観測にまつわる問題

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「原子炉時限爆弾」批判(第一章 浜岡原発を揺るがす東海大地震 1)

2011-05-15 00:54:38 | 日記
>浜岡原発は今を去る三四年の一九七六年三月一七日に、一号機が営業運転を開始した。(28p)

>その運転開始からわずか五ヶ月後の八月二三日に、当時東京大学理学部助手だった石橋克彦氏が地震予知連絡会で「駿河湾でマグニチュード八クラスの巨大地震が起こる」と、東海地震説に基づく重大な警告を発した。(28p)

石橋氏の警告は、後年に確立されるプレート運動の理論によってその正しさが、次々と実証されてきた。(29p)

石橋氏の予言的警告には、確たる根拠があった。私たちが乗っている地球の表面が、プレートという岩盤でできていて、それが毎日少しづつではあるが、動いているからである。(29p-30p)

※以上、縦書きが横書きになっているが原文ママ。下線部筆者。以下も同じ。

プレートテクトニクス理論は1960年代後半に発展した。これは資源エネルギー庁ホームページなど複数の専門的ページで確認したので間違いないと思う。つまり1976年の石橋氏の警告は、プレートテクトニクス理論に当然拠ったのであり、石橋氏の警告の正しさが後年に確立されるプレート運動の理論で実証されたというのは、とんでもない印象操作である。

また、確たる根拠として、地球の表面がプレートという岩盤でそれが動いているなどと知識を披露する至っては失笑するより他ない。地学の初歩の初歩を確たる根拠などともったいぶられてもね。高校の授業を聞いていれば、誰でも知っていると思う。1943年生まれの広瀬氏の時代は載っていなかったのかもしれないが。それにしたって、プレートが動くなんて言葉は、テレビでも頻繁に出ているのではないか。序章で日本人は誰も知らない事実とか大見得を切ったが、日本人を馬鹿にし過ぎの可能性が濃厚である。

ちなみに、最近(1990年以降)はプルームテクトニクス理論というのがあるらしく、この分野で確たるとか実証とか根拠とかそういう言葉を振りかざすこと自体、何も知らないか嘘つきであると看做されてもしょうがないのではないかと思う。プレート運動の理論自体の信頼性が揺らいでいるのに、実証もヘチマもあったものではない。

そもそも、地震予知で確たるとか実証とか予言とか言って本を出してしまうあたり、トンデモ系の人なのだなと分るのだが、昔のこととは言え、真に受けてこの人の本を買ってしまったあたり、自分の不明も反省せざるを得ないのは痛いところではある。

>時期的には、東海地震発生周期のリミットを切って、すでに発生期間内に突入している「地球の時限爆弾」である。百パーセント間違いなく起こる大地震の発生を「今か今か」と待っている不安な状態にある。(35p)

これは前の記事(5月8日)で引用した文章にあったが、東海地震が単独でおきた例は無く、東南海地震の地震発生時期を考えると、山場は2030年らしい。大体、広瀬氏自身で周期を100年~250年としている(32p-33p)のに、どうして150年でリミットを切る計算になるのか不思議でならない

>この時期の江戸時代の日本の全人口は、二千八百万人程度だったので、いまはその五倍ぐらいである。このような大災害では、同じ面積の人口密度が五倍になれば、被災者は一〇倍を超えると予想されるので、地震だけの被害で、数十万人の犠牲者が出てもおかしくない。(35p)

何処をどう考えてもおかしい。江戸時代は倒れやすく燃えやすい木造建築だったのであり、鉄筋コンクリートの住宅が増えている現在では犠牲者は減ることが予想される。アベコベだろう。乱暴な比較ではあるものの、地震の規模はM7.9の関東大震災の犠牲社は約10万5000人とされ、M7.3の阪神大震災による犠牲者6,434名(木造建築倒壊による圧死が80%)を大幅に上回ると参考までに指摘しておきたい。人口密度が五倍になれば、被災者が一〇倍というのも意味不明であるが、人口も東海地震の地域の人口を出して比較したほうがいいだろう。

