大相撲春場所で優勝した鶴竜が横綱に昇進し白鵬、日馬富士に
続く3人目の横綱誕生という事になるのだが朝青龍も含めて4人
続けてのモンゴル人横綱だから そろそろ日本人横綱の誕生も待望
されるものの日本人力士の優勝自体が栃東以来ないのだから状況
は深刻だ。
個人的には強い者が人種に関係なく綱を張るという状況は健全
なので悪い事ではないと思うが、ここまで日本人力士が優勝でき
ないというのは問題だろう。
最大のホープである稀勢の里は先場所 鶴竜と同じ立場だったのに
初日に敗れた後5日目に碧山に完敗して気持ちが切れたのか、最後
は足まで痛めて休場しカド番に転落するという体たらくでワンチャンス
を生かしきった鶴竜と対照的だ。
稀勢の里を含めた日本人力士に見られるのは自分の型にはま
ればめっぽう強いのに対し、リズムが崩れるとあっけないほど
脆い事。
専門家達は揃って精神力の弱さを論うが以前Numberで阿部
珠樹氏が稀勢の里の相撲を‘投手でいえば150㌔ばかり投げて
いる’と評していたが総じて日本人力士は取り口が一本調子だ。
相撲界では得意の型を作る事が理想とされているが、逆をいえば
得意の型に持ち込めなかったら脆い力士を量産している事になるの
ではないか。
永遠の横綱候補といわれた魁皇は左四つ右上手が得意の型で、
この型になると磐石の強さを発揮したものの朝青龍らモンゴル勢が
魁皇と取る時は絶対に右上手を与えない取り口が目立った。
ボクシングでも打ち合いが得意の外人ボクサーが打ち合いが
得意な日本人選手との対戦でアウトボクシングでポイントアウトして
しまうシーンが多々あるが、大相撲の世界でも こういう状況が起きて
いるという事だろう。
32回優勝の大横綱・大鵬は現役時代‘大鵬の相撲には型が無い’
という批判に対し‘型がないのが自分の相撲’と反論していたが、型に
拘り過ぎず相手の取り口に対して柔軟に対処できるからこそ32回も
優勝できたのだろう。
それを考えると日本人力士が優勝するためには得意の型に拘り
過ぎず相手の戦術に柔軟に対処できる力士の育成こそが急務では
ないだろうか。