今シーズンも何個所かのオオタカの森に、営巣林内を踏み荒らし、巣の前に長時間居座る、モラルの無い悪質カメラマンが居たと聞く。 同じ撮影をする者として憤りを感じる。 ほんの一握りのこれらの者の行為が、野鳥カメラマン全体の評価を落としてしまっている。 残念だ。
本来オオタカは賢くて繊細、非常に愛情深く見守りながら雛を育てている。 ♀は雛と並んで座り、満足そうに寛いでいる姿をよく見る。 ♂も餌を運ぶだけではなく、時々巣に来て雛をじっと見ていることがある。 そんなシーンは実に微笑ましい。
だが、長時間巣の前に居座れば、親達はストレスや不安を感じ、何時間待とうが、何日待とうが、自然な振る舞いは全く見られなくなってしまい、育雛にも悪影響が出る。 雛を人質にした様な写真は、どんなに綺麗に撮ってもただの自己満足であり、何の役にも立たない。 誰にでも撮れるのである。
『生態写真とは、野生生物の本来あるがままの、自然な生活を写し記録したものでなくてはならない。』と思っている。
そのために、我々は11月頃から観察を続け、ペアの性格を見極めながら、徐々に信頼関係を築き、出来るだけストレスを与えないよう注意しながら撮影を行っているのである。 地元カメラマンの多くは皆同じ気持ちである。
遊びや、仲間づくりのための撮影ならば、オオタカの営巣写真はやめた方がよい。 オオタカの営巣地では、棲息環境や植生、生き物の種類、繁殖状況などの経年変化を、長期にわたり調査・研究している機関や保護団体など多くの人達が関与している。 その人達の活動の邪魔になら無い様、連携をとる必要があるからだ。
森の命とは、個人の趣味を満足させるなどと言う、そんな軽いものではないと思うのである・・・・。
*観察地の雛が全て巣立ったので、オオタカに関するブログは今回で一旦終了とする。
鉄塔から森を見張る♀。カラスのモビングにも知らん顔。
巣立った幼鳥。
寛ぐ幼鳥たち。
暑い! 水浴びする幼鳥。
餌運びするカワセミ。