今夜は日生劇場にてミュージカル「ジェーン・エア」を観てきました。久しぶりの日生……っていうかベガーズ以来
やっぱり観やすいし雰囲気も良いし中も知り尽くしているし(笑)改めて良い劇場だな~と思いました
ただね~~客席の照明が落とされていよいよ開演!となると、客席後ろに意識がいってしまうんですよね~~出演者の方々が入ってきそうな気がして
これは劇場な世界から足を洗わない限り忘れることはないでしょうね~~ま、不治の病だから無理……か
舞台上は↑のパンフ表紙のような色調になっています。背景は青を基調とした荒野?森??が描かれていて、木が舞台奥に1本、手前に1本立てられています。舞台奥には池っぽく見える窪みに橋がかけられていて、奥からその橋を渡って出演者が出てくる場面が多数あり。(特にジェーン&ロチェスター)ちなみに窪みの下はオケピになっています
大掛かりな場面転換はなくて、ベッドや椅子等々を変えることで屋外になったり別の部屋になったりという感じ。あとは照明
かな~り凝った演出になっていて、森の中を表す葉っぱを表していたり、劣悪な寄宿学校の場面で牢獄のような鉄格子っぽい照明になっていたり……2階席から観たら新たな発見がありそう!更に楽しめるんじゃないかな~と思いました。
後方の窪みの両脇には舞台上席=SP席が左右に1ブロックずつ。1列20人くらい?×4列で客席が設置されていました。ベガーズみたいに目の前に立ってキャストが歌ったり、どうらんの香りを感じたり衣装が体に触れたり…ということは
全くありません……というのが、かな~り高い場所に客席が作られているんですわ。ちょうど人一人分の身長くらい……それに、客席との絡みはまったくないので、本当に普通に観てるだけという……なので変に緊張することもなくて気楽に楽しめました。開演前には小鳥の泣き声が流れているし、周りの風景といい、まるでディズニーランドのアトラクションの中にいる気分
はい、、、そうなんですよぉ~~本日のお席、ココだったんです。上手ブロック、しかも最前列
いきなりここで観ますか
という感じでしたが、チケ購入上そうせざるを得なかったというか……本当は普通に正面で1回観てからSP席で!という方が良かったんですけどね~~今回の舞台、いちおう後ろから観ていることにはなるんですけど、ベガーズほど“置いてけぼり感”はなかったです。ずっと背中しか見えないということはなくて360度使った演出になっていたので。ま、ベガーズの場合は表情を見なくても背中を見るだけで表情を感じられたから、それはそれでOKだったんですけどね
ただ、やっぱり視界に入らない部分は結構ありました。「ジェーン、ジェーン」とロチェスターが呼ぶ場面が2箇所あるんですが、じいは声だけだと思っていたんです。でも、後から普通の客席で観ていた友人から「舞台の奥にちゃんといたんだよ」と言われて……見えなかったよぉぉ~~
他にもジェーンが舞台奥から出てきて歌っているのが見えなかったり、肝心のラスト!キャストの皆さんは正面を向いているので表情が全く見えず
ちょぉ~~っとね~~さすがにこれは厳しかった
初見だし、歌も難しいので解読できないし、それで表情が見えないとなるとね~~
あ、、、でもね、舞台袖にジェーンのコートや帽子、寄宿学校の教師たちが使う小道具が置いてあったのが丸見え
思いっきり裏舞台が見えるじゃん!と何故か妙な期待
でもさすがですね~~これもちゃんと計算済
見られていること前提で振舞っておられました
あと、じいのお席の真下に召使いさん!思わず「ねえねえ、何やってるの?」と覗き込みそうになっちゃった
ストーリーは
こちら 昔、「嵐が丘」からの流れで読んだことはあるのですが中身ははっきり覚えていないですぅ~~でも基本的なストーリーは変わっていないと思います。ただ、原作だと上下巻1000ページ近い長さの話を2時間40分の2幕に収めるのはちょっと無理があったような気がします。ちゃんとセリフや歌の中で説明してくれるのであらすじを見失うことはないのですが、あまりに話が唐突過ぎてツッコミどころ満載な感じ