>もしその最悪の予想通りになれば、あのすさまじい一九九五年の阪神大震災が一〇〇回繰り返された時の死者数、を意味する。(35p)

危機管理は最悪を想定するのが基本ではあるが、ツッコミどころ満載の荒唐無稽な「予想」に基づかない限り、地震だけの被害で数十万死ぬとは考えられないだろう。もしも東日本大震災クラスの津波が来れば、被害者数は人口密度からとんでもない数になると予想はされるが、勿論阪神大震災の数字と比べることに何の意味もないということになる。

・・・ところで、35p進めるだけでこの有様である。このトホホな本につっこんでいくと、何時までたっても終わらないという目処はついてきた。道理で論争を拒否するわけである。残念ではあるが、今後飛ばし飛ばしになるかもしれない。

「原子炉時限爆弾」批判(経歴と序章)

2011-05-14 19:20:09 | 日記
「原子炉時限爆弾」(広瀬隆著)という本がある。どうもこの本が脱原発派に評価され売れているらしい(ただし、5月16日付け週刊オリコンランキングBOOK総合では30位までに本書も含め明快な脱原発派の本は確認できない)ので、原発推進派(安全強化して原発を維持発展させる派)として、直接、発信源を叩いてみようと思う。ただ、本を一冊まるまる批判するとなると、量的にも大変である。何度かに分けて記事を書くことになることはご容赦いただきたい。

まず著者であるが、作家である。自分も1ブロガーに過ぎないので、だからどうこう言うつもりもないが、専門家ではないということはまず指摘しておかなければならない。作家という商売がどういうものか特別な知識は無いが、本が売れないと困ってしまう人たちなのだろうなというのは容易に想像がつく。

反原発派歴は長いらしく、著書にも「原子力の危険性を訴え続けるとともに、反原発の市民運動を展開」と書いている。(橋下知事のような事実上の)俄か脱原発派よりは手強い相手であると思う。

また、著書にある紹介文にあるタイトルでは「二酸化炭素温暖仮説の崩壊」 (2010/7/16)「世界金融戦争」(2002/11/30)「世界石油戦争」(2002/06)などのタイトル(順番は原文のママ)が目をひく。二酸化炭素温暖化仮説を攻撃してきたのは、世界的には右派と思うが(自分も例外ではない)、日本では左派もやるらしい。恐らく、長年脱原発だった絡みで、二酸化炭素温暖化説を真実と仮定すると、原子力発電の正当性を認めざるを得なくなるから、反二酸化炭素温暖化仮説に踏み込んだのだろう

「世界石油戦争」に関しては、資源エネルギーに関心があって、自分も以前買って読んだ事がある(ただし、名前は記憶していたものの引越しの際と思うが処分してしまって今はもうない)。内容はamazonによると「激動する欧米とイスラム社会の深層を暴く、衝撃のノンフィクション」である(個人的には古い本ということもあり、残念ながら印象に残ってない)。続く「世界金融戦争」では「アメリカ帝国は崩壊の時代に入った。世界的な金融メカニズムが、膨大な人々を貧困に追いやっている。現代金融スキャンダルの主役たちを追う問題作。ビジネスマン必読。」(同じくamazon)だそうである。

ちなみに出典は忘れてしまい現時点で確認できなかった(週刊誌だったか月刊誌だったか最近読んだ覚えがある。確認できれば訂正する予定)が、広瀬氏は味噌を食べると放射能に良いと言って、健康食品を販売しているらしく(グーグル検索「広瀬隆 味噌」2011年5月14日21:00の一番目の支持派らしき人のブログにもあった。さすがにリンクは遠慮したい)、科学的根拠まで追及された批判記事があったことは付け加えておく。

