選る・得る・YELL・４田宮「先生・・・一体どうすれば・・・
」透明「簡単なことです
応用を捨てさせ基礎問題をもう一度集中的にやらせて
ください
」田宮「で、でも
応用をやらないのは・・・
」透明「大丈夫
今まで散々応用問題ばかりやってきていますから、ちょっとした
応用は簡単に解けるようになっていますよ
ただ、難しい応用に対しては、基礎から
離れて自己流の解釈が強くなりすぎて
いますから、今の内にその難しい応用が
どこでどうつながるのか
を理解させておくことが大切になってきます
ただし、時間がありません
長年かけて作り上げた自己流の解釈は、骨身に染みついて
それを抜くには時間がかかります
それこそもう、今日からでも動き方を
変えさせておかなければ間に合わなくなります
」田宮「ま、間に合うでしょうか
」透明「う～～～ん・・・正直いうと、難しいと
かな・・・
」田宮「そ、そんな～
」透明「ですが、何とか間に合わせましょう
その為に私から記憶能力と分析・解析能力を
引き上げる方法をお教えしますから
それを行って、基礎を固めていただければ
ギリギリ間に合うと想います
」田宮「ほ、本当ですか
」透明「本当は、あまり教えちゃいけないんだけど、
今回は息子さんを想う気持ちに答えましょう
」田宮「あ、ありがとうございます
」透明「さて、それを教える前に、もう一つの
問題点も何とかしなくちゃです
」田宮「あっ
そういえば、もう一つあるんですよね」透明「息子さんの邪魔をしているもう一つの
問題は、息子さんの心です
」田宮「心ですか
」透明「はい
息子さんは極度のあがり症です」田宮「えっ
」透明「彼は、ストレスを強く感じると、
その全ての能力を上手く使えなくなるほど
緊張をしてしまい、あがってしまうようです
」田宮「・・・それって・・・致命的じゃ・・・
」透明「はい
致命的です正直に言うと、この問題点が一番ネックです
息子さんが今まで頑張ってきたことが、
一瞬にして崩れてしまう可能性がある
今までも、この症状で息子さんが
受験を失敗した例が多いんです
」田宮「そ、そんな～
」透明「ここで、ひとつ田宮さんにやってもらいたい
ことがあるんですけど
」田宮「何でもします
何をすれば良いですか
」透明「息子さんに、プレッシャーを与えない
ようにして下さい
心配なのは重々承知しているのですが、
どうしても心配から、息子さんに
プレッシャーをかけてしまっている
ように視えます
時として、周りの心配は強いプレッシャーに
変わってしまうこともありますからね
」田宮「・・・・確かに、私は息子への期待と
心配から、プレッシャーになるような
ことを言ってきてしまったような気がします。
・・・先生・・・私はどうすれば・・・
」透明「ひとつ聞いていいですか
」田宮「はい
」透明「今年で受験を最後にする理由ってなんですか
」田宮「そ、それは
・・・これ以上浪人をさせるのは周りから見てもどうかと・・・
」透明「・・・体裁ということですか
」田宮「はい・・・
」透明「なるほど・・・息子さんの強いテンパリ具合は
その為ですね・・・。」
田宮「でも、そこまで追い込まなければ、今回も
ダメになるような気がしていて
状況に甘えさせるのもどうかと・・・。」
透明「確かにそうですね
ただ、息子さんの場合出来れば追い込むよりこのままじゃいけないと
感じさせて甘えを捨てさせる方が良かった
かもしれませんね
」田宮「はい・・・。」
透明「田宮さん
ひとつ息子さんに伝えて欲しいんですけど・・・。」
田宮「な、なんでしょう
」透明「今年受験に失敗しても、もし自分が大学に
行きたいようなら、自分で働いてでも
夢をあきらめるな
っと、お父さんとして伝えてあげてください
きっとその言葉で、息子さんは色々なことを
考えて、自分への甘えを捨てることが出来る
はずですから
」田宮「・・・それって
」透明「父として、本当に息子のことを想っている
ことが、ちゃんと伝わるはずですよ
体裁を気にして言っているわけじゃないことが
伝われば、彼も変われますから
」田宮「
・・・はい 必ず伝えます」田宮さんの目つきが変わってきた
これで、息子さんとの二人三脚も上手く
いきそうだ
さて、後は問題点の根本的解決だな
続く・・・。
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