ジェーンとロチェスター、いつのまに好き同士になったの~~
とビックリしたし、ロチェスターの秘密を知って彼の元から姿を消した後に知り合う副牧師のシンジュンがジェーンにプロポーズするところも、「いきなりですか~
」と……ジェーンがロチェスターと出会って、心情が変化するところやロチェスターの苦悩をもう少し丁寧に描いてもらえると良かったかな~と。キャラクターの気持ちに寄り添う前にストーリーが次へ次へと進んでしまうので、入り込めないまま流された感じがあったのが残念。ストーリーじゃなくて出ている人の心、そこが一番観たいわけだから
何だか無理矢理封じ込められて先を見せられている感じがちょっと辛かったかも。。。
それと、、、これはじいの頭の問題
ついつい別の舞台が過ぎってしまうんですよ~~レミゼ
信仰心がベースになっている物語というせいがあるんだとは思うんですが、パロディーな妄想が浮かんでしまって
1幕で、ジェーンが初めて心許せる存在になった友人のヘレンに信仰心を説かれる場面は「司教様…か?」と突っ込み、へレンが死ぬ場面はファンテの場面と重なり、ロチェスターとジェーンが隣合って座って語る場面はバルジャンとコゼット
だって~~ジェーンの衣装とコゼットの衣装が似てるんだもん
歌はね~~難解極まりない
いや~~これを歌いこなすのはめちゃめちゃ大変だと思いました。ビッグナンバーはなくて、心情がしみじみと滲み出てくるような曲が多いんですよ。しかも心地よく聞かせる曲調ではなくて、武満徹顔負けの(爆!)不協和音や考えられない音の動きをするから、ウゲ~~
自分では歌ったり演奏したりしたくない音楽だな~と(笑) 特に1幕ラストで歌われる「魔物が呼ぶ声」
ジェーンは恋心を長調音階で歌い、ロチェスターは自分が抱える秘密への苦悩を短長音階で歌うんですが、見事なまでにすれ違うメロディーが気持ち悪く重なり合っているんでけど、その「不協和音」がガッチリ噛み合ったらゾクゾクする名曲だと思うんですが……歌うのはホント大変だと思いました
でもね~~中には心洗われる気持ちよい曲もありました。特に信仰心がキーになる場面で使われていた曲は賛美歌に似た旋律……これには思わずウルウル
この舞台で泣きツボだったのはヘレンですね~~1幕でチフスで死ぬんですけど、死の床でジェーンに神の言葉を説くんですよ。それがその後のジェーンの生き方に影響を与え、支えになるというのが、この時点でひしひしと伝わってきたから泣けて泣けて
しかも、2幕ラストでロチェスターとジェーンの間にできた赤ちゃんを抱いて出てきて、ジェーンに渡す場面があるんですよ。ある意味、ジェーンに訪れた幸せはヘレンの言葉が導いたと言ってもいいと思うんですけど、そんなことを考えていたらまたもやウルウルと。。。彼女が出てくると涙腺スイッチがON
になるみたいです
キャストの皆さん、なかなか健闘されていたと思います。主役のジェーンを演じた松たか子さん
久しぶりにお会いしましたわ~~多分、2年前の「ロマンス」以来。今回の舞台では、ジェーン自身が半生を語るというストーリーテラー的な役割も担っているので、1幕は子役が演じている後ろで身の上を語るんですよね~~悪くはないんだけど、場面ごとに影の存在になったり表舞台に出たり……その緩急のつけ方が物足りなかったように感じました。でも、後半は良かったでしめ~~ジェーンの芯の強さや凛としたところが伝わってきて、こういう女性に憧れるな~と
ロチェスター役のさとしさん
じいのお目当て
胡散臭くない(爆!)カッコイイ役は初めて
ま、ただ王子様的にカッコイイというのではなくて、何か黒いものを背負っている役を好演されていました
パーティーの場面で上流階級の人たちに囲まれている場面は、失礼ながら似合わないかも
と思っちゃったんですけど(玲奈ちゃんが貴族の娘よりも町娘が似合うのと同じ感じ
)……じい、もしかして汚れた姿の男に萌える趣味があるの???