この本は2010年8月に発売されており、「先見の明があった」ということで注目されているのだろうが、自分は結論から言って全然そうは思わない。

>私は、本書で、大地震によって原発が破壊される「原発震災」のために日本が破滅する可能性について、私なりの意見を述べる。しかもそれが不幸にして高い確率であることを示す数々の間違いない事実を読者に見ていただくが、内心ではそこから導き出される結論が間違っていることを願っている。(2P)

>このことに関して、論争を全く望んでいない。(2P)

※下線部筆者

高い確率が間違いないというのも、「雨が降るのは80%で間違いない」と言い切るようなもので、単なる誇張のレトリックなのだろうが、間違っている事を願っているなら、論争はした方がいいだろう。間違いを指摘されるかもしれないではないか。自分も1ブロガーに過ぎないが、承認制とは言え、コメント欄は開放している。

>ここに書く事実をほとんどの人間は知らないと確信している(3p)

これから順に批判していく(さすがに全部は無理なので、抜粋しつつ)が、基本的な事実に関しては、大したことは無いと思う。また、事実(科学的根拠)を言うなら、巻末に出典が無いことは致命的だろう。本来、厳密に事実を重んじる(間違いたくない)人はそれだけで本書を読まないと思う。今時、ウィキペディアでも出典をつけている。

>【図2】は、日本が商業用の原子力発電を始めることを決定した翌年、一九六〇年四月に科学技術庁の委託を受けて、日本原子力産業会議が科学技術庁原子力局に提出した極秘文書の表紙である。(12p)

>【図4】は、その報告書に記載された被害予測図である。(14p)

>日本全土で農業が出来ないのだから、日本人が日本列島に住めないと考えていいだろう。全員が被害者になるのだから、この問題で論争をしたり、推進派と反対派を色分けしたり、自分が何処の都道府県に住んでいるかによって安全か危険かを判断する人間はよほど知恵が足りないということになる。(14p-17p)

極秘文書とやらが存在するのかどうか知らないが、論争したらよほど知恵が足りないと言う以上、絶対にその文書は存在するのであり、その文書は絶対に正しいと広瀬氏は考えていることになる。脱原発派が存在すると主張する極秘文書(しかも政府は否定している)を信用しろと言われて素直に信用するのも、知恵が足りないのではないかと思うが、被害に関して、政府・原子力産業の予測だけを信用する態度も知恵が足りないように見える。

ちなみにこれまで大事故と言えるのはチェルノブイリだけと思うが、そのチェルノブイリでも避難は30キロ圏内であり、350キロ圏内のホットスポットと言われる高濃度汚染地域で農業の停止、住民の移転が行なわれたに止まる(ウィキペディア「チェルノブイリ原子力発電事故」2011年5月14日23時)。勿論、このような大惨事は繰り返してはならないとは思うが、不思議なことに広瀬氏が口を極めて批判するのはより被害の少ないことが明らかなスリーマイル(ウィキペディア)であり、ソ連の大事故を批判せずにアメリカの事故を批判してしまうあたりが冷戦左翼頭だと思うのである。

どのように控えめに評価しても、被害額では楽に数百倍の数百兆円を超える。

広大な地方が消えることだけは間違いない。

残念ながら、地震により福島で原発事故は起こってしまったが、広瀬氏の大げさな煽りが間違っていたことだけは間違いない。


メタンハイドレート、新エネルギーの切り札の実力

2011-05-14 17:01:03 | 政策関連メモ
新エネルギー確保の“切り札” メタンハイドレート採取へ実験装置導入(MSN産経ニュース 2011.5.14 12:58)

>、政府は原子力発電の比率を高めることを盛り込んだエネルギー基本計画の見直しも視野に入れており、メタンハイドレートは新たなエネルギー源として、にわかに期待が高まっている。

>東電福島第1原発の事故を踏まえ、菅直人首相は10日の会見で、平成42年までに原子力発電の割合を50%以上に引き上げることを目標にしたエネルギー基本計画について、「いったん白紙に戻して議論する必要がある」と表明。

