幻の8人事件

　10年前に我が家では父が仕事をできなくなり12月に亡くなった
ので私1人での営業となり、その時に多くのお客さんから‘予約制
にしたら’と言ってもらったのだが90年の暮れにあった幻の8人事
件のおかげで電話予約優先にしており完全予約制にはしていない。

　幻の8人事件とは90年の暮れの土曜午前中がヒマだった事から
当時両親は‘年末なのにここまでヒマとは’とボヤいていたら、車
で5分もかからない所から来る会社社長の奥さんから‘今からウチ
の従業員が8人行きたいと言ってます’という電話があった。

　当時両親と私の3人なのに8人も来られたらと思ったが、社長夫
人は時間がかかってもOKというので了承した。

　ところが電話の直後に父がカットするお客さんが来店したので
‘ウチは予約制じゃないから’と先に施術し始めるが、10分もする
と来そうな8人は来店せず逆に別のお客さんが来店し始めたでは
ないか。

　結局お客さんは14：00過ぎまで途切れる事がなかったのだが
13：50頃に社長夫人から電話があり‘申し訳ありません、かみ沖
に行くというのを髪を切りに行くと私が勘違いしてました’とお
詫びの電話だったのだ。

　我が家の坂の下に‘かみ沖’という料理屋があり、そこと髪を切
るを聞き間違えたらしいが人間こういったエラーは十分ありえる
し想定しておかないといけない。

　それを考えると完全予約制というのは、良さそうで決して万全
ではないと知らしめた幻の8人事件だった。