4月4日、初日の観劇記です。ネタバレ大ありなので要注意
~あらすじ~
帰宅したエルクラーノは、ジェニーが残したカセットテープを聞き始める。
その告白から物語は遡っていく…。エルクラーノは妻の死後、息子であるセルジーニョと彼を溺愛する3人のおばたちと共に暮らしていた。おばたちはエルクラーノが妻の死を乗り越えられていないことを心配し、彼の弟であるパトリーシオに神父に相談するように勧めるが、彼は神父さまのところへは行かず、馴染みの娼婦、ジェニーのところへ行き、エルクラーノと関係を持つよう持ちかけ、彼女の裸の写真を持って帰る。弟の言うことに憤怒するエルクラーノだったが、写真を見て心を乱し、泥酔状態でジェニーを訪ね、そこで3日間ともに過ごしてしまうが、彼に心を奪われたジェニーを振り払って、自分の日常へと帰ろうとする。その後、エルクラーノはジェニーにだんだんと想いを寄せるが、彼女が売春婦であることや、妻の死後に息子のセルジーニョに「二度と女性と関係を持たない」と約束したことで、もう一歩を踏み出すことができない。 パトリーシオはエルクラーノへの憎悪から、ジェニーに「私ともう一度関係を持ちたいのなら結婚して」と言うようにと助言するが―。母親の死によって歪んだ父子関係、売春婦と結婚するための嘘と計画 、そして家族を襲う悲劇とは―。
(公式サイトより)
休憩15分を含む2時間40分の2幕。青暗い照明、舞台奥にはいくつもの白い十字架。セットは白い石灰岩っぽい感じで作られた2階仕様。2階部分は基本的には変化なしですが、1階の舞台上はジェニーのいる売春宿の一室、エルクラーノとジェニーの寝室、セルジーニョが入院した病室などなど場面に応じた転換がありました。照明効果も結構あり???今回はかな~り前列で観たのでそこまで味わうことができませんでしたが、十字架を映し出したり、星空のような照明があったり、、、全体を見渡したらまた違った表現を感じ取ることができるような気がしました。ただ近くで観ていても感じましたが暗転が多いのは気になりましたね~~あと衝撃的な場面の演出がちょっと……以前観た三浦さん演出の舞台と被るところがあって自分の趣向に何かつっかえるものがあって
脱ごうが絡もうがそういう問題ではなく、むか~し演劇を苦手としていた頃のアノわざとらしさというか乾き感というか、ちょっと気になったかなぁ~~ブラジルの戯曲だから耐え得るものがありましたが、仮にオリジナル作品だったとしたら……自分の好き嫌いの部分としてね、どうだっただろうかと自問シャウト自答
1幕冒頭、、、もうぅ~~9か月ぶりの
ナマ内野さん
だったのに、やっとお会いできた嬉しさを噛みしめるどころか、突然後ろから現れてすぐ横を通っていかれるんだもん
しかも間近で生声!!!いきなりは心の準備ができていないので困りますから
下手側の扉から白いスーツで登場、中通路から下手側通路を通って舞台へ。2階の自室場面から始まるのですが、やっぱり2階だと遠い感じですね~~さすがにオペラは使えないけど(苦笑)昔ながらの(時代設定的には普通かも
)テープレコーダーから流れるジェニーの告白が流れて時間を遡っていく感じで物語が展開していきます。そして2幕最後、この場面に戻ってエルクラーノが銃でテープレコーダーを破壊、その後は……幕切れなので観る者の想像に委ねられていますが、作品で描かれているものを考えるとどっちの展開もありかなぁ~という感じかな
作品自体はかなりヤバイ・・・まさにタブーを扱った作品で誰一人「まともな」登場人物がいなくて壊れ具合が半端ない
1幕が終わった時には震えが止まりませんでしたね~~ただ、2幕は50分の怒涛の回収作業であれよあれよという間に幕切れ。1幕が良かっただけに呆気ないというか1幕物で一気にやってしまった方が良かったのでは?と思うところもありましたが、いろいろ考えさせられること満載、それでいて全然堅苦しいというのはなくて野性味溢れる大人の会話と大人ゆえの愛らしさで魅了されました。皆さん、作品のタイトル通り(笑)体を張って脱いでいます
内野エルクラーノと寺島ジェニーの絡み合い、凄いわ~~信頼できる役者同士だからこその濃厚なやり取り。目から入ってくる絵的な過激さはスルーして自分の興味としてどんな構造や仕組みで振り付けられているんだろうと←ヲイヲイ
変な方の興味とツッコミが
でも、ホントこの二人の熟したやり取りは堪らなかったですね~~インタで舞台のルールを心得ている者同士の安心感があるという話が出てきましたが、まさにその通りというかちょっとした仕草や立ち位置だけでもそういうことかと思わせる場面があってガッテン
しかもエルクラーノが自室で妻を亡くして項垂れている、ジェニーがエルクラーノを待つ間じっとしゃがんでいる、、、その時に同時展開される“動”の場面。もちろん主眼はそちらなので見ないといけないのに見ずにはいられない“静”の方向。それが一体になってセリフのキャッチボールが始まるその瞬間が堪らないというかツボってしまいましたね~~ホント素晴らしくて
もちろんこのお二人だけではなく他の面々も濃い!イリアス以来の池内くん、、、見た目も中身も濃い……濃過ぎっ
寧ろ内野エルクラーノの方が真っ白白でいいのか?と薄く見える程。キャラクター的には悪魔のような役ですが本当に悪魔なのかどうか???初体験が獣姦って
それで一族の中では疎まれているようで積年の恨みを持っていてあちこち掻き回すのですが、それって必ずしもまともじゃないとは言えないような……そもそも世間一般的に清く正しく美しく生きている側もおかしいわけで、性に嫌悪感を感じているセルジーニョや彼を聖者化している3人のおばも明らかにおかしいんですよね~~セルジーニョ演じる野村くん、ファンの人は大丈夫?と勝手ながら心配してしまうような場面が満載。あれだけ母親を神聖化して性的なものを嫌悪していたのに最後は刑務所で強姦されたことをきっかけに性に目覚め、ジェニーとの関係がありながら最後は強姦犯のボリビア人の男と駆け落ちって
ある意味フツーの青年の感覚になったが故の……ここら辺りのことは思いっきり宗教的なタブーに触れている感じ
カトリックのことはよく分かりませんが、聖母マリアを巡る論争やら受胎云々やら、あと、エルクラーノがジェニーと結婚するために二人の関係を良く思っていないセルジーニョを旅に出す話をする時に、息子を生贄とする父がどうのこうのというセリフがあったんですよね~~ふと思い出したのが創世記のアブラハムとその息子イサク。もちろん聖書なので現代の考えからするとツッコミどころ満載なんだけど、性的な部分に焦点を置いて考えるとなかなか興味深い
登場人物たちのやり取り、絡み合いを見ていると、異常の境というか聖と邪の表裏一体というか、良い意味で曖昧で混乱させられて心地よい疲れを感じました。
カテコは4回。内野さんは最初2回はまだまだ物語に引きずられている感じ
脱力~という雰囲気でしたが3回目からは笑顔。最後は池内くんと肩を組んで退場~~舞台袖に入る時は内野バイバイも。そういう一連の変化に萌えるわ~~