大船渡・国保陽平監督の判断こそ高校野球のスタンダード

 
 昨日行われた夏の甲子園岩手県予選の決勝で163㌔を投げる剛
腕・佐々木朗希を擁する大船渡は、佐々木を登板させないまま花
巻東に2-12で敗れ84年以来の甲子園出場を逃した。
 
 話題になったのは大船渡のエース・佐々木を1度も投げさせずに
大敗した事で地元関係者から相当な批判を浴びているのに対して、
桑田真澄をはじめとした良識ある者達からは称賛されるという対照
的な反応が示されている事。
 
 個人的には決勝戦でエースを使わないという監督の判断には敬意
を表すると共に、これが日本の悪しき伝統である‘エース至上主義’
からの脱却への一歩になればいいと思う。
 
 というのも佐々木は身長190㎝という長身だが体が成長期にあり
大きな負荷をかけると故障しやすいというリスクがある投手だし、
国保監督はマイナーでプレー経験があって筑波大でスポーツ医学を
勉強している事もあり佐々木の起用法には慎重だった。
 
 そういった国保監督が4回戦の盛岡四戦では延長12回を完投させ
実に194球も投げさせたのだから甲子園出場のプレッシャーという
のは凄まじいもので、準々決勝と休養日で中2日空いた準決勝の一
関工戦で先発させ129球を投げての完投勝ちで決勝に進出したのだ。
 
 実は準決勝前に佐々木は肘に違和感を感じていた事を高野連の医
スタッフに伝えたとの事で、そういった要素を考慮して準決勝で
完投させたものの決勝は登板回避させたのではないかと思うのだ。
 
 正直言って準決勝の一関工より決勝で対戦する花巻東の方が強い
と思っていたので、どうせ準決勝と決勝で1度しか投げないのなら
決勝一本に絞るべきと思っていたがこればかりは監督の判断だから
とやかく言うべきものではない。
 
 今回の佐々木の登板回避を批判するのは高嶋仁や渡辺元智氏ら甲
子園優勝経験監督達を中心とした高校野球の世界にどっぷりと嵌り
込んでいる人達に対し、一般常識のある人達は今回の措置を概ね理
解して国保監督を擁護しているのが印象的で現在の野球界の流れを
示唆している。
 
 それにしても酷いのはスポーツ紙で昨日のスポニチなど全国版の
一面で‘連投で甲子園に行く’などという見出しを組んで、決勝での
佐々木先発を既成事実にするべく流れを作ろうとしていた。
 
 こういったメディアこそが‘母校のため、郷土のために燃え尽きて
も’というムードを醸し出させていると思うし、それで未来ある選手
を潰していったというのを自覚してないという事だろう。
 
 
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