せっかく手入れをしていても

　数年前に義兄が乗っている女房名義の原付バイクを ある日 何者
かに盗まれて盗難届けを出していたのだが、先日某スーパーの駐車
場で見つかったという電話が警察からあったらしい。

　ただし予想通りというかボロボロになっていてエンジンもかから
ない状態だったらしく、スーパーの駐車場に放置されているのを
見て警察に通報したところから義兄が盗まれたバイクだと分かっ
たそうだ。

　問題はキーを突っ込んでも動かないので運んでもらったらしいが、
当然のように有料だろうしボロボロだから廃車止む無しという事
だろうから金だけはかかるという不運な話である。

　盗まれてボロボロになって放置された車で思い出すのが以前の
お客さんでバスの運転手OBの人。

　車のエンジンルームまでピカピカに磨き上げて埃ひとつない状態
にしているので、来店すると必ずボンネットを開けて埃や汚れが全
くない状態のエンジンルームをこれ見よがしに公開しながら散髪を
していた。

　一方で雨が降っていた日にはタクシーで来店したので‘車は？’と
尋ねると‘雨が降っているから車が汚れる’と答えるぐらい車をキレ
イにしておく事に異常な執念を燃やしていた。

　ところが ある日、息子さんに車を貸していたところ息子さんは
隣町の飲み屋まで友人を迎えにいったものの、夏だったため冷房を
切らないためにエンジンをかけっ放しにしたまま店に入って30分
近く話し込んでいたそうだ。

　そして外に出てみたら しっかり車を盗まれていたらしい。

　当然のように警察に通報して車を探したが、3日後にボロボロに
へこまされ川の中に半分浸かった状態で見つかったというもの。

　盗んだ連中がムチャクチャな運転で乗り回して川に落ちたので
そのまま放って逃げたのだろうという事。

 　気の毒なのが息子に車を貸したお客さんで、一時期ガックリ
きていた。

　義兄の場合はキーを取っていたにも拘わらず盗まれたので、ホン
トに油断もスキもない世の中になっているのを痛感した。