観測にまつわる問題

政治ブログです。「保険」「相続」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」「GX」を考察予定。

憲法改正の目的と実現のためのプロセスの考察

2011-05-10 01:20:47 | 政治システム・理論
「首相公選へ改憲を。国民は権限取り戻せ」 憲法施行記念式典で橋下知事(2011.5.9 14:21 MSN産経ニュース)

>大阪市内で開催された式典で橋下知事は、「わが日本国では、ひとたび国会議員を国民が選べば、一国のリーダーは国会議員がフリーハンドで選ぶ」と指摘。「だからこそ、国民の意識と一国のリーダーの意識、有権者と永田町の意識が乖離(かいり)するのではないか。ここにこそ、日本の政治の最大の欠陥がある」と批判した。

憲法改正には衆参3分の2という高いハードルがある上、国会議員がそうそう簡単に特権を手放すとは思えない。公選制自体は自分も悪くないとは思うが、あれだけの勢いがありながら都構想から降りるかのようなことを言う男が、公選制を言ったところで、言ってみただけだろと思ってしまう。

きっと目的は「抵抗勢力」と戦って人気を稼ぐことなんでしょうな。

脱原発に喰いついたのも、きっと東電バッシングを見て、電力会社と戦ってみたくなっただけだと思う。結局、浜岡原発の話に便乗して勝ちを拾った形になったが、そんなやり方では、公選制なんて無理無理。

憲法改正自体は自分も関心のあるテーマだが、ねじれるたびに機能不全になる(そして自民も民主も単独で両院を押さえるのは難しい)ことをどうにかするのが、目下日本政治の最重要課題と思っている。

その実現のためには少なくとも一度は衆参両院3分の2を押さえなければならないので、憲法改正が必要な課題の改善を言うことはほぼ少なくとも自民・民主の衆議院議員も参議院議員も賛成できなければならないことを意識することに等しいことを分っていないと実質的な意味は無い。

大概自分も参議院を批判しすぎたのだが、エッセンスを纏めておくと・・・。

①衆議院が首相を出す以上、責任だけでなく、権限も基本的に衆議院が持っておく必要がある。

②参議院はチェックの役目に限定するのが良い(例えば、イギリス流に法案を否決させずに決定の時期を遅らせ世論の注目を集めることでチェックの役割に限定させる)。現状は両方押さえられると政府与党の暴走を止め難く、ねじれると政府与党が無力になりすぎるという問題を抱えている。

改正に至るプロセスを考察すると・・・

今この改正をすると圧倒的に与党(民主党)が有利になるだけなので、野党(自民党)の合意をとるのが困難。クリアするためには解散とセットにする必要がある。そうなると与党が嫌がるだろうが、震災前まではこのまま続けても与党は苦しい情勢だった。

参議院の弱体化を参議院に飲ませるのは非常に苦しい。政治家は世論に弱いので世論の批判が必要なのだが、参議院が人気とり戦術を始めると手がつけられなくなる。また、参議院は解散がないので、6年間は比較的世論を気にしなくていいという特権もある。この苦しさを意識すると、一院制も視野に入るだろうが、それではチェックアンドバランスがないという批判は免れず、恐らく中庸を好む世論は受け入れないのではないかと思う。まぁ、率直に言って、自分自身も一院制は危ない気がするので好みでないというのも無くは無い。いずれにせよ、参議院の政治における実質的な立場について理解が進まないことには、この問題は中々動かないのではないか。

震災を受けて大連立→復興→解散というシナリオもあったようなので、それに便乗して、大連立後に解散するなら、ねじれ問題を解決して(憲法を改正して)から解散してくれと考えていたのだが、もうそれもない感じになってしまっている。絶対やらなければならない改革と思うのだが・・・。