けの物語でシルバー
仮面自体も等身大ヒーローだったのが、ミラーマンに対する視聴率
不振からテコ入れとして巨大化した事により対抗策としてのものだ。
第2期ウルトラがOAされた70年代はヒーローものが乱立し始めて
いた事から少しでも視聴率を上げるため、派手な設定や話題になる
ストーリーが多々作られていたわけで当時の子供達は喜んでいた
ものの作品の独自性という意味では徐々に失われていた。
つまり最も視聴率を稼げるフォーマットである侵略者が怪獣を操り
ヒーローや防衛チームが迎え撃つという、巨大ヒーロー作品の法則に
沿った設定に変更させられていたため当初は怪獣しか登場しなかった
はずのファイヤーマンに侵略宇宙人が登場するなどの変更が多々見ら
れたわけだ。
だからか怪現象を追う形でスタートしたウルトラQのような作品が
第2期にはなかったし極端に言えばウルトラマンに必ず侵略宇宙人、
セブンには侵略宇宙人が差し向ける怪獣が毎回登場するような展開が
増えたという事になる。
そういう意味ではセブンまでの第1期作品は視聴率アップのため
のテコ入れが、セブンの敗北による前後編となったガッツ星人編ぐ
らいだったのは視聴率競争に巻き込まれなかったからだろう。
セブンが他のシリーズと違うのは侵略する死者達や盗まれたウルト
ラアイのような異形の敵が登場しないEPや、ペガッサ星人編やキュ
ラソ星人編のようなセブンが殆ど戦わないEPがあるからと言われて
いる。
第2期でこういったEPがないのは視聴率アップのために少しでも
派手な戦いが求められたわけで、そういう意味ではセブンのような作
品は60年代後半という絶妙の時代に作られた‘時の利’によるもの
なのかもしれない。