メタンハイドレートが新エネルギーの切り札らしい再生可能な自然エネルギーではないのだが、新エネルギーには違いないので検討してみる。

メタンハイドレートは日本近海にも纏まった量で存在するため、エネルギー安全保障の観点でこれまでも注目されてきた(経産省ホームページ平成13年7月19日)。だが、実際には商業化されていない。コストがかかるからだ。開発の主体の意見ということを割り引く必要はあるだろうが専門家の意見(メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム「メタンハイドレートの開発と経済性」)によると・・・

>結果としては、2004年のガス価が23.8円/m3に比べ、生産期間中のガス生産価格は46円/m3となりました。

>「原油価格が上がれば、メタンハイドレート開発の可能性が高くなる!」という噂をよく聞きますが、単純にそうは言い切れないことが分かります。

>原油価格の上昇により人件費、燃料費などが高騰し、結局は、操業費(OPEX: Operation Expenditure)建設コストを含む施設費(CAPEX: Capital Expenditure)が上昇するため、原油価格の上昇は経済性によい影響を与えますが、通常開発費も上昇するため期待するほどには良化しません。

>海洋産出試験を実施することで、より実際的な数値(パラメータ)を入手して、経済性評価の精度を向上させることもフェーズ2の重要な課題

本文中しばしば言及されているが、仮定が多い実験段階ということは間違いないだろう(「フェーズ2の実施期間は、経済産業省の方針に基づき平成21年度から平成27年度までの7年間」とされている)。やはり「期待の新エネルギー」の範疇を越えていないように見える。要は脱原発の結論ありきで、何かブチあげる必要性があったのだろう。量的に最も期待できるであろうメタンハイデレートでこの程度(再生可能な自然エネルギーでは量的に期待できない)か・・・。大層な切り札である。

日本に資源があるとなれば、中国や北朝鮮も頑張ってしまうということも考えられなくも無い。

それはともかく、埋蔵地域(ウィキペディアファイル:Methane hydrate around Japan Ilands.PNG)で気がかりな事がある。そう、東部南海トラフ・南海トラフにあるということだ。おなじみの最も警戒されてきた震源地帯ではないのか?

メキシコ湾原油流出事件を思い出さなければならない。あの原油流出事故で環境が破壊されたことは記憶に新しい。果たして大地震の根源地帯で安全な採掘は可能なのだろうか?地震を受けた代替エネルギー問題で、メタンハイドレートが浮上するとは皮肉なものである

これは噂程度のようだが、メタンハイドレートで温暖化が加速するという説もネット上でまことしやかに飛び交っていることも付け加えておく。

脱原発、後は野となれ山となれではダメなのである。脱原発派は責任をもって考えていただきたい。もしくは、現実的に脱原発のプランを立てられる人を探すことだ。

橋下氏肝いり庁舎の危険性(拙速な判断が禍根を残す)

2011-05-14 15:34:41 | 注目情報
橋下知事肝いり庁舎、想定津波なら機能喪失 本移転見直しも(2011.5.13 14:39 MSN産経ニュース)

>府の依頼で咲洲庁舎の被害を想定したのは、関西大学社会安全学部の河田恵昭学部長(社会安全学)。

咲洲庁舎は、地下2階に電気・通信系統の基幹設備が集中。浸水すると、庁舎全体に電気を送る特別高圧変圧器3基のほか、電話回線や光ファイバーなどの通信機器だけでなく、停電時に備えた自家発電機2台も使用不能になり、庁舎機能がマヒする可能性がある

東日本大震災の長周期地震動とみられる揺れの影響で、高層の咲洲庁舎はひび割れなど約360カ所で被害が出た。府は、補修と同時に、耐震補強や、津波対策として自家発電機を3階に移すことを検討。約33億円の予算を見込む。周囲を防潮堤で囲む案も検討したが、まちづくりに影響するため、難しいという。

