ニッポン男子柔道の落日

 昨日までオランダのロッテルダムで行われていた世界柔道選手権は、
女子は金3・銅2を獲得したものの男子は銀1・銅1と遂に金メダルなしに
終わった。

 メダルを獲得できなかった階級は初戦敗退が1つ、敗者復活戦に回れ
ない3回戦までの敗退が4つと惨敗といっていい成績だ。

 大会前から苦戦は危惧されていたが、まさしく現実となったわけだ。

 実は苦戦した北京五輪終了後の柔道連盟の総括や、篠原信一監督の
言動を聞いていると‘コレじゃヤバい・・・’と個人的には感じていた。
 というのも日本の柔道指導者達の考えが世界の流れから完全に取り残
されているのだ。

 特に篠原信一は北京で最後の砦を守った石井慧の柔道に対し以前から
否定的なコメントが多かった。
 つまり‘まず一本勝ちありき’ではなく‘ポイント勝ちでも勝てばいい’という
石井の姿勢に否定的だったのだ。

 確かにマスコミも‘勝ってナンボ’の石井より、負けても己の柔道である
内股による一本勝ちに拘って美学に殉じた井上康生を支持する傾向が
強い。

 しかし それこそが日本が世界相手に勝てない理由の1つに
なっている。

 更に追い討ちをかけているのが柔道のプロ化。
 国際柔道連盟が柔道をプロ化したため海外の選手達は1つでも多く
勝たないとスポンサー契約を打ち切られるので必死になる
のに
対し、警視庁などをはじめとした堅い職業に就き企業アマ制度の恩恵に
どっぷりと浸かっている日本人選手では勝負に対する意気込みが
違ってくるのは当然だ。

 ‘日本人選手は世界選手権などに出ただけで満足しているので外国人
選手とは勝負に対する執着心が違う’と篠原監督はボヤいていたが、
それは当然なのだ。

 しかも選手層が薄いので選手層を厚くする事から始めないといけない
のに、あらゆる大会に少数精鋭で臨もうとするなど時代錯誤としか思え
ない強化法には首を傾げざるを得ない。

 やはりサッカーなどを見て分かるように若年層から しっかりと育成して
いかないとダメだし、選手層が薄いというのは致命的だ。
 そして何よりも将来的には選手のプロ化は必要不可欠だろうし、優れた
人材を確保するためには石井慧のような将来プロ格闘家への腰かけとして
考えている者も受け入れるだけの度量も必要だと思う。

 もはや高段を取っても世界相手に勝てなければ意味がないし、
五輪などで金メダルラッシュを見たいのなら‘勝ってナンボ’という
価値観をマスコミが扇動するべきだろう。  

 
最後にフジTVの柔道中継だが、ネットで速報が
出る前にOAしないと あんな結果だと誰も見ない
のではないか!

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