円谷作品を語る上で避けて通れないのがウルトラQからセブンまでのメイン
ライターを務めた金城哲夫と、怪奇大作戦と帰ってきたウルトラマンのメイン
ライターを務めた上原正三。
金城哲夫はウルトラの礎を築き上原正三は発展させたのだが、この2人が共通
で扱った素材がゼットンと にせウルトラキャラ。
いみじくもウルトラマンと帰ってきたウルトラマンで最終回に登場し片やウルトラ
マンを倒し、一方でバット星人との共闘で倒されたゼットンの扱い方を見ても両者
の作風の違いが分かる。
ウルトラマンの最終回はゼットン星人の円盤群が地球に襲来するところから話し
始まって異様なテンションの高さから始まるのに対し、帰ってきたウルトラマンの
最終回は郷秀樹との結婚式を挙げているルミ子の夢から始まるという対照的な
始まり方だった。
これを見ると上原正三は金城作品とは対照的な世界を作るケースが目に付く。
さてウルトラ最初の‘にせキャラ’である にせウルトラマンはザラブ星人が地球人
同士を争わせて疲弊させ自滅させようと考え、ハヤタを拘束して自らウルトラマン
に変身して街を破壊しウルトラマンや科学特捜隊に対する不信感を煽った。
一方にせウルトラセブンはサロメ星人が建造した地球侵略兵器でセブンと
同等の戦力を持つ。
ザラブ星人が変身した にせウルトラマンはハヤタが脱出して変身し本物が出現
すると全く相手にならず、スペシウム光線を浴びて あっさり正体を表すなど強さ
までコピーしたわけではない。
それに対して にせウルトラセブンはセブンと同じ能力を持つので にせウルトラ
マンに比べれば格段に強いのだ。
つまりザラブ星人自身が変身する にせウルトラマンは頭脳的ではあるが強く
ないのに対し、にせセブンはサロメ星人が作ったロボットなので強いけど頭脳的
ではないという特徴がある。
これこそ金城作品と上原作品の違いなのだろう。