西原理恵子さんの「ぼくんち (全)」を読んだ。
号泣、号泣、号泣。
*********************
<商品説明>
「ぼくのすんでいるところは―/山と海しかない しずかな町で―/はしに行くとどんどん貧乏になる。/そのいちばん はしっこが/ぼくの家だ―」。
腹違いの兄、一太。
突然現れた、美しくてやさしい年の離れた姉、神子(かのこ)。
そして「ぼく」、二太。
クスリを売る。体を売る。金を貸す。とりたてる。
この町の多くの大人たちは、そんなふうにして生きている。
神子ねえちゃんは言う。「泣いたらハラがふくれるかあ。泣いてるヒマがあったら、笑ええ!!」。
ヤク中の父を亡くしたばかりの少女は、うまく泣くことさえできずに、不思議そうにこう言う。
「息するたびにな、ノドの奥に小石みたいのがたまるんよ。食い物の味わからへん」。
むき出しの現実を見ながら、幼い心にいくつもの決意を刻んで「ぼく」は成長していく。
映画化(2003年)にあわせて、オールカラー全3巻だったものを白黒の普及版として1冊にまとめたもの。
見開き2ページのショートストーリー114話で構成。巻頭には、描きおろしのカラー漫画が4ページ収録されている。
日々の出来事を2ページで描きつつ、一太が家を出るあたりからは全体を通して話に流れが出てくる。
彼らはいつも、あきらめたような、悲しいような笑みを顔に貼り付けて、痛いほどにただただ求めている。
自分の家で、家族そろって暮らすことを。ともに食卓を囲むことを。
ラストシーンで二太が見せる笑顔は、痛ましさと同時に少しの希望を感じさせ、いつまでも胸に残る。
(門倉紫麻)
*********************
社会から弾かれてしまった人々の精一杯に生きる日々。痛々しいが、生命を「生きている」姿は胸をうつ。
最近、魂が先に死んで肉体が取り残され、肉体だけが時差のように死ぬケースもあるように思う。
ただ、この漫画に出てくる人たちは肉体はボロボロでも、魂だけで生きているようだ。魂は永遠に時間を超えて生きようとする。
どんな人の人生にも、小さい大きいドラマが、山のようにある。改めて感じる。
僕らは他人の表面しか知らない。
そんな表面でだけ、人の人生をいいとか悪いとか、判断してはいけない。
というか。
そもそも人生自体が、いいや悪いを超えている。
人間のひとりひとりの人生は、常に創造され続けるアート。
そのアートを鑑賞し、追体験し、参加し、共有していくのはそれ以外全員の役割。
どんな人の人生にでも、深く意味がある。意味は見出す必要がある。
そこで待ち人と出会う。
人生は、意味を見出されるのを静かに日々待っている。
人生から意味を解読できたとき、「天命」をキャッチすることができるのだろう。
天はそうして日々見守ってくれているようだ。
<お天道様は見ている>のだ。
この漫画に出てくる神子(かのこ)姉さんは、体を売りながら必死でお金を稼いで生きる。ただ、笑顔を忘れない。
人間が適当にこしらえた貴賎の基準を超えた次元で生きる人間。むしろ魂の高貴さや神聖ささえ感じる。
焦点を合わせる次元の問題なのだ、と思う。
仕事をイヤイヤしていると、魂を殺しながら肉体が抜け殻のように生きているようだ。
抜け殻には、邪悪なものが容器として容易に入り込む。
それが善悪の現象を起こしているのかもしれない。
要は魂の場所がどこにあるか、の問題だ。
人生って、そんなに日々美しいものではない。
そんなにキラキラしたものばかりで埋め尽くされるものでもない。
必ず、何らかの形でいろんな要素で、結果的に総体的にバランスが取られているものなのだろう。
もし、ある人の人生が毎日楽しくおもしろおかしく、お金にも異性にも何不自由もせず送られていく一生だったとすると。
この漫画に出てくるような登場人物が、そんな陽の人生のバランスを陰の形で体験しているのかもしれない。
だからこそ、イマジネーションの世界だけででもその人たちの人生を追体験する必要がある。
この漫画の登場人物のひとたちは、本当に生きていると思う。
人間が持つありとあらゆる生命力や生存本能を最大限に駆使しながら日々を懸命にいきている。搾り出すように生き切っている。
必ずしも道徳的でもなく、美しくもなく、うまくいかないかもしれない。
けれど、そんな全てもありのまま肯定してくれるような遥か高い神様の視点が、そこにはある気がする。
この登場人物は、本当に生きているなぁ。と感じる。
そしてまた号泣する。
漫画っていいなー。
自分の人生だけではなく、ここではない誰かの人生も共に生きることができる。
読んだあと、「よし、自分も頑張って生きなくちゃ」と思わせてくれる。
不思議な回路が結合して、不思議な化学反応を起こして、不思議な元気が出てくるようです。
いい漫画だ。
P.S.スイッチさん、送ってくれてありがとー。(;。;
号泣、号泣、号泣。
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<商品説明>
「ぼくのすんでいるところは―/山と海しかない しずかな町で―/はしに行くとどんどん貧乏になる。/そのいちばん はしっこが/ぼくの家だ―」。
腹違いの兄、一太。
突然現れた、美しくてやさしい年の離れた姉、神子(かのこ)。
そして「ぼく」、二太。
クスリを売る。体を売る。金を貸す。とりたてる。
この町の多くの大人たちは、そんなふうにして生きている。
