一本勝ちを増やすためのルールなのに

「指導」だらけ。男子柔道100キロ超級は反則決着ばかりでいいのか

 9月にアゼルバイジャンのバクーで行なわれる柔道世界選手権の
代表選考会となった全日本選抜体重別選手権が、先週末に福岡国際
センターで行なわれ男女とも最重量級を除いた6階級の代表がとり
あえず決定した。

 試合はフジTV系とBSフジでOAされていたので中継を見ていた
のだが、気になったのがポイントが技ありのみになったので指導3つ
の反則勝ちが妙に目立った事。

 特に最重量級である男子100㌔超級は7試合中6試合が反則勝ち
という意外な結末で、決勝も小川直也の息子・雄勢がリオ五輪100
㌔超級の銀メダリスト・原沢久喜に反則勝ちでの優勝というカタル
シスなき優勝だった。

 以前はもろ手刈りなどで尻もちを付かせて‘効果’を奪い逃げ切る
という柔道が横行し‘ジャケットレスリング'とも言われ始めたため、
レスリングとの差別化を図る意味で国際柔道連盟は‘効果’を廃止
しただけでなく腰から下を取る技を禁止にし最後は‘有効’までを
廃止した結果ポイントは‘技あり’のみになった。

 本来ならポイント柔道を否定し一本を取りに行く原点に返ったと
いう事で‘昔は効果どころか有効もなかった’という時代に戻った
事から一本を取りに行く攻撃的柔道が主流になると思いきや、今回
のような相手の指導を誘発し‘指導’3つで反則負けになるという
結末が目立つようになってしまったのは何とも皮肉な事である。

 ちなみに‘指導’3つでの反則負けはリオ五輪100㌔超級決勝で
連覇を狙ったテディ・リネールが原沢相手に前半‘指導’を奪うと、
残りは まともに組まず逃げに徹した試合が物議をかもしてのもの
だが以前は反則負けなど論外という感じから最近は頻発し今年2月
のグランドスラム・デュッセルドルフ大会では決勝で原沢と王子谷
剛志が両者反則負けという珍事まで起きている。

 技による一本勝ちを増やすために導入されたルールがリスクを負
いながら攻めず、ひたすら反則勝ちを狙ったような消極的な展開で
組み手争いに終始する試合が増えるというのは皮肉な話。

 どんな優れたルールでも今回のように悪用される可能性はあるの
だから、本家の日本人選手達が先頭に立ってリスクを負ってでも果
敢に攻めて一本勝ちを狙って欲しいものだ。

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