河田氏は「咲洲への本庁舎移転構想が出たときから危険だと反対してきた。全面移転すれば、大津波が来たときに府は行政としての機能を喪失し、大混乱に陥るだろう。本庁舎は移転せず、現在の場所で建て替えるべきだ」と話している。

どうやら橋下氏肝いりの庁舎はとても危険だったようだ。臨海地域の地下に通信機器はおろか非常用電源も集中させるとは!こんなことでは防災拠点として不適格なのは言うまでもない(東北の地震でひびが割れるような関西の建物など論外である。国は素直に反省し耐震基準の見直しをしっかりしておくべきではないか)。橋下氏の防災に関する判断力は極めて怪しいということになるだろう。こういうことがあったから、狼狽して極端(防災無視)から極端(脱原発)に走ったのかもしれない。脱ダム(槙尾川ダム)の判断も怪しいものだ。

原発“中断”発言の橋下徹大阪府知事に福井県知事かみつく(MSN産経ニュース 2011.5.13 20:15)

大阪府の橋下徹知事が原子力発電所の新規建設や稼働期間の延長をしないための府民運動を展開するとしていることについて、原発14基を抱える福井県の西川一誠知事は13日の定例会見で、「関西の55%の電力が福井から供給されていることを、関西の自治体、消費者はわきまえてもらいたい」と反論した。

日本において脱原発運動を展開してきたのは左翼である。仲間に入れてもらえばどうだろうか。お得意の嘘なのかもしれないが。

更に言えば、新規建設をせずに稼動機関を延長しなければ、古い原子力発電所から順次止めていくことになり、将来もエネルギー使用量が増えないと仮定しても、55%もの電力を何かで代替するということになる。お分かりだろうか。日本はこれまでも新エネルギーには力を入れてきたので、現在の常識的な見込みでは、これを新エネルギーで代替できるということは考えにくい。せいざい5%くらいではないのか。そう考えると、橋下発言は火力発電所倍増計画に等しいということになる(経済を半分に縮小する計画でなければ)。何処に何を造ることを想定したのか知らないが、そもそも知事はエネルギー政策に首をつっこみすぎるべきではない。国のチェック機能と電力会社の判断が重要なのだ。ちょっと反対してみれば人気がとれそうだみたいな浅い考えで介入してもらっては困るのである。

橋下知事の長所としてスピード感が言われる事があるが、これは拙速だし、視野が狭いとも言っていいだろう。知事の判断は後世に長期的な影響を残す。しっかりしたブレーンに相談し、長期的な展望のある判断を政治家は下していくべきだと考える。

自滅するみんなの党、規制強化の訴え

2011-05-14 11:34:12 | 政治システム・理論
みんなの党が「原発緊急点検法案」骨子を発表(MSN産経ニュース 2011.5.13 18:27)

>みんなの党の渡辺喜美代表は13日の記者会見で、原子力発電所などすべての原子力施設を緊急に点検し、内閣か国会が安全上必要があると判断すれば使用停止を命じることができる「原発緊急点検法案」の骨子を発表した。

※下線部筆者

国会が使用停止を命じることが出来るというのがキモなのだろう。行政は政府の役割なのであって、国会の役割ではない。個別企業への強権発動を国会なんかに認めたりしたならば(国会議員がどれほど信用できるというのか?)、政治発の混乱がまた更に増えるだけ。原子力なんぞなんにも知らない国会議員が安全点検を命じて一体全体どんな意味があるというのか?こんなものは首相なり経産大臣なりが専門家の助言を受けて判断するしかないだろう。いくら首相に問題があるとしても、山ほどいる専門的に無知な国会議員の判断で強権発動なんかしたら、余計悪いのは火を見るより明らかだ。どうせ何も知らないのをいいことに危険でないものを勝手に止めて首相に対するカードにするに決まっているそういう面白いショーが国をガタガタにするというのは、ねじれ問題で国民にも分ったと思う。政治システムの機能不全は国を滅ぼす元なのだ。