神子ねえちゃんは言う。「泣いたらハラがふくれるかあ。泣いてるヒマがあったら、笑ええ!!」。
ヤク中の父を亡くしたばかりの少女は、うまく泣くことさえできずに、不思議そうにこう言う。
「息するたびにな、ノドの奥に小石みたいのがたまるんよ。食い物の味わからへん」。
むき出しの現実を見ながら、幼い心にいくつもの決意を刻んで「ぼく」は成長していく。
映画化(2003年)にあわせて、オールカラー全3巻だったものを白黒の普及版として1冊にまとめたもの。
見開き2ページのショートストーリー114話で構成。巻頭には、描きおろしのカラー漫画が4ページ収録されている。
日々の出来事を2ページで描きつつ、一太が家を出るあたりからは全体を通して話に流れが出てくる。
彼らはいつも、あきらめたような、悲しいような笑みを顔に貼り付けて、痛いほどにただただ求めている。
自分の家で、家族そろって暮らすことを。ともに食卓を囲むことを。
ラストシーンで二太が見せる笑顔は、痛ましさと同時に少しの希望を感じさせ、いつまでも胸に残る。
(門倉紫麻)
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社会から弾かれてしまった人々の精一杯に生きる日々。痛々しいが、生命を「生きている」姿は胸をうつ。
最近、魂が先に死んで肉体が取り残され、肉体だけが時差のように死ぬケースもあるように思う。
ただ、この漫画に出てくる人たちは肉体はボロボロでも、魂だけで生きているようだ。魂は永遠に時間を超えて生きようとする。
どんな人の人生にも、小さい大きいドラマが、山のようにある。改めて感じる。
僕らは他人の表面しか知らない。
そんな表面でだけ、人の人生をいいとか悪いとか、判断してはいけない。
というか。
そもそも人生自体が、いいや悪いを超えている。
人間のひとりひとりの人生は、常に創造され続けるアート。
そのアートを鑑賞し、追体験し、参加し、共有していくのはそれ以外全員の役割。
どんな人の人生にでも、深く意味がある。意味は見出す必要がある。
そこで待ち人と出会う。
人生は、意味を見出されるのを静かに日々待っている。
人生から意味を解読できたとき、「天命」をキャッチすることができるのだろう。
天はそうして日々見守ってくれているようだ。
<お天道様は見ている>のだ。
この漫画に出てくる神子(かのこ)姉さんは、体を売りながら必死でお金を稼いで生きる。ただ、笑顔を忘れない。
人間が適当にこしらえた貴賎の基準を超えた次元で生きる人間。むしろ魂の高貴さや神聖ささえ感じる。
焦点を合わせる次元の問題なのだ、と思う。
仕事をイヤイヤしていると、魂を殺しながら肉体が抜け殻のように生きているようだ。
抜け殻には、邪悪なものが容器として容易に入り込む。
それが善悪の現象を起こしているのかもしれない。
要は魂の場所がどこにあるか、の問題だ。
人生って、そんなに日々美しいものではない。
そんなにキラキラしたものばかりで埋め尽くされるものでもない。
必ず、何らかの形でいろんな要素で、結果的に総体的にバランスが取られているものなのだろう。
もし、ある人の人生が毎日楽しくおもしろおかしく、お金にも異性にも何不自由もせず送られていく一生だったとすると。
この漫画に出てくるような登場人物が、そんな陽の人生のバランスを陰の形で体験しているのかもしれない。
だからこそ、イマジネーションの世界だけででもその人たちの人生を追体験する必要がある。
この漫画の登場人物のひとたちは、本当に生きていると思う。
人間が持つありとあらゆる生命力や生存本能を最大限に駆使しながら日々を懸命にいきている。搾り出すように生き切っている。
必ずしも道徳的でもなく、美しくもなく、うまくいかないかもしれない。
けれど、そんな全てもありのまま肯定してくれるような遥か高い神様の視点が、そこにはある気がする。
この登場人物は、本当に生きているなぁ。と感じる。
そしてまた号泣する。
漫画っていいなー。
自分の人生だけではなく、ここではない誰かの人生も共に生きることができる。
読んだあと、「よし、自分も頑張って生きなくちゃ」と思わせてくれる。
不思議な回路が結合して、不思議な化学反応を起こして、不思議な元気が出てくるようです。
いい漫画だ。
P.S.スイッチさん、送ってくれてありがとー。(;。;
ずっと号泣しながら読んでいるんだけど
この本の良さを言葉にするのってすごく難しくて、
読んでもらうより他なかったんだよね。
きっと私も、そういうことを感じていたんだろうなあ。
西原さんの漫画って本当、すごいんです。
その中でも一度読んで欲しかったのは、
「ぼくんち」なのでした。(^-^)p
スイッチ☆
なんだか心をつかまれましたね。
ほんと、読んでて胸が痛くなって、どうしようかと思いました。共感しすぎ?
人間のドラマって、なんだかすごいですねー。
自分も何冊か購入して、配りますー。(^^
内容はえげつない漫画だと思う。でも最後は泣けた。
西原さん漫画より活字の方がイイと思います。
PS 先日、西原さんのブログにほぼ同じ感想書き込みました。
なかなか簡単に感想を言うのを拒む力がある漫画ですね。こういうなんとも言葉にできない作品というのは、なんとも深くこころに残る表現が多いです。この漫画でサイバラさん好きになりました。先日、やなせたかしさんの追悼番組出ていたサイバラさんも、なんとも言えない愛に溢れている様子が素敵でした。