公立校のアイディアが高校野球を活性化する

 大阪桐蔭の春夏連覇で幕を閉じた今年の高校野球だが春夏連続でファイナ
リストは大阪桐蔭と光星学院だった。


 07年夏に佐賀北が優勝して以降 、夏の甲子園の優勝校はおろかベスト4に
残ったのは09年夏の県岐阜商ぐらいだから私立高校全盛で公立普通校が
活躍する余地がないというオールドファンの嘆きが載っていた。


 ところが意外にも公立校の存在は貴重だという話を帝京の前田三男監督が
08年に語っていた事を知っているだろうか。


 08年夏の甲子園の2回戦で慶應-高岡商戦が行われていたのだが試合は
6回まで慶應が4-0でリードし先発の田村が高岡商打線を3安打無失点で
抑えていたにも拘らず7回から只野にスイッチしたのを見たアナウンサーが
‘90球も投げてないし3安打無失点なのに’
と言うと朝日放送のゲスト解説をしていた前田氏が
‘これが慶應の型ですし、どうやら佐賀北の影響を受けているようですね’と
説明。


 前田氏が言うには前年の夏に佐賀北が控え投手を わざと先発させて2回り
ぐらい投げさせ目先を変えた後にエースをリリーフに送る事により相手打線は
エースに慣れる前に試合を終えさせる。


 実際 我々も佐賀北にベスト8で敗れたのだが戦いながら‘こういうやり方も
あるのか’と感心していた。


 基本的に我々私立が新しい事をやっても どこもマネしないが公立校がやると
あっという間に広がるし、高校野球がパワー野球に変貌したのも公立普通校の
池田が一時代を築いたからであり桑田・清原のPLがやっても広まらないけど
池田がやって一時代を築いた事が効いている。


 実際ウチも池田から83年春に初戦で完敗してからパワー野球に切り替えた。

 との事。

 思えば今年でいえば済々黌のように追い込まれるまで手を出さないクラシ
カルなスタイルをやる学校もあれば、池田のようにパワー野球をやる学校も
ある。


 そういえば10年春に出場した公立の前橋工は先発全員が左打者という思い
切ったメンバー構成だったが公立の方が先発メンバーで左比率が高いチーム
が多いなど公立校の方が素材に恵まれた強豪私立に どうやって立ち向かうか
創意工夫をするものだ。


 その極みが07年夏に佐賀北がやった控え投手を先発させ2回り目まで投げ
させてエースが5回ぐらいから登板するというやり方で、これなど同格の投手を
揃えられない公立ならではの智恵が生んだものだろう。


 ラグビーで日本代表は87年に始まったW杯では1勝21敗2分という惨憺たる
ものだが、それでも一目置かれていたのは日本が60年代にフルバックのライン
参加やショートラインアウトなど今では世界の常識になっている戦術を次々に
開発して強豪国と死闘を演じた事からだ。


 甲子園における公立校はラグビーの日本代表といえる存在だろうし全国から
選手を集めて強化した学校に対し創意工夫で いかに立ち向かうかというのが
公立校の戦いぶりを高校野球ファンは楽しみにしていると思うのだ。


 ちなみに今大会で大阪桐蔭や光星学院、さらに奪三振記録で名を売った松井
だけでなく
2回戦の鳴門戦でアピールプレーでダメ押しの3点目をもぎ取った
済々黌のルールを熟知したプレーが高校野球ファンの心を打ったと思うの
だから。

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