ちゃんちゃらおかしいのは、小さな政府を標榜するみんなの党が民間企業への規制強化を言い始めたこと。アジェンダとやらは何処行った?これでは嘘つき呼ばわりされてもしょうがない。民主党があると言ってなかった財源をあくまであると主張しているのがみんなの党だが、その言葉の信頼性はこんなものである。小さな政府派は規制には慎重であるべきなのであり、ましてや自分のところに権限を持ってくるというような浅ましい考えではいけない。(以下みんなの党ホームページ→政策「みんなの党 アジェンダ みんなの党の理念」より抜粋)

>求められることは、はっきりとした路線を特定の団体や組織・組合のためでなく国民全体のために政治が掲げることです。議論されるべき路線としては、「大きな政府」か「小さな政府」か、「配分重視」か「活力重視」か、「日米中正三角形」か「日米同盟基軸」か、という国の根幹に関わることです。みんなの党は、小さな政府、活力重視、日米同盟基軸です。
ここを、はっきり言わず両方の良いとこ取りの「第三の道」という主張もありますが、我々はあぶはち取らずの「第三の道」とは決別し、はっきりとした路線を打ち出します

憲法改正の目的と実現のためのプロセスの考察

2011-05-10 01:20:47 | 政治システム・理論
「首相公選へ改憲を。国民は権限取り戻せ」 憲法施行記念式典で橋下知事(2011.5.9 14:21 MSN産経ニュース)

>大阪市内で開催された式典で橋下知事は、「わが日本国では、ひとたび国会議員を国民が選べば、一国のリーダーは国会議員がフリーハンドで選ぶ」と指摘。「だからこそ、国民の意識と一国のリーダーの意識、有権者と永田町の意識が乖離(かいり)するのではないか。ここにこそ、日本の政治の最大の欠陥がある」と批判した。

憲法改正には衆参3分の2という高いハードルがある上、国会議員がそうそう簡単に特権を手放すとは思えない。公選制自体は自分も悪くないとは思うが、あれだけの勢いがありながら都構想から降りるかのようなことを言う男が、公選制を言ったところで、言ってみただけだろと思ってしまう。

きっと目的は「抵抗勢力」と戦って人気を稼ぐことなんでしょうな。

脱原発に喰いついたのも、きっと東電バッシングを見て、電力会社と戦ってみたくなっただけだと思う。結局、浜岡原発の話に便乗して勝ちを拾った形になったが、そんなやり方では、公選制なんて無理無理。

憲法改正自体は自分も関心のあるテーマだが、ねじれるたびに機能不全になる(そして自民も民主も単独で両院を押さえるのは難しい)ことをどうにかするのが、目下日本政治の最重要課題と思っている。

その実現のためには少なくとも一度は衆参両院3分の2を押さえなければならないので、憲法改正が必要な課題の改善を言うことはほぼ少なくとも自民・民主の衆議院議員も参議院議員も賛成できなければならないことを意識することに等しいことを分っていないと実質的な意味は無い。

大概自分も参議院を批判しすぎたのだが、エッセンスを纏めておくと・・・。

①衆議院が首相を出す以上、責任だけでなく、権限も基本的に衆議院が持っておく必要がある。

②参議院はチェックの役目に限定するのが良い(例えば、イギリス流に法案を否決させずに決定の時期を遅らせ世論の注目を集めることでチェックの役割に限定させる)。現状は両方押さえられると政府与党の暴走を止め難く、ねじれると政府与党が無力になりすぎるという問題を抱えている。

改正に至るプロセスを考察すると・・・

今この改正をすると圧倒的に与党(民主党)が有利になるだけなので、野党(自民党)の合意をとるのが困難。クリアするためには解散とセットにする必要がある。そうなると与党が嫌がるだろうが、震災前まではこのまま続けても与党は苦しい情勢だった。