いえいえ、そういうことじゃなくて、何か語るべきものを内に秘めた人に惹かれるんですよね~~しかも、そういうのをちゃんと表現してくれる役者さんだから
ただ、今回はかなりの冒険なのかも?というのを感じました。とにかく歌うのが精一杯で細やかに演じるところまでは余裕がないのでは?と思う部分が結構あったような。。。音楽畑出身の人の「歌に酔いしれる」というのとは違う意味で“歌ってるな”という感じというか……悪くはないんだけど、もう少し演じるところまで到達する余裕が出てくるといいかな~と思いました。今回は表情が見えない席だったからそういう意味でももどかしい部分があったんですけどね~~ま、歌はともかく、演じる場面は良かったのではないかと
ロチェスターの複雑な性質も伝わってきたし……あと、ドキッとしたのがジェーンに自分の秘密を明かす場面&プロポーズする場面。イギリス文学に出てくる貴族の男そのものの雰囲気を感じたんですよ~~まるで本から抜け出したような存在感、、、感動しちゃいました
それにしても、どうして男というのはどいつもこいつもヘタレなのでしょうか
何げにこのロチェスターも……そんなことを言うならもう一歩踏み出して告白しなさいよっ!とか、ここでそのセリフを言いますかぁ?!とか、女性の目でみると頭を叩きたくなることが結構ありましたわ
そうそう、あと、2幕にビックリする場面あり!ネタバレしますので、これから観に行く方はご注意を。お屋敷で未婚女性たちの将来を占うジプシー役、、、さとしさんなんですよぉぉ~~裏声で歌ってて、じいは思いっきり騙されました。最後に全身を覆っていた布を華麗に脱いでロチェスター登場!!!素晴らしい~~
ブランチ@幸田浩子さん、素晴らしい歌声を聞かせていただきました。高貴でプライドが高い貴族令嬢を見事に演じられていました。華やかな存在感と、それに見合う歌声がマッチしていました。ジェーン@松さんと歌声の質が違うから、それがそのまま演じているキャラクターの対比になっていて凄く良かったですぅ~~
寿ひずるさん、伊東弘美さんも気がついたら釘付けになっているというか、目が離せなくなる存在感はさすがでした。あと、何げにスルーできなかったのがお屋敷の召使い・ロバートを演じた小西のりゆきさん。こういう古典物語でよく出てくる、ちょっと気になる面白い召使いさんにピッタリ当てはまるんですよね~~ついつい探してしまうことも
ただね~~一人だけ、どーしても許せない地雷が
2年前に帝劇のフランスでもぶち切れました、、、小西遼生クン
あの~~その~~決して一生懸命やっていないとは言いません。でもね、生の舞台だからこその醍醐味であり必要不可欠なもの、、、役の“熱”が全く伝わってこないんです
確かに今回の役はちょっと浮世離れしたところがある、不思議ちゃんな雰囲気の役ではあるんです……が
そういう役ならそういう役なりの存在感というのがあるだろうに、と。もうぅ~~ちゃんと自分で理解して舞台に立ってる?と思うような感じなんです。ハッキリいって……存在自体が許せなかったです
この2年でかな~り成長したって声も聞いていたんですけどね~~じい的には、、、アウト
軽く殺意がぁ~~
全体的には「いと、あはれなり」という感じ。しみじみと良い話だな~と温かい気持ちになりました
最近は心の奥底のおどろおどろしい面を抉り出す世界に通い詰めていたので。少しは清らかな身になったかしら(笑)
さ~~て、次回は普通に客席で正面から観てきます
ラスト近くの公演日なので進化/深化していることを期待しますわ~~