参議院の弱体化を参議院に飲ませるのは非常に苦しい。政治家は世論に弱いので世論の批判が必要なのだが、参議院が人気とり戦術を始めると手がつけられなくなる。また、参議院は解散がないので、6年間は比較的世論を気にしなくていいという特権もある。この苦しさを意識すると、一院制も視野に入るだろうが、それではチェックアンドバランスがないという批判は免れず、恐らく中庸を好む世論は受け入れないのではないかと思う。まぁ、率直に言って、自分自身も一院制は危ない気がするので好みでないというのも無くは無い。いずれにせよ、参議院の政治における実質的な立場について理解が進まないことには、この問題は中々動かないのではないか。

震災を受けて大連立→復興→解散というシナリオもあったようなので、それに便乗して、大連立後に解散するなら、ねじれ問題を解決して(憲法を改正して)から解散してくれと考えていたのだが、もうそれもない感じになってしまっている。絶対やらなければならない改革と思うのだが・・・。

政府による私企業バッシングが始まるのか

2011-05-09 00:19:50 | 日記
交付金減額分の補填検討 細野補佐官(MSN産経ニュース)※下線部筆者

>細野豪志首相補佐官は8日、国会内で記者会見し、浜岡原発(静岡県御前崎市)の全面停止要請で地元自治体への関連交付金が減ることについて「今回は政治判断での停止になるので配慮を考えたい」と述べ、特別措置で減額分の補填を検討すると表明した。

要請では交付金は減らないと思うがそれはともかく、要請を受けて交付金の補償は当たり前と思う。ただ、雇用など経済により広範囲にダメージを与えると思うがどうだろう。被害につりあっていないのではないか?

更に言えば、中部電力への損害の補填は何も考えていないのか?弱者=地方には多少なりとも金を渡すが、強い企業には無茶苦茶やっても構わないという安易な人気取りの構図に見える。仲間である地方政府(公務員)に金を渡せても、民間には金を渡せないとでも言うのか。政府による私企業バッシングが続けば、日本経済は死んでしまうだろう。

静岡・浜岡原発:全面停止へ 経済界、猛反発 生産混乱、拡大を懸念(毎日jp)

毎日新聞は社会主義のイメージもあるが、意外にまともなところもある(失礼)。経済界が反発するのは当然であり、こうした公正な報道は必要な報道だろう。正直、浜岡停止などと煽る産経にガッカリしていただけに余計にそう思うのかもしれないが。今のところ、産経は今回、何時もの菅叩きすらやろうとしない。もう滅茶苦茶ではないか?正論を看板にするなら、社論に一本、筋を通してほしい。

橋下知事によると菅首相の要請は大英断

2011-05-08 22:47:12 | 日記
【新報道2001】詳報(5月8日放送)(MSN産経ニュース2011.5.8 19:19)※以下、下線部筆者。

>--中部電力は結論を持ち越したが

>海江田氏「要請は私どもの覚悟であり、ぜひ受け入れてほしい。中部電力管内は日本の産業の中心的な部分だ。電力供給では万全の体制を整えたい

要請なのに覚悟とは如何に?何を言っているか分らない。正しい日本語を使ってくれ。命令に近いと言うなら、補償ぬきで責任を中部電力に押し付けるのは厚かまし過ぎる。頼んでいる(要請というなら頼んでいるということなのだが)のか事実上脅しているのかハッキリしろ。こんなインチキなことを言っているから、詐欺フェストと揶揄されるのだろう。

更に言えば、これまで浜岡原発を指導監督してきた政府の人間であるにも関わらず、要請(単なる頼みごと、決定権は頼まれた方にある)だが覚悟(※危険なこと、不利なこと、困難なことを予想して、それを受けとめる心構えをすること。「苦労は―のうえだ」「断られるのは―している」コトバンクより)で是非やってもらいたいというような支離滅裂・無責任極まるやり方で万全の体制とか言っても信用できるわけがない。

大体、東日本大震災を受け日本全体の電力供給の危機が言われている時期にあえて原発を止める理由の説明にはなっていないのだが。

>橋下徹大阪府知事「政治家にしかできない大英断だ。圧倒的多数の国民が負担を被ってもがんばろうという気持ちだ。大阪府民全体で協力する。関西電力の電気を余らせ、中部に送る

何時から橋下知事は関西電力社長になったのか。不可解な男である。合法的に脅す(出典『最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術―かけひきで絶対負けない実戦テクニック72』Wikipedia橋下徹2011-05-08 23:20からの孫引き)つもりなのだろうが。私企業相手に滅茶苦茶であり、彼はシンガポールの開発独裁を礼賛したような記憶もある(ソース見つけられず、一応コレ)がそれはともかく、社会主義に近い言い分が時折見え隠れしている。菅首相の要請を大英断とする男は似た考えを持っているのだろう




詭弁を弄する男の生き様

2011-05-08 21:42:40 | 日記
橋下氏「停止要請は大英断、関西の電気を融通」(2011年5月8日20時39分 読売新聞

>浜岡原発の運転停止要請を巡り、大阪府の橋下徹知事は8日、民放の報道番組で、「停止要請は大英断だ。大阪府民全体で(節電に)協力する。関西の電気を少しでも余らせて中部に送りたい」と述べた。

>番組終了後、橋下知事は報道陣に対し、「今までは(施設名を特定しない)抽象的な目標だったが、今後は浜岡原発の停止が目標になる。関西全体でどのように難局を乗り切るか、計画をしっかり立てたい」と話した。

何なんだ、こいつ。※下線部筆者

橋下知事、孫社長に共鳴・面会…原発ストップ発言に政府・電力は困惑

>大阪府の橋下徹知事が27日、東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故を踏まえ、関西に電力供給している原発の新規建設や運転延長を止めることを目標とした計画づくりを始める考えを表明。

原発名を特定せずとも、それが浜岡でしたなんてことになるわけないだろ。さすが「交渉において非常に重要なのが、こちらが一度はオーケーした内容を、ノーへとひっくり返していく過程ではないだろうか」「自分が言ったことに前提条件を無理やりつける」「『AをオーケーしたのはBという条件が必要だったのですよ』と後から付け足す」(出典「最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術―かけひきで絶対負けない実戦テクニック72」Wikipedia橋下徹2011年5月8日22時からの孫引き)などと平気で詭弁を弄する男は言う事が違う

自分は(道州制に繋がるものとして)都構想は支持してきたが、旗をブチあげておいてやる気がなくなったようなので(MSN産経ニュース2011.4.11 11:39)、丁度いいとは言える。元々調子こいて脱ダムをブチあげる(MSN産経ニュース2010.12.21 10:17)ようなところも好きではなかった。

脱原発で脱ダムなら左翼とよろしくやってればいいだろう。嘉田滋賀県知事あたりとは考えも近い。その内、コロッと平松市長と仲良くする可能性もある(MSN産経ニュース2011.5.8 19:21)のではないか。

ビンラディン殺害と中国世論

2011-05-08 18:36:26 | 注目情報
ビンラーディン殺害で「次は中国の番?」

>米国が発表した「ビンラーディン容疑者殺害という事実」をそもそも信用していない人も多い。

>「偽物のビンラーディンを殺して、大々的に宣伝して世界に周知させれば、今後本物が出てきても偽物とみられてしまう巧妙な手口だ。再選をめざすオバマ大統領の陰謀に違いない」といった意見もあった。

アルカーイダもビンラディンの死を認めているようであるから、余計なことは言わない方がいいと思う。

>保守系サイト、毛沢東思想旗幟ネットなどでは最近、同容疑者の死去を弔う追悼文が多くアップされた。

中国保守派の歴史観には違和感もある。(イスラム)テロリストの追悼をするなら、新疆ウイグルの「テロ」弾圧も正当化できなくなると思うのだが、どうだろう?あまり道理の通らないことを言い過ぎると、中国保守派が批判してやまない「アメリカ覇権主義」と変らない、ないしより酷いということになるのは避けられない。